飲食店のメニュー表で単価アップするなら「誰のための、どんなご利益の商品か」を書いてください

結論から言います。

飲食店のメニュー表で単価を上げたいなら、まず一番最初にやることは値上げでも、新メニュー追加でも、高級食材の導入でもありません。今あるメニューの「説明の書き方」を変えることです。

これだけで、客単価が上がります。広告費はかかりません。値引きも必要ありません。

「そんな地味なことで?」と思いましたよね。わかります。でも実際に、この一点だけを変えて客単価が上がった飲食店を私はこれまで何十店舗も見てきました。今日はその話を、私・ハワードジョイマンがある焼き鳥店オーナーとの会話をもとにお伝えしていきます。


飲食店のメニュー表で単価アップするなら「誰のための、どんなご利益の商品か」を書いてください | 販促アイデア100選
目次

「おいしい自信はある。でも注文されない」──そのメニュー表、誰に向けて書いていますか?

以前、静岡県内に店舗を持つ焼き鳥店のオーナーさんから相談を受けたことがあります。月商は130万円台。料理の腕には定評があるのに、なぜか客単価が伸びない。

私がまず聞いたのは「メニュー表を見せてもらえますか?」でした。

そのメニュー表には、こんな文言が並んでいました。

  • 地鶏もも串 180円
  • レバー串 150円
  • 特製タレつくね 200円
  • 店主こだわりのポン酢和え盛り合わせ 980円

料理名と価格だけ。丁寧に作られてはいる。でも私はこう聞きました。

「このメニュー表、誰がうれしくなる言葉が書いてありますか?」

オーナーさんは首をかしげました。「え、全員にうれしいんじゃないですか?」

ここが一番大事なポイントです。全員向けに書かれたメニュー表は、誰にも刺さらないんです。


「ご利益中心のネーミング」とは何か──「商品の説明」ではなく「お客さんへの約束」を書く

私がこのオーナーさんに伝えたのが「ご利益中心のネーミング」という考え方です。

シンプルに言うと、「誰のための、どんなご利益のある商品か」をメニュー名・説明文に書くということです。

たとえば「特製タレつくね 200円」をこう書き換えます。

「仕事終わりに一本飲みたくなる、タレがたっぷりしみ込んだ手ごねつくね 200円」

誰に向けているか(仕事終わりのサラリーマン)、どんな状況で食べたくなるか(一本飲みたい夜)、何がいいのか(タレがたっぷりしみ込んでいる手ごね)が一行に入っています。

さらに、こんな書き方もあります。

「翌日の飲み会にも備えたいあなたへ。国産レバーを低温でじっくり仕上げた鉄分たっぷりのやわらかレバー串 150円」

「鉄分」という体に届く価値を入れることで、健康意識の高いお客さんに刺さります。これは値上げではなく、同じ価格のまま「選ばれる理由」を作る作業です。

このオーナーさんはこう言っていました。「なんか恥ずかしいですね、こういう書き方。自分のお店を売り込んでいるみたいで」

わかりますよ、その気持ち。でもね、お客さんはメニュー表を読む時間、平均で2〜3分しかありません。その短い時間に「これ、頼もう」と思わせるには、お客さんの頭の中に「自分のための料理だ」という絵を浮かべてもらうしかないんです。


具体的な数字と手間を書くと「値段が高くて当然」と感じてもらえる

ご利益中心のネーミングをもう一段強くする方法があります。それが「手間と時間を数字で書く」ことです。

たとえばこんな感じです。

  • 「16時間かけてコツコツ煮込んだスープで仕上げた、やわらかとろける骨付きもも」
  • 「仕込みに2日かかる、うちの一番人気のタレ。30年変えていません」
  • 「毎朝5時に市場で目利きして仕入れる、その日だけのお刺身盛り」

数字が入ると「だから高いんだ」「だから美味しいんだ」という納得感が生まれます。お客さんは価格に対して「高いか安いか」ではなく、「それだけの価値があるかどうか」で判断しているんです。

このオーナーさんの店では、特製タレつくねの説明文に「毎日18時間かけてつぎ足し続ける秘伝のタレ」と書き加えた。それだけで注文率が上がり、「これ、どんなタレですか?」とスタッフへの質問も増えた。結果として会話が生まれ、追加注文につながるようになりました。

3ヶ月後、月商は230万円を超えていました。メニューの中身はほぼ変わっていません。メニュー表の書き方を変えただけです。


「玄人向けの説明」をやめて「初めて来たお客さん」に向けて書く

もう一つ、メニュー表でよく見るミスがあります。

「地鶏」「熟成」「産地直送」「限定仕入れ」──これらは全部、食通向けの言葉です。

飲食店のメニュー表で狙うべきターゲットは、常に初心者です。初めて来た人、あまり詳しくない人、「なんとなく入ってみた」人。その人たちが「これ、頼んでみよう」と思える言葉を使ってください。

「地鶏」と書いても、地鶏と普通の鶏の違いをわかるお客さんは正直少ない。それより「やわらかくて噛むたびに旨みが広がる」と書いた方が、食べた時のイメージが湧くじゃないですか。

私がよくオーナーさんに言うのはこういうことです。「メニュー表はお客さんが来る前から始まっている接客だ」と思ってください。スタッフが一言一言説明するかわりに、メニュー表が語りかけてくれる状態を作る。それが売れるメニュー表の正体です。


「見せ球の高額メニュー」を1品置くと、既存メニューが相対的に割安に見える

単価アップのメニュー設計でもう一つ使ってほしいのが、「当て玉(見せ球)」の考え方です。

メニューの中に、今の一番高い商品よりさらに2〜3倍高いプレミアムメニューを1品だけ置きます。目的は、それを売ることではなく、それと比較することで既存メニューを「お手頃」に感じさせることです。

たとえば、最高値が3,000円の盛り合わせしかなかったお店に「特選地鶏フルコース 8,000円(要予約・2名様〜)」を1品加えます。すると3,000円の盛り合わせが「これで十分じゃないか」ではなく「これはお値打ちだな」に変わる。

これはスペイン料理店でイベリコ豚を一本丸ごとキープするサービスを設計した時にも同じことが起きました。40万円という高額商品が存在するだけで、通常メニューへの抵抗感が下がり、他のメニューの追加注文が増えた。

ご利益中心ネーミング+手間の数字化+当て玉の設置。この3つをメニュー表に入れるだけで、値引きゼロ・新メニューなしで客単価は動きます。


まとめ──メニュー表は「価格の一覧」じゃなく「価値の案内板」です

今日お伝えしたことを3つにまとめます。

  1. 「誰のための、どんなご利益の商品か」をメニュー名・説明文に書く(ご利益中心のネーミング)
  2. 手間と時間を具体的な数字で書く(「16時間煮込んだ」「30年変えていないタレ」)
  3. プレミアムな見せ球メニューを1品置く(当て玉で既存メニューを相対的に割安に見せる)

2週間で3つ試してみてください。それだけでいい。全部一気に変えなくていいです。まず1品だけ、説明文を書き換えてみる。それがメニュー表改革の最初の一歩です。

飲食店の単価アップは、値上げを「決断する」前に、今のメニューが持っている価値をちゃんと「伝える」ことから始まります。料理の腕は十分にある。あとはそれをお客さんに届ける言葉があるかどうかの話です。

もっと具体的なメニュー表の書き換え方や、値引きなしで客単価を上げるための販促のしくみを知りたい方には、こちらの無料の教科書をお読みください。すぐに現場で使えるアイデアをまとめています。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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