結論から言うと、美容室の価格を「周辺の相場に合わせる」だけで決めるのは、利益を自分から削りにいく行為です。その理由と、代わりにどう考えるべきかを、この記事でステップに沿ってお伝えします。
「近くのサロンがカット4,500円だから、うちも4,500円にしておこう」──この判断、一見無難に見えて、実は一番危ないパターンです。相場に合わせた瞬間、あなたの店は「価格という土俵」で戦うことを宣言したことになります。そしてその土俵は、体力のある大手チェーンが圧倒的に有利な場所です。
私がこれまで150件以上の美容室・サロンの経営を支援してきた中で、「値段が高いから選ばれない」と悩んでいたオーナーさんが、価格設定の考え方を変えただけで売上と利益が同時に改善したケースを何度も見てきました。今日はその考え方を、具体的なステップでお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 周辺相場に合わせる価格設定が利益を圧迫する構造的な理由
- 自店の「適正単価」を見つけるための3つの確認ステップ
- 値上げせずに客単価を上げる、既存業態の中での第二の柱の作り方
- 価値を伝えて「高くても選ばれる」サロンになるための販促の入り口
こんな方におすすめ
- ✅ 周辺サロンの価格を参考に料金を決めてきたが、手元に利益が残らないと感じている方
- ✅ 客単価を上げたいけれど、値上げするとお客さんが離れないか不安な美容室オーナー
- ✅ ホットペッパービューティーのクーポンに依存した集客から抜け出したい方
- ✅ 今の売上の柱に加えて、もう一本収益の柱を作ることを考えている方
- ✅ 「安売り以外の戦い方」を具体的に知りたいサロン経営者

相場に合わせた価格が「利益を食いつぶす」理由
相場価格に合わせることの何が問題か、まず構造から整理します。
周辺の美容室と同じ価格帯に設定した場合、お客さんが「どこに行こうか」と考えるとき、価格以外の差が見えにくくなります。そうなると「口コミが多い方」「クーポンが安い方」という比較になりがちで、結果としてさらなる値下げやクーポン合戦に引き込まれていく。
価格で来たお客さんは、価格で去ります。これは美容室に限らず、飲食店でも小売店でも同じ構造です。
もう一つ見落とされがちな問題があります。美容室のコストは、家賃・人件費・材料費といった固定的な部分が大きい。つまり、相場価格で売っていても、自分の店の原価構造に合っているとは限らない。「近くが4,500円だからうちも4,500円」は、近くの店の利益率があなたの店の利益率と同じだと仮定した計算ですが、実際は店ごとに家賃も人件費も違います。
「価格は周りに合わせるものではなく、自分の店の価値と原価から逆算して決めるものです。相場は『参考』であって『正解』ではない。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
「相場に合わせているのに利益が残らない」という詰まりは、自店の客単価・来店頻度の伸びしろが数字で見えていないことから来ています。繁盛店ポータルに登録すると、AIがあなたの業種・状況に合わせて経営の軸と伸びしろを整理する「増益繁盛プランナー」を無料で使えます。メール登録のみ、1分で開設できます。
STEP 1:まず「今ある柱の太さ」を確認する
価格設定を見直す前に、最初にやるべきことがあります。それは、今の売上の構造を「客数×客単価×来店頻度」の3つに分解して、どこに伸びしろが残っているかを確認することです。
価格見直し STEP 1
自店の3系統を数字で確認する
月商を客数・客単価・来店頻度に分解してみてください。たとえば月商300万円の店が、客数150人・客単価20,000円・月1.0回来店という構造なら、客単価が1,000円上がるだけで月商は15万円増えます。ここを確認せずに「新しいメニューを作ろう」「新サービスを始めよう」と動くのは、漏れたバケツに水を足し続けるのと同じです。
⚠️ よくある失敗:「客数が少ないから集客しよう」と広告を打つ前に、来てくれているお客さんの客単価と再来店率を確認していないケース。実はリピート率と単価に大きな伸びしろが残っていることが多い。
価格見直し STEP 2
「相場価格」と「自店の損益分岐単価」を並べて比較する
月の固定費(家賃・人件費・材料費・光熱費など)を、月間の施術可能人数で割ると、「1人あたり最低いくら必要か」が出ます。この数字と現在の客単価を比較したとき、利益が残る水準になっているかどうかを確認してください。多くのサロンで、この計算をしたことがないまま「相場だから」という理由で価格を据え置いているケースが見られます。
⚠️ よくある失敗:材料費と人件費しか見ておらず、家賃や自分の労働報酬を原価に含めていないケース。特に一人サロンのオーナーは、自分の時間をコストとして計算していないことが多い。
価格見直し STEP 3
客単価を上げる前に「提供価値の言語化」をする
値上げそのものよりも先にやるべきことは、今の価格でも伝えられていない価値を言葉にすることです。施術の丁寧さ、使っている薬剤の品質、アフターフォローの手厚さ、オーナーの経歴や専門性──これらが伝わっていない状態で値上げをすると、お客さんには「ただ高くなった」と映ります。POP、SNSの投稿、メニュー表の説明文など、接点ごとに価値を伝える言葉を整える。これが先です。
⚠️ よくある失敗:「うちのこだわりはお客さんが分かってくれている」という思い込み。伝えていないことは、伝わっていないと思って間違いない。
✓ ここまでのポイント
- 相場に合わせた価格は、自店の原価構造と合っていない可能性がある
- 価格見直しの前に、客数・客単価・来店頻度の3系統で現状を数字で確認することが出発点
- 値上げより先に「提供価値の言語化」をしないと、お客さんには「ただ高くなった」と映る
既存の柱の中に第二の収益軸を見つけるといっても、「具体的に何から手をつければいいか」で止まってしまう方が多いのが現実です。増益繁盛クラブでは、客単価の適正化・再来店対策・価値の言語化を業態に合わせて整理し、一人で抱え込まずに進められる環境があります。申込フォームへの入力のみで参加できます。
STEP 2:既存の柱の中に「第二の収益軸」を見つける
価格設定の話をしていると、「もう一本、収益の柱を作りたい」という声が必ずセットで出てきます。これは非常に自然な発想で、特にコロナ禍以降、「一本足打法は怖い」と感じているオーナーさんが増えました。
ただ、ここで注意してほしいのは、「新しいビジネスをゼロから作る」ことを最初に考えないでほしいということです。
私がいつも最初にお伝えするのは、「今ある柱の太さをまず確認しましょう」ということ。客数・客単価・来店頻度のどこかにまだ伸びしろがあるなら、既存のサロンの中に第二の柱を作れる場合が非常に多い。
美容室で言えば、具体的にはこういった展開が考えられます。
❌ よくあるパターン(新規事業で焦る)
- 「ネイルも始めよう」「エステ機器を入れよう」と設備投資から入る
- 「物販を始めよう」と仕入れたが、売り方が決まっておらず在庫になる
- 「オンラインレッスンを始めよう」と動いたが、既存客への告知が追いつかない
✅ 推奨アプローチ(既存資産を活かす)
- すでに来てくれているお客さんへのホームケア商品(店販)の提案を仕組み化する
- 「次回予約」を当日にとる仕組みを作り、来店頻度を上げることで月商を底上げする
- ギフト券・体験チケットなど、既存顧客が「人に渡せる形」にして新規紹介を増やす
- 得意な施術(ヘッドスパ、カラー、パーマなど)を専門特化してメニュー構成を組み直す
月商45万円だった町の理容室が、「メンズパーマ専門店」として業態を再定義することで再生したケースがあります。新しいビジネスを始めたのではなく、今あるものの「見せ方」と「届け方」を変えた結果です。
「コロナ禍だけで10回以上メディア取材を受けた会員がいます。特別なことを始めたわけではなく、自分の店の価値をプレスリリースという形で言語化して発信し続けた。それだけで取材が来るようになった。価値は、伝えないと存在しないのと同じです。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
これは美容室でも全く同じことが言えます。「うちの強みはこれです」と言語化して発信する。それが価格の根拠になり、第二の柱になる入り口にもなります。
STEP 3:「価値を伝える接点」を一つずつ整える
適正単価で選ばれるサロンになるための最終ステップは、価値を伝える接点を地道に整えることです。派手な広告よりも、地味な販促を「すぐに」「継続して」やり切ることの方が、長期的に効きます。
チェックポイント①:メニュー表に「なぜその価格か」が伝わる説明があるか
「カット 5,500円」と書いてあるだけのメニュー表と、「カット 5,500円|仕上がりが3週間持続するカット技術、使用シザー〇〇使用」と書いてあるメニュー表では、お客さんが受け取る価値の重さが違います。
✅ ポイント:メニュー表は「価格の一覧」ではなく「価値の説明書」として設計し直す。
チェックポイント②:Googleビジネスプロフィールの口コミに丁寧に返信しているか
口コミへの返信は、書いた人だけでなく、これからお店を探している全員が読んでいます。「ありがとうございました」一行で終わらせず、サービスのこだわりを一文添えるだけで、価値の伝わり方が変わります。
✅ ポイント:返信文はAIを使って下書きを作り、最後だけオーナーが確認する形にすると継続しやすい。
チェックポイント③:LINE公式アカウントで再来店の仕組みが動いているか
新規集客より再来店の方が、コストが圧倒的に低い。次回予約を当日に取る仕組みと、来店後のLINE配信によるフォローアップが重なると、リピート率が大きく変わります。
✅ ポイント:LINE配信は「月に何回送るか」を先に決めてしまい、スケジュールに落とすことで、思いつきから外す。
「月商260万円だったサロンが340万円になりました。値下げは一切せず、施術時間を短縮しながら感謝されて単価が上がる喜びを得られました。」
大人女性向けサロン(女性・50代)
まとめ:相場を「参考」にしながら、価値から価格を逆算する
美容室の適正価格を決めるとき、周辺相場は「参考情報」の一つでしかありません。それだけを根拠にすると、自分の店の原価構造とズレた価格で勝負することになり、働いた分だけ利益が消えていく構造になります。
今回お伝えした流れをまとめます。
- まず「客数×客単価×来店頻度」の3系統で現状を把握し、伸びしろを特定する
- 新しいビジネスを始める前に、既存の資産(顧客・施術・強み)の中に第二の収益軸がないか確認する
- 値上げより先に「提供価値の言語化」をする。伝わっていない価値は存在しないのと同じ
- メニュー表・口コミ返信・LINE配信という地味な接点を一つずつ整え、継続する
「安くしないと選ばれない」という不安は、多くのサロンオーナーさんが一度は通る道です。ただ、その不安の正体は多くの場合、「価値が伝わっていないこと」への不安です。価格を下げなくても、伝え方を変えることで選ばれ方は変わります。
21年間、全国の店舗経営者と向き合ってきた中で、一つ確信していることがあります。価値で選ばれるようになった店は、経営者自身の顔が変わります。料理を作る楽しさが戻ってくる飲食店のオーナーと同じように、施術への自信が戻ってくるサロンのオーナーを、私は何人も見てきました。あなたの店にも、それは必ずあります。
「価値を伝えて適正単価で選ばれる店に変えたい」と思いながら、一人だと続かないのが販促の現実です。増益繁盛クラブには、同じ景色を見ている全国の仲間と、月2回のグループコンサルでジョイマンに直接相談できる仕組みがあります。まず申込フォームに必要事項を入力するだけで、次の一歩が動き出します。