実は、クーポン目当てのお客さんがリピーターになる割合は、わずか15〜20%前後と言われています。残り80%以上は、クーポンがなくなった瞬間に別の店に行ってしまう。
「わかってはいるんだけど、やめたら怖くて……」
これ、本当に多くの飲食店オーナーさんが口にする言葉です。ジョイマンこと私、ハワードジョイマンのもとに相談が来るとき、その半数近くがこの「クーポン地獄からどう抜けるか」という悩みなんですよ。
今回は、実際にクーポン依存を脱出した飲食店が最初に手をつけた「価値訴求の型」を具体的にお話しします。補助金や広告費ゼロ、まずは店内の「伝え方」を変えるだけでできることから始めた話なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
こんな方におすすめ
- ✅ 食べログやホットペッパーのクーポンに頼っていて、掲載をやめるのが怖い飲食店オーナーの方
- ✅ 「値引きしないと来てもらえない」という思い込みを崩したい方
- ✅ 料理の味や質には自信があるのに、それがお客さんに伝わっていないと感じている方
- ✅ POP・メニュー表・接客トークで客単価を上げる具体的な方法を知りたい方
- ✅ 広告費をかけずにまず「店内」から改善を始めたい飲食店経営者の方

「価値が伝わっていない」のが本当の問題
クーポンに頼り続けてしまう根本的な理由、実はシンプルです。「うちの料理の良さが、お客さんに届いていない」んですよ。
料理の腕は確かにある。食材にもこだわっている。でも、それを「言葉にして伝える」ことを、ほとんどの飲食店はやっていない。
私が独立前に無給で修行したイタリアンレストランでも、同じ状況を目の当たりにしました。シェフの腕は間違いなく一流なのに、メニュー表にはただ「カルボナーラ 1,200円」とだけ書いてある。なぜこのパスタが美味しいのか、どんな食材を使っているのか、一言も書かれていないわけです。
これ、もったいないですよね。料理の価値が、値段の数字だけで判断されてしまっている状態です。
クーポンとは、要するに「価値が伝えられないから、値段を下げることで選んでもらう」という苦肉の策なんです。逆に言えば、価値が伝われば、クーポンは必要なくなる。ここが、価値訴求の出発点です。
最初の一手は「ネーミング」と「一行説明文」
では実際に何から始めるか。一番手っ取り早くて効果が出やすいのが、メニューのネーミングを変えることと、一行の説明文を添えることです。
よく例に出すんですが、こういうことです。
- 「牛丼 500円」→「黒毛和牛のすき焼き丼 2,000円」
- 「本日の魚料理」→「駿河湾直送・地元漁師が今朝揚げた金目鯛の煮付け」
素材は同じでも、ネーミングと説明一行で、受け取られ方がまったく変わります。後者はクーポンで割り引く必要すらない。むしろ「ちゃんとした理由のある値段」として、お客さんが納得して注文してくれるんです。
静岡市清水区という、富士山が見えて駿河湾の幸が豊富なこのエリアなら、「地元」「朝獲れ」「駿河湾産」という言葉だけでも十分な価値になります。それをメニューに書いているかどうか、まずそこを確認してみてください。
「そんな小さなことで?」と思うかもしれませんが、これだけで客単価が数百円〜数千円変わった飲食店を、私は何店も見てきています。
✓ ここまでのポイント
- クーポン依存の根本原因は「価値を言葉にして伝えていない」こと
- メニューのネーミングと一行説明文を変えるだけで、客単価は動く
- 地域の食材・背景など「具体的な情報」が価値訴求の武器になる
店内POPで「来店後の単価」を上げる型
ネーミングと並んで効果が大きいのが、店内POPです。
POPというのは、テーブルや壁に置く小さな紙のこと。「今月のおすすめ」とか「スタッフのイチオシ」と書いてあるやつですね。多くのお店が置いてはいるんですが、ほとんどの場合「商品名と値段しか書いていない」という状態です。
価値訴求型のPOPには、必ず以下の3要素を入れます。
- なぜこの料理が美味しいのか(素材・製法・こだわり)
- 誰にどんな場面でおすすめか(用途・シーン)
- お客さんの声・エピソード(第三者の声)
特に3番目の「第三者の声」が強力です。「常連のAさんが『ここのアレを食べると他では食べられなくなる』とおっしゃっていて……」という形で、接客でもPOPでも使える。お客さんが「自分で選んだ」と感じながら注文してくれるようになります。
私はこれを「昔話メソッド」とか「第三者経由の教育」と呼んでいるんですが、要するに、店主が直接「これは美味しいです!」と言うよりも、お客さんの声を経由して伝えたほうが、ずっと心に入りやすいということです。
「チラシとGoogle広告を組み合わせたら、6ヶ月で月商が350万円から620万円になりました。客単価も1,400円上がって、クーポン客ではなくうちの価値を理解してくれるお客さんが来てくれるようになったのが一番の変化です。」
居酒屋オーナー(40代・男性)
「月商60万円で赤字続きのイタリアンでしたが、POPと価値訴求の見直しから始めて、今では月商470万円・利益200万円まで来ました。最初は本当に『紙一枚』から変えただけだったんですけどね。」
イタリアンレストランオーナー(30代・男性)
「IT導入補助金」で集客の仕組みを一気に整える
価値訴求の型を店内で実践しながら、次のステップとして取り組んでほしいのが、デジタルツールを使った集客の仕組み化です。
ここで活用できるのが、国のIT導入補助金です。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に、導入費用の一部を国が補助してくれる制度。飲食店であれば、以下のようなツールが対象になり得ます。
- モバイルオーダーシステム(少人数で高回転営業を実現)
- LINE公式アカウントの構築・シナリオ配信ツール
- 予約・顧客管理システム
- 会計・原価管理システム
補助率は通常枠で1/2〜3/4程度、補助額は数万円〜数百万円と幅があります。毎年公募が行われており、2025年度も公募が続いています(最新情報は中小企業庁またはIT導入支援事業者へご確認ください)。
採択されるコツとしては、「このツールを入れることで、どんな業務課題がどう改善されるか」を具体的に書くことです。「売上アップのため」という抽象的な理由ではなく、「現在手書きで管理している予約業務を自動化し、スタッフ1名分の工数を削減する」といった形で記載すると通りやすくなります。
LINE公式アカウントを補助金で構築して、来店後のフォローアップを自動化する。これだけで、クーポン客が「価値を理解してくれるリピーター」に変わっていく土台ができます。美容室の事例では、LINEの自動配信を整えただけでリピート率が38%から71%に改善した会員さんもいます。飲食店でも同様の効果が出ています。
「補助金の書類は難しそう……」という方も多いですが、ITツールの場合は支援事業者(ベンダー)が申請をサポートしてくれるケースが多いので、まず相談してみることをおすすめします。弊社でも専門家の紹介サービスをご用意しています。
まとめ:クーポンをやめる「順序」が大事
クーポン依存から抜け出すには、段階があります。
いきなりクーポンをやめるのではなく、まず「店内の価値訴求」を先に整える。ネーミング、説明文、POP、接客トーク。ここを変えることで、お客さんがクーポン目当てではなく「価値」に引き寄せられるようになる。その土台ができてから、徐々にクーポンの割引率を下げたり、クーポン以外の集客チャネルを育てていく。
「販促=値引き」という思い込みを捨てるだけで、経営はガラッと変わります。私自身、市役所を7年で辞めて独立し、最初は仕事ゼロ・全財産が底をつく状況を経験しました。そこから這い上がれたのも、「価値の伝え方」を徹底的に学んで実践したからです。お笑い芸人時代に叩き込まれた「いかに短い言葉で、相手の心を動かすか」という技術が、経営に直結した瞬間でもありました。
「100の知識より1つの実践」です。今日できる一歩から、始めてみてください。
繁盛店が実際に何をやっているか、もう少し具体的に知りたい方は、こちらの書籍(先着・無料)も参考にしてみてください。
また、価値訴求の仕組みづくりを本格的に取り組みたいという方は、ぜひ以下からご覧ください。月商・客単価・リピート率の改善を実践している全国の飲食店・美容室オーナーと一緒に学べる場をご用意しています。お気軽にのぞいてみてください。