3.儲かる販促と利益アップ

飲食店の客単価アップで、無理なく続けられる仕組みづくり

先日、ある居酒屋オーナーの方からこんな相談をいただきました。「お客さんは来てくれているのに、なぜかお金が残らない。レジを締めるたびに、今日もギリギリだな……と感じる日が続いています」というご相談でした。

詳しく話を聞いてみると、お店は毎晩それなりに席が埋まっている。回転も悪くない。でも客単価が低いまま推移していて、売上の総量が上がりきらない状態でした。

飲食店の客単価アップというテーマは、「単価を上げること」と「仕組みとして続けること」の2つを一緒に考えないと、やがて立ち消えになります。今回は、現場でよく聞かれる疑問を一つひとつ取り上げながら、無理なく続けられる単価アップの形をお伝えしていきます。

📋 この記事でわかること

  1. 飲食店の客単価がなぜ上がらないのか、その根本的な理由
  2. メニュー設計とPOPで、値下げせずに単価を引き上げる具体的な方法
  3. サイドオーダー・追加注文が自然に生まれる仕組みのつくり方
  4. 単価アップの取り組みを「一時的」で終わらせないための継続の仕掛け

こんな方におすすめ

  • ✅ 席は埋まっているのに利益が残らないと感じている飲食店オーナーの方
  • ✅ クーポンや値引きに頼らず、適正単価で選ばれたいと思っている方
  • ✅ メニュー設計やPOPを見直したいが、何から手をつければいいかわからない方
  • ✅ 単価アップの施策を試したことがあるが、続かなかった経験のある方
  • ✅ 客数は増やさず、今いるお客さんとの関係を深めて売上を伸ばしたい方
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飲食店の客単価がなぜ上がらないのか?

客単価が上がらない最大の理由は、「単価を上げる仕組みが存在していない」からです。

多くの飲食店では、お客さんが席に着いてメニューを開いて、自分で好きなものを注文して終わり──という流れになっています。その流れの中に、追加注文や上位商品への誘導が設計されていない。つまり、単価を上げる「きっかけ」が何もない状態で営業を続けているわけです。

「美味しいものを出していれば、お客さんはもっと注文してくれるはず」という期待を持つ方もいますが、残念ながら味と単価アップは直結しません。味は前提であって、集客の仕組みでも単価を上げる仕組みでもないのです。

単価を上げるには、意図的にそのための接点を設計する必要があります。自然に任せていては、客単価は横ばいか、じわじわ下がっていくのが現実です。

チェックポイント1:あなたのお店に「単価を上げるきっかけ」はあるか

メニュー表を手に取ったとき、お客さんは「何を追加しようか」と考えるでしょうか。それとも、「これとこれでいいか」と最初の2品で閉じてしまうでしょうか。

✅ ポイント:テーブル上にPOPや卓上メニューなど「追加注文のきっかけになる物」が置かれているか確認してみてください。何もなければ、まずそこから手をつけましょう。

チェックポイント2:メニューの価格設計は「値ごろ感」だけで決まっていないか

「他の店より少し安くしておこう」という発想でメニュー価格を決めていると、単価は永遠に上がりません。価格設計の基準を「競合との比較」ではなく「提供する価値」に置き換えることが出発点です。

✅ ポイント:一品ごとに「この価格は、この料理の価値に対して適正か」を改めて問い直してみましょう。

✓ ここまでのポイント

  • 客単価が上がらない根本は「単価を上げる仕組みがない」こと
  • 味の良さは前提であって、単価を動かす仕掛けにはならない
  • 価格設計の基準を「競合比較」から「提供価値」へ切り替えることが先決

メニュー設計で客単価を引き上げるには?

メニュー設計で単価を上げるポイントは大きく2つです。「看板メニューを1つ決める」ことと、「価格帯の構成を意図的に組む」ことです。

看板メニューとは、そのお店を象徴する一品のことです。「あのお店といえばこれ」と言われるものがあると、お客さんはそれを頼む前提でお店に来ます。その一品を軸にして、サイドやドリンクが自然にセットで注文される流れをつくることが、仕組みとしての単価アップにつながります。

価格帯の構成については、「松竹梅」の考え方が参考になります。メニューを低・中・高の価格帯に分けて並べると、多くのお客さんは中程度を選ぶ傾向があります。意図的に「中」の価格帯を少し上に設定することで、自然に単価を引き上げることができます。

重要なのは、この設計を「値上げ」と感じさせないことです。価値を伝えたうえで適正な価格に誘導する。そのために文章と見せ方の工夫、つまりPOPやメニュー表の作り込みが欠かせません。

「値上げと単価アップは、似て非なるものです。値上げは同じものを高く売ること。単価アップは、お客さんが納得して選んだ結果、支払い金額が増えること。この2つを混同していると、単価は上がりません」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

POPを使って単価を上げるにはどうすればいい?

POP(店内販促物)は、単価アップの中でもっとも即効性が高い打ち手の一つです。追加費用もほとんどかからず、今日から試せるという意味でも、まず手をつけやすい場所です。

ただし、POPに「おすすめ」と書くだけでは機能しません。お客さんが「なぜそれを頼みたいのか」を感じられる内容が必要です。具体的には、

  • その料理のこだわりや素材の背景(生産者・産地・調理法)
  • 注文したお客さんの反応(「〇〇と一緒に頼む方が多いです」という一言でも十分)
  • 数量限定・季節限定という希少性の表現

といった要素を入れると、POPの説得力が格段に上がります。

よく聞かれるのが「POPを作る時間がない」という声です。そこで最近お伝えしているのが、AIを使ったPOP文章の下書き活用です。料理の特徴を箇条書きで入力するだけで、ある程度のコピーを出してくれる。それを自分の言葉に整えて印刷するだけで、POPが1枚できあがります。手間を圧縮することで、「続ける」状態に近づけることができます。

「月商300万円の居酒屋さんが、チラシとGoogle広告の組み合わせで6ヶ月後に620万円まで伸びました。同時に客単価も1,400円上がっています。特別なことをしたわけではなく、POPとメニュー構成を整えた結果です」

ハワードジョイマン(中小企業診断士)

「最初は半信半疑でPOPを変えてみたんですが、正直こんなに変わるとは思いませんでした。お客さんが自分からそのメニューを指差して頼んでくれるようになって、単価が気がついたら上がっていた感じです」

居酒屋オーナー(40代・男性)

追加注文が自然に増える仕組みはどうつくる?

追加注文が生まれる仕組みは、「注文のタイミング」と「促す言葉」を設計することで作れます。

飲食店における追加注文のチャンスは、大きく3つあります。

追加注文 STEP 1

ファーストオーダーのタイミング

最初の注文を取る際に、スタッフが一言添えるだけで追加注文率が変わります。「本日は〇〇が入荷しています」「〇〇と一緒に頼む方が多いですよ」──この一言を、スタッフ全員が言える状態にすることが仕組み化の第一歩です。

⚠️ よくある失敗:特定のスタッフだけが上手くて他の人は言えない、という状態では仕組みになりません。声かけのセリフをお店のルールとして決めて、誰でも言える形にしておくことが重要です。

追加注文 STEP 2

食事中のタイミング

お客さんが料理を食べ進めているタイミングで、テーブルに卓上POPやおすすめカードが置いてあると、自然に目が行きます。スタッフが声をかけなくても、POPがセールスをしてくれる状態をつくることが目標です。

⚠️ よくある失敗:卓上POPを置いたまま放置して、季節や内容が古くなってしまうケースが多いです。最低でも月1回、内容を更新する習慣をつけましょう。

追加注文 STEP 3

お会計前のタイミング

デザートやドリンクの追加を促す声かけは、お会計の少し前が効果的です。「いかがでしたか?本日はデザートもご用意しています」という一言を仕組みとして入れるだけで、客単価が少しずつ積み上がります。

⚠️ よくある失敗:「お客さんに押しつけているようで言いにくい」という遠慮が邪魔をして、声かけが定着しないことがあります。「お客さんの選択肢を広げている」と捉え直すことが大切です。

単価アップの取り組みを「一時的」で終わらせないためには?

多くの飲食店オーナーが単価アップの施策を「やったことがある」と言います。でも「今も続いている」という方は、ぐっと少なくなります。

続かない理由は、たいてい「効果が見えないうちに諦める」か「忙しくなって後回しになる」かのどちらかです。

続けるための鍵は2つです。

❌ よくあるパターン:「やろうと思ったときにだけやる」

  • 思いつきで始めるため、忙しくなると消える
  • 効果測定をしていないので、何が良くて何が悪いかわからない
  • スタッフに任せる基準がなく、オーナーが気合いを入れたときだけ動く

✅ 推奨アプローチ:「カレンダーに組み込んで仕組み化する」

  • POPの更新日を月初と決めておく(例:毎月1日に卓上POPを差し替える)
  • 客単価の数字を週次でチェックする習慣をつける
  • 声かけセリフをマニュアル化して、スタッフ全員が動ける状態にする

地味に見えますが、これを「すぐに」「継続して」やり切れるお店が、半年後・1年後に確実に単価が変わっています。派手な手法は不要です。仕組みとして回る状態にすることが、すべての出発点です。

「美容室(2店舗)のオーナーさんは、LINE集客とフォローアップを自動化したことで、リピート率が38%から71%に上がり、月商が年間で1.6倍になりました。難しいことをしたわけではなく、仕組みに落とし込んで継続したことが結果に出ています」

増益繁盛クラブ 会員事例

まとめ:客単価アップは「仕組み」にして初めて続く

飲食店の客単価アップは、特別なアイデアよりも「仕組みとして回ること」のほうが、ずっと大切です。

今回お伝えしたことをまとめると、

  • 客単価が上がらないのは、単価を上げる仕組みが存在していないから
  • 看板メニューを決め、価格帯の構成を意図的に設計する
  • POPに「価値の伝わる言葉」を入れることで、スタッフが声をかけなくてもセールスが動く
  • 追加注文のきっかけを、ファーストオーダー・食事中・お会計前の3タイミングで設計する
  • カレンダーに組み込んで仕組み化することで、忙しくても続けられる状態になる

私が21年間、833件以上の飲食店・美容室・小売店の経営者と一緒に取り組んできた中で確信しているのは、「売上は運任せではなく、意図的に作れる」ということです。客単価もその一つです。

もし今、「仕組みとして動かす方法がよくわからない」「続けようとしても続かない」と感じているなら、一人で抱え込まずに、まず情報だけでも取りに来てください。

繁盛店ポータルでは、飲食店・美容室・小売店オーナーの方が活用できる販促・経営の情報を無料でご覧いただけます。
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また、客単価アップを含む売上の仕組みづくりを、伴走者として一緒に進めたいという方は、こちらもご覧ください。
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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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