14.LTVを最大化せよ。お客様を「信者」に変える、リレーションシップ・マーケティング

あなたのお店にとって、最も「価値」のあるお客様は、誰だと思いますか?

  • 一番、高額な商品を、買ってくれるお客様?
  • 一番、頻繁に、来店してくれるお客様?
  • 一番、多くの、友人や知人を、紹介してくれるお客様?

どれも、正解です。しかし、これらは全て、ある一つの、非常に重要な「指標」に、集約することができます。

それが、「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」です。

LTVとは、一人の顧客が、その生涯にわたって、あなたのお店に、どれだけの「利益」をもたらしてくれるのか、を表す指標です。

そして、「増益繁盛メソッド」の3番目のエンジンである「再来店促進エンジン」の、唯一にして、絶対の目的は、このLTVを「最大化」することにあります。

これまでのエンジンで、あなたのお店の「収益性」と「客単価」は、すでに、極限まで高められています。次に行うべきは、その「一回限り」の利益を、いかにして、「長期的」かつ「安定的」な、利益の流れへと、変えていくか、です。

この記事では、お客様を、単なる「リピーター」から、あなたのお店を、心から愛し、自発的に応援してくれる「信者」へと、育て上げるための、究極の関係構築術、「リレーションシップ・マーケティング」の神髄について、お伝えします。

あなたは、お客様の「顔」と「名前」を、覚えていますか?

もし、あなたが、お客様のことを、単なる「売上」や「数字」としてしか、見ていないとしたら、お客様もまた、あなたのお店のことを、単なる「選択肢の一つ」としてしか、見てはくれないでしょう。

関係性は、常に「鏡」です。

あなたが、お客様に対して、無関心であれば、お客様もまた、あなたに対して、無関心になるのです。

リレーションシップ・マーケティングの第一歩。それは、お客様、一人ひとりを、「個」として認識し、記憶し、尊重することから、始まります。

  • 「〇〇様、こんにちは!先日は、ご来店ありがとうございました」
  • 「〇〇様、前回、お話しされていた、新しいプロジェクト、その後、いかがですか?」
  • 「〇〇様、確か、来週、お誕生日ですよね?少し早いですが、おめでとうございます!」

想像してみてください。もし、あなたが、行きつけのお店のスタッフから、このように、声をかけられたとしたら、どんな気持ちになるでしょうか?

きっと、驚きと共に、心が、じんわりと、温かくなるのを感じるはずです。「ああ、この人は、私のことを、覚えていてくれたんだ」と。

この、「パーソナルな承認」こそが、お客様の心を、他のどの店にも、決して、揺らぐことのない、強固な「絆」で、あなたのお店に、縛り付けるのです。

「でも、そんなに、たくさんのお客様の情報を、覚えておくなんて、不可能だよ…」

そう思ったかもしれません。しかし、心配は、いりません。現代には、その、あなたの「記憶力」を、無限に拡張してくれる、強力な「外部脳」が存在します。それが、「顧客管理システム(CRM)」です。

高価なシステムを、導入する必要はありません。シンプルなノートや、Excelのシートでも、十分に、その役割を、果たしてくれます。

重要なのは、ツールそのものではなく、お客様の情報を、大切に「記録」し、次の「おもてなし」に、活かそうとする、あなたの「姿勢」なのです。

お客様を「飽きさせない」ための、コミュニケーション戦略

どんなに、情熱的な恋愛関係も、時間が経つにつれて、その「ときめき」が、薄れていってしまうように。お客様との関係もまた、何もしなければ、いずれは「マンネリ化」し、終わりを迎えてしまいます。

お客様を、あなたのお店の「信者」として、繋ぎ止め続けるためには、彼らを「飽きさせない」ための、継続的な、そして、戦略的な、コミュニケーションが、不可欠です。

そのための、最も効果的な、3つのアプローチをご紹介します。

アプローチ1:サプライズと、特別扱い

人間は、「予期せぬ喜び(サプライズ)」と、「自分だけが、特別扱いされている」という感覚に、非常に、弱い生き物です。

  • 誕生日のサプライズ: 顧客情報に基づいて、お客様の誕生月に、特別なプレゼントや、割引クーポンを、送付します。
  • 常連様限定の「裏メニュー」: 「〇〇様は、いつも、ご利用いただいているので、本日、特別に、メニューには載っていない、こんなお料理も、ご用意できますが、いかがですか?」
  • 記念日の祝福: お客様の「初回利用日」を、記録しておき、「〇〇様、当店をご利用いただいて、本日で、ちょうど1年になります。ささやかですが、感謝の気持ちです」と、シャンパンを、1杯、サービスする。

これらの、「あなただけ」を、特別に想っている、というメッセージが、お客様の「自尊心」をくすぐり、あなたのお店に対する「忠誠心(ロイヤリティ)」を、劇的に、高めるのです。

アプローチ2:コミュニティへの、招待

人間は、「何かに、所属していたい」という、根源的な欲求を持っています。これを、「社会的欲求」と呼びます。

あなたのお店を、単に「モノを、売買する場所」から、「同じ価値観を持つ、仲間が集う、コミュニティ」へと、昇華させることができれば、お客様は、もはや、あなたのお店から、離れることはできなくなります。

  • 常連様だけが、参加できる、イベントの開催: 新商品の試食会、生産者を招いての、トークショー、あるいは、お客様同士の、交流を目的とした、パーティーなど。
  • お客様の「声」を、お店作りに、反映させる: 「今度、新しいメニューを、開発しようと思うのですが、〇〇様でしたら、どんなものが、食べてみたいですか?」と、意見を求める。そして、その意見が、実際に、商品化された時、お客様は、単なる「消費者」から、お店を、共に創る「当事者」へと、意識が、変わります。

アプローチ3:ストーリーの、共有

人は、「事実」や「データ」だけでは、動きません。人の心を、本当に、動かすのは、いつの時代も、感情を、揺さぶる「ストーリー」です。

あなたのお店の、成り立ちの物語。商品開発の、裏側に隠された、苦労話。スタッフ、一人ひとりの、仕事に対する、熱い想い…。

そうした、「血の通った」ストーリーを、ニュースレターや、SNS、あるいは、店内の掲示物などを通じて、お客様と、共有し続けるのです。

お客様は、そのストーリーに、自らの人生を、重ね合わせ、あなたのお店に対して、まるで、我が事のような「親近感」と「共感」を、抱くようになります。

LTVは、お客様との「絆」の、深さである

「再来店促進エンジン」の、最終的なゴール。

それは、お客様を、利益を、もたらしてくれる「数字」としてではなく、あなたのお店を、共に、支え、育ててくれる、かけがえのない「パートナー」として、お迎えすることです。

その、深く、そして、温かい「絆」こそが、あなたのお店を、どんな、時代の荒波にも、決して、揺らぐことのない、強固な「砦」へと、変えてくれるのです。

次の記事では、「増益繁盛メソッド」の4番目のエンジンである、「新規集客エンジン」について、お話しします。
しかし、もはや、あなたは、新規集客を、「狩り」のように、考える必要は、ありません。なぜなら、あなたのお店の「信者」たちが、あなたに代わって、新しい仲間を、連れてきてくれるからです。

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ハワードジョイマン

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 ・繁盛店グループ総代表 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 独自の株式投資経験から株式投資メソッドを確立し、株式投資コミュニティ「株研」も運営する。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。