飲食店のドリンク注文率、実は平均で来店客の40〜50%程度にとどまっているケースが少なくない、というデータがあります。つまり、テーブルに着いたお客さんの半数近くがドリンクを頼まずに帰っている店も珍しくないわけです。
こんにちは、繁盛店研究所スタッフの渥美 昌代です。普段は会員サポートやコンテンツ運営を担当しているのですが、実は休日はほぼ畑にいます(笑)。ニンジンを引っこ抜いたり、トマトの脇芽をかいたり、塩をつくったり。猫のアメショーにじーっと見守られながら土をいじっている時間が、私にとっての一番の充電です。
そんな畑暮らしをしているからこそ、「育てて、収穫して、価値を伝える」という流れがどれだけ大事かを体感しています。ドリンクの売上も、実は同じ構造だと感じています。せっかくいいものを用意しているのに、伝え方がなければ誰にも届かない。今日はそんな話をさせてください。
📋 この記事でわかること
- 飲食店のドリンク売上が伸びない本当の原因
- メニュー設計でドリンク注文率を上げる考え方
- POPを使って客単価を自然に引き上げる方法
- 値下げに頼らずドリンクで利益を残す構造の作り方
こんな方におすすめ
- ✅ ドリンクの注文率が低くて悩んでいる飲食店オーナーの方
- ✅ メニュー表を作り直したいけど何から手をつければいいか分からない方
- ✅ POPを貼ってみたけど効果が実感できなかった方
- ✅ 値引きや飲み放題に頼らずドリンク売上を伸ばしたい方
- ✅ 客単価アップのヒントを探している方

ドリンクが「売れていない」のは、提供していないのと同じ
畑で野菜を育てていると、収穫しただけで「できた!」と思いたくなります。でも実際は、収穫したものをどう並べるか、どう見せるか、誰に届けるかまで考えて初めて「価値になる」んですよね。
飲食店のドリンクも、まったく同じだと思います。「うちにはこんなドリンクがあります」という状態と、「お客さんが思わず頼みたくなる状態」は、まるで別物です。
よくあるのが、こんなパターンです。
❌ よくあるパターン
- メニューの最後のページにドリンクがまとめて小さく載っている
- 「生ビール」「ウーロン茶」「コーラ」と品名と値段だけが並んでいる
- テーブルにドリンクメニューが置かれていない、もしくは汚れている
- スタッフがドリンクを積極的に案内していない
✅ 推奨アプローチ
- ドリンクメニューをフードメニューと同格に扱い、先に目に入る場所に置く
- 一押しドリンクには写真と「ひと言コメント」を添えて価値を可視化する
- POPや卓上ポップで「このお料理に合うのはこちら」という文脈で案内する
- 来店時のファーストオーダーで自然にドリンクを提案する導線を作る
「なぜドリンクを頼まないの?」と思いたくなる気持ちはわかるのですが、頼まれないのはお客さんのせいではなく、伝わっていないこちら側の設計の問題がほとんどです。
メニュー設計で「ドリンクの存在感」を作る
ハワードジョイマンがよく言う言葉があります。
「売上は客数×客単価×来店頻度に分解できる。ドリンクの注文率を10%上げるだけで、客単価の数字が動く。これは今日からできる、一番地味で一番確実な打ち手のひとつだ」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
客単価を上げるというと、値上げか高い料理を追加するしか方法がないと思いがちです。でもドリンク注文率を上げることは、今あるメニューのまま、今日からできる客単価アップの手段なんです。
メニュー設計で意識してほしいのは、次の3点です。
チェックポイント①:ドリンクの「一推し」は決まっていますか?
メニューにドリンクが10種類あったとして、その全部が横並びに見えていませんか? お客さんは「何を頼もうか」と悩む時間より、「これでいいか」と選べる安心感を求めています。店として「これを頼んでほしい」という一推しドリンクを決めて、視覚的に目立たせることが大事です。
✅ ポイント:推奨ドリンクには「★人気No.1」「本日のおすすめ」などの視覚的な差別化を入れ、写真と短い説明文を添えましょう。「この料理と合います」という組み合わせ提案も有効です。
チェックポイント②:ドリンクメニューはどこにありますか?
料理メニューと一体になっていて、後ろのほうにドリンクが集まっていませんか? 人の視線は最初のページと、テーブル上の独立した小物に向きます。ドリンクメニューを卓上に独立した形で置くだけで、注文率が変わったケースは少なくありません。
✅ ポイント:ランチ帯はソフトドリンク・アルコールなしの簡易ドリンクカードを、ディナー帯は独立したドリンクメニューを卓上に置くことを検討してみてください。
チェックポイント③:価格の見せ方は「高い」と感じさせていませんか?
「生ビール 680円」とだけ書いてあると、680円という数字だけが視覚に飛び込みます。でも「地元静岡産ホップ使用のクラフトビール 680円」と書いてあれば、同じ金額でも「価値があるもの」に変わります。価格は変えなくていい。見せ方を変えるだけでいいのです。
✅ ポイント:産地・製法・こだわり・飲みやすさ・合う料理など、ひと言の「背景」を添えることが価値の可視化につながります。
✓ ここまでのポイント
- ドリンクが売れないのは提案できていない設計の問題がほとんど
- メニュー内で「一推しドリンク」を視覚的に際立たせることが第一歩
- 価格は変えなくていい。背景や価値を言葉にするだけで受け取り方が変わる
POPの力——「黙って置いておく」と「語らせる」は別物
私が畑でいちばん悔しかったのは、丹精込めて育てたバジルを、誰にも食べてもらえなかったときです。たくさん育ったのに、「バジルあります」とひと言言えばよかっただけだった。
POPって、実はそういうものだと思っています。商品は黙っていては語れない。代わりに語ってあげる紙が、POPです。
飲食店でドリンクのPOPが機能していないケースには、大きく2つのパターンがあります。
ひとつは「POPがそもそもない」。もうひとつは「あるけど品名と値段しか書いていない」。後者のほうが、ある意味もったいないです。せっかく手間をかけて作ったのに、価値を伝え切れていないから。
効くPOPに共通しているのは、「誰に」「何のために」「どんないいことがあるか」が読んだ瞬間に伝わることです。たとえばこんな差があります。
❌ よくあるPOP
- 「梅サワー 550円」
✅ 伝わるPOP
- 「国産梅を丸ごと漬け込んだ手作り梅サワー。揚げ物の後にさっぱり飲みたい一杯です。550円」
文字数はほんの少し増えるだけ。でも読んだお客さんの頭の中には、「あ、唐揚げ食べたし、梅サワー頼もうか」という場面が浮かびます。POPは値引きをしなくても、価値を伝えるだけで選ばれる確率を上げる道具です。
「POPは値下げをしないでものを売る技術です。書いてあることを読んだお客さんが『これ、頼んでみようか』と思えたら、そのPOPは合格。書くのが苦手でも、自分がそのドリンクを好きな気持ちを素直に書けばいい。難しく考えなくていいんです」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
ドリンク販促を「仕組み」に変える
ここまでの話をまとめると、ドリンク売上を上げるのにコストはほとんどかかりません。メニューの配置を変える、推奨ドリンクに一言添える、卓上にPOPを置く——これは今週から動けることです。
ただ、多くの飲食店オーナーが一度やって止めてしまいます。「やってみたけど変わらなかった」というのも、実は1週間や2週間では判断できないことが多い。効果測定の習慣と、続ける仕組みがセットで必要です。
ドリンク販促を仕組みにするSTEPをざっくりお伝えします。
ドリンク販促 STEP 1
現状のドリンク注文率を把握する
1日の来店客数と、ドリンクを注文したテーブル数(または人数)を1週間だけ記録してみてください。「なんとなく少ない」ではなく、数字で見ることで動くべき場所が見えてきます。
⚠️ よくある失敗:記録を取らずに「最近ドリンクが売れていない気がする」で終わり、対策が思いつきになってしまう。
ドリンク販促 STEP 2
一推しドリンクを1〜2品決めてPOPを作る
全部を一気に変えようとしなくていいです。まず1〜2品、「これを頼んでほしい」というドリンクを決めてPOPを作る。手書きでもOKです。写真と、ひと言の説明と、価格を書くだけで最初のPOPは十分です。
⚠️ よくある失敗:完璧なデザインにしようとして、結局作れないまま終わる。まず「素朴でもいいから貼る」ことが先です。
ドリンク販促 STEP 3
2週間後にドリンク注文率を再度確認して比較する
数字が動いていれば続ける。動いていなければPOPの文言を変えてみる。この小さな改善サイクルを回すことが「仕組み」になります。広告費をかけなくても、今いるお客さんへの伝え方を磨くだけで、客単価は着実に動いていきます。
⚠️ よくある失敗:一度試して効果が出なかった時点で「POPは効かない」と結論づけてしまう。文言・場所・デザインを変えることで反応が変わることが多い。
「チラシを効果測定しながら継続する形に変え、客単価と売上が上向いた店があります。ドリンクのPOPも同じで、一度貼って終わりではなく、変えながら続けることで効果が積み上がっていきます」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
「POPとメニュー設計を見直してから、ドリンクを追加注文してくださるお客さんが明らかに増えました。値段はひとつも変えていないのに、客単価がじわじわ上がってきています」
飲食店オーナー(40代・男性)
まとめ——地味でいい、続けることがいちばんの武器
渥美です。最後まで読んでいただいてありがとうございます。
畑をやっていると、「毎日少しずつ手をかけること」の積み重ねがどれだけ大事かを、野菜が教えてくれます。一気に水をやっても育たないし、何もしなければ枯れていく。ドリンク販促も、本当に同じだと思うんです。
今日お伝えしたことを整理すると、
- ドリンクが売れていないのは伝え方の問題がほとんど
- メニューの配置と「一推しドリンクの見せ方」を変えるだけで注文率は動く
- POPは値下げをしないで価値を伝える道具。品名と価格だけでなく、ひと言の背景を添える
- 効果測定しながら続けることが「仕組み」になり、客単価アップにつながっていく
ハワードジョイマンの増益繁盛クラブでは、こうしたPOPのつくり方やメニュー設計、客単価を意図的に上げる仕組みを、飲食店オーナーの方と一緒に取り組んでいます。支援実績は833件以上(飲食店610件含む)。全国対応で、北海道から沖縄まで幅広い業態の経営者さんと歩んできました。
「ドリンクのPOPをどう書けばいいか分からない」「メニュー設計を一度ちゃんと見直したい」という方、ぜひ一度のぞいてみてください。難しいことを難しく教えるのではなく、「今日からできること」を一緒に積み上げる場所です。
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もう少し具体的に「着実に売上を伸ばしていきたい」という方には、こちらもご覧いただけると嬉しいです。
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畑の土をいじりながら、今日もあなたのお店の繁盛を応援しています。
渥美 昌代(繁盛店研究所スタッフ)