月末になるたびに通帳を見て、「あれ、こんなもんか……」とため息をついたことはありませんか?
週末は満席、ランチも回転している。スタッフも頑張っている。なのに、月が終わってみると手元に残っているのはわずかな金額。「これだけ動いて、なんで?」という感覚、経営歴が長くなればなるほど、逆にしんどくなってくる部分だったりしますよね。
この「忙しいのに利益が残らない」問題、実は多くの飲食店に共通する構造的な原因があります。それが今日お話しする「集客商品と収益商品を分けていない」という問題です。
私はハワードジョイマン。静岡市清水区を拠点に、中小企業診断士として20年間、全国1,000店舗以上の飲食店・美容室の売上・利益アップを支援してきました。今日はその現場で何度も目の当たりにしてきた「利益が残らない構造の正体」と、その突破口をお伝えします。

「美味しいものを出しているのになぜ?」の本当の答え
まず確認したいのは、利益率が低い飲食店に共通するパターンです。
たとえば、「うちの看板メニューはこの一品」というお店があるとします。素材にこだわって、仕込みに時間をかけて、自信を持って出している料理。そして集客のために、その看板メニューをSNSや食べログに前面に出す。ここまではよくある話です。
問題はその先です。その看板メニューを値引きして集客している、もしくは利益の薄い価格設定のまま出し続けているというケース。来てくれるお客さんは増えるかもしれないけれど、そのメニュー自体ではほとんど利益が出ない。他に何かを追加注文してもらえれば利益が取れるはずなのに、その仕掛けが何もない。
この状態が続くと、客数が増えれば増えるほど原価と人件費だけが膨らんで、手元に残るお金は増えない、むしろ減っていくということが起きます。
忙しいのに疲弊している。それはお店の実力の問題ではなく、利益を取る構造が設計されていないことが原因なんです。
「集客商品」と「収益商品」を分けるとはどういうことか
ここで登場するのが「集客商品と収益商品の分離」という考え方です。
シンプルに言うとこうです。
- 集客商品:お客さんに「このお店に行ってみたい」と思わせるための商品。SNSで目を引く、価格的に入りやすい、話題になりやすいもの。
- 収益商品:来てくれたお客さんに追加で注文してもらうことで、きっちり利益を回収する商品。
この2つを意識的に分けて設計するのが、利益が残るお店の基本構造です。
よくある例で説明しましょう。鉄板焼きステーキのお店を想像してください。「90gランチステーキ1,200円」を集客商品として前面に出す。ここでは大きな利益を取ろうとしない。ただし、来てくれたお客さんには「本日のスープ」「追加のフォアグラトッピング」「ソムリエが選んだグラスワイン」「デザートセット」を自然な流れで案内する。この関連商品で利益を回収する設計になっている。
集客商品で人を集め、収益商品で利益を取る。この2段構えが機能して初めて、「忙しさ」が「利益」に変換されます。
逆に、集客商品でも収益商品でもない、中途半端な価格・中途半端な訴求のメニューだけが並んでいるメニュー表は、どこで利益を取ればいいかわからない構造になっています。これが「忙しいのに手元に残らない」の正体の一つです。
実際のお店でどう使うか:3つの具体的な設計パターン
「概念はわかった。でも自分のお店でどう使えばいいの?」という話をします。
① 入り口は低く、追加で深く取る
居酒屋・こだわり系の業態でよくある成功パターンは、「一品料理を低価格で設定して来店ハードルを下げる×ドリンクと〆の料理で利益を取る」です。単品料理の原価率は多少高くてもいい。その代わり、ドリンクの種類と見せ方を充実させて、自然に2杯・3杯と飲んでもらえる流れを作る。
② 見せ球の「当て玉」をメニューに入れる
これは少し戦略的な話ですが、メニューに「1人前28,000円のプレミアムコース」のような圧倒的に高額な選択肢を入れておくことで、その隣にある「8,000円のコース」が相対的に手頃に感じられる効果が生まれます。お客さんの財布のひもを一段緩める仕掛けです。
③ 新商品は既存商品より20%以上高くする
これ、実は非常に効果のある「店内ルール」です。新しいメニューを追加するとき、既存の一番近いメニューより20%高い価格設定を徹底する。これだけでメニュー全体の単価が自然と底上げされていきます。新商品に理由があれば(素材・製法・ストーリー)、20%の差はお客さんに受け入れられます。
利益率が劇的に変わる「収益商品の見せ方」
ここで一つ、根本的なことを確認させてください。
収益商品を用意しても、それをお客さんに「伝える仕掛け」がなければ意味がありません。スタッフが全員「勧めにくい」と思って黙っている状態では、せっかくの収益商品は死んでいます。
大事なのは、販促物が自動的に勧めてくれる状態を作ることです。具体的には、テーブルのPOP、メニュー表の見せ方、おしぼりと一緒に置くミニチラシなど。「スタッフが案内する」ではなく「モノが案内する」仕組みに変えれば、人への依存度が下がります。
このPOPの書き方も大事で、単に「本日のおすすめ」と書くだけではほぼ機能しません。「なぜこれを選ぶべきか」をお客さんの目線で書く。たとえば「週に3回しか仕入れができない宮崎産A5和牛を使った特製ローストビーフ丼。14時間かけて仕上げた自家製だれとの組み合わせが、今月一番の注目メニューです」のような書き方です。手間と時間を数字で示す。素材の背景を語る。これがご利益中心の伝え方です。
実際にこのPOPの書き方を変えただけで売上の構成が変わったお店は、私がサポートしてきた中でも珍しくありません。「言葉が変わると、お金の流れが変わる」というのは大げさではなく、現場で起きていることです。
「集客商品と収益商品の分離」で利益体質に変わるために、今週やること
整理しましょう。利益率が低いお店がやるべきことは、次の3つです。
- 自店のメニューを「集客商品」と「収益商品」に分類してみる
今のメニューを眺めて、「これは人を呼ぶためのもの」「これで利益を取るもの」に振り分けてみてください。分類できないものは、どちらでもない「曖昧な存在」です。 - 収益商品をお客さんに伝える「モノの仕掛け」を1つ作る
テーブルPOP1枚でいいです。手書きでも構いません。「なぜこれを頼むべきか」がわかる言葉で書いてみてください。 - 次の新メニューは既存の近いメニューより20%高く設定する
まず一品だけでいい。その一品が売れる体験をすることで、「値上げは怖くない」という実感が生まれます。
2週間でこの3つだけ実行してみてください。「あれもこれも」は要りません。3つだけ。それを続けていくことで、1ヶ月に6つ、年間72の打ち手を積み重ねることができます。日本中の飲食店で、年間72の販促改善を実行し続けているオーナーは本当に少ない。だから、やった人だけが確実に変わっていきます。
まとめ:利益が残る構造は「頑張り方」ではなく「設計」で決まる
今日お伝えしたかったのは、利益率が低い原因は「料理の質」でも「スタッフの頑張り」でも「立地」でもない、ということです。集客商品と収益商品が分離されていない、つまり利益を取る構造が設計されていないことが根本にあります。
逆に言えば、この構造さえ整えれば、今と同じ客数・同じスタッフ・同じ立地のまま、利益率を引き上げることができます。月商130万円から230万円に伸びた焼き鳥店も、年商2倍になった美容室も、「売上の立て方の構造」を変えたことが転換点でした。
「値引きじゃなくて価値で選ばれる」「売上より利益を重視する」──この2つを軸に、まず今週1つだけ動いてみてください。
もし「自分のお店の場合、具体的にどう設計すればいいか」を知りたい方は、まず以下の無料教材から始めてみてください。飲食店の利益構造を根本から変えるための考え方と具体的な打ち手を、体系的にまとめています。
また、「自分のお店のメニュー構成を見てほしい」「収益商品の設計を一緒に考えてほしい」という方は、LINEからお気軽にご相談ください。個別の状況に合わせてお話しします。
静岡市清水区から全国の飲食店オーナーさんを応援しています。あなたのお店が、忙しさに見合った利益を手にできるよう、一緒に考えましょう。
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