梅雨が明けると、美容室には「カラーが褪せてきた」「夏前にヘアケアしたい」というお客さんが増えますよね。
そのタイミングで、ヘッドスパやトリートメントをすすめてみたいけど……「また押し売りみたいに思われたら嫌だな」と、喉まで出かかった言葉を飲み込んでしまう。
そういうオーナーさん、本当に多いんです。
実はこれ、性格の問題でも技術の問題でもなくて、「提案の設計」の問題なんですよ。正しい言い方の型を知っていれば、お客様に「ありがとう、やってみます!」と言ってもらえる提案ができる。今日はその話を、実際の事例をもとにしながら、具体的にお伝えしていきます。
📋 この記事でわかること
- なぜ「押し売り感」が出てしまうのか、その構造的な原因
- 押し売りにならない客単価アップ提案の5つの言い方
- 実際に月商が1.6倍になった美容室の「言葉の変え方」
- 今日から使えるセリフの具体例
こんな方におすすめ
- ✅ 客単価を上げたいけど提案するのが怖い美容室オーナーさん
- ✅ ヘッドスパや髪質改善メニューを導入したのに売れていない方
- ✅ 値上げをしたいが「離れていきそう」という不安がある方
- ✅ スタッフにもアップセルを教えたいが何と言えばいいか困っている方
- ✅ クーポン頼みの集客から抜け出して自前の収益力を高めたい方

「押し売り感」はなぜ出るのか?根本的な原因
まず正直に言うと、押し売りになってしまう提案には共通のパターンがあるんです。
それは、「売り手都合の順序」で話してしまうこと。
つまり、「今日はトリートメントはいかがですか?」「ヘッドスパもありますよ」というふうに、サービス名と価格を先に出してしまうパターンです。お客様の立場からすると、「ああ、売りたいんだな」という印象になってしまう。
これ、ちょっと考えてみると当たり前の話なんですよね。
薬局で「このサプリはいかがですか?」と言われても「いや別に……」となるのに、「最近、睡眠の質が落ちていませんか?この時期は特に〜」と言われると耳が傾くじゃないですか。
順序が逆なんです。「課題の認識」が先で、「解決策の提示」が後。この順序さえ守れば、提案は自然になります。
私(ジョイマン)が21年間・1,000店舗以上の支援をしてきた中で見てきた繁盛している美容室のオーナーさんは、みんなこの順序を体に染み込ませていました。
「お客様に高いものを勧めるのは申し訳ない、という気持ちはすごく真剣に受け止めています。でもね、本当にお客様のためになることを伝えないのは、むしろ親切じゃないんですよ。問題は『何を言うか』ではなく『どう伝えるか』の設計なんです」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
押し売りにならない5つの言い方
では具体的に見ていきましょう。これ、全部今日から使えます。
チェックポイント①:「鏡を見せながら課題を共有する」言い方
施術中に鏡越しに「最近、毛先のパサつきが気になってきていませんか?」「ここ、少し傷みが出てきていますね」と、お客様自身が「あ、確かに」と気づくような問いかけをします。提案ではなく、観察の共有から始める。
✅ ポイント:商品名を一切出さずに「お客様自身が課題に気づく」状態を作ることが先決。気づいてもらえたら、解決策を伝えるのは自然な流れになります。
チェックポイント②:「常連さんの話」を経由する第三者エピソード
「先日、同じくらいの長さのお客様が初めてヘッドスパを試されたんですよ。そしたら『こんなに違うんですね』ってすごく喜ばれて。」というふうに、別のお客様の体験談を使う方法です。
これ、実は漫才の技法に近くて、「自分の言葉」より「他人の体験」の方が人の心に入りやすいんですよ。私がお笑い芸人をやっていた頃に学んだことが、コンサルの現場でも活きています。
✅ ポイント:実際のお客様の体験を使うのが一番リアルで伝わります。普段からお客様の「反応のよかった言葉」をメモしておくと、このネタが溜まっていきます。
チェックポイント③:「松竹梅の法則」でメニューを設計する
「カット」「カット+トリートメント」「カット+髪質改善トリートメント+ヘッドスパ」という3段階の選択肢を作ると、多くのお客様は自然と真ん中を選びます。
これは心理学的に「極端回避性」と呼ばれる現象で、「高いものを無理やり売り込む」のではなく「お客様が自分で選ぶ設計」にするという発想の転換です。
✅ ポイント:提案のタイミングではなく、メニュー表やPOPの設計段階でこれをやっておくことで、スタッフが何も言わなくてもお客様が「上のコース」を選んでくれる環境を作れます。
チェックポイント④:「季節・旬のタイミング」を理由にする
「この時期、紫外線でキューティクルが傷みやすいので、今日はオプションのUVケアトリートメントをつけておくのがオススメですよ」というように、提案の理由を「今この時期だから」という外的な要因に置く。
「売りたいから言っている」ではなく「今だから言っている」というニュアンスに変わるだけで、受け取り方がまるで違います。
✅ ポイント:季節ごとに「今月はこの提案をする」と事前に決めておくと、スタッフ全員が自然に同じトークができるようになります。属人化しないのがポイントです。
チェックポイント⑤:「次回」を今日決めてしまう再来店設計
「次回来ていただくときに、一度ヘッドスパを試してみませんか?今日はカラーをしたので、1ヶ月後くらいがちょうどいいタイミングですよ。」という形で、高単価メニューを「今日売る」のではなく「次回の約束」にする。
これ、プレッシャーが格段に下がるんです。お客様も今日すぐ決断しなくていいし、スタッフも「今すぐ売らなきゃ」という焦りがない。なのに次回の単価は上がる、という魔法のような設計です。
✅ ポイント:LINE公式アカウントと組み合わせて、予約2週間前に「次回はヘッドスパも準備してお待ちしています」というメッセージを自動配信すると、さらに効果が上がります。
✓ ここまでのポイント
- 押し売り感の正体は「売り手都合の順序」にある。課題の共有が先、提案は後。
- 「第三者エピソード」「松竹梅設計」「季節の理由付け」で、お客様が自ら選ぶ状態を作れる。
- 「今日売る」ではなく「次回の約束」にする設計が、双方のプレッシャーを下げる。
実際に変わった美容室の事例:リピート率38%→71%
ここからは実際の事例を見ていきましょう。
2店舗を経営されている美容室オーナーのKさん(40代・女性)の話です。
もともと技術力には自信があって、既存のお客様からの評価も高い。でも新規客がリピートしない、単価が上がらない、という状態が続いていました。
初期の課題:ホットペッパービューティーのクーポン経由の新規客は多いが、2回目以降の来店率が低い。月商は2店舗合計で約400万円台で頭打ち。スタッフは施術はうまいが、提案が苦手で単価が上がらない。
実施した施策:まずメニュー表を「松竹梅」の3段階に整理しました。次に、施術中の会話から「課題の共有」ができるよう、スタッフ全員にチェックリストを作って共有。さらにLINE公式アカウントを整備して、来店後7日以内に「施術の感想+次回提案」のメッセージが自動配信される仕組みを作りました。
特に効果が高かったのは、「季節トーク」と「次回予約の仕組み化」です。毎月1日に「今月のスタッフ共有ミーティング」で「今月はこの提案をする」と決める文化にしただけで、スタッフ全員の提案が自然になった、とKさんは話してくれました。
結果:リピート率が38%から71%へ。LINE経由の再来店が月30件以上に増え、月商は年間を通して1.6倍になりました。
「正直、最初はLINEの仕組みを作るのが面倒で後回しにしていたんです。でも一度設定してしまったら、あとは自動で動いてくれる。スタッフも『何を言えばいいか』がわかってから提案が増えて、お客様からのありがとうも増えました。やって本当によかったです。」
美容室2店舗オーナー・40代女性
再現性のあるポイントは3つです。
①「提案する内容」を月ごとに統一して、属人化させない。②松竹梅設計でお客様が自分で選ぶ状態を作る。③LINEで「来店後のフォロー」を自動化して、次回来店を仕組みで作る。
Kさんの規模(セット面4面・2店舗)であれば、どの美容室でも同じことができます。特別な才能は必要ありません。
「言い方」を変えると何が変わるのか:利益への直結
ここで少し数字の話をさせてください。
仮に月間来客が100人、客単価が8,000円の美容室があったとします。月商80万円ですね。
もし10人に1人がヘッドスパ(3,000円)を選んでくれたら、月商は83万円。これが20人に1人ではなく3人に1人になれば、月商は90万円。年間にすると84万円の違いになります。
しかもこれ、新規集客のコストはゼロです。今来てくれているお客様に、正しい順序で提案するだけ。
私がよく言うのは「お賽銭箱を増やす」という考え方なんですが、まさにこれがそれです。同じ来客数でも、店内に「選べる受け皿」を増やすことで、自然と利益が積み上がっていく。
❌ よくあるパターン
- 新規集客にばかり投資してリピートしてもらえず、集客コストが永遠にかかり続ける
- クーポン頼みで単価が上がらず、忙しいのに手元にお金が残らない
- 「値上げしたら離れていく」という恐怖から、何年も同じ単価のまま
✅ 推奨アプローチ
- 既存のお客様への「正しい提案設計」で、追加コストゼロで客単価を上げる
- LINEの自動フォロー+松竹梅メニューで、スタッフが提案しなくても単価が上がる仕組みを作る
- 値上げをする場合も、価値を先に伝える設計で「ありがとう」と言ってもらえる値上げができる
「東京・中野区で5坪の美容室を経営されている藤田啓子さんは、値上げをしたことで単価も売上も1.5倍になりました。値段を上げたら客が減るという思い込みを、正しい提案設計が壊してくれた事例です。値上げは怖いものじゃなくて、伝え方次第でお客様に喜ばれるものになる。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
まとめ:今日からできる「ありがとう」と言われる提案
今日お伝えした5つの言い方、もう一度まとめます。
①鏡を使ってお客様自身に課題を気づかせる。②常連さんの体験談を経由して伝える。③松竹梅のメニュー設計でお客様が自分で選ぶ状態を作る。④季節・旬の理由を提案に乗せる。⑤「今日売る」ではなく「次回の約束」にする。
どれか1つだけでも、明日のお客様への接客で試してみてください。「100の知識より1つの実践」がモットーなので、全部一気にやろうとしなくていいです。
美容室の客単価アップは、才能でも押し付けでもなく、「設計」の話です。設計を学べば、誰でも再現できる。そのことが、今日の事例で少し伝わったとしたら嬉しいです。
もっと具体的に自分の店でどう使うか知りたい方、あるいは今の経営状況を整理したい方は、ぜひ以下からどうぞ。繁盛している店が実際に何をやってきたか、書籍でお伝えしています。
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