3.儲かる販促と利益アップ

飲食店の値上げをいつ進めるべきか、判断の視点を整理します

飲食店を経営するオーナーの約7割が、直近2年間で仕入れコストの上昇を感じながらも、値上げを「先送りにした」という調査結果があります。値上げをためらう気持ちは痛いほどわかります。でも、ためらったままでいると、忙しく働けば働くほど利益が消えていく構造から抜け出せなくなります。

この記事では、飲食店の値上げをいつ・どのように進めればいいか、判断の視点を丁寧に整理していきます。「値上げをしたいけれど、客が逃げそうで怖い」と感じているあなたに、具体的な考え方をお渡しできればと思います。

📋 この記事でわかること

  1. 値上げの判断を先送りにすることのリスクと構造的な問題
  2. 値上げを検討すべき具体的なサインと数字の読み方
  3. 値上げに適したタイミングとその選び方
  4. お客さんに受け入れられる値上げの進め方と価値の伝え方

こんな方におすすめ

  • ✅ 原材料費や光熱費の上昇で利益が圧迫されている飲食店オーナーの方
  • ✅ 値上げをしたいが「お客さんが離れるのでは」と踏み切れない方
  • ✅ 現在の客単価が適正かどうか自信が持てない方
  • ✅ 忙しいのに手元にお金が残らないと感じている方
  • ✅ 価格ではなく価値で選ばれる店にしていきたい方
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値上げを先送りにすると何が起きるのか?

値上げを先送りにした飲食店に起きることは、シンプルです。原価は上がる、売上は横ばい、利益だけが削れ続けていく。これが現実です。

たとえば、月商500万円・原価率35%だとすると、原材料が5%上がるだけで月25万円の利益が消えます。年間で300万円です。この数字を見ると、「値上げを先送りにする」というのがどれほどリスクの高い選択かが伝わると思います。

値下げやクーポンで集めたお客さんが価格で去っていくのと同じように、価格を据え置いたまま原価だけが上がり続けると、店の体力が静かに奪われていきます。これは「じわじわ悪化する問題」で、気づいたときには立て直しが難しい状態になっていることもあります。

「忙しさと儲かりは別物です。回転を上げても、原価と単価の設計が合っていなければ、働くほど利益が薄くなる。そこに気づいたときが、値上げを真剣に考えるスタートラインです。」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント・中小企業診断士)

私自身、833件以上の飲食店・美容室・小売店の経営支援に関わってきました。値上げを怖がって先送りにした結果、2〜3年後に取り返しのつかない状態になったケースを何件も目にしています。だからこそ、早めに向き合ってほしいのです。

値上げを検討すべきサインとは何か?

値上げを考えるタイミングは、感覚ではなく数字から判断します。以下のチェックポイントを確認してみてください。

チェックポイント①:原価率が上昇していないか

仕入れ価格が上がったにもかかわらず、メニュー価格を据え置きにしていると、原価率は自然と上がっていきます。飲食業の適正原価率は業態にもよりますが、一般的に30〜35%が目安です。これを超えている場合、まず構造を見直す必要があります。

✅ ポイント:月次で原価率を計算する習慣をつけましょう。感覚で「なんとなく利益が薄い」ではなく、数字で把握することが第一歩です。

チェックポイント②:客単価が3年以上変わっていないか

3年以上メニュー価格を変えていない店は、物価上昇分だけ実質的に値下げを続けている状態です。お客さんには「変わっていない」と見えても、店の利益は確実に目減りしています。

✅ ポイント:競合他店の価格動向も確認してみてください。周辺の同業が値上げをしているなら、あなたの店が値上げをしても違和感は出にくいタイミングです。

チェックポイント③:光熱費・人件費が売上に対して重くなっていないか

原材料費だけでなく、光熱費や最低賃金の上昇も飲食店の利益を圧迫します。売上が横ばいなのにコストだけが増えているなら、それは値上げを検討すべきサインです。

✅ ポイント:FL比率(食材費+人件費÷売上)を計算してみてください。60%を超えているなら、構造的な見直しが急務です。

✓ ここまでのポイント

  • 値上げを先送りにすると、原価上昇分が丸ごと利益を削り続ける構造になる
  • 原価率・客単価・FL比率の3つを数字で確認することが、値上げ判断の起点になる

値上げに適したタイミングはいつか?

値上げには「やりやすいタイミング」があります。感情や勢いで進めるより、このタイミングを意識するだけで、お客さんの反応が変わります。

❌ 避けたい値上げのパターン

  • 突然のメニュー価格改定。理由の説明なし、告知なし
  • 繁忙期の直前に値上げして「せっかく来たのに」という印象を与える
  • 競合が値上げしていないタイミングに一店舗だけ先行して大幅値上げ

✅ 受け入れられやすい値上げのアプローチ

  • メニュー改訂・季節切り替えのタイミングに合わせて変更する(「リニューアル」の文脈に乗せる)
  • 値上げの前に、ニュースレターやLINE配信で理由と想いをお客さんに丁寧に伝える
  • 周辺競合が値上げしはじめた「波」の中で動く(一人だけ浮かない)
  • 単純な値上げではなく、新メニューの追加や盛り付けの見直しと組み合わせる

特におすすめなのは、季節の切り替わり(4月・10月など)です。この時期はお客さん自身も「新しくなった」という感覚を受け入れやすい。メニュー表を刷新するついでに価格を見直すのは、心理的な抵抗が少ない方法の一つです。

値上げをしても客が離れないようにするにはどうすればよいか?

値上げをして客が離れるかどうかは、価格の問題ではなく「価値が伝わっているかどうか」の問題です。これは断言できます。

私が支援してきた中で、値上げをしたことで逆にお客さんの満足度が上がったケースがあります。値上げの前にしっかりと「なぜこの価格にするのか」を伝えた店では、常連のお客さんから「値上げしても来るよ」という声が自然に集まりました。

「安くしないと選ばれないのでは、という不安は多くの経営者が通る道です。でも、価格で集めたお客さんは価格で去ります。伝えるべきは値段ではなく、価値です。POPでも、メニューの説明文でも、ニュースレターでも、その価値をきちんと届けることが先にある。」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント・中小企業診断士)

具体的には、以下のような打ち手が有効です。

値上げを価値で支える実践ステップ

値上げ準備 STEP 1

POPやメニュー説明文で素材・こだわりを言語化する

「〇〇産の朝採れ野菜を使用」「仕込みに12時間かけたスープ」など、当たり前にやってきたことを文字にして見せましょう。お客さんはその背景を知らないことが多いです。

⚠️ よくある失敗:「こだわりはあるのに書いていない」状態。伝えなければ、お客さんにとってはこだわりがないのと同じです。

値上げ準備 STEP 2

ニュースレター・LINE配信で値上げの理由と想いを事前に伝える

「原材料費の上昇に伴い、〇月より価格を改定いたします。引き続き変わらぬ品質でお届けするため、ご理解いただけますと幸いです」という一文は、関係性ができているお客さんには十分伝わります。突然ではなく、事前に伝えることで印象はまったく違います。

⚠️ よくある失敗:告知なしでの値上げ。気づかなかったお客さんが会計で驚き、不信感につながるケースがあります。

値上げ準備 STEP 3

看板メニューの価値を再設計する

値上げのタイミングは、看板メニューをブラッシュアップするチャンスでもあります。盛り付けを見直す、器を変える、提供の仕方にひと工夫加える。「同じ価格では食べられないもの」という印象をつくることで、値上げ後の満足度は上がります。

⚠️ よくある失敗:価格だけ上げて内容はそのまま。「値上げした割に変わっていない」という印象は、価値の低下に見えてしまいます。

「チラシ+Google広告を組み合わせてから新規客が約2倍になり、客単価も1,400円上がりました。以前は値上げが怖くてできなかったのに、集客の仕組みができると不思議と強気になれるんですよね。」

飲食店(居酒屋)オーナー/月商350万円→620万円(6ヶ月)

値上げ後にやるべきことは何か?

値上げをして終わりではありません。値上げ後こそ、お客さんとの関係を丁寧に育てることが大切です。

値上げ直後の1〜2ヶ月は、客数の動きを丁寧に追ってください。客数・客単価・来店頻度のどれがどう変わったかを数字で確認します。もし客数が落ちたとしても、客単価が上がって利益が増えているなら、それは正しい方向への変化です。逆に、客数も客単価も落ちているなら、価値の伝え方を見直す余地があります。

また、値上げ後に既存のお客さんをしっかりつなぎ留めるために、ハガキDMやLINE配信などの定期接点は欠かさないようにしてください。「値段が上がったけど、このお店は自分のことを大切にしてくれている」という感覚が、リピートの基盤になります。

「LINE集客とフォローアップを自動化したことで、リピート率が38%から71%に上がりました。値上げをしてもリピーターが増えたのは、関係性を丁寧に育てていたからだと思います。」

美容室オーナー(2店舗経営)/月商1.6倍(年間)

まとめ:値上げは怖くない。怖いのは、判断を先送りにし続けることです

飲食店の値上げタイミングについて整理してきました。大切なのは、値上げをするかどうかより、「価値を伝えた上で適正な価格をいただく」という姿勢を持つことです。

値下げで集めたお客さんは値下げで去ります。でも、価値を伝えて選ばれたお客さんは、値段が上がっても戻ってきてくれる。これが、長く続く繁盛店の土台です。

私はこれまで飲食店だけで610件以上の経営支援に関わり、値上げに踏み切って業績が好転した店をたくさん見てきました。経験21年のコンサルタントとして言えることは、「準備なしの値上げ」は危険ですが、「価値を伝えた上での値上げ」は、店の体力を取り戻す正しい一手だということです。

まず自分の店の原価率・客単価・FL比率を確認してみてください。そこから見えてくるものが、値上げ判断の出発点になります。一人で抱え込まず、一緒に考えていきましょう。

値上げの進め方、価値の伝え方、お客さんとの関係づくりについて、もっと具体的に学びたい方は、以下からご覧ください。同じような悩みを持つ全国の経営者とともに、着実に前進できる場所をご用意しています。お気軽にのぞいてみてください。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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