忙しいのに利益が残らない飲食店オーナーが、見落としている数字の話
月末に通帳を見るたびに「あれ、今月もこれだけ?」と思ったことはありませんか。
仕込みに朝5時から立って、ランチもディナーも席を埋めて、スタッフにも気を使って。どう考えても「働いている」のに、手元に残るお金が増えない。むしろ食材費と光熱費と人件費が少しずつ削ってきて、気づいたら利益がほぼゼロ……というオーナーさんに、今日はちょっと正直な話をしたいと思います。
こんにちは、静岡県清水区を拠点に飲食店・美容室・小売店の経営サポートをしているハワードジョイマンです。
私が生まれ育ったのはここ清水。子どもの頃から父が営む駐車場の受付に立って、「売上」と「手元に残るお金」がまったく別物だということは体で覚えました。いまも仕事の合間に三保松原や日本平を眺めたり、思い出の中華「百一番」のあった清水駅周辺を歩いたりしながら、あの頃の感覚を大切にしています。
そして21年間、1,000店舗以上の飲食店オーナーさんと一緒に仕事をしてきて、ひとつ確信していることがあります。「忙しいのに儲からない」店には、必ずと言っていいほど共通の「数字の見落とし」があるということです。
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は上がっているのに手元にお金が残らないと感じている飲食店オーナー
- ✅ 食材費・人件費・光熱費の上昇で利益が圧迫されている方
- ✅ 月商の壁(300万・500万・600万円)をなかなか突破できない方
- ✅ 月末になって「あ、足りない」と気づいてから割引クーポンを出している方
- ✅ 売上重視から「利益重視」の経営に切り替えたいと思っている方

「売上は順調なのに利益がない」は、数字の読む順番が逆になっているサイン
まず聞いてみたいんですが、今月の「目標」って何ですか?
多くの飲食店オーナーさんに聞くと、「月商○○万円」という答えが返ってきます。売上目標を立てて、そこに向かって走る。それ自体は悪くないんですが、問題は「売上が達成できれば利益が出る」という思い込みのまま動いているケースが多いこと。
実際はそうじゃないんですよね。
たとえば月商500万円を達成しても、食材費が35%(175万円)、人件費が35%(175万円)、家賃・光熱費・消耗品で15%(75万円)取られたら、手元には75万円しか残らない。そこから借入返済や設備メンテがあれば、さらに消えていく。
「がんばったのに、なんか薄い」という感覚の正体は、だいたいここにあります。
私がいつも会員さんにお伝えしているのは、「売上から考えるな、利益から逆算しろ」ということ。まず「今月、自分はいくら手元に残したいか」を決める。その額を出すために必要な売上・客数・客単価を計算する。この順番に変えるだけで、数字の見え方がまったく変わってきます。
清水の老舗に学んだ「原価計算」の意外な盲点
少し脱線するようですが、ちょっとした話をさせてください。
清水駅周辺には昔から地元に愛されてきた飲食店がいくつもあります。私が子どもの頃から馴染みのある店も、長年にわたって地域の常連客に支持され続けてきた。でも経営的に見ると、そういう「愛されているお店」ほど、原価管理を感覚でやっていることが多いんです。
「このメニューはうちの看板だから、多少原価が高くてもいい」という判断自体は間違いじゃない。でも問題は、「多少高い」がどれくらいかを把握していないまま続けているケースです。
原価率が30%のつもりだったメニューが、仕入れ値の上昇で実は38%になっていた——なんてことは珍しくありません。月商500万円で原価率が8ポイント上がれば、それだけで40万円の利益が消えます。
「原価計算は面倒くさい」という声はよく聞きます。でもいまはAIやシミュレーターツールを使えば、ひと手間かけるだけで毎月の原価率の変化が見える化できます。「感覚で管理していた」を「数字で確認できる」状態に変えることが、最初の一歩です。
✓ ここまでのポイント
- 「売上目標」ではなく「利益目標」から逆算して客数・単価を設定する
- 原価率は「なんとなく」ではなく、仕入れ値の変動に合わせて定期的に見直す
- 月商が高くても原価・人件費・固定費の構造を整えないと利益は出ない
「月末に慌てる」のをやめる——年間販促カレンダーという考え方
もうひとつ、よく見かけるパターンを紹介します。
月の中頃に「今月、売上が足りないな」と気づいて、慌てて割引クーポンをSNSに投稿する。それで多少お客さんが来るけど、値引きしているから利益は薄い。翌月も同じことを繰り返す——このループ、心当たりはありませんか?
これ、後手後手の経営の典型なんですよ。
たとえば毎年8月は客足が落ちやすい、12月は忘年会で伸びやすい、3月は送別会需要がある——こういう「季節の波」は、1年以上営業していれば必ず見えているはずです。なのにそのデータを「来年の計画」に変換できていないケースが本当に多い。
解決策はシンプルで、年間の販促カレンダーを先に作ることです。「何月に何をする」が決まっていれば、慌てて値引きする必要がない。それどころか、繁忙期に向けてメニュー開発や告知を前倒しで進められる。
最近はAIを使えば、損益シミュレーション・月別の集客施策・期間限定メニューの案出しまで、半日で1年分の計画の骨格が作れるようになっています。私も実際に使っていますが、「こんなに早くできるの?」と感じる方がほとんどです。
「チラシとGoogle広告を組み合わせたら、6ヶ月で月商が350万円から620万円になりました。客単価も1,400円上がって、働く量はほぼ変わっていないのに、手元に残るお金が全然違います。」
居酒屋オーナー(40代・男性)
「客単価1,000円上げる」と利益はどう変わるか——数字で見てみよう
ここで少し、具体的な数字の話をします。
1日の来客数が50人のお店があるとして、客単価を1,000円上げたとします。1日で5万円、月25日営業なら125万円の売上増加。原価率が30%だとすれば、増加した売上に対する粗利は約87万円です。
人件費も家賃も光熱費も、ほとんど変わらない。なのに手元に残る利益が月87万円増える。
「客単価を上げる」と聞くと、「値上げしたらお客さんが来なくなる」という不安が先に来る方が多いんですが、実際に試した会員さんたちのほとんどが「思ったより反応は穏やかだった」と言います。大切なのは「値上げ」という事実ではなく、価値が伝わっているかどうかです。
POP一枚で「この食材がどこ産か・なぜこだわっているか」が伝われば、同じ料理でも「高い」ではなく「この値段なら納得」に変わります。メニュー名ひとつ変えるだけで、注文率が劇的に変わることも珍しくありません。「牛丼500円」ではなく「すき焼き丼2,000円」として出す——これ、同じ食材で5倍の単価が成立する実例です。
「POPとSNS訴求を統一して、AIで販促文を作るようにしたら、客単価が1.8倍になりました。月商1,100万円を達成できたときは、正直信じられなかったです。」
アパレル小売店オーナー(50代・女性)
まとめ——「忙しい」は美徳じゃない、「利益が残る」が正解
今日お伝えしたかったのは、3つのことです。
ひとつ目、利益目標から逆算して売上・客数・客単価を決める。売上ありきで走るのをやめる。
ふたつ目、原価率を感覚ではなく数字で管理する。仕入れ値が上がった月に気づけるかどうかが、利益の差になる。
みっつ目、月末に慌てる前に、1年分の販促計画を先に作る。後手後手の値引き集客から抜け出す。
どれも「画期的な新しい手法」ではありません。でも「知っている」と「実際にやっている」の間には、月に何十万円もの差がある。私が市役所に在職しながら6年かけて中小企業診断士を取って、それでも独立直後に全財産が底をついた経験から言えることですが、知識は実践して初めて意味を持ちます。
「100の知識より1つの実践」——これ、私が21年間ずっと大切にしている言葉です。
もし「自分のお店の数字、ちゃんと把握できているかどうかわからない」「利益が残る構造に変えたい」と思っているなら、ぜひ下記からのぞいてみてください。繁盛しているお店が実際に何をやっているか、包み隠さずお伝えしています。
また、飲食店の利益構造を根本から変えたい方・仲間と一緒に経営を学んでいきたい方には、こちらもどうぞ。
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