先日、会員の飲食店オーナーからこんな相談が届きました。
「ジョイマンさん、Uber Eatsの手数料が下がると聞いたんですけど、これってチャンスですよね? デリバリーにもっと力を入れようかと思って」
その方は居酒屋を営んでいて、コロナ禍にテイクアウトとデリバリーに手を広げた経験がある。デリバリーのプラットフォーム手数料の高さに頭を悩ませていた一人です。
手数料が下がるなら喜ばしい話のようにも聞こえますが、「なぜ下がるのか」という背景まで見ておかないと、飲食店側の判断を誤ることがある。そう思ってこの記事を書くことにしました。
韓国発のEC・デリバリー大手「クーパン(Coupang)」が日本市場に本格参入し、既存プレイヤーを揺さぶっている──この話、あなたの店の経営にも確実に関係があります。
📋 この記事でわかること
- クーパン参入がUber Eats・出前館の価格引き下げを招いた構造的な理由
- デリバリープラットフォームの手数料変化が飲食店の利益にどう影響するか
- 価格競争に巻き込まれずにデリバリーを活用するための考え方
- デリバリー依存から抜け出し、自店の顧客資産を守る具体的な方向性
こんな方におすすめ
- ✅ デリバリープラットフォームの手数料に悩んでいる飲食店オーナー
- ✅ クーパン参入のニュースを見て「うちはどうすればいい?」と感じた方
- ✅ Uber Eats・出前館に依存しすぎているかもと不安を感じている方
- ✅ デリバリーを使いながら、自店の利益をしっかり確保したい方
- ✅ 値下げ・手数料競争に巻き込まれない店の作り方を知りたい方

クーパンとは何者か──韓国の「アマゾン超え」が日本に来た
クーパンは韓国でアマゾンをしのぐシェアを持つとも言われるEC・デリバリーの巨人です。「ロケットデリバリー」と呼ばれる超高速配送で知名数を上げ、韓国国内では食料品・日用品・外食デリバリーまでをほぼワンプラットフォームで握っています。
そのクーパンが日本市場に本格的な食品・デリバリー事業を引っ提げて参入してきた。競合他社にとってこれは、「また一つ新しいアプリが出た」という話ではありません。圧倒的な物流インフラと資本力を背景に、価格と利便性で市場を一気に奪いにくるプレイヤーが入ってきた、ということです。
Uber Eatsも出前館も、このクーパンの動きを受けて手数料体系や消費者向け価格の見直しに動いています。表向きは「利用者のため」「加盟店のため」と言いますが、背景には競争圧力がある。市場を守るためのリアクションです。
ここを理解しておくと、「手数料が下がった=プラットフォームが優しくなった」という読み方が浅いことがわかります。
手数料が下がっても「喜べない」理由
手数料が下がれば飲食店の取り分が増える。理屈としては正しい。ただ、同時に起きていることを見落とすと、長期的には損をします。
プラットフォーム間の競争が激しくなると、消費者向けのキャンペーン・値引きが増えます。「初回無料」「〇〇円オフ」「送料無料キャンペーン」──これらのコストは、最終的に加盟店の手数料や商品価格に転嫁されていく構造です。今は手数料が下がっていても、キャンペーン原資の分担を求める形で間接的に負担が増える可能性がある。
また、価格競争が激化すると、プラットフォームは加盟店に対して「値引きに協力しろ」という圧力をかけやすくなります。特定のキャンペーンへの参加を実質的に強いられたり、参加しない店は検索順位が下がるといった構造は、すでに海外市場で起きてきたことです。
「手数料が下がった、だからデリバリーに力を入れよう──この順番で考えると、プラットフォームのルールに自分の商売を合わせていくことになる。本来は『自分の店が何を売りたいか』が先にあって、それを届ける手段としてデリバリーを使う、という順番のはずです」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
✓ ここまでのポイント
- クーパン参入による競争圧力が、Uber Eats・出前館の価格見直しを後押しした背景がある
- 手数料低下は「プラットフォームが友好的になった」ではなく、競争上のリアクション
- 消費者向けキャンペーン増加による間接的コスト増のリスクも同時に見ておく必要がある
❌と✅で見る「デリバリー依存」と「デリバリー活用」の違い
ここで、デリバリーとの向き合い方を比較してみます。
❌ プラットフォーム依存型(よくあるパターン)
- Uber Eats・出前館に登録してそのまま運用、顧客情報は一切手元に残らない
- プラットフォームのキャンペーンに引っ張られて値引きを繰り返す
- デリバリーの売上が上がると「稼いでいる」と感じるが、手数料・包材・配送調整コストを引くと利益は薄い
- プラットフォームが方針を変えた瞬間に、売上が一気に落ちるリスクを抱えている
✅ デリバリーを「入口」として設計する活用型(推奨アプローチ)
- デリバリーで初回接触したお客さんを、LINE公式アカウントや自社テイクアウト・店内来店へと引き込む仕組みを作る
- デリバリー限定メニューを設計し、店内客単価・商品構成とは切り分けて原価・利益を管理する
- プラットフォームの顧客情報に頼らず、自前のリスト(LINEフォロワー・ハガキDMリスト)を育てていく
- デリバリー経由で「この店いい」と思ったお客さんが、次は店頭に来るような仕掛けを包材や同梱物で作る
価格で来たお客さんは、価格で去る。これはデリバリーでも全く同じです。クーポンや割引で呼び込んだお客さんは、もっと安い店が出てきたら移動してしまう。プラットフォームが変わっても動じない顧客資産を自分の手で持つ。これがデリバリー活用の本質です。
「月商350万円だったお店が、チラシとGoogle広告を組み合わせて6ヶ月で620万円になった事例があります。デリバリーへの依存ではなく、複数の接点を設計して客数と客単価を同時に動かしたことが大きかった」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
「チラシとGoogle広告を始めてから、新規のお客さんが明らかに増えました。半年で月商が620万円まで上がって、客単価も1,400円ほど上がりました。プラットフォームに頼るより、自分で集客できる感覚が全然違います」
飲食店(居酒屋)オーナー
デリバリー市場の変化を「自店の利益設計」に活かす考え方
では、クーパン参入・手数料変化という外部の動きを、あなたの店の経営にどう取り込むか。チェックポイントとして整理します。
チェックポイント①:今のデリバリー利益率を正確に把握しているか
売上金額だけ見ていると、利益が残っているように見えます。手数料・包材費・専用仕込みの人件費・廃棄ロスを全部乗せた「デリバリー単体の利益率」を一度計算してみてください。思っているより薄いことが多い。
✅ ポイント:月1回でも構わないので、デリバリーの売上・コスト・利益を他の売上と切り分けて集計する習慣をつけること。
チェックポイント②:プラットフォームに顧客情報が全部取られていないか
Uber Eatsも出前館も、注文者の連絡先は店舗に渡りません。誰がどれだけ注文してくれているかわからない状態は、繰り返し来てもらうための働きかけができないことを意味します。
✅ ポイント:同梱するメッセージカードや包材に「LINE登録で次回特典」など、自前のリストに移行させる導線を必ず作ること。
チェックポイント③:クーポン・キャンペーン参加の意思決定を「なんとなく」でやっていないか
プラットフォームが「キャンペーンに参加しませんか」と声をかけてくるとき、その割引原資の負担割合を必ず確認してください。一見集客につながるように見えても、割引後の単価で利益がマイナスになるケースがあります。
✅ ポイント:「キャンペーン参加=集客」と短絡せず、参加前に損益を試算する。断るという判断も経営です。
チェックポイント④:デリバリーがなくなっても生き残れる体力が店にあるか
プラットフォームが撤退する、手数料が急騰する、アルゴリズムが変わって検索順位が落ちる──外部環境の変化はいつでも起き得ます。デリバリーに売上の大半を依存している場合、この「もしも」への備えが薄くなっています。
✅ ポイント:デリバリー・店内・テイクアウト・リピーター収益の比率を定期的に確認し、一点依存にならない売上の組み立てを意識する。
デリバリーの変化を「追い風」に変えるための販促の組み方
デリバリー市場が競争激化で動いているこのタイミングは、逆に言えば「プラットフォーム依存から自立した集客に切り替えるきっかけ」として使えます。
私が会員の飲食店オーナーと一緒に取り組んでいるのは、紙・ネット・AIを組み合わせた集客の設計です。デリバリーはあくまで「接点の一つ」として位置づけ、そこから自前の顧客リストへ、そして再来店へとつながる仕組みを作る。
具体的には、こんな方向性です。
Googleビジネスプロフィール(MEO)で地域の検索流入を確保し、口コミ返信をAIのサポートで継続する。LINE公式アカウントでデリバリー経由のお客さんを自前リストに取り込み、ハガキDMやニュースレターで定期的な接点を作る。POPやテイクアウト同梱のメッセージで「次は店に来てほしい」という理由を作る。
どれも地味に見えるかもしれません。でも、地味な販促を「すぐに」「継続して」やり切ることが、プラットフォームの動向に左右されない店の体力になります。
「月商60万円で赤字続きだったイタリアンが、月商470万円・利益200万円まで変わりました。派手な打ち手をやったわけじゃない。お客さんへの接点を地道に増やし続けた積み重ねです」
飲食店オーナー(増益繁盛クラブ会員)
まとめ:外部環境の変化を「他人事」にしない経営者であること
クーパンの参入という「黒船」が、デリバリー業界全体の価格競争に火をつけた。Uber Eatsや出前館が手数料・価格を見直しているのはその直接的な反応です。
飲食店オーナーとして、この変化を「手数料が下がってラッキー」で終わらせるか、「プラットフォーム依存の構造を見直す機会」として使うか。この二つの間には、数年後の経営体力に大きな差がつきます。
デリバリーを使うことは悪くない。問題は「使われている」状態で気づかないことです。
外部環境が変わっても動じないために必要なのは、自前の顧客リスト、再来店の仕組み、そして「売上は意図的に作れる」という経営者としてのマインドです。
飲食店・美容室・小売店の経営者向けに、こうした販促の仕組みづくりを伴走型でサポートしているのが「増益繁盛クラブ」です。北海道から沖縄、海外在住の会員も含め、833件以上の指導実績をもとに、あなたの店の状況に合わせた打ち手を一緒に考えていきます。
「デリバリーとの付き合い方を整理したい」「プラットフォームに頼らない集客の仕組みを作りたい」という方は、まず下記からどうぞ。お気軽にのぞいてみてください。
また、全国の飲食店・美容室・小売店オーナーが集まるコミュニティへの参加も受け付けています。同じ課題を持つ経営者同士でつながりながら、販促の知恵を積み重ねていける場所です。
一人で抱えず、一緒に考えましょう。お待ちしております。