Amazonへの出品をやめた小売店オーナーのうち、約6割が撤退後に「もう少し考えてから決めればよかった」と振り返る——これは私がこれまで支援してきた小売店オーナーたちの声を集めた中で、繰り返し聞いてきた話です。
「手数料が高い」「価格競争で疲れた」「Amazonに振り回されるのが嫌になった」。その気持ちは本当によくわかります。ただ、撤退を決める前に確認しておくべきことが、実はいくつかあります。
今回はAmazon撤退を考えている小売店オーナーの方に向けて、後悔しない判断をするための3つのチェックポイントをお伝えします。
📋 この記事でわかること
- Amazonをやめたくなる本当の原因がどこにあるか
- 撤退前に確認すべき3つの具体的チェックポイント
- 撤退後に売上を守るための代替戦略の考え方
- 自店の判断軸を持つための経営マインドの整え方
こんな方におすすめ
- ✅ Amazonへの出品をやめたいと感じている小売店オーナーの方
- ✅ 手数料や価格競争にじわじわ疲れてきた方
- ✅ 撤退すべきかどうか、判断の軸がなくて迷っている方
- ✅ Amazon以外の販売チャネルを本気で整備したい方
- ✅ 「なんとなく続けているが、これでいいのか」と感じている方

Amazon出店をやめたくなる理由は、本当に「Amazon」のせいなのか?
「Amazon撤退」を考える多くのオーナーさんの話を聞いていると、不満の矛先がAmazonに向いているけれど、根っこにある問題は別のところにある、というケースが少なくありません。
手数料が高い、という話。これは事実です。ただ、その手数料を差し引いても利益が出るような価格設計と仕入れ構造になっているかどうか、を先に確認する必要があります。
価格競争がきつい、という話。これも事実。でも、価格でしか戦えない商品構成になっていないか、というのは別の問いです。
つまり、「Amazonをやめたい」という気持ちの背景に、利益構造の設計の問題が隠れている場合が多いのです。Amazonをやめても、その問題が解決しなければ、次の販売チャネルでも同じことが起きます。
「撤退の判断は、チャネルへの不満からではなく、自店の利益構造の確認から始めてください。感情で決めると、後で必ず後悔します」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
チェック1:Amazon経由の売上は、月商全体の何%を占めているか?
チェックポイント①:Amazon依存率を数字で確認する
まず最初にやるべきことは、感情を一度脇に置いて、数字を見ることです。Amazon経由の売上が月商全体の何%を占めているかを、直近3〜6ヶ月で確認してください。
✅ ポイント:Amazon依存率が50%を超えている場合、即時撤退は売上の半分を失うことを意味します。撤退するにしても、代替チャネルを先に育てる順番が大切です。依存率が20%未満であれば、撤退のダメージは比較的軽く、代替戦略への移行もしやすいでしょう。
私が支援した小売店(アパレル系)の例では、撤退検討時点でAmazon依存率が約65%でした。そのまま撤退していたら月商は一気に落ちていた。そこで先に自社ECとSNS集客を6ヶ月かけて育ててから、段階的にAmazon比率を下げていきました。結果として、月商1,100万円を達成し、客単価も1.8倍になっています。
「やめたい」という気持ちと「やめる準備が整っている」は、全然別の話なのです。
チェック2:Amazonの手数料を「コスト」として正確に把握しているか?
チェックポイント②:手数料の内訳を原価計算に組み込んでいるか
Amazonへの不満で特に多いのが「手数料が高すぎる」という声ですが、実際にどの手数料がいくらかかっているかを正確に把握しているオーナーは意外と少ないです。
Amazonには、販売手数料(カテゴリ別)、FBA利用料(出荷・保管)、大口出品の月額費用など、複数のコスト構造があります。これらを合算したうえで、商品ごとの利益率を計算してみてください。
✅ ポイント:利益が出ている商品と、赤字ギリギリの商品が混在しているはずです。「全部やめる」ではなく、赤字商品だけ撤退・整理するという選択肢も有効です。儲かっている商品を道連れにしてやめてしまうのは、もったいない判断です。
❌ よくあるパターン(感情で全撤退)
- 「Amazonが嫌になった」という気持ちで全商品を一気に撤退
- 儲かっている商品まで手放す
- 撤退後に代替チャネルが育っておらず、売上が急減する
✅ 推奨アプローチ(商品単位で精査して整理)
- 商品ごとに利益率を計算して、残す商品・やめる商品を仕分ける
- 赤字商品を整理しながら、代替チャネル(自社EC・SNS・店頭)を同時進行で育てる
- 感情ではなく、数字と段階的な計画で動く
✓ ここまでのポイント
- Amazon依存率を数字で確認する(50%超えなら即時撤退はリスク大)
- 手数料の内訳を原価計算に組み込み、商品ごとの利益率を把握する
- 「全撤退」より「商品単位での精査」がまず先
チェック3:撤退後の売上を代替できる販売チャネルが育っているか?
チェックポイント③:代替チャネルの準備状況を確認する
撤退前の最大のチェックポイントはここです。Amazon以外で、今すぐ売上を作れる場所が育っているかどうか。
「Amazonをやめて、自社サイトに集中する」という話はよく聞きます。ただ、自社ECは育てるのに時間がかかります。Google広告やSNSの運用が軌道に乗るまでには、少なくとも3〜6ヶ月は見ておく必要があります。
私がよくお伝えするのは、売上は「客数×客単価×来店(購入)頻度」の掛け算で作るものだということです。Amazonをやめることでこの3つのどれかが大きく落ちるなら、その穴を埋める手段を先に整備しておく必要があります。
チェックポイント④:今の顧客リストがどこにあるか
Amazonのプラットフォームでは、基本的に購入者の連絡先を自社で保有できません。つまり、Amazon経由で購入してくれたお客さんは「Amazonのお客さん」であって、「あなたのお客さん」ではないのです。
✅ ポイント:撤退前に、自社SNS・LINE公式アカウント・メールリストなどの独自の顧客接点を育てておくことが不可欠です。特にLINE公式アカウントは、店舗・EC問わず、既存顧客への定期接点として非常に有効です。撤退後もそのお客さんとの関係を自分でコントロールできる状態にしておくことが、売上を守る第一歩になります。
「売上の柱が一本だけの状態は怖い。でも柱を折る前に、次の柱が立っているかどうかを確認してください。焦りは禁物、順番が大事です」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
撤退後の代替戦略として何が有効か?
Amazon撤退を決断したとして、その後の売上をどう作るか。実際に動くイメージを持っておくことが大切です。
代替チャネル整備 STEP 1
LINE公式アカウントで既存顧客との接点を持つ
店舗やInstagram経由でLINE登録を促し、新商品・在庫情報・限定オファーを配信する。ここが自社の顧客リストの基点になります。
⚠️ よくある失敗:登録者を集めたのに、配信が続かず幽霊アカウントになってしまうケース。最低でも月2〜4回の定期配信を計画に組み込むことが必要です。
代替チャネル整備 STEP 2
Instagramと自社ECを連動させて、認知→購買の流れを作る
商品の世界観・ストーリー・使い方をInstagramで発信し、自社ECへ誘導する。POPや販促物の文言をSNSの投稿文と統一することで、ブランドの一貫性が生まれます。
⚠️ よくある失敗:Instagramの投稿がバラバラで、何を売っている店かが伝わらないまま時間だけが経過するケース。発信テーマと投稿の型を最初に決めることが先決です。
代替チャネル整備 STEP 3
Google広告・MEOで商圏内の新規客を継続的に獲得する
「お金を掛けずに売上を伸ばしたい」という発想は、正直言って愚策です。広告への投資が顧客を創造し、その顧客がリピーターになる。この仕組みが回り始めると、Amazon依存から抜け出した後も売上の安定が続きます。
⚠️ よくある失敗:一度広告を出してみて効果を感じられず、すぐやめてしまうケース。効果測定をしながら継続する形に変えることが重要で、一回の結果で判断しないことです。
「Amazonをやめた後に月商1,100万円を達成しました。POPとSNS訴求を統一して、AIで販促文の作成速度を10倍にしたことで、手が届く範囲で回せる販促になりました」
小売店(アパレル)オーナー
まとめ:撤退は戦略であり、逃げではない
Amazon出店をやめること自体は、決して間違った判断ではありません。ただ、タイミングと準備が伴っているかどうかが、その後の経営を大きく左右します。
今回の3つのチェックをもう一度整理しておきます。
- チェック1:Amazon依存率を数字で確認する(依存率50%超えなら撤退前に代替チャネルを育てる)
- チェック2:手数料の内訳を商品ごとに計算し、全撤退ではなく精査して整理する
- チェック3:LINE・SNS・自社ECなど、撤退後に売上を作れる独自の顧客接点が育っているかを確認する
私がこれまで833件の店舗経営者を支援してきた中で痛感するのは、売上は「運任せ」にするものではなく、販促と仕組みで意図的に作るものだということです。Amazon撤退の判断も、同じ考え方のうえに立つべきだと思っています。
「自分の店はどこからチェックすればいいかわからない」「代替戦略の整備を一緒に考えてほしい」という方は、ぜひ一度のぞいてみてください。北海道から沖縄、海外の方まで、多くの小売店オーナーの方が一緒に取り組んでいます。
Amazon撤退後の経営戦略について、もっと具体的に学びたい方はこちらもどうぞ。お待ちしています。