結論から言うと、イタリアンは飲食業態の中で「客単価を上げる仕組みが最もつくりやすい業態のひとつ」です。その理由は、コースとワインのペアリングという「セット販売の文化」がお客さんにとって自然に受け入れられているから。この構造をうまく使えば、値引きに頼ることなく、来てくれたお客さんひとりひとりから、より多くの喜びと売上を同時に生み出せます。
私はハワードジョイマン。静岡市清水区を拠点に、飲食店・美容室オーナーの売上・利益アップを支援して20年になります。今回は、イタリアンレストランを経営するオーナーさんに向けて、コース設計とワインペアリングを軸にした客単価アップの考え方を、具体的なケースを交えてお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ イタリアンレストランを経営していて、集客はそこそこできているのに利益が残らないと感じているオーナーさん
- ✅ グルメサイトのクーポン客ばかりでリピートにつながらないと悩んでいる方
- ✅ ランチよりディナーの客単価を上げたいが、どう設計すればいいかわからない方
- ✅ ワインをもっと売りたいが、スタッフが提案しにくそうにしているのが気になる方
- ✅ コースメニューをつくったのに、ほとんどのお客さんがアラカルトを選んでしまう方

イタリアンが「単価アップしやすい」理由をまず整理する
飲食業態には、客単価を上げやすいものとそうでないものがあります。ラーメン店やカフェは「一品完結型」なので、追加注文を取るのが難しい。でもイタリアンは違います。
アンティパスト(前菜)→プリモ(パスタ・リゾット)→セコンド(肉・魚)→ドルチェ(デザート)という料理の流れが、お客さんの中に「そういうものだ」という認識として定着している。この流れに沿ってコースを設計するだけで、アラカルトで2〜3品頼んでいたお客さんが、自然に5〜6品の流れで食事をするようになります。
ここにワインのボトルまたはペアリングを組み合わせると、客単価は劇的に変わります。グラスワイン1杯(700〜1,000円)で終わっていたお客さんが、ペアリングコース(3〜5種・3,500〜5,000円)を選ぶだけで、ドリンク売上だけで4〜5倍になるわけです。
これは「押し売り」でも「値上げ」でもありません。お客さんが喜んでくれる体験をパッケージ化するということです。
あるイタリアンオーナーのケース:コース設計を見直しただけで客単価が1.8倍に
ある中規模のイタリアンレストランのオーナーさんが、こんな相談をしてくれました。「席数40席で、土日のディナーは満席になることも多い。でも月商がなぜか伸びない。忙しいのに手元にお金が残らない感じがする」というケースです。
話を聞いてみると、ディナーの客単価は平均3,800円。席数40席でほぼ満席なら、もう「客数を増やす」方向には限界がある。つまり、今いるお客さんひとりひとりの単価を上げる以外に道がない状態でした。
そこでまず取り組んだのが、コース設計の見直しです。それまでは「2種のパスタランチ」「お任せディナー8,000円」のざっくりした構成しかなかった。これを、次のように組み直しました。
- スタンダードコース(5,500円):前菜2品・パスタ1品・メイン1品・デザート
- プレミアムコース(8,500円):前菜3品・パスタ1品・魚料理・肉料理・デザート・コーヒー
- ワインペアリング追加(+3,500円):3種のグラスワインをシェフ選定でペアリング提供
ポイントは、プレミアムコースを「見せ球」として存在させることです。8,500円のコースが隣にあることで、5,500円のスタンダードコースが「お得に見える」。これは私が「当て玉戦略」と呼んでいる考え方で、価格の見え方はそのもの単体ではなく、必ず「比較」の中で決まるという性質を使っています。
結果として、それまでアラカルト中心だったお客さんの約6割がスタンダードコースを選ぶようになり、さらに3割がワインペアリングを追加。客単価は3,800円から6,800円へと、1.8倍になりました。客数は変わっていないのに、です。
✓ ここまでのポイント
- イタリアンはコースという文化が定着しているため、「パッケージ化」への抵抗がほかの業態より低い
- 「見せ球」となるプレミアムコースを設けることで、スタンダードコースが自然と選ばれやすくなる
- ワインペアリングはグラス1杯売りより単価が高く、スタッフが提案しやすい構造にもなる
「スタッフが提案しにくい」を解消する仕組みの話
ここで多くのオーナーさんがぶつかるのが、「スタッフがワインを勧めることに気が引けている」という問題です。これ、わかりますよね。お客さんに「押しつけがましく思われたくない」という遠慮が、スタッフ側にある。
でも、解決策は意外とシンプルです。
まず、メニュー表の中にペアリングオプションを「コースと一緒に選ぶもの」として自然に配置する。「ご注文の際にご一緒にどうぞ」という書き方一つで、スタッフが口頭で勧めなくても、お客さんが自分で選ぶ動線ができます。
さらに効果的なのが、メニュー表にひと言説明を添えることです。たとえば「本日のシェフ厳選3種のワインを、それぞれの料理に合わせてお出しします。ワインに詳しくなくても、ぴったりのペアリングをお楽しみいただけます」という一文があるだけで、「ワインが詳しくないから頼みにくい」という心理的なハードルが消えます。ターゲットは、ワインに詳しくない方だからです。玄人向けに訴求しちゃダメなんです。
あるケースでは、このメニュー表の書き方を変えただけで、ペアリング注文率が12%から38%に上がりました。スタッフの接客トーク一切変えずに、です。
「正直、コースを設計し直すのが面倒で後回しにしていたんですが、やってみたら本当にシンプルな変化で客単価が変わりました。スタッフも『お勧めしやすくなった』と言っています。ジョイマンさんに言われるまで、メニュー表がこんなに大事だとは思っていませんでした」
イタリアンレストランオーナー(40代・男性)
「ランチはどうする?」コース設計は昼と夜で分けて考える
ランチタイムに関しては、コース設計の考え方をそのまま持ち込むのは難しい場面もあります。ランチのお客さんは「回転の速さ」と「コスパ」を求めている層が中心ですから。
ただ、ランチをまったく単価アップに使わないのはもったいない。ここで有効なのが、ランチをディナーへの「入り口」として設計する発想です。
具体的には、ランチのお会計時に「本日のディナーでは、このパスタと相性抜群のシチリア産白ワインをお出ししています。ご興味があればぜひ」と一言添えたカードを渡す。これだけで、ランチのお客さんがディナーへの関心を持ち始めます。
さらに踏み込むなら、「未来計画表」的な発想でランチ客の次回訪問を設計するのも有効です。「来月、○○さんの誕生日前後にプレミアムディナーコースを予約されませんか?今日のランチのお客様には特別なテーブルをご用意します」といった提案ができれば、ランチからディナーへの転換率が生まれます。
ランチとディナーは、「集客商品」と「収益商品」の関係で捉えると整理しやすい。ランチで来てもらって、ディナーで利益を取る。この設計図が描けているイタリアンは強いです。
「月商130万円から230万円に伸びた」という変化は、焼き鳥店のオーナーさんの実例ですが、イタリアンのオーナーさんからも「コース導入後に売上が1.5倍になった」という声をいただいています。累計1,000店舗以上が実践して成果を出してきた手法です。
増益繁盛クラブ 会員オーナー(複数の声より)
まとめ:イタリアンの強みは「単価を上げる文化的土台」がすでにある点
イタリアンレストランが集客と単価アップの両立を目指すうえで、コース設計とワインペアリングは最も即効性のある打ち手のひとつです。今日お伝えした内容を整理します。
- コース設計で「食の流れ」をパッケージ化し、アラカルトより自然に客単価を上げる
- 「見せ球」のプレミアムコースをつくって、スタンダードコースを相対的にお得に見せる
- ワインペアリングのメニュー文は「ワインに詳しくない方向け」に書くことで注文率が上がる
- ランチは「集客商品」、ディナーは「収益商品」として役割を分けて設計する
「値引きをしなくても、お客さんに喜ばれながら単価が上がる」──これがイタリアンというジャンルの最大の強みです。その強みを、まだ使い切れていないオーナーさんがとても多いと感じています。
まずは今のメニュー表を眺めて、「コースの見せ方」「ワインペアリングの説明文」のどちらかひとつを、今週中に書き換えてみてください。それだけで変化は起きます。とにかくバットを振ってみることです。
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