飲食店が儲からない理由は「値引き」じゃなくて「売れる仕組み」がないことです
結論から言います。
飲食店が儲からない一番の理由は、値引きのしすぎではありません。「売れる仕組み」がそもそも存在していないことです。
「値段を下げれば人が来る」「クーポンを出せばリピートが増える」と信じて動いている飲食店オーナーさんを、私はこの20年でものすごい数見てきました。静岡に限らず、北海道から沖縄まで、全国1,000店舗以上の経営者さんと関わってきて、ずっと感じていることがあります。
値引きで集まったお客さんは、値引きがなくなれば消えていきます。それだけじゃなくて、物販はほとんど買わない、クレームは多い、そして再来店しない。値引き客と優良客では、生涯を通じてお店にもたらす価値に7倍以上の差が出ます。これを知らずに「安くすれば安全」と信じ込んでいるオーナーさんが、本当に多い。
この記事では、「売上・利益を大きく伸ばしたい」と本気で考えている飲食店オーナーさんに向けて、仕組みで売上と利益を伸ばすための具体的な考え方をお伝えします。

「売れる仕組み」がない店の共通点
売上が伸び悩んでいる飲食店に共通しているのは、売上を「客数×客単価」という2つの変数でしか見ていないことです。
この見方しかないと、打ち手が「客数を増やすか、単価を上げるか」の2択になってしまいます。客数を増やそうとすればチラシや広告にお金がかかる。単価を上げようとすると「客が逃げるかも」と怖くなる。結果、どちらも踏み切れないまま時間だけが過ぎていく。
本来、売上は7つの軸に分解できます。
- ①入店率(店の前を通った人がどれだけ入ってくるか)
- ②購入率(入店したお客さんがどれだけ注文するか)
- ③購入点数(1回の来店で何品注文するか)
- ④客単価(1人あたりの支払い金額)
- ⑤来店回数(1人のお客さんが年間何回来るか)
- ⑥来店タイミング(閑散期にも来てもらえているか)
- ⑦新規客(新しいお客さんを呼べているか)
この7つのどこに「穴」があるかを特定せずに、なんとなく広告を打ったり、なんとなくクーポンを出したりしている。これが「仕組みがない状態」です。
たとえば、あるコーヒー店の話をすると、店内飲食の売上が月7万円しかなかった。でも店前看板に「美味しそうな写真と言葉」を3〜4個と、その場で使えるクーポンを置いただけで、月32万円に跳ね上がりました。①の入店率というレバーを一つ動かしただけです。
新規集客に何十万円もかけなくていいんです。今すでに店の前を歩いている人を、ちゃんと中に呼び込む仕組みがあるかどうか。まずここを見てください。
値引きをやめて「価値で選ばれる」伝え方に切り替える
「値引きをやめたら客が来なくなるんじゃないか」と思うオーナーさんは多いです。わかりますよね。その不安は本当によくわかります。
でも一度、こう考えてみてください。
5,000円のコースを6,000円に値上げしたとして、月に150人来ていたお客さんが125人(83.3%)に減ったとします。売上はどうなるか。150人×5,000円=75万円、125人×6,000円=75万円。同じです。しかも原価も労働時間も減っているから、利益は確実に増える。
客数が16.7%以上減らない限り、値上げした方が有利なんです。でもほとんどの経営者さんが「値上げ=客離れ」というイメージだけで止まってしまう。数字を計算してみれば全然怖くないのに。
では、どうやって「値引きではなく価値で選ばれる」状態を作るか。
ポイントは「ご利益中心のネーミング」に切り替えることです。「特選牛ステーキ200g」じゃなくて、「16時間かけてじっくり煮込んだ、大切な人と囲む特別の夜のための赤ワイン煮込みステーキ」。手間と時間を具体的な数字で書く。お客さんが「なぜそれを食べるのか」という理由を一緒に伝える。
これはPOPでもメニュー表でも、店前看板でも同じです。「何を売っているか」だけを書くのではなく、「誰のための、どんなご利益があるものか」を書く。この一点を変えるだけで、同じ商品でも受け取られ方がまったく変わります。
月商130万円だった焼き鳥店が230万円になった事例も、赤字から脱却して年商を2倍にした事例も、このような「価値の伝え方」の変化が起点になっています。
集客商品と収益商品を分けて設計する
「仕組みで売る」という話をすると、よくある誤解があります。「目玉メニューで安く呼んで、高い商品を売る」という発想です。これは半分正解で、半分間違いです。
正しい設計はこうです。
集客商品は、お客さんをお店に呼ぶための入り口です。これは値引きである必要はありません。「今だけ」「ここだけ」「この季節だけ」といった限定性や、ストーリーや驚きで集めることができます。
収益商品は、集まったお客さんに追加で選んでもらうための商品です。ここで利益を回収します。
この2つを分けて考えていないと、集客商品自体の原価率が高すぎて、忙しいのに利益が残らない状態に陥ります。「営業時間中はずっとフル回転しているのに、月末に通帳を見るとびっくりする」という経営者さん、実はこの構造が原因であることがほとんどです。
さらに、収益商品を作る時の原則として覚えておいてほしいのが、「新商品は既存商品より20%以上高くする」ルールです。新しく作るメニューは、今あるメニューより高い価格で出す。これを店内のルールとして徹底するだけで、メニュー全体の単価が自然に上がり続けます。
また、「見せ球の当て玉」という考え方も使えます。誰も頼まないような超プレミアムコースを一つ作っておく。そうすると、その隣にある今まで「高い」と思われていたコースが、相対的に「手頃」に見えるようになります。これは特別なことでも何でもなくて、新幹線のグリーン車があるから普通席が快適に感じる、それと同じ心理です。
2週間で3つだけ実行する。それだけで年間72の打ち手になる
ここまで読んで「やることが多い」と感じたオーナーさん。ちょっと待ってください。
全部を一気にやる必要はありません。むしろ、それをやろうとするから続かないんです。
私がずっとお伝えしているのは、「2週間で3つだけ実行する」というルールです。
2週間で3つ。これを続けると、1ヶ月で6つ、1年で72の打ち手を打てる経営者になれます。日本の飲食店経営者で、年間72の販促改善を続けている人はほぼいません。つまり、このペースで動けるだけで、同業の中でほぼ確実に頭一つ抜け出せる。
さらに大事なのは、7つの軸のうち「今の自分の店で最も即効性が高い軸」から手をつけることです。新規集客は時間がかかります。でも入店率や購入点数は、今この瞬間に店の前を歩いている人、今日来てくれているお客さんへの打ち手なので、やれば早ければ明日にでも反応が出ます。
質よりも量、とにかくバットを振っていきましょう。10回やって3つ当たれば、それで十分です。地方都市のパスタ店が前年比151万円の売上増を達成したのも、こういった地道な打ち手の積み重ねによるものです。
「完璧な一手を探す」のではなく、「今週できる3つを決めて動く」。これが仕組みで売上と利益を伸ばす経営者の習慣です。
まとめ:仕組みを作れば、がんばらなくても利益は残る
飲食店が儲からない本当の理由は、値引きに頼っているからではなく、売れる仕組みそのものがないからです。
今日からできることを3つだけ整理しておきます。
- 売上を7つの軸に分解して、自店のボトルネックがどこにあるかを特定する
まず「穴」の場所を見つけることから始めてください。 - メニュー表・POPの一つをご利益中心ネーミングに書き換える
「何を売っているか」ではなく「誰のため、どんな価値か」を伝える言葉に変える。 - 新商品を作る時は既存商品より20%高い価格で出すルールを決める
これだけでメニュー全体の単価が自然に上がります。
「値引きではなく価値で選ばれる」「売上より利益を重視する」──この2つの考え方に切り替えた瞬間から、経営の見え方がガラッと変わります。
私、ハワードジョイマンは静岡市清水区を拠点に、中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)として20年にわたり全国1,000店舗以上の飲食店・美容室オーナーさんの経営支援に関わってきました。全国500社を超える会員さんが実践して成果を出してきた手法を、まずは無料の教材でお試しいただけます。
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