飲食店のネーミングは「誰のための、どんなメリットか」で考える
メニューの名前を変えただけで、注文数が2倍になった商品がある──こんな話を聞いたら、信じられますか?
実際、私がこれまで支援してきた1,000店舗以上の飲食店の現場で、何度もこの現象を目の当たりにしてきました。料理の中身は何も変えていない。価格も変えていない。変えたのはメニューの名前だけ。それだけで、お客さんの手が動く商品と動かない商品がはっきり分かれるんです。
逆に言うと、どれだけ手間をかけた料理でも、名前の付け方が間違っていると注文されない。「特注麺」「魚介ダブルスープ」「シェフのこだわりポーク」……作り手の情熱は伝わるんですが、それを食べると自分にどんないいことがあるのか、お客さん側からは見えづらいんですよね。
今日はそのネーミングの考え方を、根本から整理してみます。
こんな方におすすめ
- ✅ メニュー表を作ったのに、狙った商品がなかなか注文されないと感じている飲食店オーナー
- ✅ 値引きやクーポンなしで客単価を上げる方法を知りたい方
- ✅ 手間とこだわりをお客さんにうまく伝えられていないと悩んでいる方
- ✅ POPやメニュー表のリニューアルを考えているが、何を書けばいいか分からない方
- ✅ 料理の質には自信があるのに、なぜかお客さんが増えない飲食店経営者の方

なぜ「こだわり系ネーミング」は注文されないのか
まず正直に言いましょう。「玄人向けの訴求は今日でやめてください」というのが、私がコンサルティングの現場で繰り返しお伝えしていることです。
飲食店のメニューには、大きく分けて2種類のお客さんが見ています。ひとつは、食材や調理法に詳しい食べ歩き好きの方。もうひとつは、「何を頼めばいいかよくわからないけど、せっかくだからおいしいものが食べたい」という圧倒的多数のお客さん。
「魚介ダブルスープ」「低温調理48時間熟成ポーク」「ビオワイン仕入れ」……これらは前者には刺さります。でも実は、お店に来るお客さんの大半は後者なんです。
ターゲットは常に初心者です。玄人相手だけに向けたネーミングは、実は「分かる人だけ来てください」というメッセージになってしまっている。リピーターになる可能性が高いのは、むしろ「何だかよく分からないけど、おいしそうで頼んでみたら感動した」という体験を持ったお客さんの方なんですよね。
だとすれば、メニューの名前はこう問い直す必要があります。「これを食べると、どんな人がどんないいことを得られるのか」と。
「ご利益中心ネーミング」とは何か
私がコンサルティングで使っている言葉に、「ご利益中心ネーミング」というものがあります。要は、「誰のための、どんなメリットがある商品か」をメニュー名やPOPに落とし込む考え方です。
具体的にどう変わるか、比べてみましょう。
【変える前】
「シェフ特製・低温調理48時間熟成ポークソテー」
【変えた後】
「お肉が苦手な方でも食べやすい、やわらか熟成ポークソテー」
素材や製法の説明から、お客さんが手に入れる体験・メリットへの転換ですね。「低温調理48時間」という情報は製法であって、それ自体はお客さんの生活に何も変化をもたらさない。でも「お肉が苦手な方でも食べやすい」は、「あ、これ私のためのメニューだ」という自己投影につながります。
もう一つ例を挙げます。
【変える前】
「国産野菜の前菜盛り合わせ」
【変えた後】
「仕事帰りに野菜を補いたい方へ。地元農家直送・今日の旬菜プレート」
「誰のための」が入るだけで、読んだ人の脳内に「自分のことだ」という信号が走るんです。これがご利益中心ネーミングの力です。
✓ ここまでのポイント
- 「こだわり系ネーミング」は作り手の情熱を伝えるが、お客さんの多数派(初心者)には伝わりにくい
- ネーミングは「誰のための、どんなメリットか」を軸に考えると、注文が動き出す
手間・時間・数字で価値を可視化する
ご利益中心ネーミングと合わせて使うと効果が増す方法があります。それが、「手間と時間を数字で書く」ことです。
「16時間かけてコツコツ煮込んだビーフシチュー」という表現を聞いたことがあるかもしれません。「ビーフシチュー」だけより、16時間という数字が入るだけで、圧倒的に「丁寧に作られた料理なんだな」という印象が生まれますよね。
これはPOPでもメニューのサブタイトルでも使えます。
- 「仕込みに3日かけた自家製キムチ入り」
- 「年間2,000食提供してきた、うちの看板からあげ」
- 「毎朝6時に仕入れる、その日だけの鮮魚」
数字はウソをつきません。そしてお客さんは数字に反応します。「丁寧に作っています」という抽象的な言葉より、「仕込みに3日かけた」という具体的な数字の方が、信頼感が格段に上がるんです。
これはそのまま値上げの受け皿にもなります。手間と時間が可視化されれば、お客さんは「ふさわしい価格だな」と感じてくれる。値引きをしなくても選ばれる状態に近づいていくわけです。
「ジョイマンさんのアドバイスでメニュー表のネーミングを全部見直しました。値段は一切変えていないのに、月商が130万円から230万円に伸びました。お客さんから『これって何ですか?』と聞かれる機会が増えて、会話も弾むようになりましたよ。」
焼き鳥店オーナー(50代・男性)
今週から使えるネーミング見直しの3ステップ
難しく考える必要はありません。「2週間で3つだけ実行する」という私の基本姿勢でいきましょう。まず今週中に、次の3つだけやってみてください。
ステップ1:一番売りたいメニューを1つ選ぶ
全部一気に変えようとしなくていいです。まず「これが売れたら利益が出る」という1品を選んでください。
ステップ2:そのメニューに「誰のための」を足す
「肉好きの方へ」「飲み締めにぴったりな」「胃もたれしたくない日に」──なんでもいいです。誰かの顔が浮かぶ言葉を一言足してみてください。
ステップ3:手間か時間か数字を1つ入れる
「〇時間煮込んだ」「〇年続くレシピ」「毎日〇食限定」──これだけで、一気に価値が伝わるメニュー名になります。
この3ステップを1品で試して、1週間注文数を見てください。変化が出たら、次の1品に広げていく。これだけでいいんです。
なお、新しく追加するメニューは、既存メニューより20%以上高い価格設定にするのも合わせてやってみてください。ご利益中心ネーミングで価値が伝わる状態を作ってから値段を上げるので、お客さんから「高い」という反応にはなりにくい。それよりも「なんか気になる」「頼んでみよう」という流れになる方が圧倒的に多いです。
「地方の小さなパスタ店ですが、メニューの書き方を変えて前年より151万円売上が増えました。正直、最初は半信半疑でしたが、名前一つでお客さんの反応がこんなに変わるとは思いませんでした。」
パスタ店オーナー(40代・女性)
まとめ:名前を変えることは、価値を伝えること
飲食店のネーミングは、料理そのものの価値を「見えるようにする」作業です。どれだけ美味しくても、どれだけ手間をかけても、それがお客さんに伝わっていなければ存在しないのと同じです。
「誰のための、どんなメリットか」──この問いを軸に一品ずつ見直していくだけで、値引きなしでも選ばれるメニュー表に近づいていきます。ターゲットは常に初心者。玄人向けの表現は一旦置いておいて、初めてお店に来た方が「これ、自分のためのメニューだ」と感じる言葉を探してみてください。
全国500社を超える飲食店・美容室オーナーが実践してきた「ご利益中心ネーミング」の具体的な打ち手は、無料の教科書でもまとめてお伝えしています。現場ですぐ使えるPOPの書き方・メニュー名の変え方・売上の7つの軸の考え方まで、一気に読めるので、ぜひ手に取ってみてください。
まずは1品だけ、試してみてください。
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