先日、ある美容室のオーナーさんからこんな相談をいただきました。
「ジョイマンさん、ヘッドスパのメニューを追加したんですけど、全然お客さんに提案できないんですよ。なんか押し売りみたいで嫌だなって思うと、口から言葉が出てこなくて……」
その気持ち、すごくわかります。腕のいいオーナーさんほど、この壁にぶつかる。「お客様のために良いものを提案したい」という気持ちがあるのに、「嫌われたら怖い」という気持ちが上回ってしまうんですよね。
でも実は、アップセルが「嫌がられる」かどうかは、提案の中身ではなく、「提案の仕方=基本動作」で9割が決まります。今日はその3つの基本動作を具体的にお伝えします。
📋 この記事でわかること
- なぜアップセル提案が「押し売り」に見えてしまうのか、その本当の原因
- お客様に「ありがとう」と言ってもらえるアップセルの3ステップ
- スタッフ全員が同じ提案ができるようにするための仕組みづくり
- 単価アップを自然に実現した美容室の実例
こんな方におすすめ
- ✅ ヘッドスパ・髪質改善など高単価メニューを導入したが提案できていない美容室オーナー
- ✅ スタッフに「もう1品」を勧める接客を教えたいと思っている方
- ✅ クーポン客の単価が低く、リピートにつながらないと悩んでいる方
- ✅ 値上げや追加提案に罪悪感があって踏み出せない美容師・店主さん
- ✅ 月商500万円の壁をアップセルで突破したいと考えている方

「押し売り」に感じてしまう本当の理由
アップセル提案を「押し売り」と感じるのは、提案する側の問題ではなく、「タイミング・文脈・関係性の設計」が抜けているからなんですね。
たとえば、初めて会った人から道端で「このサプリ、体にいいですよ!」と言われたら警戒しますよね。でも、かかりつけのお医者さんに「これ、飲んでみると体が楽になりますよ」と言われたら、素直に受け取れる。
この差は「信頼関係」と「文脈」です。
美容室でのアップセルが嫌がられるパターンは、大きく分けてこの3つです。
❌ よくある失敗パターン
- 施術の最後にいきなり「ヘッドスパもいかがですか?」と聞く(文脈なし)
- 毎回同じトークで全員に声をかける(関係性の無視)
- 商品のスペックを説明する(お客様の「悩みへの共感」が先にない)
✅ 嫌がられない提案の構造
- 悩みを引き出してから、その解決策として提案する
- 「あなたの状態を見て感じたこと」として伝える(パーソナルな文脈)
- 押しつけず、選んでもらう設計にする
嫌がられないアップセルの3ステップ
では具体的な手順をお伝えします。この3ステップは、私が累計1,000店舗以上の美容室・飲食店の支援で繰り返し有効だと確認してきた基本動作です。
アップセル STEP 1
「観察して、気づいたことを伝える」
施術前のカウンセリング、もしくは洗髪・カット中に、お客様の髪や頭皮の状態を観察します。そして気づいたことをそのまま言葉にする。「今日、頭皮がちょっと乾燥していますね」「最近疲れが溜まっていませんか?頭皮が固い感じがします」という具合です。これは提案ではなく、「気づきの共有」です。お客様は「ちゃんと見てくれている」と感じます。
⚠️ よくある失敗:観察せずにトークを始めると「台本を読んでいる感」が出て、一気に信頼を失います。必ず目で確認してから話すこと。
アップセル STEP 2
「第三者の事例を経由して価値を伝える」
直接「ヘッドスパ、どうですか?」と聞く前に、一度「他のお客様の話」を挟みます。「先週も同じように頭皮が硬い状態のお客さまがいて、ヘッドスパをやってみたら『すごく楽になった』って喜んでくれたんですよ」という形です。これ、私は「昔話メソッド」と呼んでいますが、要は第三者の体験を通してお客様自身に「それ、私もやってみたい」と思わせる設計です。直接的な勧誘ではないので、お客様の防衛本能が働きません。
⚠️ よくある失敗:「やった方がいいですよ」という言い方は主観的すぎて、お客様が「言わされてる感」を持ちます。あくまで「他の人の体験談」という形にする。
アップセル STEP 3
「松竹梅で選ばせる」
STEP2で関心を持ってもらったら、次は選択肢を出します。ポイントは「やるかやらないか」の二択にしないこと。「15分のミニヘッドスパと、40分のフルコースがあるんですけど、どちらがよろしいですか?」という形で、「どちらにするか」という選択肢の中で選んでもらう設計にします。「松竹梅の法則」で中間の「竹」を選ぶ人が最も多くなりますし、どちらを選んでも単価は上がります。
⚠️ よくある失敗:選択肢を出した後に、沈黙を埋めようとして「どうですか?」「大丈夫ですか?」と重ねてしまうと一気に「売り込み感」が出ます。選択肢を出したら少し待つ。
✓ ここまでのポイント
- アップセルが嫌がられる原因は「タイミング・文脈・関係性」の設計不足にある
- 「観察して気づきを伝える→第三者の体験を経由する→松竹梅で選ばせる」の3ステップで自然な提案ができる
- 提案は「押しつけ」ではなく「お客様に選んでもらう設計」に切り替えることが核心
スタッフ全員に広げるための「仕組み」をつくる
ここまでの3ステップ、読んでみて「なるほど」と思ってもらえたと思います。でも、オーナーさん一人がこれを実践しても、スタッフが動かなければ売上の天井は変わりません。
美容室で「アップセルの仕組み」を整えるために、私がよくオーナーさんにお伝えするのがこの2点です。
① POPで「先に教育」する
待合スペースやシャンプー台のそばに、ヘッドスパや髪質改善の効果を伝えるPOPを置きます。大切なのは「スペック(成分や手順)」ではなく、「お客様の悩みに刺さるストーリー」を書くこと。「最近、頭が重くて疲れが取れない方へ」という切り口で書かれたPOPは、スタッフが何も言わなくてもお客様が興味を持ち始めます。スタッフのトーク負担が一気に減るんですね。
② ロールプレイで「体に染み込ませる」
3ステップのトークを月1回、スタッフと一緒に練習する時間を15分でいいので設けてください。頭でわかっていても、口から出ないのは「反復が足りない」だけです。練習した言葉は自然に出てくるようになります。
「値上げや追加提案に罪悪感を持つオーナーさんは、本当に優しい人が多い。でもね、良いサービスを適切な価格で提供することは、お客様への誠実さだと思うんですよ。安売りし続けて疲弊したオーナーさんが店を閉めたら、そのお客様は一番困る。繁盛することが、お客様への恩返しなんです。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント・中小企業診断士)
実際に単価が上がった美容室の事例
「もともとリピート率が38%で、新規集客に頼りきりでした。ジョイマンさんに教えてもらったPOP設置とLINEのフォローアップを組み合わせたら、リピート率が71%まで上がって、月商も1年で1.6倍になりました。追加提案のトーク練習もやって、今はスタッフから自然にヘッドスパを案内できるようになっています。」
美容室オーナー(2店舗経営)
この事例では、アップセル提案のトーク改善と同時に、LINE公式アカウントでの来店後フォローアップを組み合わせました。来店から3日後に「今日の施術はいかがでしたか?頭皮のケア方法をお伝えしますね」という自動メッセージを送ることで、次回の来店理由を自然につくる設計にしたんですね。
また、東京・中野区の5坪という小さな美容室でも、値上げと提案の仕方を変えるだけで単価・売上が1.5倍になった事例があります(藤田啓子さん)。スペースや規模は関係ない。「伝え方の設計」が変われば、数字は動くんです。
まとめ:「ありがとう」と言われるアップセルは設計できる
今日お伝えした3つの基本動作をまとめます。
- STEP1:施術中に観察して「気づきを共有」する
- STEP2:第三者の体験談を経由して「価値を届ける」
- STEP3:「松竹梅」の選択肢で「お客様に選んでもらう」
ま、要はこの3ステップは「お客様のために何かをしたい」という気持ちを、ちゃんと届く形に変換する技術なんですよ。その気持ち自体はすでにオーナーさんの中にある。あとは形を整えるだけです。
「押し売りしたくない」と思っているオーナーさんこそ、この3ステップを実践してみてください。やってみると、お客様の反応が変わります。「そういえばそれ、気になってたんです」「じゃあやってみようかな」という言葉が出てくるようになります。
単価が上がると、同じ売上を作るのに必要な客数が減ります。その余裕が、さらにサービスの質を上げる時間と心のゆとりにつながる。良い循環が始まります。
繁盛店研究所では、アップセル提案の仕方からPOP設計、LINE活用まで、美容室・飲食店オーナーが「今日からできる1歩」を一緒に考えています。まずは無料の情報から始めてみてください。ぜひお気軽にご覧ください。