4.スタッフが次々辞めていく…その本当の理由、気づいていますか?

スタッフが次々辞めていく…その本当の理由、気づいていますか?

「最近の若い人は、我慢が足りない」
「せっかく育ててやったのに、裏切りやがって」

心を込めて育てたつもりのスタッフが、ある日突然、辞める書類を手にあなたの前に現れる。

その時、あなたは怒りや悲しさとともに、最初のような言葉を心の中でつぶやいてはいないでしょうか?

しかし、もしスタッフが辞めていくのが、彼らの「我慢不足」や「忠義心のなさ」だけが理由ではないとしたら…?

もし、その本当の原因が、経営者である「あなた自身」にあるとしたら、どうしますか?

この記事は、聞きたくない話かもしれません。しかし、もしあなたが本気で「人が辞めない、強いチーム」を作りたいと思うなら、目をそらさずに最後まで読んでいただきたい、大切なメッセージです。

あなたの「気づかない行動」が、スタッフの心を傷つけている

多くの経営者は、自分では良いことだと思ってやっている行動が、知らないうちにスタッフの心を傷つけ、辞めることへと追い込んでいることに気づいていません。

  • 「見て覚えろ」という名の教育放棄: あなたは、自分の働く姿を見せていれば、スタッフは勝手に育つと思っていませんか?しかし、具体的な指示やアドバイスがなければ、スタッフは何をどう頑張ればいいのか分からず、不安と無力感でいっぱいになるだけです。「忙しいから」という理由で、あなたはスタッフの成長のチャンスを奪ってはいないでしょうか?
  • バラバラな指示と朝令暮改: 「昨日はAと言っていたのに、今日はBと言っている…」そんな経験はありませんか?経営者の気まぐれな方針変更は、現場のスタッフを混乱させ、疲れさせます。彼らは「どうせまた変わるだろう」と考えるようになり、仕事への やる気と責任感を失っていくのです。
  • 漠然とした理想の押し付け:気が利く接客をしてとかおもてなしの心で接客してとあなたが思ってスタッフに行ったとしても、スタッフ自身が、これまでの人生の中で、「気が利く接客」を受けた経験がなかったとしたら、それを実際の接客でできることはありません。しかしながら、社長や店長が具体的な例示をせずに、理想論だけを語ったところで、お店は空回りするだけなのです。あなたは似たようなことをしてませんか?
  • 感謝と認めることの不足: スタッフが目標を達成した時、素晴らしい接客をした時、あなたは心からの「ありがとう」を伝えていますか?「給料を払っているのだから、やって当たり前」という態度は、スタッフの頑張りを価値のないものにしてしまいます。人は、お金のためだけに働くのではありません。自分の仕事が誰かの役に立っている、認められているという「認めてもらいたい気持ち」が満たされてこそ、心からのやりがいを感じるのです。
  • 未来を見せない経営: あなたは、スタッフに対して、お店の夢や将来の目標を語っていますか?どこに向かっているのか分からない船に、乗り続けたいと思う乗組員はいません。毎日の作業に追われるだけで、その先にどんな未来が待っているのかが見えなければ、スタッフが「この店で働き続ける意味はあるのだろうか?」と疑問に思うのは、当然のことなのです。

スタッフは「会社の未来」ではなく「自分の未来」を見ている

衝撃的な事実をお伝えします。

スタッフは、あなたのお店の未来や、会社の存続に、それほど興味はありません。

彼らが最も関心があるのは、「この店で働き続けることで、自分の未来はどうなるのか?」 という、とても個人的な問題です。

  • 成長できる環境か?: ここで働き続ければ、技術が上がるのか?人として成長できるのか?
  • ちゃんと評価されるか?: 自分の頑張りや成果は、きちんと評価され、給料や役職に反映されるのか?
  • 理想の生活を実現できるか?: 将来、家族を養い、プライベートを充実させるだけの時間的・経済的余裕は手に入るのか?

もし、これらの質問に対して、スタッフが「YES」と答えられないのであれば、彼らがより良い条件の職場を求めて去っていくのは、止められないでしょう。

それは、彼らが不誠実なのではなく、自分の人生に対して誠実であることの証なのです。

リーダーである、あなたの「責任」

スタッフが辞めていくのは、彼らの問題ではありません。

スタッフが「ここで働き続けたい」と思えるような環境を作り出せなかった、経営者である、あなたの責任です。

厳しい言葉に聞こえるかもしれません。しかし、この事実から目をそらしている限り、あなたのお店から人がいなくなることは、決して止まりません。

あなたは、スタッフの人生の一部を預かっているという、その重い責任を理解する必要があります。

  • あなたは、スタッフの未来に、どんな希望を見せてあげられますか?
  • あなたは、スタッフの成長のために、どんな投資ができますか?
  • あなたは、スタッフの幸せのために、どんな覚悟を持っていますか?

次の記事では、仕事に追われ、自分自身の人生や、本当に大切にすべきものを見失ってしまっている経営者の方へ、仕事とプライベートの両方を充実させるための新しい働き方について、提案します。

組織の問題は、リーダーシップの問題です。そして、そのリーダーシップの根源は、経営者であるあなた自身の「あり方」にあるのです。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

ハワードジョイマン

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 ・繁盛店グループ総代表 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 独自の株式投資経験から株式投資メソッドを確立し、株式投資コミュニティ「株研」も運営する。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。