「月商が上がっているのに、なぜか手元にお金が残らない。」
実は、飲食店オーナーの約7割以上が「売上は見ているが、利益構造を正しく把握できていない」という状態で経営しているという話を、私はこれまで833件の店舗支援の中で肌感覚として持っています。
今回は、静岡市清水区を拠点に飲食店・美容室・小売店の経営支援を手掛ける繁盛店グループの総代表・ハワードジョイマンに、「飲食店の利益構造を見直すために、最初に見るべき数字の優先順位」についてインタビュー形式でお話を聞きました。
「忙しいのにお金が残らない」と感じているオーナーの方には、特に読んでほしい内容です。
📋 この記事でわかること
- 飲食店の利益が残らない本当の原因と、よくある「数字の見間違い」
- 最初に見るべき数字の優先順位と、その理由
- 利益構造を根本から見直すための3つの切り口
- 今日から動けるアクションと、やってはいけない落とし穴
こんな方におすすめ
- ✅ 売上はそれなりにあるのに、月末に手元のお金が薄いと感じている飲食店オーナー
- ✅ 「忙しさ」と「利益」がどこかでズレていると気づき始めた方
- ✅ 値引きやクーポンに頼った集客から抜け出したい方
- ✅ PL(損益計算書)は見ているが、どこに手を打てばいいかわからない方
- ✅ 利益構造を体系的に整理したい経営歴3年以上のオーナー

「月商」より先に見るべき数字がある
──最初に聞かせてください。利益構造を見直そうとしたとき、多くのオーナーが最初に見る数字はなんだと思いますか?
ジョイマン:ほぼ全員、「月商」か「売上」から入ります。「先月は〇〇万円いった」「今月はちょっと落ちた」という話が出発点になる。それ自体は悪いことじゃないんですが、問題は月商の「中身」を分解していないまま一喜一憂してしまうことです。
売上というのは、客数 × 客単価 × 来店頻度の掛け算でできています。月商が同じ500万円でも、「客数が多くて単価が低い店」と「客数は少なくて単価が高い店」では、利益構造がまったく違う。原価率も人件費の動き方も変わってきます。
だから私がまず見てほしいのは、月商そのものより「その月商はどの要素が動いて作られたのか」という分解の中身です。
──具体的に言うと、どの数字を最初に確認すればいいのでしょう?
ジョイマン:優先順位でいうと、私は①客単価、②原価率、③人件費率の順番で見ることを勧めています。
客単価が設計通りに取れているかどうかは、利益の土台に直結します。ここがずれていると、どれだけ客数を増やしても利益が薄くなる一方です。次に原価率。仕入れコストと廃棄ロスが合わさって、思った以上に原価率が高くなっているケースはよくあります。そして人件費率は、客数・稼働時間との兼ね合いで見ます。
月商から入るより、この3つを先に確認した方が、どこに手を打つべきかがずっと見えやすくなります。
「忙しい=儲かっている」は思い込みだった
──「忙しいのにお金が残らない」というオーナーはなぜそうなるのでしょうか?
ジョイマン:これ、本当によくある話で。私自身も独立当初に似た感覚がありました。動いている、手が止まらない、でも財布が軽い。忙しさと儲かりは、根本的に別物なんです。
忙しいのに残らない理由の多くは、「回転させているつもりで、単価と原価の設計がズレている」ことにあります。たとえば、ランチを安くしてお客さんを集めている店があったとして、満席になっても原価と人件費を足したら利益がほとんど出ていない、なんてことが起きる。
あとは値引きとクーポン。これが構造的にいちばん危ない。価格で集まったお客さんは、価格が変われば離れます。毎月クーポンを使って「忙しい月」を作っても、利益は削られ続ける。そのクーポンがなければ来ない客層だけが残る、という悪循環になりやすい。
「忙しさは経営の成果じゃない。利益が残って初めて、その忙しさが正しかったと言える。」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/店舗利益最大化コンサルタント)
──値引きやクーポンに頼ってしまう理由はどこにあるんでしょう?
ジョイマン:「安くしないと来てもらえない」という恐怖です。でも、その恐怖の根っこには「価値を伝える方法を知らない」という問題があります。
価格で勝負するのではなく、価値を伝えて選ばれる。これができると、客単価を下げなくても来てくれるお客さんが集まり始めます。POPのコピー一枚、メニューの見せ方、店頭の看板の言葉──地味ですが、こういう接点で価値を伝えられるかどうかが、利益構造を変える鍵になります。
✓ ここまでのポイント
- 利益構造を見直す起点は「月商」ではなく「客単価・原価率・人件費率」の3つ
- 忙しさと儲かりは別物。クーポン・値引きによる集客は利益を削る構造になりやすい
利益構造を根本から変える3つの切り口
──では実際に利益構造を見直すとき、どういう順番で手を打てばいいか教えてください。
ジョイマン:大きく3つの切り口から整理すると、わかりやすいと思います。
チェックポイント1:客単価の設計は今のままでいいか
まずは客単価を現状把握することです。「今、自分の店の客単価は正確にいくらか」を即答できないオーナーが思った以上に多い。計算方法は「売上 ÷ 客数」ですが、ランチ・ディナー・テイクアウトで分けて把握しているかどうかも大事です。
✅ ポイント:客単価が設計より低い場合は、まずPOPやメニュー表の「価値の伝え方」を見直す。値段を上げる前に、伝え方で単価が上がるケースが多い。
チェックポイント2:原価率は「感覚」で管理していないか
「うちは食材にこだわっているから原価率が少し高い」という話をよく聞きます。こだわり自体は問題ない。問題は、その原価率が「感覚値」で管理されていて、実際に計測していないケースです。廃棄ロス・仕入れムラ・仕込みの過不足を含めた実原価率と、想定原価率がズレていることはよくあります。
✅ ポイント:月に一度でいいので、品目別の原価率を実測する習慣を持つ。特に人気メニューの原価率が高い場合、そこが利益の穴になっている可能性が高い。
チェックポイント3:人件費は「稼働時間」と紐づいているか
人件費率が高い月と低い月で何が違うか、ちゃんと追えているかどうかです。客数の変動に合わせてシフトが柔軟に動いているか、それとも「なんとなく毎週同じ体制」になっていないか。人件費は固定費的に扱われがちですが、設計次第で変動させられる部分があります。
✅ ポイント:ピーク帯と閑散帯の人員配置を見直すだけで、人件費率が数ポイント改善するケースがある。まず時間帯別の売上と人員のデータを照らし合わせてみる。
「数字を見る」より先に必要なこと
──数字の話だけじゃなく、もう少し手前の話もしてほしいのですが。
ジョイマン:そうですね。数字を見る技術の話をする前に、実は「マインドの置き場所」の話をしないといけないと思っています。
私がよく言うのは、「売上は運任せにしない」ということです。「今月たまたま良かった」「天気が悪かったから仕方ない」という発想でいる限り、数字を見ても手が打てない。なぜなら、「自分の行動で変えられる」という前提がないと、数字は単なる結果報告で終わってしまうからです。
客数・客単価・来店頻度という3つの軸に売上を分解して、「自分はどこを動かす施策を打っているか」と問い続ける。この習慣が、利益構造を自分の手で変えていく経営の出発点だと思っています。
──利益構造が変わったオーナーに共通していることはありますか?
ジョイマン:「地味な打ち手を継続できる人」です。派手な施策を一発やって諦めるより、ハガキDM・ニュースレター・POPの見直し・Googleビジネスプロフィールへの口コミ対応──こういうことを「すぐに」「継続して」やり切れる人が、結果的に利益を積み上げていきます。
紙の販促もネットの集客もAI活用も、「どれが最強か」という話じゃなくて、自分の店の弱点を補う形で組み合わせていく。そのためには、まず数字で弱点を見つけること。そこから始まるんです。
「売上の波に一喜一憂している間は、利益構造には手が届かない。まず分解して、弱点を見つけて、打てる手を打つ。それだけです。」
ハワードジョイマン(繁盛店グループ総代表/中小企業診断士)
「チラシとGoogle広告を組み合わせて6ヶ月で月商が350万円から620万円になりました。客単価も1,400円上がって、同じ忙しさでも手元に残るお金が全然違います。」
飲食店(居酒屋)オーナー
「月商60万円の超赤字状態から、利益200万円・月商470万円まで変わりました。一番変わったのは数字の見方と、自分の経営への向き合い方だったと思います。」
イタリアンレストランオーナー
まとめ:利益構造を変えるのは「仕組み」より先に「視点」
今回のインタビューを通じて見えてきたのは、飲食店の利益構造を変えるためには、最初に「月商」を見るのをやめて、客単価・原価率・人件費率という3つの数字を優先的に確認することが大切だということです。
そしてその数字を動かすのは、値引きやクーポンではなく、価値を伝える販促と、地味な打ち手の継続にある。ジョイマンが伴走してきた833件の店舗支援が語るのは、結局そこに尽きるという話でした。
「忙しいのに残らない」という状態に心当たりがある方は、まず今月の客単価・原価率・人件費率を数字で確認するところから始めてみてください。
もし「どこから手をつければいいかわからない」「自分の店の弱点がどこかを整理したい」という方は、ぜひ一度、増益繁盛クラブの情報を見てみてください。ゴールドクラスは初月980円から始められます。北海道から沖縄、海外在住の方まで、飲食店・美容室・小売店のオーナーが全国から参加しています。
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