3.割引集客の罠。クーポン目当てのお客さんが、あなたの店を潰す理由

割引集客の罠。クーポン目当てのお客さんが、あなたの店を潰す理由

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「このクーポン持参で1品サービス!」

お客さんが来ないと悩んでいる経営者にとって、割引クーポンは、まるで魔法の道具のように魅力的に見えるかもしれません。確かに、クーポンを配れば、一時的にお客さんの数は増えるでしょう。お店が賑わっているのを見ると、経営者としては安心するものです。

しかし、その安心感と引き換えに、あなたは取り返しのつかない大きな損失を受けているとしたら…?

もし、あなたが「クーポンがないと、お客さんが来てくれない」と感じているなら、危険な状況です。あなたのお店は、すでに「割引集客の罠」に深くハマってしまっている可能性があります。

この記事では、なぜクーポン目当てのお客さんが、あなたのお店を潰してしまうのか、その恐ろしい仕組みを詳しく説明します。

理由1:お金を食い潰す「悪循環」

当然のことですが、割引をすれば、その分、あなたの手元に残るお金は減ります。

問題なのは、それが一時的なものではなく、「悪循環」の始まりだということです。

  1. お金が残らなくなる: 割引によって、お客さん一人あたりから得られるお金が減ります。
  2. お客さんの数を増やすしかなくなる: 減ったお金を補うために、さらに多くのお客さんを呼ばなければならなくなります。
  3. 出費が増える: お客さんが増えれば、材料費やスタッフの給料、電気代などの出費も増えます。
  4. さらにお金が残らなくなる: 結果として、忙しいだけで全く儲からない、という最悪の状況になります。

そして、一度この悪循環にハマると、抜け出すのは簡単ではありません。なぜなら、あなたは「割引をやめたら、お客さんが一人も来なくなってしまう」という恐怖に支配されてしまうからです。

理由2:「質の悪いお客さん」を引き寄せる法則

「似た者同士は集まる」と言いますが、これはビジネスでも本当です。

割引クーポンは、あなたのお店が本当に来てほしい「質の高いお客さん」ではなく、残念ながら「質の悪いお客さん」を引き寄せてしまいます。

  • 値段にしか興味がない: クーポン目当てのお客さんは、あなたのお店の料理やサービスの良さを見ているわけではありません。彼らにとって大切なのは「いかに安く利用できるか」だけです。
  • また来てくれない: 彼らは、あなたの店を好きになったわけではないので、クーポンがなくなれば、あっさりと他のお店に行ってしまいます。彼らはいつも、よりお得なクーポンを探し求める「クーポンハンター」なのです。
  • 文句が多い: 驚くことに、割引しているにも関わらず、「サービスが悪い」「料理がまずい」といった文句を言ってくるのは、こうしたクーポン客であることが多いのです。彼らは「安くしてやっているのだから、これくらいは当然だ」という間違った考えを持っている場合があります。

結果として、あなたの店内は、お金をもたらさないばかりか、スタッフのやる気を下げ、お店の雰囲気を悪くするお客さんで溢れてしまうのです。

理由3:お店の価値の崩壊

あなたが、心を込めて作った料理やサービス。 あなたが、こだわって作り上げたお店の空間。

割引クーポンは、そうした目に見えない「価値」を、あなた自身の手で下げてしまう行為なのです。

「うちは、安くしないとお客さんが来ない程度の店です」

クーポンをたくさん出すことは、世の中に対して、そう言っているのと同じことなのです。

一度「安い店」というイメージがついてしまうと、そこから抜け出すのはとても大変です。

  • 普通の値段で売れなくなる: お客さんは「この店は、待っていればまた安くなる」と覚えてしまい、普通の値段で商品やサービスを買ってくれなくなります。
  • 本当に来てほしいお客さんが離れていく: 落ち着いた雰囲気で、質の高いサービスを求めているお客さんは、「安売りでうるさい店」を避けるようになります。

あなたは、目先のお客さんの数を追い求めるあまり、長期的に見て最も大切にすべき「お店の価値」と「良いお客さん」を、自分から手放してしまっているのです。

「クーポン地獄」から抜け出すために

もし、この記事を読んで、一つでも思い当たることがあったなら、今すぐ、その危険な魔法の道具を捨てる決断をしてください。

もちろん、すぐにクーポンを全てやめるのは怖いかもしれません。

しかし、勇気を持って、その一歩を踏み出さなければ、あなたのお店に未来はありません。

次の記事では、割引に頼らなくても、お客さんが「あなたのお店だから行きたい」と強く思うような、強いブランドを作るための具体的な方法についてお伝えします。

安売りからの脱却は、あなたのお店の価値を取り戻すための、大切な戦いなのです。

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ハワードジョイマン

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント 中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345) 絵本作家(構想・シナリオ担当) ・有限会社繁盛店研究所 取締役 ・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役 ・株式会社日本中央投資会 代表取締役 ・繁盛店グループ総代表 1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区) 自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。 大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。 市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。 取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。 お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。 こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。 発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。 会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。 コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。 独自の株式投資経験から株式投資メソッドを確立し、株式投資コミュニティ「株研」も運営する。 どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。