割引集客の罠。クーポン目当てのお客さんが、あなたの店を潰す理由
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お客さんが来ないと悩んでいる経営者にとって、割引クーポンは、まるで魔法の道具のように魅力的に見えるかもしれません。確かに、クーポンを配れば、一時的にお客さんの数は増えるでしょう。お店が賑わっているのを見ると、経営者としては安心するものです。
しかし、その安心感と引き換えに、あなたは取り返しのつかない大きな損失を受けているとしたら…?
もし、あなたが「クーポンがないと、お客さんが来てくれない」と感じているなら、危険な状況です。あなたのお店は、すでに「割引集客の罠」に深くハマってしまっている可能性があります。
この記事では、なぜクーポン目当てのお客さんが、あなたのお店を潰してしまうのか、その恐ろしい仕組みを詳しく説明します。
理由1:お金を食い潰す「悪循環」
当然のことですが、割引をすれば、その分、あなたの手元に残るお金は減ります。
問題なのは、それが一時的なものではなく、「悪循環」の始まりだということです。
- お金が残らなくなる: 割引によって、お客さん一人あたりから得られるお金が減ります。
- お客さんの数を増やすしかなくなる: 減ったお金を補うために、さらに多くのお客さんを呼ばなければならなくなります。
- 出費が増える: お客さんが増えれば、材料費やスタッフの給料、電気代などの出費も増えます。
- さらにお金が残らなくなる: 結果として、忙しいだけで全く儲からない、という最悪の状況になります。
そして、一度この悪循環にハマると、抜け出すのは簡単ではありません。なぜなら、あなたは「割引をやめたら、お客さんが一人も来なくなってしまう」という恐怖に支配されてしまうからです。
理由2:「質の悪いお客さん」を引き寄せる法則
「似た者同士は集まる」と言いますが、これはビジネスでも本当です。
割引クーポンは、あなたのお店が本当に来てほしい「質の高いお客さん」ではなく、残念ながら「質の悪いお客さん」を引き寄せてしまいます。
- 値段にしか興味がない: クーポン目当てのお客さんは、あなたのお店の料理やサービスの良さを見ているわけではありません。彼らにとって大切なのは「いかに安く利用できるか」だけです。
- また来てくれない: 彼らは、あなたの店を好きになったわけではないので、クーポンがなくなれば、あっさりと他のお店に行ってしまいます。彼らはいつも、よりお得なクーポンを探し求める「クーポンハンター」なのです。
- 文句が多い: 驚くことに、割引しているにも関わらず、「サービスが悪い」「料理がまずい」といった文句を言ってくるのは、こうしたクーポン客であることが多いのです。彼らは「安くしてやっているのだから、これくらいは当然だ」という間違った考えを持っている場合があります。
結果として、あなたの店内は、お金をもたらさないばかりか、スタッフのやる気を下げ、お店の雰囲気を悪くするお客さんで溢れてしまうのです。
理由3:お店の価値の崩壊
あなたが、心を込めて作った料理やサービス。 あなたが、こだわって作り上げたお店の空間。
割引クーポンは、そうした目に見えない「価値」を、あなた自身の手で下げてしまう行為なのです。
「うちは、安くしないとお客さんが来ない程度の店です」
クーポンをたくさん出すことは、世の中に対して、そう言っているのと同じことなのです。
一度「安い店」というイメージがついてしまうと、そこから抜け出すのはとても大変です。
- 普通の値段で売れなくなる: お客さんは「この店は、待っていればまた安くなる」と覚えてしまい、普通の値段で商品やサービスを買ってくれなくなります。
- 本当に来てほしいお客さんが離れていく: 落ち着いた雰囲気で、質の高いサービスを求めているお客さんは、「安売りでうるさい店」を避けるようになります。
あなたは、目先のお客さんの数を追い求めるあまり、長期的に見て最も大切にすべき「お店の価値」と「良いお客さん」を、自分から手放してしまっているのです。
「クーポン地獄」から抜け出すために
もし、この記事を読んで、一つでも思い当たることがあったなら、今すぐ、その危険な魔法の道具を捨てる決断をしてください。
もちろん、すぐにクーポンを全てやめるのは怖いかもしれません。
しかし、勇気を持って、その一歩を踏み出さなければ、あなたのお店に未来はありません。
次の記事では、割引に頼らなくても、お客さんが「あなたのお店だから行きたい」と強く思うような、強いブランドを作るための具体的な方法についてお伝えします。
安売りからの脱却は、あなたのお店の価値を取り戻すための、大切な戦いなのです。