3.儲かる販促と利益アップ

飲食店の値段の上げ方、お客さんを離さずに進める手順

「値上げしたいけど、お客さんが離れたら怖い」

「原材料費が上がって利益が出なくなってきた。でも価格を変える勇気が持てない」

「同業者が値上げして失敗したという話を聞いてしまって、余計に動けない」

こういった声、本当によく耳にします。特に長年通ってくれているお客さんへの申し訳なさから、ずっと価格を据え置いてきたオーナーさんが多いんですよね。気持ちはよくわかります。

でも正直に言わせてください。値上げをしないことは「安全策」ではなく、じわじわと店の体力を削り続ける選択でもあります。食材費・光熱費・人件費が上がっている中で価格だけが変わらなければ、利益はどんどん薄くなる。薄くなった利益の中で踏ん張り続けると、いつかガタが来ます。

今回は「どうやってお客さんを離さずに値段を上げるか」という手順を、具体的にお伝えします。やみくもに値上げするのではなく、順番と伝え方を整えることで、値上げ後もむしろ関係が深まるケースは実際にあります。

📋 この記事でわかること

  1. 値上げで失敗する店としない店の、決定的な違い
  2. お客さんを離さずに値段を上げるための5つの手順
  3. 値上げ前に整えておくべき「価値の見せ方」
  4. 値上げ後にやるべきフォローアップの仕組み

こんな方におすすめ

  • ✅ 原材料費・光熱費の上昇で利益が出づらくなってきた飲食店オーナー
  • ✅ 値上げしたいが「お客さんが離れるかも」という不安で踏み出せない方
  • ✅ 値引きやクーポン集客から抜け出して、適正単価で選ばれる店にしたい方
  • ✅ 客単価を上げたいが、何から手をつければいいかわからない方
  • ✅ 値上げを告知したことがあるが、うまくいかなかった経験がある方
飲食店の値段の上げ方、お客さんを離さずに進める手順 | 増益繁盛クラブ、繁盛店研究所/増益繁盛クラブ(運営法人:有限会社繁盛店研究所、株式会社繁盛店研究出版、株式会社日本中央投資会/繁盛店グループ)

値上げで失敗する店がやっていること

まず、なぜ値上げで失敗するのかを整理しておきたいと思います。

値上げで客が離れる店に共通しているのは、「価格だけが変わって、価値の伝え方が変わっていない」ことです。

お客さんの頭の中では「前は〇〇円だったのに、なんで高くなったんだろう」という疑問が生まれます。そこに何の説明もなければ、不満だけが残る。結果として「なんとなく足が遠のいた」という離脱につながります。

❌ よくある失敗パターン

  • ある日突然メニューの価格が変わっていた(事前告知なし)
  • 値上げの理由を「お断り書き」だけで済ませた
  • 価格を上げたが、料理の見せ方・提供の仕方は何も変えなかった
  • 値上げ後のフォローアップ(再来店のきっかけ作り)を何もしなかった

✅ 値上げがうまくいく店のアプローチ

  • 値上げ前に「価値を伝える接点」を増やしておく
  • 値上げの理由を、店の姿勢・こだわりとセットで伝える
  • 価格が上がった分だけ「体験の質」が上がったと感じてもらえるよう演出する
  • 値上げ後も関係を継続する仕組み(LINE・ニュースレター等)を持っている

価格は変えられます。でも価値の伝え方を変えずに価格だけ変えるのは、ただのリスクです。

値上げ前に整えておく「価値の見せ方」

値上げは「その日」に始まるのではなく、1〜2ヶ月前から準備が始まります。この準備期間が、値上げ後の離脱率を大きく左右します。

チェックポイント①:POPで食材・こだわりを伝えているか

「この鶏は〇〇産の地鶏を使っています」「スープは毎朝8時間かけて仕込んでいます」――こうした情報は、料理の価値を可視化します。お客さんは値段だけで判断しているのではなく、「納得感」で判断しています。納得感がなければどんな価格でも高く感じるし、納得感があれば適正価格は受け入れられます。

✅ ポイント:卓上POP・メニューブック・黒板など、複数の接点で「なぜこの食材なのか」「どんなこだわりがあるのか」を伝える習慣を作りましょう。

チェックポイント②:看板メニューは決まっているか

「何でもある」「こだわりがない」という店は、価格競争に巻き込まれやすい。逆に「これといえばここ」という看板メニューがある店は、価格を上げても「それを食べたい」という来店動機が生まれます。

✅ ポイント:まず値上げするのは「全品一斉」ではなく、まず看板メニューから。看板メニューの価値を磨いてから価格を上げると、反発が少なくなります。

チェックポイント③:常連さんとの関係性はあるか

LINE公式アカウント、ニュースレター、ハガキDMなど、店からお客さんに直接連絡できる接点を持っているかどうかは非常に重要です。値上げの告知を「店に来たときに知る」のと、「事前にLINEやお手紙で丁寧に伝えてもらう」のでは、受け取り方がまったく違います。

✅ ポイント:値上げ告知の最も効果的な媒体は「既存のつながり」です。まだLINEやニュースレターがなければ、値上げと同時に整備を始めても遅くはありません。

✓ ここまでのポイント

  • 値上げで失敗する店は「価格だけ変えて価値の伝え方を変えていない」
  • 値上げ前の1〜2ヶ月で「POP・看板メニュー・お客さんとの接点」を整えることが前提
  • 告知は「店に来てから知る」より「事前に丁寧に伝える」が鉄則

お客さんを離さずに値上げを進める5つの手順

では実際の手順をSTEP形式で整理します。

値上げ STEP 1:まず「看板メニュー」の価値を磨く

価格を上げる前に、価値を高める

看板メニューの盛り付け、提供方法、説明の仕方を見直します。同じ料理でも「どう見せるか」で体験の質は変わります。写真映えする盛り付け、食材を説明するPOP、仕込みの様子をSNSで発信するなど、「この料理はこれだけの手間と思いで作っている」という文脈を作っていきます。

⚠️ よくある失敗:価値を磨かないまま価格だけ上げて「値上げしたのに反応が悪い」と焦るパターン。価値の磨き込みをすっ飛ばすと、値上げは単なる値上げになります。

値上げ STEP 2:「値上げ予告」をお客さんに先に伝える

サプライズではなく、丁寧な予告が信頼を作る

「◯月◯日より、一部メニューの価格を見直させていただきます」という案内を、値上げの3〜4週間前にLINE・卓上POPなどで伝えます。理由は正直に伝えていい。「仕入れ価格の上昇に伴い」「これ以上品質を落とさないために」――こうした誠実な言葉は、お客さんの理解を得やすくします。

⚠️ よくある失敗:告知文が「お断り」の謝罪文になってしまい、自信のなさが伝わる。値上げは「品質を守るための判断」として堂々と伝えていいのです。

値上げ STEP 3:「全品一斉」ではなく「段階的に」上げる

一気に上げるより、順番に上げる

全メニューを一斉に値上げすると、お客さんに与える印象は大きくなります。まず看板メニューや単品から始め、反応を見ながら他のメニューへと広げていく。この「段階的な値上げ」は、お客さんの心理的な抵抗を分散させる効果があります。

⚠️ よくある失敗:「どうせ上げるなら一度に」と全品一斉に値上げして、客数が急減するケース。特に固定客が多い店ほど、段階的な進め方が有効です。

値上げ STEP 4:値上げと同時に「特典」や「体験の質」を上乗せする

「高くなった」ではなく「よくなった」と感じてもらう

値上げのタイミングに合わせて、小鉢を一品追加する、食後のドリンクをサービスする、盛り付けを刷新するなど、「何か良くなった」と感じてもらえる演出を加えると、値上げのマイナス印象が和らぎます。全部やる必要はなく、「この店はちゃんと進化している」と伝わる一手があるだけで違います。

⚠️ よくある失敗:値上げしたのに何も変わらず、「ただ高くなった」という印象だけが残る。価格が上がった分だけ「体験の変化」がないと、離脱の理由になります。

値上げ STEP 5:値上げ後の「再来店の仕組み」を動かす

値上げ後こそ、フォローアップが大事

値上げ後の最初の1〜2ヶ月は、常連さんの様子を特に気にかける時期です。LINEで「季節のメニューが入りました」と案内する、ニュースレターで「最近の仕入れのこだわり」を伝える、来店してくれたお客さんに「また来てくださいね」とハガキDMを送るなど、関係を継続する接点を意識的に増やします。値上げ後に黙っていると「関心が薄れた」と感じさせてしまいます。

⚠️ よくある失敗:値上げを告知して終わり、その後の接点が途絶える。値上げ後こそ「関係を丁寧に育てる」フェーズです。

「値上げを怖がる経営者の方の多くは、価格を変えることを恐れているのではなく、お客さんに嫌われることを恐れています。でも正直に伝え、価値をきちんと見せている店は、値上げ後の方がむしろお客さんとの関係が深まることが多い。嫌われるのは、価格が上がることではなく、理由を伝えずに黙って変えることです。」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント/中小企業診断士)

値上げで変わった店の実例

「値上げなんてしたら全員逃げると思っていました。でも言われた通りに看板メニューのPOPを作り直して、LINEで事前告知をしてから段階的に価格を変えていったら、常連さんから『値段上げてもいいよ、味が好きだから』って声をかけてもらえたんです。あのときの言葉は今でも忘れられません。」

飲食店オーナー(40代・男性)

「月商350万円から620万円になったのは、値上げだけじゃなくて客単価を上げる仕組みを整えたことが大きかったです。チラシとGoogle広告で新規を増やしながら、既存のお客さんとの接点もLINEで維持する。両方やって初めて数字が動きました。」

居酒屋オーナー(50代・男性)

「価格で来たお客さんは、価格で去る」という現実

値上げを決断できない経営者の方に、私がよくお伝えすることがあります。

「クーポンや値引きで集めたお客さんは、安さが目的で来ています。価格が上がったり、もっと安い店が近くにできたりしたら、あっさり離れます。でも価値で来てくれたお客さんは、多少の価格変化では離れません。どちらのお客さんを増やす店にするかは、今日の販促の選択で決まっています。」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント/中小企業診断士)

私は21年間、飲食店・美容室・小売店など833件以上の店舗を見てきましたが、長く繁盛し続けている店のほとんどは「価値で選ばれる仕組み」を持っています。クーポンに頼っている店は、掲載をやめた瞬間に新規がゼロになる恐怖と常に隣り合わせです。

値上げは、その「価値で選ばれる店」への転換を加速させる機会でもあります。怖いからやらない、ではなく「怖いからこそ順番通りにやる」という発想の転換が、長期的な経営基盤を作ります。

まとめ:値上げは「勇気」より「準備と手順」

今日お伝えした手順をまとめると、こうなります。

  1. 看板メニューの価値を磨く(POP・見せ方・食材説明)
  2. 3〜4週間前に値上げを予告する(LINE・卓上POP等)
  3. 全品一斉ではなく、段階的に価格を見直す
  4. 値上げに合わせて「体験の質」を一つ上乗せする
  5. 値上げ後こそ、再来店の接点(LINE・ハガキDM等)を動かす

これをやり切れるかどうかは、勇気の問題よりも仕組みの問題です。一人でやろうとすると「後でやろう」が続いてしまいます。伴走者と一緒に進める環境があると、確実に動きが変わります。

値上げで悩んでいる方、客単価を上げたいけれど何から手をつければいいかわからない方、まずは一度、下記からご覧いただければと思います。一人でモヤモヤし続けるより、動き出した方が早いですから。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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