先日の休日、地元・清水区の河岸の市をふらりと歩いてきました。
魚市場ならではの活気があって、どの店も新鮮な海産物を並べていて、見ているだけで楽しいんですよね。でもそこでふと気になったことがあって。
明らかに素材の良さも仕入れのこだわりも伝わるお店が、隣の賑わっているお店と比べて静かなんです。食べてみれば絶対においしいはずなのに、人の流れが全然違う。
こういう場面を見るたびに、私がコンサルタントとして20年間言い続けていることを改めて実感します。
「売上が上がらない理由は、料理が悪いからじゃない」ということです。
今日はこの話を、できるだけ具体的に書いていきます。

「おいしければ売れる」という思い込みが、店を静かにする
飲食店オーナーさんから相談を受けるとき、最初にこんな言葉をよく聞きます。
「料理には自信があるんですよ。でもなぜかお客さんが増えなくて」
この言葉の中に、すでに答えが隠れています。
「自信がある」のはオーナーさん自身の感覚であって、お客さんがそれを知っているかどうかは別の話ですよね。どれだけ丁寧に仕込みをしていても、どれだけ厳選した食材を使っていても、それがお客さんに伝わっていなければ、存在しないのと同じなんです。
私が静岡市清水区を拠点にして全国1,000店舗以上のお店と関わってきた中でわかったことは、売上が上がらない店の共通点は「料理の質」ではなく「価値の伝え方」にあるということです。
もっと言うと、本当の理由はこの1つに集約されます。
「お客さんが来るべき理由が、お客さんに届いていない」
これだけです。
売上を分解すると、本当の問題が見えてくる
「じゃあどこを直せばいいの?」となりますよね。ここで大事なのが、売上を正しく分解することです。
多くの飲食店オーナーさんは、売上を「客数×客単価」の2つでしか見ていません。でもこれだと「客数を増やすか、単価を上げるか」しか選択肢がなくて、どっちも難しいと感じてすぐ手詰まりになる。
私が使っているフレームは「売上の7つの軸」です。
- ①入店率(前を通った人が入ってくる割合)
- ②購入率(入ったお客さんが何かを注文する割合)
- ③購入点数(1回の来店で頼む品数)
- ④客単価
- ⑤来店回数
- ⑥来店タイミング(いつ来るかをお店側でコントロールできているか)
- ⑦新規客
この7つのどこかに必ず「穴」があります。そしてほとんどの場合、一番すぐ改善できるのは①の入店率と②の購入率なんですよね。
新規客を増やすのには時間がかかります。でも入店率と購入率は、今この瞬間にお店の前を通っている人・すでに席に座っているお客さんへの働きかけなので、やり方さえ変えれば今週から変化が出る。
あるコーヒー店では、店前看板を変えて外観の照明を明るくしただけで、店内飲食の売上が月7万円から32万円になりました。料理は何も変えていません。メニューも変えていない。看板と照明だけです。
「価値が伝わっていない」を具体的に直す3つの打ち手
では実際に何をすればいいか。今日から動けるものを3つに絞って書きます。
1. 店前看板に「美味しそうな写真と3〜4行の言葉」を置く
お店の前を通ったお客さんが「入ろうかな」と判断するのに使う時間は、実は数秒です。その数秒で伝えるべきことは「何のお店か」「何が食べられるか」「なぜここがいいのか」の3点だけ。
ここで大事なのが、「玄人向けの表現をやめる」ことです。「特注麺」「魚介ダブルスープ」という言葉は、食べ歩き好きの人には刺さるかもしれないけど、今晩どこで食べようか迷っている普通のお客さんには響かない。
ターゲットは初心者です。わかりやすく、具体的に、「あなたのためのお店ですよ」と伝える言葉を選んでください。
2. メニュー表の書き方を「ご利益中心」に変える
「〇〇産の△△を使用した◇◇」という書き方、よく見かけますよね。これは食材の産地と調理法を説明しているだけで、「食べたらどうなるか」が書かれていないんです。
例えば「16時間かけてコツコツ煮込んだビーフシチュー」という書き方はどうでしょう。手間と時間を数字で見せると、料理の価値が一気に具体的になります。食べる前から「ちゃんと作ってるんだな」とわかる。
お客さんが求めているのは食材の情報ではなく、「食べたあとの体験」です。そこを言葉にすることが、価値を伝えることになります。
3. お客さんの声をビフォーアフター形式で店内に貼る
「おいしかった」という感想より、「毎週末ここに来るようになった」「夫婦の記念日は必ずここと決めている」という声の方が、次のお客さんに響きます。
ビフォーアフター形式というのは、「来る前はこうだったけど、来てからこうなった」という変化を書くということです。料理の美味しさそのものより、そのお店に来ることで生まれた変化が伝わると、「自分もそうなりたい」と感じてもらえる。
これはお客さんへのアンケートでも、会話の中でもらった言葉をメモしておくだけでも集められます。
月商130万円→230万円になった焼き鳥店がやったこと
実際にこの方向で取り組んだお店の話をします。
ある焼き鳥店のオーナーさん、料理の腕は間違いなくて、常連のお客さんからはかなり支持されていました。でも売上の壁が超えられない。
一緒に取り組んだのは、「料理の改善」ではありませんでした。やったのは3つです。
- メニュー表の名前と説明文を「ご利益中心」に書き直す
- お客さんから聞いていた声をPOPにして店内に貼る
- 次回来店の約束をその場でとる「未来計画表」を接客に組み込む
この3つだけで、月商が130万円から230万円に伸びました。
料理は変わっていません。食材も変えていない。変えたのは「価値の伝え方」と「次回来店をお客さん任せにしない仕組み」だけです。
この事例を見て、「うちとは違う」と思う方もいるかもしれません。でも実際には、地方都市のパスタ店が前年比151万円の売上増を実現したり、美容室が年商2倍になったりと、同じ方向性の取り組みで成果が出ているケースは全国にたくさんあります。
「2週間で3つだけ」実行する。これだけで1年後が変わる
ここまで読んでくれた方の中には、「やることが多すぎてどこから手をつければ」と感じている方もいるかもしれません。わかります。
だから私がいつも言っているのは、「2週間で3つだけ実行する」というルールです。
2週間で3つやれば、1ヶ月で6つ、1年で72の打ち手を実行したことになります。日本中の飲食店経営者を見渡しても、年間72の販促改善を続けている人はほぼいません。それだけで頭一つ抜ける。
全部一度にやろうとしなくていいです。今日読んだ中で「これならすぐできる」と思ったものを1つ、今週中にやってみてください。
売上が上がらない理由は、料理が悪いからじゃない。価値が伝わっていないだけです。そして価値の伝え方は、今日から変えられます。
まとめ:「料理の質」より先に「伝え方」を変える
飲食店の売上が伸びない本当の理由を、改めて整理します。
- 料理の質は問題ではない。価値がお客さんに届いていないことが問題
- 売上を「7つの軸」で分解すると、本当のボトルネックが見える
- 入店率・購入率は今すぐ改善できる。新規集客より先にここを動かす
- メニュー表と看板を「ご利益中心」に変えるだけで、お客さんの反応が変わる
- 次回来店を仕組み化すると、売上の底が上がる
私・ハワードジョイマンは、静岡市清水区を拠点に中小企業診断士として20年、全国1,000店舗以上の飲食店・美容室の経営者さんと一緒に「値引きではなく価値で選ばれる経営」を実践してきました。
今日書いた内容をもっと体系的に学びたい方、自分のお店に当てはめてどこから手をつければいいかを一緒に考えたい方は、まずここから読んでみてください。
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あなたのお店の料理は、きっともう十分においしい。あとは「伝え方」を変えるだけです。一緒にやっていきましょう。
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