結論から言います。
5,000円のメニューを6,000円に20%値上げしても、客数が16.7%以上減らない限り、売上は変わらないか増えます。そして利益は確実に増えます。
この計算、実際にやったことありますか?
「値上げしたらお客さんが離れる」という恐怖感は、多くの飲食店オーナーさんが持っています。でも、その恐怖のほとんどは、具体的な数字を計算しないまま「なんとなく怖い」という感覚から来ているんですよ。
私は静岡市清水区を拠点に、20年間・累計1,000店舗以上の飲食店・美容室の経営支援をしてきた中小企業診断士のハワードジョイマンです。今日は、値上げにまつわる「思い込み」を数字で丁寧に解きほぐしていきます。
📋 この記事でわかること
- 値上げ20%でも売上が維持できる仕組みと計算式
- 「値段しか見ていないお客さん」を手放すことで利益が増える理由
- 値上げの前にやるべき「受け皿づくり」の具体的な手順
- 実際に値上げを実行して売上・利益を伸ばした店の事例
こんな方におすすめ
- ✅ 材料費・光熱費が上がっているのに価格を据え置いたままの飲食店オーナーさん
- ✅ 値上げしたいけど「客が減るのでは」と踏み切れない方
- ✅ 忙しいのに手元にお金が残らないと感じている店主さん
- ✅ 値引きクーポン頼みの集客から抜け出したい飲食店経営者
- ✅ 「売上より利益を重視する経営」に切り替えたいオーナーさん

値上げの数字、実際に計算してみましょう
月商75万円を例に、シンプルな計算をしてみます。
客単価5,000円で月150人のお客さんが来店している場合、売上は75万円ですよね。
ここで客単価を6,000円(20%値上げ)にしたとします。
同じ75万円を稼ぐために必要な客数は何人でしょうか。
750,000 ÷ 6,000 = 125人
つまり、客数が150人から125人に減っても(16.7%減)、売上は同じ75万円です。
しかも、25人分の食材原価・人件費・光熱費が減るわけですから、利益は確実に増えます。
これが計算の実態です。「値上げしたら客が減る」と心配しているその客数の減少幅が、16.7%以内であれば何も問題は起きない。むしろ得をしている。
そして現実的に考えてみてください。今のお客さんのうち、16.7%以上が「価格が6,000円になったから行くのをやめる」と判断するでしょうか。
コロナ禍以降、食材費・光熱費・人件費が上がり続けています。お客さんの側も「物価が上がっているのは当然」という認識になっています。今が値上げの絶好のタイミングでもあるんですよ。
「値上げを怖がっているオーナーさんの99%は、計算をしていないんです。数字を一緒に出してみると、たいていの方が『あ、これだったら上げられる』と顔色が変わります。恐怖の正体は、計算していないことだったりするんですよ。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・販促アイデア100選)
「値下げ客」と「優良客」では、生涯価値が7倍違います
値上げが怖い背景には、「値段を上げたら安さ目当てのお客さんが来なくなる」という不安がありますよね。
でも、これは実は「良いことが起きる」んです。
値引きクーポンで集めたお客さんの行動パターンを考えてみてください。
❌ 値引き客のパターン
- クーポンがある時だけ来る
- 追加注文をほとんどしない(安く済ませたいから)
- クーポンが使えないとクレームを言う
- 「前回はこの値段だった」と値引き交渉をする
- リピートはするが、割引がなくなった瞬間に消える
✅ 価値で選ぶお客さんのパターン
- 料理の質や雰囲気を目当てに来る
- おすすめを聞いてくれる(追加注文が生まれる)
- 感謝の言葉を残してくれる
- 友人・家族を連れてくる(紹介)
- 多少値上げしても「それが適正価格」と理解してくれる
値引き客と優良客では、生涯を通じてお店に落としてくれるお金の総額に7倍以上の差が生まれます。つまり、値上げして値引き客が離れていくことは「損失」ではなく「入れ替え」なんですよ。
お客さんを選ぶ、という感覚が大事なんですよね。
✓ ここまでのポイント
- 客単価20%アップで客数が16.7%減っても売上は変わらず、利益は確実に増える
- 値引き客と優良客では生涯価値に7倍以上の差がある。値上げは「良いお客さんへの入れ替え」でもある
- 値上げの恐怖の正体は「計算していないこと」。数字を出せば踏み切れる
値上げする前に「受け皿」を作っておく
ただし、いきなり値段だけ上げるのはNGです。
値上げで成功するには、先に「この価格を払う価値がある」とお客さんが感じる受け皿を用意してから価格を変えるのが鉄則です。順番を間違えると、たしかにお客さんが離れます。
以下の手順で準備してください。
値上げ準備 STEP 1
メニュー表を「ご利益中心ネーミング」に書き換える
「本日のおまかせコース」ではなく、「○○さんのために仕込んだ、旬の魚10種食べ比べコース」のように、誰のための・どんな体験の料理かを名前で伝える。メニュー名が変わるだけで、同じ料理への期待値がガラッと変わります。
⚠️ よくある失敗:「高級感のある横文字にすればいい」と思って「グランドコース」などにしてしまうケース。お客さんには何も伝わりません。具体的なご利益を書いてください。
値上げ準備 STEP 2
手間と時間を数字で見せる
「16時間かけてコツコツ煮込んだ黒毛和牛のすじ肉煮込み」「仕込みに3日かかる自家製からすみ」のように、時間と工程を具体的に書く。お客さんは「なぜこの値段なのか」の理由があれば、納得して払います。
⚠️ よくある失敗:「こだわりの素材」「丁寧な調理」という抽象表現で止まってしまうこと。数字が入らなければ価値は伝わりません。
値上げ準備 STEP 3
見せ球のプレミアムコースを作る(当て玉戦略)
例えば既存の8,000円コースの隣に12,000円のプレミアムコースを新設するんです。すると8,000円コースが「相対的に手頃」に見えます。この「当て玉」効果で、値上げ前より既存コースの注文が増えるケースもあります。
⚠️ よくある失敗:プレミアムコースを作るのに既存コースの内容を削ってしまうこと。あくまで「追加の価値がある上位プラン」として設計してください。
値上げ準備 STEP 4
お客さんの声をビフォーアフター形式で店内に掲示する
「初めて来た時は記念日にちょうどいいお店を探していました。今では月1回の夫婦の楽しみになっています」のような声が壁に貼ってあれば、新規客も「ここはそういうお店なんだ」と価値を理解してから注文します。
⚠️ よくある失敗:「おいしかった!また来ます!」だけの感想を集めてしまうこと。来る前の状況→来た後の変化という形式で取得してください。
値上げ準備 STEP 5
新メニューは既存メニューより20%高く出す
値上げを一度に大きくやるより、新メニューを出すたびに20%高い価格設定にするルールを店内で決めてしまう。これを続けるだけで、メニュー全体の平均単価が自然と上がっていきます。
⚠️ よくある失敗:新メニューを既存メニューと同じ価格帯に揃えてしまうこと。新メニューは「新しい価値の提案」ですから、既存より安くする理由はないはずです。
「値上げで減るお客さんは、値段しか見ていないお客さんです。そのお客さんが減ることを『損失』と呼んでしまうと、永遠に値上げできません。価値を見てくれるお客さんと長くお付き合いするために、価格を適正に保つ。それが本当の意味での『お客さんを大切にする』ということだと思っています。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・販促アイデア100選)
実際に値上げして利益が増えた店の話
「正直、値上げした月は来客数が少し減りました。でも単価が上がったので売上は横ばい、しかも仕込みの量が減って原価と人件費が下がったんです。翌月には口コミで『落ち着いた雰囲気になった』という声が増えて、むしろお客さんの質が変わった感じがしました。」
焼き鳥店オーナー(月商130万円→230万円へ成長)
この焼き鳥店のオーナーさんが最初に取り組んだのは、値上げではなくメニュー表のネーミング変更と、店内POPの差し替えでした。「何でうちの焼き鳥はこの価格なのか」をPOPで説明し、仕入れ先の農場名と、一本一本手刺しにしている工程の写真を貼った。その上で価格を改定したところ、値下げを求めるお客さんがほぼいなかったそうです。
地方都市のパスタ店では、前年比151万円の売上増を達成していますが、ここでも値引きクーポンの廃止と単価アップが組み合わされています。「クーポン客が減る代わりに、ちゃんとした価格で来てくれるお客さんが増えた」とオーナーさんは話していました。
増益繁盛クラブには全国500社を超える飲食店・美容室オーナーが参加していますが、「値上げして失敗した」という報告より「値上げしたら客層が変わって利益が増えた」という声の方がはるかに多いです。
値上げは「値引きではなく価値で選ばれる経営」への切り替えスイッチ
値上げを実行することは、単に価格を変えるだけの話ではありません。
「安さで来てほしいお店」から「価値を認めてくれるお客さんに選ばれるお店」へと、経営の方向性そのものを転換するスイッチです。
私が20年間、全国の飲食店を見てきて感じるのは、「値引きをやめた瞬間に、お店の空気が変わる」ということです。価格に自信を持って提案できるオーナーさんは、接客にも自信が出ます。スタッフもお客さんも、その空気を感じ取ります。
「がんばらない繁盛」という私の考え方の根本もここにあります。広告費をかけて安さで集めるのではなく、料理の価値をちゃんと伝えてファンを育て、利益が残る仕組みを作っていく。これが長く続く繁盛店の姿です。
値上げを検討しているなら、まず今日から始めてほしいのはこの3つです。
- ✅ 月商と来客数から「値上げ20%で何人減っても大丈夫か」を計算する
- ✅ メニュー表の1品だけ、ご利益中心のネーミングに書き換えてみる
- ✅ 新しく出すメニューは既存より20%高い価格設定にするルールを決める
この3つを2週間やってみてください。それだけで「値上げって意外とできる」という感覚が必ず変わります。
まとめ:値上げの恐怖は「計算していないこと」から生まれています
今日お伝えしたことを整理します。
- 客単価20%アップ=客数が16.7%以上減らない限り、売上は維持・増加する
- 値引き客と優良客では生涯価値に7倍以上の差がある
- 値上げ前に「受け皿」(ネーミング・手間の可視化・当て玉・お客様の声・20%ルール)を整える
- 値上げは「価値で選ばれる経営」へのスイッチ切り替えでもある
「それでもやっぱり怖い」という方は、一人で抱え込まないでください。全国の飲食店オーナーさんが同じ悩みを越えてきた事例と、具体的な打ち手をたっぷりお渡しできる場があります。
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静岡市清水区から、全国の飲食店オーナーさんを応援しています。