「デザートのご案内をしたいけど、押し売りみたいで嫌がられそう……」
お客様のテーブルに近づきながら、そう感じて声をかけるのをためらった経験はありませんか。
飲食店の現場でよくある話なんですよね。料理には自信がある。でも「もう一品」「もう一杯」を勧めるのがどうも苦手、という。
実はこれ、スタッフの話す内容の問題ではなく、フレーズの設計の問題なんです。言葉の選び方を少し変えるだけで、お客様は「ありがとう、じゃあそれで」と笑顔で答えてくれるようになります。
この記事では、静岡市清水区を拠点に21年・累計1,000店舗以上の飲食店支援を行ってきた中小企業診断士・ハワードジョイマンが、押し売りに見えない客単価アップの接客フレーズを9つ、具体的にご紹介します。
📋 この記事でわかること
- なぜ「勧めることへの罪悪感」が生まれるのか、その構造
- お客様が自然に「選んでくれる」フレーズの設計原則
- 今日から使える9つの具体的な接客フレーズ
- フレーズを定着させる仕組みの作り方
こんな方におすすめ
- ✅ お客様への追加提案が「申し訳なく」感じてしまう飲食店オーナーの方
- ✅ スタッフに客単価アップの接客を教えたいが、何を言えばいいか分からない方
- ✅ 値引きに頼らず売上を上げたいと思っている方
- ✅ お客様との会話を通じて自然にリピーターを増やしたい方
- ✅ 月商の壁を突破するヒントを探している飲食店経営者の方

「押し売り」に感じるのは、フレーズが「売る側目線」だから
まず、なぜ接客が押し売りっぽく見えてしまうのかを整理しておきましょう。
一言で言うと、「お店側が売りたいから言っている」という空気がにじみ出てしまっているからなんです。
たとえば「デザートはいかがですか?」という言葉。悪くはないんですが、これはお店目線の言葉なんですよね。お客様の体験・気持ちが一切入っていない。
一方、「さっき炭火焼きを召し上がったので、〆に口の中をさっぱりさせる自家製シャーベットがよく合うんですよ」という言葉はどうでしょう。お客様が今どういう状態にあって、何が喜ばれるか、という視点から話しかけていますよね。
これが「お客様目線のフレーズ」です。売ろうとしていない。ただ、お客様の体験をよりよくしようとしている。だから押し売りに感じない。
ここを理解してから、9つのフレーズを見ていってください。ぐっと使いやすくなるはずです。
今日から使える、押し売りに見えない9つのフレーズ
それでは具体的に見ていきましょう。シーン別に分けてあります。
チェックポイント①:オーダー時の「先読み提案」
フレーズ例:「このお料理、少しボリュームがあるので、よろしければサラダと一緒にどうぞ。さっぱりしますよ」
✅ ポイント:「あなたのために考えました」感が出るのがポイント。いきなりメニューを指さすより、相手の食体験を先読みして話しかけると警戒心が下がります。
チェックポイント②:飲み物の「お代わりタイミング」フレーズ
フレーズ例:「グラス、もう少しで空になりますが、同じものをお持ちしましょうか?それとも今日は違うものを試してみますか?」
✅ ポイント:「同じもの or 違うもの」の二択にすることで、「飲むか飲まないか」という選択肢を消している。松竹梅の法則と同じ発想です。どちらを選んでもお代わりが来るので、追加注文の確率が上がります。
チェックポイント③:常連さんへの「新メニュー案内」フレーズ
フレーズ例:「〇〇さん、先週来てくれたお客様がこれを頼んだら、すごく喜んでくれたんです。〇〇さんの好みに合いそうで、気になってて」
✅ ポイント:これが「第三者経由の提案」です。「私が売りたい」ではなく「他のお客様が喜んだ」という情報として届ける。日本昔話のように「あるところに〜」という語り口にすることで、不思議と押し売り感がゼロになります。
チェックポイント④:〆の一品を自然に案内するフレーズ
フレーズ例:「お食事の締めに、今日は〇〇を用意しているんですが、少量なのでよろしければ今のうちにお取りしておきますね」
✅ ポイント:「限定感・希少感」が人を動かします。「少量」「今日だけ」「今のうちに」という言葉が入るだけで、お客様が「じゃあ頼もうか」と判断しやすくなります。
チェックポイント⑤:コースアップの案内フレーズ
フレーズ例:「本日は記念日とのことで、よろしければ+1,500円で松コースにできます。前菜とデザートが追加になるので、特別な日にちょうど良いかなと思いまして」
✅ ポイント:「特別な日」「記念日」「ちょうど良い」など、お客様の状況に寄り添う言葉を使う。値段を言う前に「何が増えるか」を先に伝えるのが鉄則です。
チェックポイント⑥:季節・旬を使ったフレーズ
フレーズ例:「この時期だけ入る食材で、今週が最後になりそうで。良かったら一度試してみてください」
✅ ポイント:旬や季節の限定性は、それ自体が価値になります。「今しかない」という言葉に弱い人は多い。無理に売り込まなくても、事実を伝えるだけで注文が入ります。
チェックポイント⑦:スタッフが「実際に食べた」フレーズ
フレーズ例:「私も賄いで食べたんですが、正直これが今月一番おいしかったです(笑)」
✅ ポイント:スタッフの個人的な感想・体験談は、広告コピーよりはるかに信頼される。「笑顔」と「(笑)の雰囲気」で会話がなごやかになり、お客様も頼みやすくなります。
チェックポイント⑧:帰り際の「次回への橋渡し」フレーズ
フレーズ例:「来月、新しいメニューが入る予定なんですよ。良かったらまた来てください。取っておきますね」
✅ ポイント:これは直接的な単価アップではなく、「次回来店を約束させるフレーズ」です。リピートが増えれば月の売上は自然と上がります。客単価アップと再来店率アップはセットで考えるのがポイント。
チェックポイント⑨:「選んでもらう」設計フレーズ(松竹梅)
フレーズ例:「鮮魚の盛り合わせ、3種・5種・8種からお選びいただけます。おひとりでゆっくりなら3種、テーブルでシェアなら5種が人気ですよ」
✅ ポイント:何も言わなければ「頼むか頼まないか」という判断になる。でも「3種・5種・8種どれにするか」という問い方にすると、「頼む前提」で選んでもらえる。これが松竹梅の法則の力です。
✓ ここまでのポイント
- 押し売りに見える原因は「売る側目線の言葉」にある。お客様の体験・状況に寄り添う言葉に変えるだけで印象が変わる
- 第三者経由・限定感・スタッフの体験談など、フレーズには設計の「型」がある
- 松竹梅の法則で「頼む前提」の選択肢を設計することで、追加注文が増える
「お客様に値引きせずに喜んでもらえるのが一番の接客です。価値を伝えれば、値段は後からついてきます」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント・中小企業診断士)
フレーズを現場に定着させる「仕組み」の作り方
9つのフレーズを紹介しましたが、「わかった、でもスタッフが使ってくれるか……」という心配もあると思います。
これ、よく聞く悩みです。知識として持っていても、現場で動かなければ意味がない。ここが難しいんですよね。
そこで、フレーズを現場に落とし込む方法をお伝えします。
❌ よくあるパターン:「朝礼で一回説明して終わり」
- その日は実践するが、3日後には元に戻る
- スタッフごとに言い方がバラバラになる
- 「どう言えばいいか分からない」という不安から動けないスタッフが出る
✅ 推奨アプローチ:「紙一枚のフレーズシート+10分ロープレ」
- シーン別フレーズを一枚にまとめてラミネート、バックヤードに貼る
- 週に1回、10分だけ二人組でロールプレイング練習を行う
- うまく言えたスタッフをその場で褒める(成功体験の積み重ね)
ま、要はフレーズを「暗記」させるのではなく、自分の言葉として使えるまで練習する場を作るということです。スタッフは「こういうとき何を言えばいいか分からない」から動けないだけで、答えを渡してあげれば動ける。
「ありがとう」と言われた実際の声
「チラシとGoogle広告を始めて新規客が増えたのはもちろんですが、一番驚いたのはスタッフの接客が変わったことで客単価が1,400円上がったことです。言葉の使い方を変えるだけで売上って変わるんですね」
居酒屋オーナー(月商350万円→620万円達成・6ヶ月)
「値上げすると怒られると思っていたんですが、価値を伝える言葉を覚えてから、むしろ『いいですね、それで』と言われることが増えました。LINE集客とあわせてリピート率も38%から71%になりました」
美容室オーナー(2店舗経営・月商1.6倍達成)
まとめ:接客フレーズは「技術」、だから練習すれば必ず上達する
今回ご紹介した9つのフレーズ、いかがでしたか。
押し売りになるかどうかは、言葉の内容より「誰のための言葉か」で決まります。お客様の体験を豊かにしようとする言葉は、押し売りにはなりません。
ぜひ今日から一つだけ使ってみてください。「100の知識より1つの実践」というのが私たちのスタンスです。
そして、接客フレーズだけでなく、店内POP・メニュー表・LINE配信・SNSなど、お店のあらゆる接点で「価値を伝える仕組み」を整えていくと、客単価は自然に上がっていきます。
「うちの料理は本当においしいのに、なぜかお客様が増えない」「売上が伸び悩んでいる」という方は、ぜひ一度、繁盛店が実践している仕組みをのぞいてみてください。
静岡市清水区を拠点に、北海道から沖縄、海外在住の経営者まで497店舗の飲食店・美容室・小売店をサポートしている増益繁盛クラブでは、今回のような接客フレーズの作り方から、集客の仕組み化・利益の逆算経営まで、すべてをゼロから学べる環境をご用意しています。
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どんな小さなご相談でも歓迎しています。一緒に考えていきましょう。