結論から言うと、小売店の客単価を上げるために必要なのは「値上げ」でも「品揃えの拡充」でもありません。お客さんへの「提案」の仕方を変えることです。
こんにちは、ハワードジョイマンです。静岡市清水区を拠点に、飲食店・美容室・小売店など833件以上の店舗経営者を支援してきた中小企業診断士です。
小売店の経営者の方から「売上が頭打ちで…」というご相談を受けると、ほぼ必ずこんな共通点があります。商品は揃っている。接客も悪くない。でも一人ひとりのお客さんが「ついでに買ってくれる」ことがほとんどない、というパターンです。
原因は単純で、「提案していないから買われない」んです。今日はその提案技術を3つ、初めての方にもわかりやすくお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 客単価が上がらない本当の理由
- 今日から使える3つの提案技術(声がけ・POP・セット提案)
- 提案するときに避けたい「やりがちな失敗」
- 仕組みとして提案を続けるためのヒント
こんな方におすすめ
- ✅ 小売店を経営していて月商の伸び悩みを感じている方
- ✅ 「クーポンや値引きに頼らず」売上を上げたい方
- ✅ スタッフに提案を任せたいが、うまく動いてもらえない方
- ✅ POPや陳列を見直したいが、何から手をつければいいか迷っている方
- ✅ 客単価アップの「仕組み」を初めて学ぶ方

なぜ「提案しないと客単価は上がらない」のか
多くの小売店では、お客さんが自分で商品を選んで、レジに持ってきて、お会計して帰る——このフローが当たり前になっています。
でも考えてみてください。お客さんは「自分が思いついたものしか買えない」んです。あなたの店に素晴らしい商品があっても、目に入らなければ存在しないも同然です。
これは「売り込み」とは全然違います。お客さんの生活をちょっとだけ豊かにするものを、タイミングよく「こんなものもありますよ」と伝えること——それが提案です。
私が以前サポートしたアパレル系の小売店では、POPとSNS訴求の見直し、そしてAIを使った販促文の作成を組み合わせただけで、客単価が1.8倍、月商1,100万円を達成しています。特別な値引きはしていません。「伝え方を変えた」だけです。
「お金を掛けずに売上を伸ばしたい、という気持ちはよくわかります。でも正直に言うと、それは最も遠回りな道です。大事なのは、投資した分だけお客さんを創造できているかどうかを確かめながら進むことです。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント・中小企業診断士)
提案技術①:声がけのタイミングを「会計直前」に変える
一番シンプルで即効性がある提案技術は、レジ周りでの一言声がけです。
よくある失敗は「いらっしゃいませ」「他にご入用のものはありますか」という漠然とした声がけです。これではお客さんは何も思い浮かびません。
チェックポイント①:声がけの「具体性」を確認しよう
今のスタッフの声がけは具体的な商品名や使い方を含んでいますか?「他にございませんか」という問いかけは、実はお客さんに考える負担を与えているだけです。
✅ ポイント:「今日ご購入のXXですが、一緒にYYを使うとさらに効果が出ますよ」のように、商品と理由をセットで一言に落とし込む。スタッフが言いやすい台本を1〜2パターン用意しておくと定着しやすくなります。
たとえばコーヒー豆を買いに来たお客さんに「今日のお豆、コールドブリューにもすごく合うんですよ。専用のボトルもちょうど入荷したので、よければ」と伝えれば、お客さんは「あ、そういうものもあるんだ」と自然に興味を持てます。
ポイントは押しつけにならない声のトーンと、断られても笑顔で「またいつでも」と言える余裕です。断られることを恐れて声がけをやめてしまうスタッフが多いですが、10人に1人でも追加購入してくれれば、それは立派な客単価アップです。
✓ ここまでのポイント
- 客単価が上がらないのは「提案していないから」。良い商品があっても黙っていては伝わらない。
- 声がけは「漠然とした問いかけ」ではなく、「商品名+使い方・理由」をセットにした具体的な一言に変える。
提案技術②:POPで「棚が黙って提案する」仕組みを作る
スタッフが全員のお客さんに声がけするのは現実的に難しいですよね。だからこそ、POPに提案の仕事をさせるという発想が大切です。
POPは「値段を書く紙」だと思っている方が多いですが、本当の役割は「この商品があなたの生活にどう役立つか」を伝えることです。
チェックポイント②:今のPOPは「価格」しか書いていないか
商品の棚やレジ周りにあるPOPを改めて見てみてください。商品名と値段だけが書かれていませんか?
✅ ポイント:POPに「誰のためのもので」「どんな場面で使えて」「使ったらどうなるか」という情報を加えるだけで、お客さんが自分ごととして商品を捉えやすくなります。文字数は少なくて構いません。2〜3行でも十分です。
たとえば「当店一番人気の〇〇」「寒い朝に飲むと体がほぐれます」「贈り物にも喜ばれます」——こういった一行が、お客さんの手を商品に向かわせます。
私が長年の経験から感じているのは、POPは「書いてある内容」より「書いてあること自体」が大事だということです。手書きでも、ちょっと斜めになっていても構いません。人が書いた温度感が、お客さんに「この店は商品のことを考えてくれてる」という安心感を与えます。
❌ よくある失敗パターン(価格訴求だけのPOP)
- 「○○円」「セール中」「お得」しか書かれていない
- お客さんが「自分に関係ある」と思えず素通りしてしまう
- 値引きのイメージだけが強まり、価格でしか選ばれなくなる
✅ 推奨アプローチ(価値伝達型のPOP)
- 「誰のため」「どんな場面で」「使うとどうなるか」を2〜3行で書く
- 店主・スタッフの推薦コメントや背景エピソードを加える
- 手書きのぬくもりで、店の個性と信頼感が同時に伝わる
提案技術③:セット提案で「1回の来店価値」を高める
3つめはセット提案です。これは「一緒に使うと効果的なものを、あらかじめセットで提示する」という方法です。
飲食店でいう「ランチセット」「おすすめセット」に近い発想を、小売店にも取り入れるイメージです。
セット提案 STEP 1
「よく一緒に売れているもの」を棚・陳列で隣に並べる
データがなければ、「あなた自身が一緒に使っているもの」「常連のお客さんがよく合わせて買っていくもの」から選ぶので十分です。まず並べることが先決です。
⚠️ よくある失敗:「ちゃんと調べてからにしよう」と思って永遠に動かない。正解じゃなくていいのでまず動かしてみることが大事です。
セット提案 STEP 2
POPや帯に「こちらと一緒に使うとさらに◯◯」と書く
陳列を変えるだけでは伝わりきらないことがあります。「なぜセットで使うといいか」を一言添えることで、お客さんが自分で納得して選びやすくなります。
⚠️ よくある失敗:「売りたい気持ち」が前面に出てしまい、お客さんにとってのメリットが書かれていないPOPになる。主語を「お客さん」に変えると変わります。
セット提案 STEP 3
「セットで買うと◯◯」という特典を小さくつける(任意)
値引きでなくてもいいです。「一緒にご購入でラッピング無料」「こちらのレシピカード差し上げます」のような付加価値で十分です。財布の紐を無理に緩めるのではなく、「お得感よりも納得感」を大切にしてください。
⚠️ よくある失敗:値引きをセットの特典にしてしまい、単価が下がる本末転倒な結果になる。特典は「価値を加える」方向で考えましょう。
「値引きで来たお客さんは、値引きがなくなったら去っていきます。大切なのは、あなたの店の価値を感じてくれた人に、また来てもらうことです。そのための提案技術なんです。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
「月商1,100万円になったのは、商品が変わったわけじゃないんです。POPの書き方とSNSの発信の方向性を変えて、お客さんに『この店は私のことを考えてくれてる』と思ってもらえるようになってからでした。」
小売店(アパレル)オーナー
3つの提案技術を「仕組み」として続けるために
声がけ・POP・セット提案——どれも「一度やればOK」ではありません。地味に見えても、続けることに価値があります。
スタッフが毎回うまく声がけできるように台本を作る。POPは季節やイベントに合わせて月に1〜2枚入れ替える。セット陳列は月1回見直す。これだけでいいんです。
派手な新商品導入や大きなキャンペーンより、この地道な繰り返しのほうが確実に客単価は積み上がります。私が21年間の支援経験で見てきた繁盛店に共通しているのは、みなさん「地味な販促を継続している」という点でした。
そして何より、経営者であるあなた自身が「客単価は提案で作れる」という認識を持つことが出発点です。施策の前にマインドが変わると、スタッフへの指示も変わり、店の空気も変わります。
まとめ:今日から始められる、小売店の客単価アップ
今回お伝えした3つの提案技術を振り返ります。
- ① 声がけ:会計直前に、商品名と理由をセットにした一言を添える
- ② POP:「誰のため・どんな場面・使ったらどうなるか」を2〜3行で書く
- ③ セット提案:よく合う商品を隣に並べ、一言「なぜ合うか」を書く
どれか一つだけでも、今週中に試してみてください。完璧じゃなくて大丈夫です。「すぐに・小さく・続ける」が最初の一歩です。
もし「自分の店に合ったやり方が知りたい」「スタッフへの落とし込み方がわからない」という場合は、ぜひ下記からのぞいてみてください。全国の小売店・飲食店・美容室の経営者の方たちと一緒に、売上を意図的に作る経営を学んでいます。
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一緒に、あなたの店を「提案が自然に生まれる店」に変えていきましょう。