個人小売店の経営者に聞いた調査(中小企業庁「商業統計」関連資料)では、在庫の中で半年以上動いていないいわゆる「死に筋商品」が全SKUの3割前後を占めるケースが珍しくないとされています。3割というと、棚の3分の1が利益を生まずに場所を取っている計算です。しかも怖いのは、それが「なんとなく置き続けている」だけで、経営者本人がその重さに気づいていないことが多い点です。
売上をもっと伸ばしたい、利益を残したい——多くの経営者が同じ気持ちを抱えていますが、何から手をつければいいのかが分からず、結局その月をなんとか乗り切ることに追われてしまいます。私がこれまで出会ってきた小売店の経営者の方も、ほとんどがここから始まっていました。
今回は「死に筋商品を減らす」というテーマから入りますが、本質は売上を意図的に作れる仕組みに変えることです。客数・客単価・来店頻度の3系統で売上を分解しながら、発注の見直し手順を一緒に整理していきましょう。
📋 この記事でわかること
- 死に筋商品が生まれる構造と、売上・利益への具体的な影響
- 売上データの正しい読み方と、どの数字を見ればいいかの判断基準
- 発注を見直す4ステップの手順と、よくある失敗パターン
- 棚を整理した後に客単価と来店頻度を上げるための次の打ち手
こんな方におすすめ
- ✅ 在庫が増え続けているのに手元にお金が残らないと感じている方
- ✅ 売れている商品と売れていない商品の区別がなんとなくでしかできていない方
- ✅ 発注を感覚や仕入れ担当者の勘に頼っていて、根拠が薄いと気になっている方
- ✅ 棚の整理はしたいけれど、何を残して何を切ればいいか基準がない方
- ✅ 売上は横ばいなのに、客単価や粗利率を改善して利益を増やしたい方

死に筋商品が増える本当の理由
「売れると思って仕入れた」「問屋にすすめられた」「去年は動いたから今年も」——死に筋商品の多くは、こういう経緯で棚に並びます。悪意はない。ただ、データではなく感覚で仕入れが動いているのが根本の原因です。
売上が伸びない小売店の棚を見ると、構造的な問題が3つ重なっていることがほとんどです。
- ①棚の回転が遅い商品が「目立つ場所」を占領している
よく売れる商品が端に追いやられ、動かない商品が正面に並んでいるケース。見た目で仕入れた商品が陳列優先になる。 - ②原価率や粗利率を商品ごとに把握していない
「売れている」と思っていた商品が、実は粗利が薄く利益に貢献していなかった、というのはよくある話です。 - ③発注量が「前回と同じ」になっている
前月・前期の実績をそのままスライドする発注は、季節変動や顧客層の変化を無視したまま在庫を積み上げます。
「死に筋を切ることは、仕入れを減らすことではなく、売れる商品に投資する資金と棚を取り戻すことです。怖いのは整理することではなく、放置し続けることだと思っています」
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「粗利額で並べると何が変わるのか、自分の店で試してみたい」という気持ちが出てきた方に、次の一手があります。繁盛店ポータルに無料登録すると、ハワードジョイマンのメソッドを搭載したAIに「うちの棚の整理、何から始めればいいか」と直接相談できます。メール登録のみ、1分で完了します。
売上データの読み方——見るべき数字はたった3つ
「データを見る」と聞くと身構える方がいますが、個人小売店で必要なのはシンプルな3つの切り口です。POSレジや販売管理ソフトがなくても、エクセルや手書きの売上帳でも十分です。
チェックポイント1:商品ごとの「販売点数×粗利額」を並べる
まず、直近3か月の商品別販売点数と粗利額(売価-仕入原価)を一覧にします。売上金額だけを見ると「高い商品=儲かっている」と勘違いしやすい。粗利額で並べると、本当に利益を作っている商品が見えてきます。
✅ ポイント:売上上位でも粗利率が低い商品は「売れているが儲からない商品」。この仕訳をしないと、忙しいのに手元にお金が残らない状態が続きます。
チェックポイント2:直近3か月で1度も動いていない商品をリストアップ
期間は業種によって変わりますが、アパレルや雑貨系なら「3か月ゼロ」が死に筋の目安です。食品・日配品なら1か月が基準になります。感覚でなく、数を数えて並べることが大事です。
✅ ポイント:「いつか売れる気がする」は判断を遅らせる最大の敵。動いていない事実を数字で確認してから判断する習慣をつけてください。
チェックポイント3:客単価と購入点数の関係を確認する
「来店数は変わらないのに売上が伸びない」場合、1人あたりの購入点数か客単価が下がっている可能性があります。レシートデータや販売記録から、1会計あたりの平均購入点数を出してみてください。
✅ ポイント:購入点数が減っている場合、死に筋を整理してから「合わせ買いを促す棚づくり・POPの見直し」が効果的です。客単価アップは棚の整理と同時に設計するほうが成果が出やすい。
✓ ここまでのポイント
- 死に筋商品は「感覚の発注」と「粗利額の未把握」が重なることで増え続ける
- 見るべき数字は「粗利額ランキング」「3か月ゼロリスト」「1会計あたり購入点数」の3つ
- 売上データを読む目的は削減ではなく、売れる商品への資金・棚の再配分
ABC分析で死に筋リストを作ったはいいが、「この商品を切っていいか判断できない」という場面は必ず来ます。繁盛店ポータルの「みんなの経営相談DB」では、チラシや販促物を添付してAIに添削・改善アドバイスを求めることもでき、棚の整理後に使うPOP文の下書きにも活用できます。無料アカウントで使えます。
発注を見直す4ステップ
データが揃ったら、次は実際に発注を見直す手順です。一気にやろうとすると在庫が空になるリスクもあるので、4つのステップで順番に進めてください。
発注見直し STEP 1
死に筋リストをABC分析で3グループに分ける
粗利額の高い順に商品を並べ、上位70%をAグループ、次の20%をBグループ、残り10%をCグループとします。Cグループが死に筋候補です。全商品を一度に切ろうとせず、まずCグループだけに絞って判断します。
⚠️ よくある失敗:「Aグループの商品が急に品切れになった」というケースは、整理に意識が向きすぎてAの補充が遅れることで起きます。整理と補充は同時に動かしてください。
発注見直し STEP 2
Cグループの商品に「処分か継続か」の判断基準を設ける
Cグループの商品それぞれに「次の1か月で◯点以上動かなければ処分」という数値基準を設けます。ここで重要なのは、「いつか売れるかも」という感情判断を持ち込まないことです。あくまで点数と期間で機械的に判断する。
⚠️ よくある失敗:仕入れ先との関係や「買ってしまった後悔」が判断を鈍らせます。処分損より在庫を持ち続ける機会費用のほうが高くつくケースが大半です。
発注見直し STEP 3
Aグループの発注量と補充タイミングを再設計する
死に筋を絞った分、Aグループに資金と棚面積を移します。同時に、Aグループの欠品を防ぐ補充タイミング(発注点)を設定してください。「売れたら発注」では欠品が先に来る。「残◯点になったら自動発注」のルールを決めておくだけで大きく変わります。
⚠️ よくある失敗:Aグループの発注量を一気に増やして資金繰りが苦しくなるケースがあります。2〜3週分の安全在庫から始めて、回転速度を見ながら調整してください。
発注見直し STEP 4
整理した棚でPOPと陳列を「合わせ買い」設計に変える
棚が整理されたら、次は客単価アップの仕組みを入れます。Aグループの商品の近くに「一緒に使うとこうなる」「これと合わせると◯◯が楽になる」という情報を伝えるPOPを設置する。値段だけが書いてある値札と、使い方や価値が書いてあるPOPでは、購入を後押しする力がまるで違います。
⚠️ よくある失敗:POPを「商品説明」にしてしまうパターンです。お客さんが知りたいのはスペックではなく「自分がどうなるか」。POPは使う場面・得られる変化を短い言葉で伝えることが肝心です。
「売上は客数×客単価×来店頻度に分解できます。発注の見直しは客単価と来店頻度を動かす入り口。棚が整理されて初めて、販促の手が届くようになる。だから棚の整理は販促の準備なんです」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
棚を整えた後に、売上を意図的に作る
発注を見直して棚が整理されると、今度は「来てもらう」「また来てもらう」仕組みが効き始めます。ここで紙・ネット・AIを組み合わせた販促の出番です。
❌ よくあるパターン(棚整理で止まってしまう)
- 死に筋を減らしたが、新しい売り方を設計しないまま売上が変わらない
- POPを手書きで作ろうとして時間がかかり、結局やらない
- SNSで発信したいが何を投稿すればいいか分からず続かない
✅ 推奨アプローチ(棚整理+販促の同時設計)
- Aグループ商品の価値をPOPで伝え、合わせ買いと客単価アップを仕組みにする
- SNS(Instagramなど)で「この商品の使い方」「仕入れのこだわり」を定期発信し、来店動機を作る
- AIを使ってPOP文・SNS投稿文の下書きを作り、発信スピードを上げる
- ハガキDMやLINE配信で既存のお客さんへの再来店を促す接点を持つ
「お金を掛けずに売上を伸ばしたい」という気持ちはよく分かります。ただ、それは往々にして時間と機会損失を最も生む選択になります。必要な広告投資で顧客を創造していく発想に切り替えることが、利益を残す経営への近道です。
飲食店・小売店のメニュー設計で売上を動かす3つの考え方も参考にしながら、棚と品揃えを売上につなげる視点を広げてみてください。
「値引きで集めたお客さんは、値引きで去ります。POPとSNSを使って価値を伝え、適正な価格で選ばれる店に変えた結果、客単価が1.8倍、月商1,100万円を達成しました。AIで販促文を作る速度が10倍になったことで、継続できるようになったのが大きかったです」
小売店(アパレル)オーナー
この事例が示しているのは、死に筋を減らして棚を整えるだけでなく、POPとSNSで価値を伝える販促が同時に動いたから結果が出た、ということです。そしてAIを使って販促文を作る速度を上げたことで、「やろうと思ったけど時間がなくてできなかった」という壁を突破できた。
売上を動かすPOPとメニュー設計の実践的な考え方も合わせて読んでおくと、棚整理の後の一手がより具体的にイメージできると思います。
まとめ——死に筋を減らすことは、売上を意図的に作る入り口
今回の手順をまとめると、こうなります。
- 売上データを「粗利額ランキング」「3か月ゼロリスト」「1会計あたり購入点数」の3つで読む
- ABC分析でCグループを特定し、数値基準で処分か継続かを判断する
- Aグループに棚面積と発注資金を集中し、欠品防止の補充ルールを設ける
- 整理した棚でPOPと陳列を「合わせ買い」設計に変える
- SNS・AI・DM・LINEを組み合わせた販促で、来店頻度と客単価を上げる仕組みをつくる
死に筋を減らすこと自体がゴールではありません。棚を整えることで、客数・客単価・来店頻度のどれを動かすかが見えてくる。それが売上を「運任せ」から「意図的に作れる」状態への第一歩です。
一人でデータを読んで、発注を見直して、POPを作って、SNSで発信して——それを全部やろうとすると当然しんどくなります。私が主宰する会員制コミュニティ「増益繁盛クラブ」では、こういった実行を仲間と一緒に続けられる環境を用意しています。「やることは分かった、でも続けられない」という方は、よかったら覗いてみてください。
既存のお客さんを大切にすると売上が安定する理由も、来店頻度を上げる次の一手として参考になります。
棚を整えて発注を見直しても、「次に何をすればいいか」で止まってしまうのが一人経営の現実です。増益繁盛クラブでは、客単価の適正化・再来店の仕組み・POPと販促の型化を、全国の仲間と一緒に実行し続ける環境があります。「やることは分かった、でも一人だと続かない」という方の次の一歩に向いています。