7.羅針盤なき航海は遭難する。利益を生み出す経営の正しい順序とは?

もし、あなたが無人島にたった一人で取り残されたとしたら、まず何をしますか?

やみくもに歩き回って食料を探しますか?
それとも、まずは安全な寝床を確保しますか?
あるいは、遠くの船に気づいてもらうために、狼煙(のろし)を上げる準備をしますか?

生き残るためには、これらすべてが重要です。しかし、最も重要なのは、それらを「正しい順序」で行うことです。

経営も、これと全く同じです。

集客、商品開発、人材育成、資金繰り…。やるべきことは山ほどあります。しかし、それらを間違った順序で行ってしまえば、あなたの努力は水泡に帰し、経営という名の船は、あっという間に遭難してしまうでしょう。

前回の記事では、多くの経営者が「間違った努力」に陥ってしまう罠についてお話ししました。今回は、その罠から抜け出し、あなたの経営を成功へと導く、唯一無二の「正しい経営の羅針盤」について、その核心をお伝えします。

ほとんどの経営者が間違える「利益を生み出す順序」

「売上が足りない…。よし、まずは新規のお客様を集めよう!」

これは、多くの経営者が、ごく自然に、そして、あまりにも簡単に下してしまう、最も危険な意思決定です。

なぜなら、新規集客は、経営において最もコストと労力がかかる活動だからです。

考えてみてください。

  • あなたのお店を全く知らない人に、まず存在を知ってもらう。
  • 数ある競合の中から、あなたのお店に興味を持ってもらう。
  • そして、実際にお金を払って、来店してもらう。

このプロセスには、多大な広告費と、膨大な時間、そして、精神的なエネルギーが必要です。

それなのに、多くのお店は、この最も困難な活動から経営改善をスタートさせようとして、早々に力尽きてしまうのです。

利益倍増の羅針盤:繁盛店だけが知っている「黄金の3ステップ」

では、着実に利益を伸ばし続けている繁盛店は、一体どのような順序で経営を行っているのでしょうか?

彼らが無意識的、あるいは意識的に実践しているのが、これからお伝えする「利益倍増の黄金の3ステップ」です。

これは、15年間で1,000店舗以上の経営をV字回復させてきた、私たちの経験から導き出された、再現性の高い「成功法則」でもあります。

ステップ1:店内販促(客単価UP)

まず、最初に取り組むべきは、新規客を集めることではありません。
今、目の前にいるお客様に、いかにして「もう一品」買ってもらうか、です。

  • 「ご一緒に、ポテトはいかがですか?」マクドナルドが実践する、このシンプルな一言(クロスセル)が、どれほどの利益を生み出しているか、想像できますか?
  • 「こちらのコースは、通常より2,000円高いですが、最高級の食材を使用しており、本日一番のおすすめです」この一言(アップセル)が、お客様の満足度と、あなたのお店の利益を、同時に引き上げます。

すでに来店してくれているお客様は、あなたのお店に対して、最も「財布の紐が緩んでいる」状態です。この絶好の機会を逃さず、客単価を上げるための工夫を凝らすこと。それが、最も簡単で、最も即効性のある利益改善策なのです。

ステップ2:再来店対策(リピート率UP)

客単価を上げる仕組みが整ったら、次に取り組むべきは、一度来てくれたお客様に、いかにして「もう一度」来てもらうか、です。

前回の記事でも触れましたが、新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍かかります。つまり、リピーターを一人増やすことは、新規客を5人集めるのと同じ、あるいはそれ以上の価値があるのです。

  • 次回の来店時に使える、特別なクーポン券を手渡す。
  • お客様の誕生日や記念日に、お祝いのメッセージを送る。
  • LINEやメルマガで、定期的に、お店の最新情報やお得な情報を届ける。

お客様が、あなたのお店を「忘れる前」に、次の接点を作る。この地道な活動が、あなたのお店に安定した収益をもたらす、強固な土台となります。

ステップ3:新規客対策(集客)

そして、客単価が上がり、リピーターが安定的に来店してくれる仕組みができた後、満を持して、最後に取り組むのが「新規集客」です。

この段階まで来ると、あなたの経営は、以前とは比べ物にならないほど、強固なものになっています。

  • リピーターからの安定した収益があるため、精神的な余裕を持って、新規集客に取り組むことができます。
  • 客単価が上がっているため、一人あたりの新規顧客獲得に、より多くの広告費を投下することができます。
  • そして何より、一度来店してくれさえすれば、お客様を「リピーター」へと転換させる、強力な仕組みが、すでにあなたのお店には備わっているのです。

順序が、すべてを決める

「店内販促」→「再来店対策」→「新規客対策」

この順序こそが、あなたの経営を、利益なき繁忙地獄から救い出し、持続的な成長軌道に乗せるための、唯一の「正しい羅針盤」です。

もし、あなたが今、この順序を無視して、いきなり「新規集客」という名の荒波に漕ぎ出そうとしているのなら、今すぐ、その危険な航海を中止してください。

まずは、あなたのお店の「店内」に眠っている、莫大な宝の山を掘り起こすことから始めるのです。

次の記事では、この黄金のステップの第一歩である、「客単価アップ」を、お客様に感謝されながら、いとも簡単に実現してしまう、具体的な方法についてお伝えします。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。