3.儲かる販促と利益アップ

飲食店のメニュー構成が、売上を大きく動かす理由

突然ですが、一つ意外な話をさせてください。

飲食店の経営相談を受けていると、「メニューを増やしたら逆に売上が落ちた」というケースが、実は珍しくありません。私の肌感覚では、相談に来られる飲食店オーナーの6〜7割が、メニューの数や内容に問題を抱えているにもかかわらず、「メニューが原因とは思っていなかった」とおっしゃるんです。

「美味しいものを出しているのに、なぜか売上が伸びない」「いい食材を使っているのに、利益が残らない」——そう感じているなら、一度メニュー構成そのものを見直す価値があります。今日はそのことについて、私自身が見てきた現場の話も交えながら書いていきます。

📋 この記事でわかること

  1. なぜメニュー構成が売上と利益を大きく動かすのか
  2. メニューを増やすことが逆効果になる理由
  3. 「看板メニュー」と「客単価アップ」の設計の考え方
  4. メニュー構成を見直すための具体的な視点

こんな方におすすめ

  • ✅ 美味しい料理を出しているのに客数・売上が伸び悩んでいる飲食店オーナー
  • ✅ 客単価をもっと上げたいが、何から手をつければいいか分からない方
  • ✅ メニューを増やしたのに逆効果だった経験がある方
  • ✅ 利益を残せる飲食店経営に切り替えたい方
  • ✅ 忙しいのに手元にお金が残らないと感じている飲食店経営者
飲食店のメニュー構成が、売上を大きく動かす理由 | 増益繁盛クラブ、繁盛店研究所/増益繁盛クラブ(運営法人:有限会社繁盛店研究所、株式会社繁盛店研究出版、株式会社日本中央投資会/繁盛店グループ)

「とりあえずメニューを増やそう」——その発想が、利益を削る

私がコンサルタントとして独立したのは今から20年以上前のことです。最初の頃は飲食店の現場に足を運んでは、メニュー表を広げて経営者の方と一緒に頭を抱えていました。

ある居酒屋さんのことを今でも鮮明に覚えています。その店主は本当に料理が好きで、「お客さんに飽きさせたくない」という思いから、季節のたびにメニューを追加していた。2年も経つと、ランチとディナーを合わせて120品を超えていました。

ところが売上は横ばい。むしろじわじわ落ちていた。

その理由を一緒に探っていくと、いくつかのことが見えてきました。まず、品数が増えすぎてキッチンの段取りが複雑になり、提供スピードが落ちていた。原材料の種類が増えすぎてロスも増えていた。そしてなにより——お客さんが「何を頼めばいいかわからない」状態になっていたんです。

メニューを増やすことは、一見すると「お客さんへのサービス」に見えます。でも実際には、選択肢が多すぎると人は決断を避けます。心理学でいう「選択のパラドックス」ですが、飲食店の現場ではこれがダイレクトに注文数と客単価に影響してくる。

「メニューを増やすのは、料理人としての誠実さからくることが多い。でもビジネスとして見たとき、その誠実さが逆にお客さんを迷わせ、店を疲弊させていることがある。料理の腕と、経営の設計は、別の仕事なんです。」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

メニュー構成は「売上の設計図」である

私がメニュー構成を考えるとき、いつも「客数×客単価×来店頻度」という3つの軸で分解するところから始めます。

メニューはこの3つ全部に関係しています。

たとえば、新規のお客さんを引き込む「入口メニュー」があるかどうか。「この店、〇〇が有名らしい」と口コミで広がるような、分かりやすい看板になる一品があるか。これは客数に直結します。

次に、客単価を上げる「追加注文を促すメニュー構成」。デザート、サイドメニュー、ドリンクのセット提案——これらがメニュー表の中でどう見せられているかが、一人当たりの注文金額を変えます。

そして、また来たくなる「再来店を生む設計」。季節のおすすめを月替わりで用意する、常連さんだけが知っている裏メニュー的な存在感を作る——こういった工夫が来店頻度を押し上げます。

この3つを意識せずにメニューを並べると、「全部あるのに、どれも刺さらない」という状態が生まれます。逆に言えば、メニュー構成を見直すだけで、販促費をほとんど使わずに売上の方程式を動かせる可能性があるんです。

✓ ここまでのポイント

  • メニューを増やすことが、提供スピードの低下・原価増・お客さんの迷いを生む逆効果になりやすい
  • メニューは「客数・客単価・来店頻度」の3軸を動かす設計図として捉えることが大切
  • 料理の腕と経営の設計は別の仕事。両方を意識することが利益を残す経営への入口になる

「看板メニュー」をつくると、何が変わるのか

あの頃の居酒屋の店主に提案したことのひとつが、「看板メニューを1品決めること」でした。120品あるメニューの中から、その店が一番誇れる一品を絞り込み、メニュー表の一等地に大きく載せる。店内のPOPも、その一品の話から始める形に変えました。

最初は「他のメニューが売れなくなるんじゃないか」と心配されていました。でも実際は逆でした。看板メニューが決まったことで、初めて来たお客さんが「これを頼めばいい」と迷わなくなった。そしてその一品を気に入ったお客さんが、次は別のメニューも試してみようと注文を増やしていった。

看板メニューは「入口」です。入口が広くなると、奥まで足を運んでくれる人が増える。メニュー表は、その入口をどこに設けるかを決める設計図でもあります。

チェックポイント1:あなたの店に「看板メニュー」はありますか?

「うちの店の一番人気は何ですか?」と聞いたとき、店主が即答できない場合、お客さんにも伝わっていない可能性が高いです。

✅ ポイント:メニュー表を見直し、「初めて来たお客さんが迷わず頼める一品」を一等地に据える。POPや口頭での案内もそこに集中させてみる。

チェックポイント2:客単価を上げる「流れ」がメニューに設計されていますか?

「このメニューを頼んだ人は、こちらもよく合います」という追加提案が、メニュー表の中に自然に組み込まれているかどうか。ドリンクのセット提案、デザートへの誘導など、お客さんが自然と次の注文に進めるかどうかを確認してみてください。

✅ ポイント:客単価アップは値上げだけじゃありません。「追加しやすい構造をメニューに作る」ことが、最も摩擦の少いやり方です。

チェックポイント3:「値下げしないと来てもらえない」という構造になっていませんか?

クーポンやタイムサービスで集めたお客さんは、クーポンがなくなると来なくなります。それより「この店でしか食べられない」という価値をメニューで伝えることのほうが、長期的な再来店につながります。

✅ ポイント:価格で集めるのではなく、価値で選ばれる設計に。POPや手書きのポップでメニューの背景(産地・こだわり・誕生エピソード)を添えるだけでも、受け取られ方が変わります。

「チラシとGoogle広告を組み合わせてから、6ヶ月で月商が350万円から620万円に変わりました。新規客が約2倍になっただけでなく、客単価も1,400円上がりました。メニューの見せ方を変えたことも大きかったと思います」

居酒屋オーナー

「利益が残らない」の正体は、たいていメニュー設計にある

「忙しいのに手元にお金が残らない」——この悩みを持つ飲食店オーナーは本当に多いです。私が今まで指導してきた飲食店610件の中でも、最も多く聞いてきた言葉のひとつです。

この状態になる原因のひとつが、原価率の高いメニューばかりが売れている構造です。手間のかかる一品料理が注文を集めている一方で、原価率の低いドリンクやデザートがほとんど出ていない——こういうアンバランスが重なると、売上は立っているのに利益が薄い状態が生まれます。

メニュー構成を見直すとき、私はよく「メニューの利益マップを作ってみましょう」と提案します。縦軸に利益率、横軸に注文頻度を取ったシンプルな図です。利益率が高くて注文頻度も高いメニューが「稼ぎ頭」。利益率は高いが注文頻度が低いメニューは「見せ方を変えれば化ける候補」。こう整理すると、どこに力を入れれば利益が残りやすくなるかが見えてきます。

❌ よくあるパターン:原価率が高い「映えるメニュー」を増やして集客を狙う

  • 撮影目的の来店は単発になりがちで、リピーターが育ちにくい
  • 原材料コストが上がり続けても価格に転嫁できない構造になる
  • 忙しさが増すほど利益率が悪化していく

✅ 推奨アプローチ:「稼ぎ頭メニュー」を中心にした構成に整える

  • 利益率の高いメニューに自然と注文が集まる動線をメニュー表に作る
  • ドリンクやサイドメニューの追加提案を仕組み化する
  • POPで価値を伝え、値下げせずに適正単価で選ばれる状態を作る

メニュー構成を変えることは、経営の軸を変えること

ここまで読んでいただいて気づかれた方もいると思いますが、メニュー構成を見直すことは、単に「品数を減らす」とか「看板商品を決める」という話だけじゃありません。

「良いものを作れば報われる」という思い込みから、「価値を伝えて選ばれる設計をする」という考え方に切り替えること——そのマインドの転換が、実はメニュー改善の本質です。

私自身、独立直後は貯金が底をつき、妻と母から借金をした時期があります。そのとき痛感したのは「いいものを持っていても、伝え方と設計がなければ売上にならない」ということでした。飲食店の料理も同じです。どれだけ美味しくても、メニュー表という「設計図」が機能していなければ、その価値はお客さんに届かない。

売上は運任せじゃなく、設計で動かせます。メニュー構成はその最前線にあります。

「月商60万円の超赤字だったイタリアンが、メニューと販促の見直しを重ねることで月商470万円・利益200万円の状態になりました。最初の一歩はメニューの整理でした」

イタリアンレストランオーナー

まとめ:メニューは「料理の一覧」ではなく「売上の設計図」

今日お伝えしたかったことを整理します。

飲食店のメニュー構成は、客数・客単価・来店頻度の3つ全部に影響を与えます。品数を増やすことが必ずしも正解ではなく、看板メニューを設け、利益率の高いメニューに自然と注文が流れる構造を作り、価値を伝えて適正単価で選ばれる設計にする——この流れを意識するだけで、売上の動き方が変わってきます。

「忙しいのに利益が残らない」「値引きしないと来てもらえない」という状態は、多くの場合メニューの設計を見直すことで突破口が開けます。派手な集客施策を打つ前に、まず手元のメニュー表を「売上の設計図」として眺め直してみてください。

もし「自分の店のメニューが今どういう状態にあるか整理したい」「客単価アップや利益構造の見直しを一緒に考えてほしい」と感じているなら、ぜひ一度のぞいてみてください。全国の飲食店・美容室・小売店オーナー向けに、伴走型のサポートをご用意しています。

一人で抱え込まずに、まず情報収集から始めてみましょう。お待ちしています。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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