飲食店の閑散期集客は「値引きで釣る」んじゃなくて、繁忙期の顧客母数を増やす方が近道

梅雨に入ると、飲食店の多くで「あれ、なんか今月の客足が鈍いな」という感覚が出てきます。夏の閑散期、正月明けの1〜2月、花見や忘年会シーズンが終わった後の谷間……。こういう時期になると、多くのオーナーさんがやってしまうことがあります。

それが「値引きクーポンで集客しよう」という判断です。

気持ちはよくわかるんですよ。お客さんが少ない、売上が落ちてきた、何かしなきゃいけない——そういう焦りの中で、とりあえずクーポンを打つ。でも今日はっきりお伝えしたいのは、閑散期の値引き集客は「損失を補う行為」であって「売上を伸ばす行為」ではない、ということです。

では、閑散期の売上を底上げするために本当にやるべきことは何か。答えは「繁忙期の顧客母数を増やすこと」にあります。今回はこのテーマをQ&A形式で掘り下げていきます。

飲食店の閑散期集客は「値引きで釣る」んじゃなくて、繁忙期の顧客母数を増やす方が近道 | 販促アイデア100選
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閑散期に値引き集客をするとなぜ逆効果になるの?

値引きクーポンで集まったお客さんは、値引きがあるから来るわけです。裏を返せば、値引きがなくなれば来なくなる。これが最大の問題です。

さらに深刻なのは、値引きに反応するお客さんと、価値に反応するお客さんでは、生涯にわたってお店に使ってくれる金額に大きな差があるということ。値引き客は物販を買わない、クレームが多い、来店頻度が低い——こういう傾向があります。一方、価値に共感して来るお客さんはリピートし、友人を連れてきて、単価も高い。この差が積み重なると、同じ「100人集客」でも、売上と利益に雲泥の差が生まれます。

閑散期だからといって値引きで集めてしまうと、「次もクーポンがないと来ない」という層ばかりが増えていく。これを繰り返すと、お店の常連客がどんどん「値段でしか動かない人たち」で埋まっていってしまうんです。

「顧客母数を増やす」って具体的にどういうこと?

少し整理しましょう。閑散期の売上が低い理由を突き詰めると、シンプルに「来てくれるお客さんの数が少ない」からです。では、その「来てくれるお客さん」はどこから来るのか。

多くの場合、繁忙期に一度来てくれたお客さんの中から、また来てくれる人が生まれます。花見シーズンや忘年会シーズンに来てくれたお客さんが、「あの店よかったな」と思えばまた来る。思わなければ来ない。これだけのことです。

つまり、閑散期の売上は繁忙期に「次も来たい」と思ってもらえたお客さんの数に比例します。これが「顧客母数」です。繁忙期に何人のお客さんを「またここに来よう」と思わせることができたか——ここが閑散期の売上を決める本当のポイントなんです。

閑散期になってから慌てて集客するのではなく、繁忙期の間に次の来店につながる種をまく。この順番を間違えないでください。

繁忙期に顧客母数を増やすために何をすればいい?

具体的に3つお伝えします。これを「2週間で3つ」実行してみてください。

① その場で次回来店の約束をとる

忘年会シーズンに来てくれたグループのお客さんに、「今日来てくださってありがとうございます。実はこの時期だけご用意している○○という料理が2月もあるんですが、ぜひまた来てください」と一言添えて、次回の来店意向を確認する。さらに一歩進めて、予約カードを渡したり、LINEで次回来店時の特典をお知らせするなど、「次のアクション」をその場でつくっておく。

飲食店でよく使われる「未来計画表」という考え方があります。美容室でいうおしゃれ計画表と同じ発想で、「お客さんと一緒に次の来店タイミングを決めておく」仕組みです。これをスタッフ全員が自然にできるようになると、繁忙期で増えたお客さんが閑散期にも戻ってきやすくなります。

② 繁忙期こそお客さんの声をきちんと残す

お客さんが多く来てくれる繁忙期は、実は「声を集める最大のチャンス」でもあります。来店後のアンケートやLINEでのフォロー、お礼のハガキなど、お客さんとのつながりを記録に残す仕組みを作っておく。集まった声は次の繁忙期の販促に使えますし、閑散期のDMで「以前いらっしゃった際のあの料理、また食べに来ませんか?」という形でピンポイントに届けることもできます。

③ 繁忙期の集客に本気を出す(閑散期に力を分散しない)

これが一番大事かもしれません。チラシを打つなら閑散期ではなく繁忙期に打つ。新しいメニューやサービスを試すなら、人が来ている繁忙期に試す。繁忙期で顧客母数が増えれば、閑散期の売上は自然と底上げされます。逆に繁忙期に手を抜いて閑散期に焦っても、元々の母数が少なければ何をしても限界があります。

閑散期に何もしなくていいということ?

そういうわけではありません。閑散期にやるべきことは「新規集客のための値引き」ではなく、既存のお客さんへの再来店の働きかけです。

ハガキDMは閑散期の有効な手段の一つです。繁忙期に来てくれたお客さんにハガキを1枚送る。「先日はありがとうございました。この季節ならではの○○をご用意しています」という内容で十分です。値引きクーポンを入れる必要はない。むしろ、値引きクーポンなしで来てもらえるお客さんを育てる方が、長い目で見れば健全な経営につながります。

あるパスタ店では、こうした既存客へのハガキDMと繁忙期の集客の組み合わせで、前年比151万円の売上増を実現しています。新規を値引きで釣るのではなく、すでに来てくれた人に丁寧に声をかけ続けた結果です。

「閑散期になってから考えよう」ではもう遅い——まとめ

閑散期の集客は、閑散期が始まってから動いても間に合いません。繁忙期に何人の「また来たいお客さん」を作れたか。ここが全てのスタートラインです。

もう一度整理すると、

  • 閑散期の値引き集客は、質の低い客層を集めるだけで根本解決にならない
  • 繁忙期に顧客母数を増やすことが、閑散期の売上底上げへの近道
  • 繁忙期にやること:①その場で次回来店の約束をとる ②お客さんの声を記録に残す ③繁忙期の集客に本気を出す
  • 閑散期にやること:新規への値引きではなく、既存客へのハガキDMなど再来店の働きかけ

「がんばらない繁盛」という言葉を私はよく使います。これは手を抜くということではなく、力を入れる場所を正しく選ぶということです。閑散期に慌てて値引きで集客するエネルギーを、繁忙期の顧客づくりに集中させる。それだけで、3ヶ月後・半年後の売上は確実に変わってきます。

「2週間で3つだけ実行する」を続ければ、年間で72の打ち手を打てる経営者になれます。今日の記事で紹介した3つを、次の繁忙期が来る前にまず試してみてください。

飲食店の売上・利益の仕組みをもっと体系的に学びたい方は、こちらをご覧ください。値引きに頼らずに利益を増やすための考え方と実践策をまとめています。お気軽に受け取ってみてください。

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この記事を書いた人

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 代表取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

1975年 静岡県清水市生まれ(現在:静岡市清水区)
自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしていることから、小さい頃より受付台にたち、商売を学ぶ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を経験。活動中は、九州松早グループの運営するファミリーマートのCMに出演。急性膵炎による父の急死により大学卒業後、清水市役所に奉職。

市役所在職中に中小企業診断士の取得を始める。昼間は市役所で働き、夜は診断士の受験勉強。そして、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの現場修行を経験。6年間の試験勉強を経て、中小企業診断士資格を取得。

取得を契機に7年目で市役所退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立。

お笑い芸人として活動していた経験から、小売店や飲食店、美容室、整体院の客数増加や店内販売活動に、お笑い芸人の思考法や行動スタイル、漫才の手法などを取り入れることで、クライアントの業績が着実に向上していく。

こうした実績を積み上がるに従い、信奉者が増える。独自の繁盛店メソッド「笑人の繁盛術」の考え方で、コンサルティングを行う。

発行するメールマガジンは、専門用語を使わない分かりやすい内容から、メルマガ読者からの業績アップ報告が多く、読者総数は1万人を超える。

会員制コンサルティングサポート「増益繁盛クラブ」を運営。人気テレビ番組ガイアの夜明けにも取り上げられるなど注目を浴びる。これまで北は北海道から南は沖縄、そして、アメリカからも参加する方がいるなど、多くの方が実践を続けている。

コンサルタントが購読する「企業診断」(同友館)からもコンサルタントに向けた連載を依頼されるなど、コンサルタントのコンサルタントとしても活躍中。

どんなに仕事が忙しくとも毎月1回の先祖のお墓参りを大事にしている。家族を愛するマーケッター。

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