3.儲かる販促と利益アップ

飲食店の顧客リストを、無理なく作って活用する手順

結論から言うと、飲食店の売上を意図的に伸ばすために最も効果が高い一手は、顧客リストを持つことです。

「良い料理を出していれば、いつかお客さんが戻ってくる」と思ってきた経営者の方は多いと思います。でも現実は、一度来てくれたお客さんの多くは、次のきっかけがなければそのままフェードアウトしてしまいます。あなたの店のことを嫌いになったわけではなく、単純に「思い出す機会がなかった」だけです。

逆に言えば、こちらから接点を持てる仕組み——顧客リスト——があれば、その問題は解決できます。新規客を毎月追いかけ続けなくても、すでに一度来てくれた人に「また来てください」と声をかけられる。それが売上を運任せにしない経営の土台です。

この記事では、難しいシステムもコストも要らない、飲食店が今日から始められる顧客リストの作り方と、その活用ステップをお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. 顧客リストが飲食店の売上に直結する理由
  2. 無理なくリストを集めるための3つの入口
  3. LINEとハガキDMを使った再来店の作り方
  4. リストを持った先に見えてくる経営の景色

こんな方におすすめ

  • ✅ 新規集客に頼りすぎていて、月ごとの売上に波がある方
  • ✅ クーポンや値引きに疲れてきた飲食店オーナーの方
  • ✅ LINEやハガキDMを使ってみたいが、何から始めればいいかわからない方
  • ✅ お客さんとの関係を長くして、安定した利益を残したい方
  • ✅ 売上を運任せでなく、意図的に作れる経営に変えたい方
飲食店の顧客リストを、無理なく作って活用する手順 | 増益繁盛クラブ、繁盛店研究所/増益繁盛クラブ(運営法人:有限会社繁盛店研究所、株式会社繁盛店研究出版、株式会社日本中央投資会/繁盛店グループ)

顧客リストがない飲食店は、毎月ゼロから戦っている

飲食店の売上は「客数 × 客単価 × 来店頻度」の掛け算で成り立っています。このうち、多くの店が力を注ぐのは「客数」——つまり新規集客です。チラシを撒き、食べログやホットペッパーに課金し、SNSを更新する。それ自体は間違いではありませんが、既存客へのアプローチが抜けていると、バケツに穴が開いたまま水を注ぎ続けるような状態になります。

一度来てくれたお客さんは、あなたの料理や雰囲気をすでに知っています。信頼コストがゼロに近い。それでも何もアプローチをしなければ、その人たちは静かに競合他店へ流れていきます。顧客リストとは、その「穴」を塞ぐための道具です。

私がこれまで21年間で飲食店を中心に833件以上の経営支援をしてきた中で、売上が劇的に変わった店に共通しているのは「リピートの仕組みを持っていた」ことでした。新規客を増やす打ち手と、既存客に再来店してもらう打ち手を同時に回せている店が、最終的に大きく伸びます。

「売上を伸ばしたいと言いながら、既存客に一度も連絡を取ったことがない——それは、宝の山の上に立って『お金がない』と言っているようなものです」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

STEP別:顧客リストを無理なく集める3つの入口

「顧客リストを作る」と聞くと、難しいシステムが必要だと感じる方もいるかもしれません。でも実際には、今すぐ始められる入口が3つあります。

リスト収集 STEP 1

LINE公式アカウントの友だち追加を店内で促す

レジ横やテーブルに「LINE登録でお得な情報をお届けします」といったPOPを置くだけで始まります。QRコードを印刷して貼るだけでよく、月額費用も一定数まで無料です。スタッフが「よかったらLINE登録していただくと、次回使えるクーポンをお送りします」と一言添えるだけで登録率が変わります。

⚠️ よくある失敗:QRコードを置いただけで何も声をかけない。登録のメリットが伝わらないと、誰も登録してくれません。必ず「登録するとどうなるか」を一言で伝えましょう。

リスト収集 STEP 2

アンケートハガキ・スタンプカードの裏面で住所・お名前を預かる

デジタルが苦手なお客さんや、年齢層が高い業態では、紙のほうが圧倒的に集まりやすいケースがあります。「お誕生日月に特典をお届けします」という一言でご記入いただける方が増えます。集めた情報はExcelで管理するだけで十分です。

⚠️ よくある失敗:集めた名簿をそのまま引き出しにしまって使わない。集めること自体が目的になってしまうと、リストは宝の持ち腐れになります。

リスト収集 STEP 3

Googleビジネスプロフィールの投稿とLINEへの誘導を連動させる

MEO(地図検索対策)で新規のお客さんを呼び込みつつ、来店後にLINE登録を促す流れを作ります。「検索 → 来店 → LINE登録 → 再来店」という動線を設計することで、新規客獲得と既存客フォローを同時に回せます。

⚠️ よくある失敗:新規集客の打ち手とリスト活用の打ち手がバラバラで、どちらも中途半端になる。入口から出口まで一本の動線として考えましょう。

✓ ここまでのポイント

  • 顧客リストがないと、毎月新規客を追いかけ続けるだけの消耗戦になる
  • LINE公式・紙・MEO連動の3つの入口から、今日から始められる
  • 集めることより「使う仕組みに繋げること」が大事

集めたリストを「再来店」に変える使い方

リストが集まったら、次は「どう使うか」です。ここで多くの店が躓くのは、「何を送ればいいかわからない」「毎回考えるのが大変で続かない」という点です。

シンプルに考えてください。あなたがお客さんの立場なら、好きなお店から「今月のおすすめ」や「裏話」が届いたら悪い気はしないはずです。宣伝臭が強すぎると読まれなくなりますが、店主の人柄や季節のメニュー情報が自然に混ざった内容は、案外喜ばれます。

❌ よくあるパターン:「クーポンだけ送るLINE配信」

  • 値引きありきの接点になり、クーポン目当てのお客さんしか反応しなくなる
  • 配信を止めると来客がゼロになる恐怖から抜け出せない
  • 利益が削られ続け、配信コストだけが積み上がる

✅ 推奨アプローチ:「価値を伝えるLINE配信+ハガキDMの組み合わせ」

  • 季節のメニュー紹介・食材のこだわり・店主の近況など、値引きなしで関係性を育てる
  • 月1回のハガキDMで、デジタルが苦手なお客さんにも接点を作る
  • 特典は「限定感・タイミング」で設計し、常態化した値引きにしない

ハガキDMは「手間がかかる」と敬遠されますが、受け取ったお客さんの開封率はメールの比ではありません。月に10〜20枚から始めて、反応を見ながら枚数を増やしていけばいい。最初から完璧にやろうとしないことが、継続の秘訣です。

「地味な販促を、すぐに、継続してやり切れる店が最後に残ります。派手な打ち手を一発試して諦める店より、ハガキを毎月20枚送り続ける店のほうが、3年後には圧倒的な差になっています」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

リストを持つと、売上の景色が変わる

顧客リストを使って再来店の仕組みを回し始めると、「来月の売上がどうなるかわからない」という感覚が少しずつ変わってきます。「今月ハガキを送ったから、週末は来客が増えそうだ」という手応えに変わるのです。

これは単なる気持ちの問題ではありません。客数・客単価・来店頻度のうち「来店頻度」を意図的に動かせるようになることで、売上が予測しやすくなります。そうなると、仕入れや人件費の計画も立てやすくなり、経営が安定します。

「チラシとGoogle広告を組み合わせて6ヶ月で月商が350万円から620万円になりました。新規客が約2倍になり、客単価も1,400円上がりました」

飲食店(居酒屋)オーナー

さらに大きな事例もあります。月商300万円だった飲食店が、年商2億5,000万円規模にまで成長したケースがあります。もちろん一夜にしてそうなったわけではありませんが、その出発点にあったのは「お客さんとの関係を意図的に育てる仕組み」でした。顧客リストを持ち、接点を作り、価値を伝え続けることが、長期的な成長の土台になったのです。

AIを使えば、配信文・ハガキ文の作成時間が大幅に縮まる

「毎月LINEに何を書けばいいかネタが切れる」「ハガキの文章を考えるのが億劫」——これが継続を妨げる大きな壁です。ここにAI(ChatGPTなど)を活用すると、状況が変わります。

たとえば「今月のおすすめは秋鮭の白子ポン酢です。常連のお客さんに向けたLINE配信文を200字で書いて」と指示するだけで、たたき台の文章が数十秒で出てきます。あとは自分の言葉で少し手を加えるだけ。ゼロから書く苦労と、手直しする苦労は雲泥の差です。

アパレルの小売店オーナーが、AIで販促文の作成速度を10倍にした事例もあります。飲食店でも同じことができます。毎月の配信が「考えるのが大変な仕事」から「15分で終わる作業」に変わると、継続のハードルが一気に下がります。

チェックポイント①:あなたの店は今、何人分のリストがありますか?

LINE友だち数・メルマガ登録数・ハガキDMを送れる名簿の件数を合計してみてください。ゼロであれば、今日が始め時です。少しでもあれば、それが資産の出発点です。

✅ ポイント:まず現状の数を把握することが先決。「ない」とわかったら、入口のどれかひとつからすぐ始めましょう。

チェックポイント②:直近3ヶ月、既存客に何か接点を作りましたか?

LINE配信・ハガキ・メールマガジン・ニュースレター、何でも構いません。一度でも送ったことがありますか? なければ、リストがあっても活用できていない状態です。

✅ ポイント:月1回の接点からスタート。内容の質より「送り続けること」を優先しましょう。慣れてきたら内容を磨けばいい。

チェックポイント③:配信の中に、値引きでない価値提供が入っていますか?

クーポンだけの配信になっていないか確認してください。店主の一言・季節のメニューの背景・食材へのこだわりなど、金額ではない「この店ならでは」の情報が入ると、読まれる配信になります。

✅ ポイント:クーポンは「たまに使うスパイス」。メインは価値と関係性を育てるコンテンツです。

まとめ:顧客リストは、売上を意図的に作るための最初の一歩

飲食店の顧客リスト構築は、難しいシステムも大きな投資も必要ありません。LINE公式アカウント・紙のアンケート・MEO連動という3つの入口から、今日から小さく始められます。大切なのは、集めることよりも「使い続けること」です。

売上は運任せにせず、客数・客単価・来店頻度の3つに分解して、それぞれを意図的に動かしていく。顧客リストを持ってハガキDMやLINE配信で来店頻度を上げることは、その中でも今すぐできる、コストの低い打ち手です。

月商300万円が年商2億5,000万円規模に成長した店も、最初から派手な仕掛けを持っていたわけではありません。お客さんとの関係を地道に、継続して育ててきた積み重ねがあります。その第一歩が、顧客リストを作ることです。

「自分の店でも試してみたい」「もう少し具体的な手順を知りたい」と思った方は、ぜひ一度覗いてみてください。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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