飲食店の値上げのやり方。新商品は既存商品より20%高くするだけで自然に単価は上がる

値上げをした飲食店の約7割が、実際には「客数がほとんど変わらなかった」という事実をご存知ですか?

「値上げしたらお客さんが来なくなる」——そう信じ込んでいる飲食店オーナーさんは本当に多いです。でも、その思い込みを数字で検証した経営者は、ほぼいません。

たとえば、5,000円のコース料理を6,000円に20%値上げした場合。月に150人来ていたお客さんが125人(83%)に減っても、売上はまったく同じ75万円です。しかも原価も人件費も減るので、手元に残る利益は確実に増えます。

計算すれば一目瞭然なのに、この数字を見ないまま「値上げ=客離れ」というイメージだけで止まってしまう。これが、多くの飲食店オーナーさんが「忙しいのにお金が残らない」沼にはまり続ける本当の原因です。

この記事では、値上げで失敗しないための具体的な方法を1つお伝えします。それが「新商品は既存商品より20%高くする」というシンプルなルールです。

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なぜ「値上げが怖い」と感じるのか——原因を正確に把握する

値上げを躊躇う理由のほとんどは、「値上げしたら売上が下がる」という漠然とした恐怖感です。でもよく考えてみてください。あなたは本当に計算したことがありますか?

実際に計算してみると、驚く結果が出ます。

客単価8,000円のお店で月に100人来ていたとします。月商は80万円。ここで客単価を9,600円(20%アップ)にしたとき、月商80万円を維持するのに必要な客数は84人。つまり、16人(16%)減っても売上はトントンです。しかも原価と人件費は減るので、利益は増えます。

問題は「値上げしたら本当に客が16%以上減るのか」という点です。実際には、価値がきちんと伝わっているお店では、そこまで激減しないケースがほとんどです。

それよりも深刻な原因がもう一つあります。値引きで集めたお客さんは、値引きがなくなった瞬間に消えていくということです。そして、そういったお客さんほど物販を買わず、クレームが多く、優良客と比べて生涯価値が7分の1しかない。値引きで客数を維持しようとするほど、じわじわと首を絞めているのが現実です。

「新商品は既存商品より20%高くする」——このルールだけで単価は上がり続ける

では具体的にどうすればいいのか。私がお伝えしている中で最もシンプルで効果的なのが、このルールです。

新商品を出すときは、必ず既存の一番近い商品より20%高い価格にする。

これだけです。

たとえば、今メニューに3,000円の定番コースがあるとします。次に新しいコースを作るとき、3,600円(20%増)に設定する。その次の新商品は4,320円(さらに20%増)に設定する。これを繰り返すだけで、1〜2年後にはメニュー全体の平均単価が自然に上がっています。

なぜこれが機能するかというと、お客さんは「選択肢の中で判断する」からです。3,000円の商品しかなければ、それが基準値になります。でも3,000円と3,600円が並んでいれば、「少し良いものを食べたいな」というお客さんは自然に3,600円を選びます。そして3,600円を頼んだお客さんは「ちゃんとした店に来た」という満足感も得やすい。

これはいわゆる「見せ球(当て玉)」の発想にも通じています。高い価格帯の商品をメニューに加えることで、既存商品が相対的に「お手頃感」に映る。その結果、既存商品の注文率が上がり、かつ新しい高単価商品も一定数売れる。メニュー全体の底上げが自然に起こるんです。

値上げの「受け皿」を先に作ってから価格を上げる

ただし、値上げには順番があります。「受け皿を先に作ってから価格を上げる」これを忘れないでください。

受け皿とは何か。要するに、「この価格になるには理由がある」とお客さんが納得できる情報を先に届けることです。具体的には次の3つです。

①メニュー表を「ご利益中心ネーミング」に書き換える
「シェフ特選コース」ではなく「静岡産の旬魚を5種使った、大人の一人来店でも楽しめるおまかせコース」のように、誰のための、どんなメリットがある商品かを明示する。名前を変えるだけで、同じ料理が高く見える。

②手間と時間を数字で書く
「こだわりのスープ」ではなく「朝4時から16時間かけてコツコツ取った鶏白湯スープ」と書く。手間と時間を具体的な数字で書くと、価格に説得力が生まれます。静岡市の飲食店さんなら「清水港に朝3時半に行って選んだ地魚」のように地域性も加えられる。

③お客さんの声をビフォーアフター形式で店内に掲示する
「以前は他の店のランチばかりでしたが、ここの〇〇コースに出会ってから毎月来るようになりました」といった声を店内に貼る。来店前の状態と来店後の変化を書いてもらうことで、新しいお客さんが「自分もこうなれる」と想像しやすくなります。

この3つが揃ってから値上げをすると、お客さんは「値上げされた」ではなく「ふさわしい価格に変わった」と受け取ります。

値上げで減る客は「相手にすべき客ではなかった」と知る

ここまでお伝えしたうえで、もう一つ大事な考え方があります。

値上げをして、もし一部のお客さんが来なくなったとしたら——それは「値段しか見ていなかったお客さん」が去っただけです。あなたのお店の価値に惹かれていたのではなく、安さに惹かれていた。言い換えれば、あなたのお店が相手にすべき客ではなかったということです。

全国500社を超える飲食店・美容室オーナーさんと一緒に経営改善に取り組んできた中で、これを腑に落として値上げに踏み切った経営者さんの多くが、「来客数は少し減ったけど、売上は横ばいで利益が増えた」「残ってくれたお客さんがむしろ満足度が高くなった」という結果を報告してくれています。

値上げで客数が減ることを怖がるより、値引きで優良客が離れていくことを怖がってください。そちらの方が、中長期的にはよっぽどダメージが大きい。

まとめ:「新商品は20%高く」を今日からお店のルールにしてください

飲食店の値上げで失敗しないポイントを整理します。

まず、値上げの影響を感情ではなく数字で計算すること。20%値上げで客数が16%以上減らない限り、売上は落ちません。そして手元に残る利益は増えます。

次に、「新商品は既存商品より20%高くする」をお店の内部ルールとして徹底する。これを続けるだけで、1〜2年後にはメニュー全体の単価が自然に上がります。

そして値上げの前に、メニュー表のネーミング・手間の数値化・お客さんの声の掲示で「受け皿」を先に作る。順番を守れば、値上げはお客さんに受け入れられます。

2週間で3つ実行するだけで、年間72の打ち手になります。まず今週、新しいメニューの価格を決める場面があったら「既存の一番近い商品の1.2倍」にしてみてください。そこから始めれば十分です。

値引きではなく、価値で選ばれるお店になることが、長く繁盛し続ける唯一の道です。がんばらない繁盛を、一緒に作っていきましょう。


値上げの具体的な進め方や、自店のメニュー設計についてもっと詳しく知りたい方は、まず無料の教材から始めてみてください。全国の飲食店オーナーさんが実践してきた具体的な手法をまとめています。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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