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客数は増えているのになぜか儲からない? 小さなお店が見落とす「利益倍増」の3つの鉄則

はじめに

「お店に来るお客様の数は増えているはずなのに、月末に支払いなどを終えると、なぜか手元にお金が全く残っていない…」 多くの店舗経営者が抱えるこの深刻な悩み。あなたも身に覚えはありませんか? 一生懸命働いているのに利益が出ないのは、実は「やり方」に根本的な原因が隠されているからです。 この記事では、その原因を解き明かし、目先の客数に惑わされず、着実に利益を倍増させるための本質的な3つの鉄則を解説します。

1. 鉄則1:危険な「過度な割引」の罠から抜け出す

もちろん、商品を割引して販売すること自体を全否定するわけではありません。儲かる仕組みを構築した上での、計画的な割引販売は有効な戦略となり得ます。しかし問題なのは、「周りのお店がやっているから」という理由だけで、無計画な値下げに踏み切ってしまうことです。

割引販売は、一見すると効果的な集客手段に見えます。確かに一時的に来店客数は増えるかもしれません。しかしその裏では、売上の伸び以上に一人当たりの利益が減少し、客数が増えた分だけ仕入れ費用や人件費は増加します。結果として、「忙しいだけで全く儲からない」という最悪の構造に陥ってしまうのです。

さらに、割引によって集まるお客様は「割引があったから来店しただけ」の層が中心です。彼らは定価では商品を購入してくれないため、お店の長期的なファンになることはありません。割引期間が終わると同時に、客足がぱったりと途絶えてしまうのはこのためです。

このように「小さい規模のお店が、一番やってはいけないやり方」で、他のお店と不毛な価格競争をしています。

この「割引目当ての顧客」に頼る経営こそが、次の鉄則で解説する「穴のあいたバケツ」問題の根本原因なのです。

2. 鉄則2:成功への道筋は「正しい順番」で決まる

「やるべきことが多すぎて、何から手をつければいいか分からない」。これもまた、多くの経営者が直面する壁です。売上と利益を同時に、そして着実に伸ばしていくためには、施策に取り組む「正しい順番」が何よりも重要です。この順番を間違えると、たとえ売上が伸びたとしても、いつまで経ってもお店にお金が残らないという状況から抜け出せません。

繁盛店への道筋は、以下の3つのステップで構成されます。

ステップ1:最初に手を付けるべきは「店内販促による利益率改善」

多くの人が新規集客やリピート対策を優先しがちですが、まず最初に行うべきは、安易な割引に頼らず**「商品の魅力(価値)を伝える表現力を改善する」**ことです。これこそが本質的な客単価対策、つまり利益率の改善につながります。例えば、商品の価値を伝える手書きPOPの工夫や、高利益率商品をお勧めするメニューブックの改善などがこれにあたります。

なぜなら、どんなに来店客数を増やしても、お客様一人当たりの利益が確保できていなければ、お店にお金は絶対に残りません。客数が増えれば人手が必要になり、スタッフを増員すれば人件費が上がります。利益率が低いまま客数を増やすと、増えた売上がそのまま人件費に消えてしまうというジレンマに陥るのです。だからこそ、何よりも先に利益率を改善することが不可欠なのです。

ステップ2:次にやるべきは「再来店対策」

利益体質が改善されたら、次に取り組むのは新規集客ではなく、既存顧客の「再来店対策」です。 再来店対策を行わないまま新規集客に力を入れるのは、「穴のあいたバケツ」に水を注ぎ続けるようなものです。どんなに新しい水(新規顧客)を注ぎ込んでも、穴(顧客の流出)からどんどん漏れていってしまい、一向に水は溜まりません。集客コストが無駄になるだけです。

そもそも、お客様が再来店しない本当の理由は何だと思いますか?「お店が嫌いになったから」でも「値段が高いから」でもありません。多くの場合、答えはもっとシンプルで、「単に行く理由が無かったから」です。だからこそ、お店側から積極的にお客様に再来店のきっかけを提供する必要があるのです。

ステップ3:最後に取り組むのが「新規顧客の集客」

ステップ1で利益が出る仕組みを作り、ステップ2で顧客が離れないようにバケツの穴を塞ぐ。この2つの土台がしっかりとできて初めて、本格的な「新規顧客の集客」に乗り出すべきです。この順番を守ることで、集めた新規顧客が利益に直結し、さらにリピート客として定着してくれるようになります。これこそが、着実に繁盛店へと成長するための唯一の道筋です。

3. 鉄則3:あなたのお店は「2日で忘れられる」という事実を直視する

お客様がなぜ再来店しないのか、その心理的な理由をさらに深く考えてみましょう。

突然ですが、質問です。「あなたは、2日前の夕食に何を食べたか、すぐに思い出せますか?」 おそらく、意識して考えないと、すぐには思い出せないのではないでしょうか。

私たち人間の記憶力とは、実はその程度のものなのです。たった2日前のことでさえ、簡単に忘れてしまいます。あなた自身がそうなのですから、お客様があなたのお店のことをずっと覚えていると期待するのは、少し無理があるかもしれません。

特に今は、似たようなお店が溢れており、お客様は選びたい放題です。この「お客様は、あなたのお店のことを2日もすれば忘れてしまう」という厳しい事実こそが、お店側から積極的にお客様へアプローチする「再来店対策」が絶対に必要な、何より強力な根拠なのです。お客様が忘れてしまう前に、思い出してもらうための仕掛けを打つことが不可欠です。

まとめ:明日からあなたは何を変えますか?

この記事では、お店の利益を倍増させるための3つの鉄則をお伝えしました。

  1. 無計画な割引は利益を削り、経営を悪化させるだけであること。
  2. 成功には「利益率改善 → 再来店対策 → 新規集客」という正しい順番があること。
  3. お客様は驚くほど忘れやすい生き物であり、だからこそお店からのアプローチが不可欠であること。

重要なのは、目先の客数を追いかけることではありません。まず、しっかり利益の出る体質を作り、お客様との関係性を築く。その上で、新しいお客様を万全の態勢で迎える。この本質的な考え方が、持続的な繁盛店への道を切り拓きます。

つまり、目指すべきは**「顧客一人当たりの累計利益」を最大化する経営**です。取引の数ではなく、一人ひとりのお客様との長期的な関係性の中にこそ、真の利益が眠っているのです。

最後に、もう一度問いかけます。 あなたは今、穴のあいたバケツに水を注ぎ続けていませんか? それとも、まずその穴を塞ぐことから始めますか?

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ハワードジョイマン

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 ・繁盛店グループ総代表 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 独自の株式投資経験から株式投資メソッドを確立し、株式投資コミュニティ「株研」も運営する。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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