最近、朝夕の気温差が大きくなってきましたね。衣替えのタイミングを毎年迷うんですが、お店の中もちょうど衣替え時季というか、秋の行楽シーズンに向けてスタッフとのミーティングを増やしている飲食店オーナーさんが多いと思います。
ところで、そのミーティング。こんな経験ありませんか?
「何かいいアイデアない?」と投げかけたら、シーンとした空気が流れて、結局オーナー自分が喋り続けて終わった……。
これ、スタッフのやる気がないわけじゃないんです。出し方の問題なんです。
今日は、スタッフ育成において私が全国の飲食店オーナーさんに一番最初にお伝えしていること、「テーマを1つに絞ってアイデアを出させる」という話をします。私は静岡市清水区を拠点に、飲食店・美容室オーナーさんの売上・利益アップを支援して20年。中小企業診断士として累計1,000店舗以上に関わってきた中で、これは本当に効果が高い方法です。
こんな方におすすめ
- ✅ スタッフにアイデアを出してほしいのに、毎回シーンとなってしまう飲食店オーナーの方
- ✅ スタッフが受け身で、自分から動かないと感じている方
- ✅ ミーティングをやっても空振りに終わることが多い方
- ✅ スタッフの売上が伸びず、自分がフル稼働しないと店が回らない方
- ✅ スタッフに「成長している実感」を持ってほしいと思っている方

「何かアイデアない?」が、スタッフを黙らせる
ミーティングで「売上を上げるために何かアイデアない?」と聞いたとします。
スタッフの立場に立ってみてください。売上を上げる方法って、新メニューを考えることなのか、接客を変えることなのか、SNSのことなのか、予約の取り方のことなのか……何を考えればいいか、まったくわからないんです。
結果、誰も発言できなくて沈黙。オーナーが「じゃあ自分で考えるか」となって、また独断で動く。スタッフは「自分たちの意見は必要とされていないんだな」と感じ始める。これが続くと、スタッフは思考することをやめていきます。
「漠然とした問いは、思考停止を生む」と私はいつもお伝えしています。
逆に、テーマを1つに絞るとどうなるか。
「今日は購入率を上げるアイデアだけ考えよう」と言われたスタッフは、「ああ、来てくれたお客さんにもう一品頼んでもらうことを考えればいいんだな」とすぐ理解できます。考える範囲が見えるから、具体的なアイデアが出てくる。
「デザートのタイミングで声をかけてみます」「席に小さいPOPを置くのはどうですか」「食後のドリンクを聞くタイミングを変えてみます」といった発言が自然と出てくるんです。
売上の7つの軸を使って、テーマを割り振る
私がクライアントの飲食店オーナーさんにお伝えしているのが、売上を7つの軸で見るフレームです。
①入店率、②購入率、③購入点数、④客単価、⑤来店回数、⑥来店タイミング、⑦新規客。
この7つを一度に全部改善しようとすると頭がパンクしますが、ミーティングのテーマとして使うと非常に便利です。
月曜日のミーティングは「入店率を上げるアイデア」、次の週は「購入点数を上げるアイデア」、その次は「来店回数を上げるアイデア」と順番に回していく。そうすると、2週間で3つのテーマを扱えます。1ヶ月で6つ、年間で72の打ち手をスタッフと一緒に考えられる計算になります。
日本全国で年間72本の販促改善を続けている飲食店って、ほぼいないんですよ。これをやっているだけで、圧倒的に差がつきます。
「2週間で3つだけ実行する」、これを続けてください。
✓ ここまでのポイント
- 「何かアイデアない?」という漠然とした問いは、スタッフの思考を止める原因になる
- 「今日は購入率を上げるアイデアだけ」のようにテーマを1つに絞ると、スタッフは具体的に動ける
- 売上の7つの軸をテーマとして順番に扱えば、年間72の打ち手をスタッフと作れる
スタッフが育つ「本当の理由」は、テーマを絞ることで生まれる成功体験にある
「テーマを絞る」ことの効果は、アイデアの数だけではありません。
スタッフが一番やめる理由、知ってますか?給料じゃないんです。「自分がここで働く意味がわからない」「成長している実感がない」この2つが圧倒的に多い。
テーマを絞ってアイデアを出してもらい、それを実際に試してみる。「先週POPを変えてみたら、確かにデザートの注文が増えました」という体験がスタッフにできたとします。その瞬間、スタッフは「自分のアイデアがお店の売上に貢献した」という成功体験を得ます。
これが積み重なると、スタッフは自分から考えて動くようになっていきます。オーナーが全部決めて指示するスタイルから、スタッフが考えてオーナーに提案するスタイルに変わっていくんです。
私のクライアントで月商130万円から230万円に成長した焼き鳥店のオーナーさんも、最初にやったことの一つがこのテーマ限定ミーティングでした。アルバイトのスタッフさんが「POPを手書きにしたらどうですか」と提案してくれて、それを実行したのが大きなきっかけの一つだったとおっしゃっていました。
「ジョイマンさんに言われた通り、まず購入率のテーマだけで話し合ったら、スタッフから次々と意見が出てきてびっくりしました。今まで『うちのスタッフはアイデアを出せない』と思っていたのは、自分の聞き方が悪かっただけだと気づきました。今では週次ミーティングがスタッフ全員の楽しみになっています。」
月商130万円→230万円に成長した焼き鳥店オーナー(40代・男性)
テーマを絞る前に、もう1つだけやってほしいこと
テーマを絞ってアイデアを出してもらう前に、もう一つ準備があります。
それは、「なぜこの店をやっているのか」をスタッフに共有することです。
軸となる考え方がないと、スタッフは7つの軸のどのテーマを与えられても、「お店としてどの方向に向かっているのかわからない」状態でアイデアを出すことになります。これだと、スタッフ一人ひとりがバラバラの方向に考えてしまって、結局まとまらない。
「どんなお客さんに来てほしいのか」「このお店が大切にしていることは何か」──これが共有されているチームは、テーマを絞ったミーティングの質が一気に上がります。
例えば「うちは仕事帰りに一人でゆっくり飲みたいお客さんを大切にしているお店だよ」という軸があれば、購入率を上げるアイデアを考える時に「じゃあ一人でも頼みやすいハーフサイズのサイドメニューを作るのはどうですか」という的を射たアイデアが出てきます。
軸がなければ「とりあえず量を増やしてお得感を出す」という方向に行ってしまう。そうじゃないですよね、わかりますよね。
「スタッフと一緒にお店の方向性を話し合ったら、普段の接客の質がガラッと変わりました。以前は何となく働いていたスタッフが、自分から『こんなお客さんにはこういう提案をしよう』と考えて動くようになって。離職も減りましたし、売上も着実に伸びています。」
会員制サポート「増益繁盛クラブ ゴールド」参加の飲食店オーナー(50代・男性)
まずこの週末、ミーティングのテーマを1つだけ決めてください
難しく考えなくていいです。
次のミーティングで「今日は来てくれたお客さんにもう一品頼んでもらうにはどうすればいいか、それだけ考えよう」と言ってみてください。
最初はスタッフが少し戸惑うかもしれません。でもそれでいい。「なんでもいいから量より質のアイデアを」ではなく、「これだけでいいから1個でも出してみよう」というスタンスで進めてみてください。10個のうち3つ実行できれば十分です。バットを振ることが大事で、全部ホームランを打とうとしなくていい。
これを2週間ごとに繰り返すだけで、1年後のお店とスタッフは別人のように変わっています。私が全国1,000店舗以上で見てきた事実です。
スタッフが育つ店は、オーナーがすべてのアイデアを持っている店ではありません。スタッフが考えやすい問いを投げ続けているお店です。
ぜひ今週から試してみてください。
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