3.儲かる販促と利益アップ

原価率が高い飲食店が、客単価と再来店で対策する方法

先日、ある居酒屋のオーナーの方からこんな声をいただきました。

「ジョイマンさん、うちは食材にこだわっているから原価率が35〜38%になってしまうんです。お客さんにも喜んでもらえているし、口コミも悪くない。でも月末になると手元にお金が全然残らなくて……このまま続けていけるか不安で」

この声、実は珍しくないんです。こだわりの素材を使っている飲食店ほど、原価率が高くなりがちで、「良いものを出しているのになぜ利益が残らないんだ」という悩みをよく聞きます。

かといって、食材の質を落とすわけにはいかない。値段を上げたら客が逃げるかもしれない。そこで思考停止してしまっているオーナーの方が本当に多い。

でも、答えは意外にシンプルな方向にあります。原価率が高いなら、客単価と再来店の設計を変えればいい。今日はそのことを、実際にいただいた声やケースを交えながらお伝えしていきます。

📋 この記事でわかること

  1. 原価率が高い飲食店が利益を残せない本当の理由
  2. 客単価を上げるための具体的な設計と考え方
  3. 再来店の仕組みを作って「一人のお客さんとの関係を長くする」方法
  4. 値下げに頼らず価値で選ばれる店になるためのアプローチ

こんな方におすすめ

  • ✅ 原価率が高く、月末に利益が残らないと悩んでいる飲食店オーナーの方
  • ✅ 食材や調理にこだわっているのに、その価値がお客さんに伝わっていないと感じている方
  • ✅ 値引きやクーポンに頼らない集客に切り替えたい方
  • ✅ 客単価を上げたいが、値上げで客が逃げることを恐れている方
  • ✅ リピーターを増やしたいが、具体的な方法が見つかっていない方
原価率が高い飲食店が、客単価と再来店で対策する方法 | 増益繁盛クラブ、繁盛店研究所/増益繁盛クラブ(運営法人:有限会社繁盛店研究所、株式会社繁盛店研究出版、株式会社日本中央投資会/繁盛店グループ)

「原価率が高い」は、単価と回転の設計問題

まず、大前提から整理させてください。

原価率が高いこと自体は、必ずしも悪ではありません。食材にこだわる、手間をかける、品質で勝負する──それは店の個性であり、武器になり得るものです。問題は、その原価率に見合った「単価設計」と「再来店の仕組み」ができていないことにある。

売上は「客数 × 客単価 × 来店頻度」で分解できます。原価率が高いなら、この3つのうち「客単価」と「来店頻度」の部分を意図的に動かさないと、いつまで経っても利益が残らない構造のままです。

よく「原価率を下げましょう」とアドバイスする人がいますが、こだわりの素材を使っている店にとってそれは本末転倒になることが多い。そうではなく、「その原価率でも利益が残る客単価と来店サイクルを設計する」という発想に切り替えることが出発点です。

❌ よくあるパターン:原価を下げようとする

  • 食材の質を落として「原価率30%以下」を目指す
  • こだわりが消え、店の個性が失われる
  • 差別化できなくなり、価格競争に巻き込まれる

✅ 推奨アプローチ:単価と来店頻度の設計を変える

  • こだわりの原価率を「そのまま」維持しながら、それを正当化できる客単価に設計し直す
  • 再来店の仕組みで「一人のお客さんからの生涯売上」を伸ばす
  • 価値を正しく伝えることで、値下げなしに選ばれる店になる

客単価を上げる:「価値を伝える」設計の作り方

先ほど紹介した居酒屋オーナーの方に、私がまず聞いたのは「お客さんは、なぜその食材にこだわっているのかを知っていますか?」という質問でした。

答えは「……あまり伝えていないかもしれません」でした。

ここが盲点です。「良いものを出せば、いつか伝わる」という考えは、残念ながら飲食店経営では機能しない。味は大前提であって、集客や単価アップの仕組みではないんです。

客単価を上げるために有効な打ち手は、主に以下の3つです。

チェックポイント1:看板メニューの設計はできているか

「これを食べにここへ来た」と言えるメニューが店にありますか? 看板メニューがないと、お客さんは何となく来て、何となく帰ります。一番こだわっている食材を使った「このお店でしか食べられない一品」を設計することが、客単価アップの土台になります。

✅ ポイント:看板メニューは「高い」のではなく「価値がある」と感じてもらえるかどうかが勝負。食材の産地、仕入れのこだわり、調理のストーリーをセットで伝える設計にする。

チェックポイント2:POPやメニュー表が「価値を伝えているか」

メニュー表に「〇〇産の〇〇を使用」「毎朝〇〇から直送」などの情報が書かれていますか? 値段だけ書いてあるメニュー表は、お客さんに「この値段は高いか安いか」しか考えさせません。価値を伝えるひと言があるだけで、同じ値段でも「それなら納得」という判断になります。

✅ ポイント:テーブルPOPやメニューの説明文は、シェフや仕入れ担当が「熱く語るとしたらどう言うか」を書き言葉に変換したものが一番効く。お客さんは背景のあるものにお金を払いやすい。

チェックポイント3:追加注文を促す導線があるか

客単価は「最初の注文」だけで決まるわけではありません。デザート、飲み物の2杯目、季節限定の一品──スタッフが自然に声をかける仕組みがあるだけで、一人当たりの単価は数百円変わります。これを「押し売り」と捉えるか、「お客さんに喜んでもらう提案」と捉えるかで、行動が変わります。

✅ ポイント:スタッフが「おすすめの一言」を言いやすい仕組みをオペレーションの中に組み込む。テーブルPOPで誘導する方法も有効。

✓ ここまでのポイント

  • 原価率が高いなら、「原価を下げる」ではなく「客単価と来店頻度の設計を変える」が正しい方向
  • 客単価アップには「看板メニュー」「価値を伝えるPOP・メニュー表」「追加注文の導線」の3つが基本
  • 価値が伝わっていないだけで、値下げしなくても選ばれる余地はある

「原価率が高くて利益が残らないと言う経営者の方に共通しているのは、原価の高さではなく、その価値を伝える仕組みがないことです。良いものを出しているなら、伝える仕組みに投資する。そこが次の一手です」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

再来店の仕組み:「一度来たお客さんとの関係を長くする」

原価率が高い店が利益を安定させるには、新規客を増やすことより、既存のお客さんに繰り返し来てもらう方が、実はコスト効率が良い。なぜなら、新規客の獲得にかかるコストは、リピーターの維持コストより何倍も大きいからです。

ある焼肉店のオーナーの方からこんな声をいただいたことがあります。「来てくれるお客さんは満足して帰ってくれているのに、2回目3回目に来てくれる割合が低い。なぜだろう?」と。

理由は意外とシンプルで、「次に来る理由」が作られていなかったんです。お客さんは満足しても、次のお店を探すときに「あそこ、また行こうか」と積極的に思い出してもらえない。接点が切れてしまうんです。

再来店を作る仕組みとして、特に効果的なものを挙げます。

STEP 1:LINE公式アカウントで接点を継続する

内容:来店時にLINE登録を促し、定期的に情報を届ける

「今月の新メニューができました」「週末限定のコース料理を用意しています」「先月ご来店のお客さんへ、感謝のご案内です」──こういったメッセージを月1〜2回届けるだけで、記憶の棚に自店の名前が残り続けます。

⚠️ よくある失敗:LINEのアカウントを作ったはいいが、配信が続かず半年で止まってしまう。継続できる頻度・内容のレベルで始めることが大事。

STEP 2:ハガキDMやニュースレターで「人柄」を届ける

内容:デジタルだけでなく、紙の接点を使う

「今月仕入れた素材のこだわりを一枚の紙に書いて送る」だけで、デジタルでは届かない層のお客さんにも深く刺さります。特に客単価が高めのお客さんほど、紙の丁寧さに好感を持つ傾向があります。

⚠️ よくある失敗:「ハガキなんて古い」と思って試さないうちに諦めてしまう。実際に試した店ほど、デジタルとの組み合わせで再来店が安定している。

STEP 3:季節や理由をフックにした「次の来店動機」を作る

内容:誕生日・季節・記念日など「また来る理由」を定期的に設計する

誕生月サービス、季節限定メニューの案内、「〇〇の旬食材が入りました」というタイムリーな発信──これらはお客さんに「今行くべき理由」を届ける仕組みです。

⚠️ よくある失敗:「そういう特典を作ると値引き体質になる」と誤解してしまう。価値を伝えながら来店動機を作ることは、値下げとは別物。

「再来店の仕組みは、一度作れば毎日の判断を減らしてくれます。その分、料理や接客に集中できる。仕組みを作ることはサボることじゃなくて、自分の時間を経営に使うことなんです」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

実際の声から見えてきた「原価率の高い店が変わるとき」

支援実績833件以上の中から、原価率の高い飲食店が変わるきっかけには共通のパターンがあります。それは「仕組みを作ることへの覚悟が決まったとき」です。

「チラシとGoogle広告を組み合わせてから、新規のお客さんが約2倍になりました。客単価も1,400円上がって、月商が350万円から620万円まで伸びた。正直、最初は広告費を使うことが怖かったんですが、やって本当に良かった。今は広告を毎月の経費と思っていません。投資だと思っています」

居酒屋オーナー(40代・男性)

「POPとSNS訴求を統一して、AIで販促文を作るようにしてから、作業スピードが10倍になりました。客単価も1.8倍になって、月商1,100万円を達成できた。値下げしなくても選んでもらえるんだ、ということが体感できたのが一番の変化です」

小売店(アパレル)オーナー(50代・女性)

月商60万円の超赤字イタリアンが月商470万円・利益200万円に変わったケースや、月商300万円の飲食店が年商2億5,000万円規模に成長したケースも、出発点は同じです。「売上は運任せでなく、意図的に作れる」というマインドの転換と、具体的な仕組みへの投資。この2つが揃ったとき、数字が動き始めています。

原価率の高い店が持つ「本当の強み」を使い切る

最後に、一番伝えたいことを書きます。

原価率が高い飲食店は、実は大きな武器を持っています。「こだわりの素材」「妥協しない調理」「本物の味」──これは価値です。問題はその価値が、お客さんに届いていないことと、それを支える「客単価」と「再来店の仕組み」が整っていないことだけです。

値下げやクーポンで集めたお客さんは、価格でしか店を選んでいません。価格で来たお客さんは価格で去ります。でも、価値を伝えて選んでいただいたお客さんは、「またここに来たい」と感じてくれます。

業界経験21年、支援実績833件を通じて見えてきたことがあります。繁盛し続ける店は、派手な打ち手ではなく、地味な仕組みを「すぐに」「継続して」やり切っているお店です。客単価の設計、再来店の接点、価値を伝えるPOPとメニュー。一つひとつは地味ですが、これが積み重なったとき、原価率の高さは弱みではなく、選ばれる理由に変わります。

まとめ:原価率が高いなら、「伝える仕組み」と「関係を長くする仕組み」に投資する

原価率が高くて利益が残らない飲食店が取るべき方向は、食材の質を落とすことでも、値下げでお客さんを呼ぶことでもありません。

「その原価率に見合った客単価の設計」と「一度来てくれたお客さんとの関係を長く続ける仕組み」──この2つを意図的に作ることです。売上は意図的に作れます。運任せにしないための一歩を、ぜひ一緒に踏み出してほしいと思っています。

もし「自分の店がどこから手をつければいいか分からない」という方は、まず繁盛店ポータルに無料でアカウントを作っていただくと、経営のヒントや実際の事例にアクセスしやすくなります。お気軽にどうぞ。

また、客単価・再来店・販促の仕組みを体系的に学びながら伴走してもらいたい方は、増益繁盛クラブの詳細もご覧ください。同じ方向を向いて、隣を歩く伴走者として、お待ちしています。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

-3.儲かる販促と利益アップ