3.儲かる販促と利益アップ

飲食店の値上げを、お客さんを離さずに進める方法

結論から言います。飲食店の値上げは、「お客さんを離す行為」ではありません。正しく伝えれば、むしろ信頼が深まるきっかけになります。

「値上げしたら来なくなるんじゃないか」「クレームが怖い」——そう思って、ずっと値段を据え置いている経営者の方は本当に多いです。でも、原材料費も光熱費も人件費も上がっているのに、売価だけ5年前のまま。これが続くと、店そのものが先細りになっていく。

今回は、私・ハワードジョイマンが実際のクライアントから聞いた話や、これまで833件以上の店舗経営者と向き合ってきた経験をもとに、「お客さんを離さずに値上げを進める方法」を経営者インタビューの形式で深掘りしていきます。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ「値上げ=お客さんが離れる」という思い込みが生まれるのか
  2. 値上げ前に必ずやっておくべき「価値の棚卸し」の手順
  3. お客さんに伝わる値上げの告知方法(紙・LINE・POPそれぞれの使い方)
  4. 値上げ後にリピーターを維持するためのフォロー設計

こんな方におすすめ

  • ✅ 原材料費・光熱費の上昇で利益が圧迫されている飲食店オーナーの方
  • ✅ 値上げしたいけれど、お客さんの反応が怖くて踏み切れない方
  • ✅ 値引きやクーポンに頼らず、適正単価で選ばれる店にしたい方
  • ✅ 値上げの「伝え方」が分からず後回しにしている方
  • ✅ 忙しく働いているのに、手元にお金が残らないと感じている方
飲食店の値上げを、お客さんを離さずに進める方法 | 増益繁盛クラブ、繁盛店研究所/増益繁盛クラブ(運営法人:有限会社繁盛店研究所、株式会社繁盛店研究出版、株式会社日本中央投資会/繁盛店グループ)

「値上げ=裏切り」という誤解が、経営者を縛る

あるクライアントの居酒屋オーナー(経営歴7年)と話したとき、こんな言葉が出てきました。

「値上げしたら、長年来てくれてるお客さんに申し訳ない気がして。裏切るみたいで」

この感覚、すごくよく分かります。長く通ってくれているお客さんへの感謝がある分、値段を上げることに罪悪感を感じる。でも私はそのとき、こう返しました。

「値上げしないで店を閉めることの方が、よっぽどお客さんへの裏切りじゃないですか。続けるために正直に伝えることは、誠実さの表れですよ」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

値上げを「値段を上げる行為」として捉えると怖くなります。でも「店を続けるために、価値と価格を正しく揃える行為」と捉えると、むしろ経営者としての責任感の表れになる。そこから、腹が据わってくるんです。

価格で来たお客さんは価格で去ります。でも、あなたの店の「価値」で来ているお客さんは、値上げを丁寧に伝えれば残ります。むしろ「この店は正直だな」と信頼を深めるケースさえあります。

値上げ前に必ずやる「価値の棚卸し」

値上げの告知より先にやることがあります。それが「価値の棚卸し」です。

「うちの料理のどこが他と違うのか」「なぜこの値段になるのか」を、自分自身が言語化できていないまま値上げしても、お客さんに伝わりません。まず自分が納得していなければ、告知文にも力が入らない。

チェックポイント1:素材・調理法の「こだわり」を書き出せるか

産地、仕入れ先、調理の手間、使っている道具や技術——これらをA4一枚に書き出してみてください。普段「当たり前」と思っていることが、実はお客さんにとって大きな価値である場合がほとんどです。

✅ ポイント:「こだわりを伝えていない」状態での値上げは失敗しやすい。先に価値を見える化することで、値上げの根拠が生まれます。

チェックポイント2:今の価格は「原価・労働・利益」を正しく反映しているか

多くの飲食店で、5年以上前に設定した価格が今も使われています。仕入れ値が上がっても「お客さんに悪い」と値段を据え置いた結果、働くほど利益が消える構造になっています。

✅ ポイント:今の原価率・人件費率を一度計算し直すことが、値上げ判断の出発点。感覚ではなく数字で見ると、値上げの必要性が明確になります。

チェックポイント3:看板メニューは「選ばれる理由」が説明できるか

値上げは全メニュー一律でやる必要はありません。まず「看板メニュー」の価値を高め、そこから単価を引き上げる方が、お客さんの納得感を得やすい。

✅ ポイント:看板メニューに「選ばれる理由のストーリー」を持たせることで、値上げへの抵抗感が薄れます。POPやメニュー表の文言を変えるだけでも反応が変わります。

✓ ここまでのポイント

  • 値上げへの罪悪感は「価格で来たお客さん」と「価値で来たお客さん」を区別することで整理できる
  • 値上げ前に「価値の棚卸し」をして、自分が納得できる根拠を作ることが先決
  • 価格設定は感覚ではなく原価・人件費・利益の数字から見直す

「お客さんを離さない」告知の実際のやり方

価値の棚卸しが終わったら、次は「伝え方」です。値上げの告知は、手段ごとに役割が違います。

❌ よくあるパターン:メニュー表の値段だけひっそり変える

  • 変わっていたことに気づいたお客さんが不信感を持つ
  • 「なぜ」が伝わらないので「値上げした店」という印象だけが残る
  • 特に常連のお客さんほど、変化に敏感で気づきやすい

✅ 推奨アプローチ:「理由と想い」をセットで先に伝える

  • 値上げの理由(原材料費・品質へのこだわりの維持)を正直に書く
  • 「続けていくため」「品質を落としたくないため」という意思を伝える
  • いつから、何円上がるかを明示して驚きを減らす

具体的には、こんな組み合わせが効きます。

①店頭POP・メニュー表の一言添え書き
「来月〇日より、一部メニューの価格を改定させていただきます。素材へのこだわりを守りながら続けていくために、ご理解いただけますと幸いです」——これだけで、ひっそり変える印象がガラッと変わります。

②LINE公式アカウントでの事前通知
常連のお客さんへの連絡は、LINEが一番素直に届きます。「いつも来てくださっているみなさんに先にお伝えしたくて」という書き出しだけで、受け取るお客さんの心持ちが変わります。

③ニュースレター・ハガキDM
LINEを使っていない常連さんにはアナログの手紙が刺さります。「ご不便をおかけしますが、引き続きよろしくお願いします」という一文が、長く通ってくれたお客さんへの誠実さを伝えます。

「値上げの告知文を書くとき、私はいつも『この店が好きなお客さんへの手紙』を書くつもりで書いてください、とお伝えしています。商業的な文章じゃなくて、人から人への言葉であることが伝わると、反応がまるで違います」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

値上げ後にリピーターを維持するフォロー設計

告知して値上げしたら終わりではありません。値上げ後の「最初の1〜2ヶ月」が、お客さんとの関係を深める大事な時期です。

値上げ後 STEP 1

来店時の「ありがとう」を増やす

値上げ後も来てくれたお客さんは、あなたの店の価値を認めてくれている方です。スタッフ全員で「来てくれていること」への感謝を言葉と態度で示す。これが再来店への最大の後押しになります。

⚠️ よくある失敗:値上げ後に接客の質が落ちると「高くなったのにサービスも悪い」と一気に離れるリスクがある。値上げ後こそ、接客・料理の質を上げる意識が必要。

値上げ後 STEP 2

LINE・DMで「その後の報告」をする

「値上げ後もたくさんのお客さんに来ていただき、ありがとうございます」という一言を、値上げから1ヶ月後に送ってみてください。お客さんは「自分の選択が正しかった」と感じます。これがリピート率の維持につながります。

⚠️ よくある失敗:値上げ告知だけして、その後の接点が途切れるパターン。来てくれたことへの感謝と「継続している報告」を届け続けることが重要。

値上げ後 STEP 3

看板メニューのブラッシュアップを続ける

値上げの直後に「新しい一品」や「季節の特別メニュー」を追加すると、お客さんに「価格が上がった分、店も進化している」という印象を与えられます。単に値段だけ上げるのではなく、店全体が前進している姿を見せることが大切です。

⚠️ よくある失敗:値上げ後に何も変えないと「ただ高くなった」という印象で終わる。価格の変化と同時に、体験の価値も高める工夫を続けること。

値上げに成功した経営者に共通していること

私がこれまで関わってきた飲食店の中で、値上げをうまく進めた経営者には共通点があります。それは「売上を意図的に作れる状態になっていた」ことです。

値上げへの恐怖は、突き詰めると「値上げしたら売上が落ちるかもしれない」という不安から来ています。でも、客数・客単価・来店頻度の3系統で売上を設計できている経営者は、値上げ後に客数が多少変動しても、客単価と再来店の仕組みでカバーできる自信があります。だから腹を据えて動けます。

「チラシとGoogle広告で新規のお客さんが来てくれるようになって、売上が月商620万円を超えてから、ようやく値上げに踏み切る勇気が出ました。客数の底上げができていたから、値上げ後に少し離れてもそこまで怖くなかった」

飲食店(居酒屋)オーナー

「LINE集客とフォローアップを仕組み化してから、リピート率が38%から71%になりました。常連さんとの関係が濃くなっていたので、値上げを告知したときも『応援してます』と返信をくれる方がいて、むしろ励まされました」

美容室(2店舗)オーナー

値上げは単体の施策ではなく、「売上の仕組みが整った上で進める一手」です。仕組みがないまま値上げだけするのは、足場なしで高いところに登るようなもの。まず客数・客単価・再来店の土台を整えることが先です。

まとめ:値上げは「誠実に伝えること」から始まる

飲食店の値上げは、進め方と伝え方次第で「お客さんを離す出来事」にも「信頼を深めるきっかけ」にもなります。

大事なのはこの3つです。

  • 値上げ前に「価値の棚卸し」をして、自分が納得できる根拠を作る
  • 告知は「理由と想いをセットで、先に、正直に」伝える
  • 値上げ後も接点を続け、来てくれたお客さんへの感謝を言葉にする

そして何より、値上げに踏み切れる経営者になるためには、売上を意図的に作れる仕組みを先に持っておくことが、一番の「安心の根拠」になります。

「うちの値上げ、どう進めたらいいか」「POPや告知文の書き方を相談したい」という方は、ぜひ一度のぞいてみてください。全国の飲食店・美容室・小売店オーナーが集まる場で、同じ悩みを持つ経営者と一緒に学んでいただけます。

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値上げを「恐れるもの」ではなく「経営者としての誠実な判断」に変えていきましょう。あなたの店が、適正な価格で長く選ばれる存在になることを、隣で応援しています。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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