飲食店の値上げタイミングは「メニュー表を書き換えた直後」。5つの仕込みが必要です

結論から言うと、飲食店が値上げするベストなタイミングは「メニュー表を書き換えた直後」ではなく、「書き換える前の仕込みが5つ揃った直後」です。

順番がすべてです。この順番を間違えると、値上げした途端にお客さんが減って「やっぱり値上げは無理だった」という結論に着地してしまう。でも実は、その客離れのほとんどは値上げそのものが原因じゃなくて、仕込みなしで価格だけ上げたことが原因なんですね。

私はハワードジョイマン、静岡市清水区を拠点に20年間、全国1,000店舗以上の飲食店・美容室の経営支援をしてきた中小企業診断士です(経済産業省登録番号 402345)。その中で何度も見てきたのが、「値上げで失敗した」と言いながら実は仕込みをしていなかったケース。そして、仕込みをしっかり入れてから値上げした店が、客数をほとんど落とさずに利益を大幅に伸ばしているケース。この差を、今日は具体的にお伝えします。

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値上げを怖がる前に、この計算だけしてください

「値上げしたら客が減る」という恐怖の正体は、ほとんどの場合、計算していないことから来ています。

例を出しましょう。月商750万円、客単価5,000円で150人を相手にしている店があるとします。ここで客単価を6,000円に20%値上げした場合、同じ750万円を稼ぐのに必要な客数は125人です。つまり、客数が17%以上減らない限り、売上は落ちません。しかも原価と人件費の実働時間は減るので、利益は確実に増える。

さらに重要なのはここです。値引きに反応してくれていた客と、価値を認めて払ってくれる客を比べると、生涯価値に7倍以上の差があります。25人減った「値引き目当ての客」と入れ替わりに、価値を見てくれる客が10人増えれば、実は売上も利益も上がっているという計算になります。

この数字を見ずに「怖い」と思っている経営者さんが、本当に多い。まず紙に書いてみてください。

仕込み①:メニュー表を「ご利益中心ネーミング」に書き換える

値上げの前にやる最初の仕込みは、メニューの名前と説明文を変えることです。

「本日の鮮魚の煮付け」と書いてあるメニューと、「その日の朝に清水港で水揚げされた地魚を、醤油と本みりんで2時間かけて炊いた煮付け」と書いてあるメニュー。同じ料理でも、後者のほうが値段が高くても納得感が生まれますよね。

ポイントは2つです。①手間と時間を数値で書く(「16時間かけて」「朝6時から仕込んで」)、②誰のために、どんないいことがあるかを書く(「脂の乗り切った季節限定」「胃に優しい薄味仕立て」)。これを「ご利益中心ネーミング」と呼んでいます。

値上げ前にこの書き換えを終わらせておくことで、「値上げされた」ではなく「ちゃんとした値段になった」という印象になります。

仕込み②:「当て玉」のプレミアムプランをつくる

値上げで客離れが起きやすいのは、既存のメニューが「一番上のランク」になっているときです。上がないから、少し値段が上がっただけで「高くなった」と感じやすい。

そこで、今の最上位メニューより30〜50%高いプレミアムプランを1品だけ作ってください。これが「当て玉」です。当て玉があると、既存メニューが相対的に「リーズナブルな選択肢」に見えます。実際に当て玉が売れなくてもいい。既存メニューの値上げへの抵抗感を下げるための見せ方の設計です。

スペイン料理店でイベリコ豚の1本丸ごとキープサービス(40万円)を導入した事例があります。そのメニューが店内に存在するだけで、2万円のコースが「手の届く選択肢」に見える。これが当て玉の効果です。

仕込み③:お客さんの声をビフォーアフター形式で店内に貼る

値上げの受け皿として、最も即効性が高いのが「お客さんの声」の掲示です。

ただし、「美味しかったです」という感想では弱い。「来る前は〜だと思っていたけど、食べてみたら〜だった」というビフォーアフター形式にすることで、はじめて読んだお客さんの疑問や不安が解消されます。

例えば「正直、この値段で本当に満足できるかなと思っていたんですが、食べ終わった後の満足感が全然違いました。月に1回は来ようと決めました」というような声。これをA4用紙に手書きでプリントして、テーブルや壁に貼るだけで、価値の見え方がガラッと変わります。

値上げ前の2週間でこれを3〜5枚用意してください。

仕込み④:調理工程や素材の「裏側」を写真・一言で見せる

価格への納得感は、「見えない部分を見せる」ことで生まれます。

仕込みに6時間かかっているなら、その仕込み中の写真をテーブルPOPや店内ボードに貼る。使っている素材の産地や農家さん・漁師さんとの関係を一言書く。「仕入れのたびに市場で自分の目で選んでいます」という事実を書く。

お客さんは食事をしながら「なぜこの値段なのか」を無意識に判断しています。その判断材料を、見える場所に置いておくのが仕込みです。これは補助金で新しい設備を導入したときも同じで、「どんな設備を入れて、何がどう変わったのか」を見えるかたちで伝えることで、値上げへの理解が格段に深まります。

仕込み⑤:新メニューは必ず既存メニューより20%以上高く設定する

これは値上げの仕込みというより、これから先ずっと使い続ける店内ルールです。

新しいメニューを追加するたびに、必ず既存の看板メニューより20%以上高い価格にする。これを徹底するだけで、3年後にはメニュー全体の単価が自然と上がっています。逆に「売れるかどうか心配だから、少し安めにしよう」という判断を積み重ねると、いつまでたっても単価は上がらない。

新幹線や飛行機と同じです。グリーン車や上位クラスがあるから、普通席の価値も相対的に伝わる。上位がない状態で「もっと払ってください」と言っても、お客さんには伝わりません。

この「20%ルール」を店内のルールとして全スタッフと共有してください。メニュー開発の判断基準が明確になれば、スタッフも迷わず動けます。

まとめ:仕込みが揃ったら、あとはメニュー表を書き換えるだけ

今日お伝えした5つの仕込みを整理します。

  • ① メニューの名前と説明文を「ご利益中心ネーミング」に書き換える
  • ② 当て玉のプレミアムプランを1品つくる
  • ③ お客さんの声をビフォーアフター形式で3〜5枚貼る
  • ④ 調理工程や素材の裏側を写真・一言で見せる
  • ⑤ 新メニューは既存より20%以上高く設定するルールを作る

これを2週間で仕込んでから、メニュー表の価格を書き換える。これが「値上げタイミング」の正しい順番です。

月商750万円の店が20%値上げして客数が10%減った場合、売上は750万→810万に増えます。原価率と人件費の実働は減る。つまり利益は大きく伸びる。計算すれば明らかなのに、仕込みなしで怖い思いをして諦めてしまうのは、本当にもったいないです。

値引きではなく価値で選ばれる。その第一歩が、この5つの仕込みです。

「自分の店でどの仕込みから手をつければいいかわからない」という場合は、ぜひ一度ご相談ください。メニュー表の書き方から当て玉の設計まで、あなたの店の実態に合わせて一緒に考えます。

“頑張らずに利益を増やす”飲食店の教科書(無料)では、値上げの仕込みを含む利益アップの具体的な手順をまとめています。まず全体像をつかみたい方は、こちらから手に取ってみてください。

個別に相談したい方は、LINEからお気軽にメッセージをお送りください。静岡市清水区からオンラインで全国対応しています。お待ちしています。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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