店舗経営において「年間販促計画」は、売上と利益を安定的に積み上げるための“設計図”です。
しかし、多くの経営者がこの計画を立てる際に、ある「落とし穴」にハマってしまいます。
ここでは、年間販促計画を立てるときに必ず押さえておきたい3つの注意点を紹介します。
注意点①:売上目標ではなく「利益目標」から逆算する
販促計画を立てるとき、まず最初に考えるべきは「売上」ではありません。
重要なのは、「どれだけの利益を残したいか」という視点です。
多くの経営者が「売上を1割アップしたい」と考えますが、
実際に店舗経営を安定させるのは利益率の設計です。
たとえば、
・人件費率を25%以内に抑えるには?
・原価率を数%改善するには?
・高利益メニューをどの時期に打ち出すか?
これらを年間を通じて設計することで、無理のない販促が可能になります。
販促は“イベント”ではなく、“利益を作るための設計”であることを忘れないようにしましょう。
注意点②:季節と顧客心理の変化を「前倒し」で読む
販促計画を立てる際の最大のポイントは、タイミング設計です。
たとえば、美容室なら「3月の卒業・入学」「12月のクリスマス・年末」。
飲食店なら「春の歓送迎会」「秋の味覚フェア」「年末忘年会」など、
季節ごとにお客様の“行動理由”が変わります。
ここで重要なのは、顧客心理の1か月前に仕掛けること。
「お客様が動くとき」に販促を始めるのでは遅いのです。
1か月前から興味を喚起し、予約・来店の流れをつくる。
この“前倒し戦略”が、計画的な売上増加の鍵となります。
注意点③:計画は「完璧に」より「柔軟に」
年間販促計画というと、「完璧に作らなければ」と思う方も多いでしょう。
しかし、実際の現場では天候・景気・トレンドなど、思わぬ変化が起こります。
そのため、修正しやすい計画を前提に作ることが重要です。
具体的には、
・毎月の販促テーマを「固定60%・流動40%」で構成する
・販促の効果を翌月に必ず検証し、次に活かす
・現場スタッフの意見を反映する“余白”を残す
このように「変化を前提にした計画」にすることで、
1年間を通じて確実に成果を積み上げていくことができます。
まとめ:販促は「計画の質」で9割決まる
年間販促計画とは、
“思いつき販促”から卒業し、“勝てる流れ”を作るための設計書です。
計画を立てている会社と、立てていない会社では、
1年後の売上も利益も、驚くほどの差が生まれます。
「どの季節に、誰に、何を、どう伝えるか」
──これを1年分、俯瞰して設計できるかどうかが、経営力の差です。
あなたのお店も、今年こそ「行き当たり販促」から脱却し、
利益を生み出す年間販促設計を始めてみませんか?