あれこれ

忙しいのに利益が残らない美容室、原価率と固定費の見直し点

先日、静岡市清水区のオフィスに一本の電話が入りました。

「毎日フル回転で働いているのに、月末になると通帳の残高がほとんど増えていない……なんでなんですかね」

電話の主は、神奈川県内で美容室を2店舗経営されているオーナーさん。月商は600万円近くあるのに、手元に残るのは数万円という状況が続いているとのことでした。

ええ、これ、本当によくあるんですよ。「忙しい=儲かっている」じゃないんです。売上と利益はまったく別の話。美容室の経営で一番怖いのは、じつはこの「忙しいのにお金が残らない」という状態がずっと続くことです。体は限界なのに数字が追いついてこない、そのジレンマが積み重なっていくとオーナーさんの心身がじわじわと削られていきます。

今日は、21年間で1,000店舗以上の経営支援をしてきた僕、ハワードジョイマンが、美容室の「利益が残らない構造」を原価率と固定費という視点からひも解いていきます。

📋 この記事でわかること

  1. 美容室の利益を蝕む「見えにくいコスト」の正体
  2. 原価率と固定費の正しい見直し方と目安の数字
  3. 忙しさを「利益」に変換するための具体的な順序
  4. 実際に利益体質に変わった美容室の事例

こんな方におすすめ

  • ✅ 月商は悪くないのに毎月の利益がほとんど残らない美容室オーナー
  • ✅ 原価率や固定費の見直し方がよくわからない方
  • ✅ 値上げやコスト削減に踏み出せず悩んでいる方
  • ✅ 1店舗の利益を最大化して安定経営を実現したい方
  • ✅ 「がんばるのに報われない」感覚が続いている経営者の方
忙しいのに利益が残らない美容室、原価率と固定費の見直し点 | 増益繁盛クラブ、繁盛店研究所/増益繁盛クラブ(運営法人:有限会社繁盛店研究所、株式会社繁盛店研究出版、株式会社日本中央投資会/繁盛店グループ)

「忙しいのに利益がない」は構造の問題です

まず最初に、これだけははっきり言わせてください。「忙しいのにお金が残らない」という状態は、あなたの努力が足りないからじゃないです。構造の問題です。

僕は市役所時代の6年間、夜は中小企業診断士の受験勉強、週末は無給でイタリアンレストランの現場修行というハードな生活をしていました。独立してからも一時期は全財産が底をつく経験をしています。だから「がむしゃらに動いても結果が出ない苦しさ」は人一倍わかるつもりです。

美容室の場合、収益構造はおおよそこんなイメージです。

  • 売上(施術料+物販)
  • ▲ 材料費(薬剤・消耗品)
  • ▲ 人件費(スタッフ給与+社会保険)
  • ▲ 家賃・リース・ローン返済
  • ▲ 水道光熱費・通信費・システム費
  • ▲ 広告宣伝費
  • = 利益

シンプルに見えますよね。でも、ここのどこかが「見えないまま膨らんでいる」とき、売上が上がっても利益が増えない現象が起きます。

「売上を増やすより先に、利益を食っているコストを特定することが先決です。穴の開いたバケツに水を注ぎ続けても、バケツは満たされません」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

まず原価率:美容室の薬剤コスト、本当に把握していますか?

美容室における「原価」の主役は薬剤費です。カラー剤、パーマ液、トリートメント剤、ヘッドスパ用品……これが意外と管理されていないことが多い。

一般的に、美容室の材料費率(薬剤などの原価率)の目安は売上の8〜12%程度が適正とされています。これが15%、18%と上がっていくと、一気に利益が圧迫されます。

チェックポイント①:薬剤のロスを管理しているか

「使い切れずに廃棄している薬剤」がないか確認してみてください。カラー剤は開封後に酸化が進むため、仕入れ量と施術数のバランスが合っていないと、じわじわとロスが積み重なります。「なんとなく多めに仕入れている」という感覚のままにしていると、年間で数十万円単位の損失になることも。

✅ ポイント:月ごとの薬剤使用量と施術メニュー数を照らし合わせ、ロス率を数字で把握することが第一歩です。

チェックポイント②:メニュー別の原価計算ができているか

「カラー+カット」「髪質改善トリートメント」「ヘッドスパ」など、メニューごとに薬剤コストはバラバラです。客単価が高く見えるメニューでも、薬剤費がかさんでいれば利益率は意外と低い。僕がよく相談を受けるのは「人気メニューなのに、計算したら赤字だった」というケースです。

✅ ポイント:主力メニュー上位5つについて、材料費・施術時間・人件費配分を計算してみる。「時間あたり利益」で比べると優先すべきメニューが見えてきます。

チェックポイント③:仕入れ先の見直しをしているか

同じ品質の薬剤でも、仕入れルートによって価格は変わります。「ずっと同じ業者から買っているから」という慣習で高いコストを払い続けているケースもあります。

✅ ポイント:年に一度は相見積もりを取ることを習慣化する。ただし質を落とすのではなく、あくまでコスト効率を上げる視点で。

✓ ここまでのポイント

  • 美容室の利益が残らない原因は「努力不足」ではなく「コスト構造の問題」
  • 材料費率の適正水準は売上の8〜12%。まずこの数字を自店で把握することが先決
  • メニュー別の「時間あたり利益」を出すことで、本当に力を入れるべきメニューが明確になる

次に固定費:「なんとなく払い続けている」コストを洗い出す

原価率と並んで見直すべきなのが固定費です。固定費とは、売上がゼロでも毎月必ず出ていく費用のこと。家賃、スタッフの固定給、リース料、各種サブスクリプションなどがここに入ります。

美容室の固定費で特に多いのが、この3つの「気づかない膨らみ」です。

❌ よくあるパターン:「なんとなく契約したまま」の固定費

  • 使っていない予約システムやPOSレジの月額費用が重なっている
  • ホットペッパービューティーへの掲載料が高いまま、見直していない
  • 独立時に契約したリース機器の月額が今も続いている
  • スタッフ数が変わったのに、保険やシステムの契約が以前のままになっている

✅ 推奨アプローチ:固定費を一覧表に書き出す

  • 毎月の支出をすべて書き出すと「あ、これ使ってなかった」という発見が必ず出てくる
  • 年間契約を見直すタイミングで交渉できるものは積極的に交渉する
  • ポータルサイト依存からの脱却を段階的に進め、自前の集客導線を育てる

チェックポイント④:人件費比率は適正範囲に収まっているか

美容室における人件費率の目安は売上の40〜50%程度とされています。これを超えてくると、いくら売上を伸ばしても利益が出にくい構造になります。特に「スタッフを増やしたら売上は伸びたけど人件費も増えてトントン」という現象が起きやすい。

✅ ポイント:単純にスタッフを増やすのではなく、まず「1人あたりの生産性」を上げる仕組みを作ることが先。スタッフ教育・指名取り・客単価向上を先に進めてから採用を検討する順序が正しい。

「LINE集客とフォローアップを仕組み化したことで、リピート率が38%から71%に上がりました。スタッフへの指名も増えて、月商は年間で1.6倍になりました」

美容室オーナー(2店舗経営)

「逆算経営」で利益を先に決める思考への転換

ここまで原価率・固定費の見直し点をお伝えしてきましたが、もう一段上の話もしておきたいと思います。

多くの美容室オーナーさんは「売上を増やすことを先に考える」んですね。でも僕がお伝えしているのは逆の順序です。

逆算経営 STEP 1

「今月いくら手元に残したいか」を先に決める

たとえば「今月は利益30万円残したい」と決めたとします。そこから逆算して「必要な売上はいくらか」「そのために客数・客単価をどうするか」「削れる固定費はどこか」が見えてきます。

⚠️ よくある失敗:利益目標を決めずに「もっと売上を増やそう」と動く。売上は増えてもコストも一緒に増えるため、残る額は変わらない。

逆算経営 STEP 2

「時間あたり売上」を最大化するメニュー設計にする

施術時間の長いメニューに注力するより、単価が高く時間あたり利益が大きいメニューを増やす方が、同じ「忙しさ」で残る利益がまったく変わります。髪質改善メニューやヘッドスパ、ホームケア商品の物販など、「技術時間を使わずに利益が出る設計」を組み込むことが重要です。

⚠️ よくある失敗:既存客への物販提案を「押し売りになるかも」と躊躇する。実際は、お客様に合った商品をPOPや会話で自然に伝えると「ありがとう」と言われながら単価が上がる。

逆算経営 STEP 3

数字を月1回必ず確認する仕組みを作る

原価率・人件費率・固定費の合計が売上に対して何%を占めているかを、月1回は確認する習慣を作ってください。これだけで「気づいたら赤字だった」という月末の焦りが激減します。難しいツールは不要で、Excelや紙の集計でもかまいません。

⚠️ よくある失敗:「数字は税理士に任せている」という丸投げ状態。月次の数字は経営者自身が週次・月次でチェックする習慣をつけることが、利益体質への最短ルートです。

「美容室オーナーさんと話していると、技術への情熱は誰にも負けないのに、数字の話になった途端に苦手意識が出てしまう方がとても多い。でも大丈夫です。難しい数式は要りません。大事なのは『売上・コスト・利益』の3つを自分の言葉で語れるようになることだけです」

ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)

まとめ:忙しさを「利益」に変えるために今日できること

改めて整理しておきます。

  • 原価率(材料費率)の目安は売上の8〜12%。まずこの数字を出すことから始める
  • 人件費率の目安は40〜50%。採用より先に「1人あたりの生産性」を上げる
  • 固定費は一覧化して「使っていないコスト」を発見する
  • 売上目標より「利益目標」を先に決める逆算経営へシフトする
  • 月1回の数字確認を習慣にする

僕が21年間・1,000店舗以上の支援を通じて実感するのは、「忙しいのに利益が残らない」状態を抜け出した美容室オーナーさんに共通しているのは、特別な才能でも大きな投資でもなく、「数字を見る習慣と、正しい順序で手を打つこと」だということです。

繁盛した美容室がどのようなコスト管理と集客の仕組みを作っているのか、もっと具体的に知りたい方は、まずこちらから読んでみてください。

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また、原価率・固定費の改善から客単価アップ・リピート設計まで、美容室経営の利益体質化を一緒に進めていきたい方は、ぜひ増益繁盛クラブでお待ちしています。初月980円から始められますので、「まず試してみたい」という方も気軽に覗いてみてください。

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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