「材料費は上がる一方なのに、客単価がなかなか上がらない」——そんな状況に直面して、次の一手を探しているパン屋のオーナーさんは多いと思います。
美味しいパンを毎日焼いている。来てくれるお客さんには喜ばれている。でも、月商がある水準から上に行かない。忙しいのに手元にお金が残らない。こういう状態、ずっと続いていませんか?
今日は、静岡市清水区を拠点に20年以上にわたって飲食店・小売店オーナーの売上改善を支援してきた経営コンサルタントの視点から、パン屋が月商300万円を突破するための具体的な切り口をひとつご紹介します。キーワードは「法人向けお菓子ボックス」です。
こんな方におすすめ
- ✅ パン屋・ベーカリーを経営していて売上の伸び悩みを感じている方
- ✅ 客単価を上げたいが、値引き以外の方法がわからない方
- ✅ 個人客だけに依存せず、安定した売上の柱をもう一本作りたい方
- ✅ 法人・企業向けの販路を開拓したいが、どこから手をつけていいか迷っている方
- ✅ 月商300万円の壁を突破したい飲食・小売店のオーナーさん

個人客だけでは「月商の天井」がある理由
パン屋の売上を「7つの軸」に分解して考えてみてください。入店率・購入率・購入点数・客単価・来店回数・来店タイミング・新規客——この7つです。
個人のお客さん相手の場合、一人あたりの購入点数も客単価も、自ずと上限があります。朝食用に食パン1本、菓子パン2個——それ以上は持ち帰るのが大変だし、そもそも食べきれない。一人のお客さんから1,000円以上を引き出すのは、工夫してもなかなか難しいんです。
そこで注目してほしいのが「来店タイミング」と「新規客」の軸を、個人客とはまったく違う切り口で動かすことです。具体的には、近隣のオフィスや企業を相手にした法人向けの定期販路を作ること。ここに「お菓子ボックス」という商品設計がはまります。
地方都市でも、都市部でも、オフィス周辺には中小企業や個人事務所が必ずあります。静岡市や浜松市のような地方都市のパン屋さんでも、半径2キロ以内に社員5〜30人規模の会社が20〜30社あることは珍しくない。この「近隣法人」というお客さんをこれまで一度も意識してこなかったとしたら、実はものすごく大きな機会を見落としているということです。
「お菓子ボックス」が強力な収益商品になる理由
法人向けの「お菓子ボックス」とは何か、簡単に説明します。企業の会議や来客対応、社内の手土産・お礼用として使えるよう、パン屋がセットでまとめた箱入り商品です。1箱あたり2,000〜5,000円前後で設計できて、しかも定期注文になりやすい。
ここで重要なのが「集客商品と収益商品を分ける」という考え方です。個人客向けの日常的なパンは「集客商品」——お店を知ってもらい、足を運んでもらうための商品です。一方、法人向けお菓子ボックスは「収益商品」——一度関係ができれば毎週・毎月継続して注文が入る、利益率の高い商品設計ができます。
たとえば、月に10社の企業から毎週1回3,000円のボックスを定期注文してもらうと、それだけで月商12万円が積み上がります。20社になれば24万円。50社なら60万円です。これは既存の個人客への販売を一切減らさずに上乗せできる売上です。
しかも、法人のお客さんは「値引きを求めてくる確率が低い」という特徴があります。会議で出すお菓子に「もう少し安くしてくれ」と言う担当者はほとんどいない。個人客の値引きクーポン対応に毎月頭を悩ませるよりも、はるかに利益率を守りやすい販路です。
「販促って値引きしかないと思っていたんですが、考え方がガラッと変わりました。今では月商が130万円から230万円になって、何より手元に残るお金が増えました」
焼き鳥店オーナー(増益繁盛クラブ会員)
✓ ここまでのポイント
- 個人客だけでは客単価・購入点数に上限があり、月商の天井が来やすい
- 法人向け「お菓子ボックス」は定期注文になりやすく、利益率を守りやすい収益商品になる
- 集客商品(個人向け日常パン)と収益商品(法人向けボックス)を分けて設計することが大事
法人営業を「難しいもの」と思わなくていい理由
「法人向けなんて、営業が必要でしょ?うちには無理」と思った方、ちょっと待ってください。
ターゲットは初心者です。玄人相手にしちゃダメです——これは個人客向けの販促でも同じですが、法人開拓でも考え方は同じです。企業の担当者は「この近くに美味しいパン屋さんがあって、会議のお茶菓子を頼める」という情報をそもそも知らないことが多い。知らないだけで、ニーズは確実にあります。
最初の一手は難しくありません。やることは3つだけです。
まず、「法人向けお菓子ボックス承ります」という案内をお店のレジ横に置く。これだけで、来店する個人客の中に「うちの会社でも使えるかも」と気づく人が出てきます。次に、近隣のオフィスビルや事務所に1枚のA4チラシをポスティングする。「会議・来客・手土産に。地元のパン屋から直接届ける焼きたてお菓子ボックス」とだけ書いてあればいい。最後に、1件だけ試しに使ってくれた企業に「来月もいかがですか?」と一言添えた案内を入れて継続注文に繋げる。
この3つを2週間でやってみてください。難しいことは何もないですよね。
「ご利益中心のネーミング」で法人担当者の心を動かす
お菓子ボックスを設計するときに、もう一つ意識してほしいことがあります。商品名と説明文の書き方です。
「焼きたてパン詰め合わせセット」——これでは選ばれにくい。担当者が上司や来客に説明できる「ご利益」が見えないからです。
たとえばこう変えてみてください。「地元の小麦と天然酵母だけで仕込んだ、手土産に喜ばれるパン職人のお菓子ボックス(全国発送不可、このエリアだけでしか手に入らない一品)」。これだと担当者が「なぜここを選んだか」を自信を持って説明できる。「地元限定」「手土産に喜ばれる」「職人の」というキーワードが、購入する理由を作ってくれるんです。
価格帯も、新しいボックス商品は既存の個人向け商品より20%以上高く設定することをルールにしてください。3,000円の商品を法人向けに展開するなら、3,600円〜以上が基準です。法人用は「量がまとまる分だけ安くする」のが常識だと思っているかもしれませんが、それは逆です。特別感と利便性(まとめてセットにしてくれる手間)に価値があるので、単品より高くて当然なんです。
「売上より利益を重視するという考え方に切り替えてから、経営がまるで変わりました。今では前年比で151万円売上が増えて、しかも利益率が上がっています」
地方都市のパスタ店オーナー(増益繁盛クラブ会員)
月商300万円を超えるために、今週できる一手
ここまで読んでくれたパン屋のオーナーさんに、具体的に今週中にできることをお伝えします。
一つ目。レジ横に「法人・企業様向けお菓子ボックスのご注文承ります」と書いたA4の紙を置く。手書きでいい。これだけ。
二つ目。近隣の会社・事務所に渡せるよう、A4チラシを10枚だけ作る。内容は「会議・来客・お礼用に。○○パン屋の法人向けお菓子ボックス(2,000円〜)。お電話一本でご相談ください」これだけで十分です。
三つ目。既存の個人客で「会社員」だと分かる方が来店したとき、「もしよかったら会社でも使えるボックスがありますよ」と一言添えてみる。
この3つを今週中に実行してください。完璧にやろうとしなくていいです。70点でいいから、まず動いてみることです。質より量、バットを振っていきましょう。10回やって3回当たれば、それで十分なんです。
まとめ:「法人」というお客さんを一人加えるだけで経営が変わる
パン屋の月商を伸ばすために、値引きクーポンを配る必要はありません。仕込み量を増やして労働時間を延ばす必要もありません。
今まで見えていなかった「法人」というお客さんを一人加えて、定期注文が入る収益商品を一つ設計する。これだけで、売上の構造は大きく変わります。値引きではなく価値で選ばれる、がんばらない繁盛を目指してください。
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