春先になると、飲食店のオーナーさんからこんな相談が増えてきます。「新年度で人の動きが活発になっているはずなのに、うちには新規のお客さんが全然来ない」「広告費を使ってメニューも充実させているのに、反応がゼロに近い」──。
気候が変わって外出する人が増え、新しい店を試したいという気持ちになりやすい季節。それなのに新規客が増えない。この原因、実はひとつに絞られることが多いんです。それが「玄人向けの訴求をしている」という問題です。
ジョイマンです。今日は、飲食店の集客に行き詰まっているオーナーさんに向けて、「ターゲットは常に初心者」という考え方と、自分の店がどこで初心者を逃しているかを診断するチェックリストをお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 「玄人向けの訴求」がなぜ集客の致命傷になるのか
- 初心者目線で見たとき、あなたの店のどこが問題なのかを自己診断する方法
- 今日から店前看板・メニュー表・外観照明に使える具体的な改善ポイント
- 集客を「仕組み」として持続させるための考え方
こんな方におすすめ
- ✅ 料理やサービスには自信があるのに新規客が増えない飲食店オーナーの方
- ✅ ホットペッパーなど広告費をかけても反応が薄いと感じている方
- ✅ 「どんなお客さんに来てほしいか」が曖昧になってきた方
- ✅ 店前を通る人が入ってこない原因を知りたい方
- ✅ 値引きに頼らず価値で新規客を集める方法を探している方

「特注麺」「魚介ダブルスープ」──玄人向けアピールが初心者を遠ざける
飲食店オーナーさんが販促物に書きがちな言葉を少し挙げてみます。
- 「北海道産昆布と九州産あご出汁のWスープ」
- 「低温調理72時間のチャーシュー」
- 「グルテンフリー対応・特注麺使用」
オーナーさんにとっては、お店のこだわりと原価をかけた誇りを表現した言葉ですよね。わかります。でもこれ、食べ歩き好きの玄人には刺さるかもしれませんが、初めて店の前を通った一般の方には「よくわからないけど難しそうなお店」に映るんです。
ターゲットは常に初心者です。玄人相手にしちゃダメですからね。
初心者というのは「食に詳しくない人」というわけではありません。「あなたのお店のことをまだ何も知らない人」という意味です。その人たちにとって「Wスープ」も「低温調理」も、まずは「美味しそうかどうか」の前に「どんな料理か」すらわからない。わからないから、入らない。入らないから、あなたの渾身のラーメンもチャーシューも食べてもらえない。
食べてもらえれば絶対にリピートするのに、その一歩手前で消えている──これが「見えない離脱」です。
今すぐ診断!あなたの店は初心者に伝わっていますか?
以下のチェックポイントで、自分の店が初心者にとってどう見えているかを確認してみてください。当てはまる項目が多いほど、集客の伸びしろが大きい状態です。
チェックポイント1:店前看板に「美味しそうな写真」がありますか?
看板に店名とジャンル名しか書いていない店は、初心者にとって「どんな料理が出てくるのかわからない店」です。通り過ぎた人が「あ、こんな料理があるんだ」と一瞬立ち止まれるような、食欲をそそる写真と短い言葉(3〜4個)が必要です。
✅ ポイント:看板の写真は「一番の看板メニュー」1品を大きく使うこと。複数詰め込むと逆に印象が薄くなります。
チェックポイント2:外観の照明は周りの店より明るいですか?
夜の飲食店で「明るさ」は強力な集客装置です。照明が暗いと、初めて来た人は「営業しているのかどうか」すらわからない。あるコーヒー店では、外観照明を強化しただけで店内飲食の売上が月7万円から32万円に跳ね上がりました。照明代は数千円でも、効果は数倍になって返ってきます。
✅ ポイント:目安は「周りの店の3倍明るく」すること。昼と夜で見え方が変わるので、両方の時間帯で外から自分の店を見てみてください。
チェックポイント3:メニュー表の言葉は「何がうれしいか」で書かれていますか?
「産地」「製法」「素材のこだわり」は玄人への訴求です。初心者が知りたいのは「これを食べると自分にとってどんないいことがあるのか」です。たとえば「16時間かけて煮込んだビーフシチュー」という書き方は、手間と時間を数字で見せることで「きっとやわらかくて深い味がするんだろうな」と初心者でも具体的にイメージできます。
✅ ポイント:ご利益中心のネーミングに変える。「誰のための、どんなうれしさがある料理か」という目線でメニュー名と説明文を書き直してみてください。
チェックポイント4:販促メッセージに「専門用語」が入っていませんか?
「ビストロ仕立て」「アグリドルチェ」「コンフィ」「ジュレ」──フレンチやイタリアンに多いですが、このような言葉はお客さんに「おしゃれだけど入りにくい」と思わせます。初心者は「よくわからない店には入らない」のではなく「よくわからない店を素通りする」んです。
✅ ポイント:専門用語を使うときは、必ず「=○○のこと」という短い解説を添える習慣をつけてください。それだけで伝わり方がまったく変わります。
チェックポイント5:「その場で使えるクーポン」が店前にありますか?
通りすがりの初心者に「今日入ってみよう」と思わせる最後の一押しが、その場で使えるクーポンです。QRコードをスキャンして後日使えるタイプではなく、「この紙を持って入店するだけでOK」という形式が初心者には圧倒的に反応がいい。敷居を下げる工夫を店の外に置いてください。
✅ ポイント:クーポンの内容は「値引き」である必要はありません。「本日ご来店の方にミニデザートをプレゼント」のような価値提供型でも十分機能します。
✓ ここまでのポイント
- 玄人向けの訴求(専門用語・製法のこだわり)は、初心者を遠ざける最大の原因になる
- 看板・照明・メニュー表という「入店前の3つの接点」を初心者目線で見直すことが集客の近道
- ターゲットを初心者に絞っても、料理の質を下げる必要はまったくない
「玄人向け訴求」と「初心者向け訴求」、何が違うのか
少し整理しておきます。
❌ 玄人向け訴求(よくあるパターン)
- 素材・産地・製法のこだわりを羅列する
- 専門用語をそのまま使う
- 「わかる人にはわかる」という前提で書いている
- 結果:食べ歩き系の一見さんは来るがリピートしない。固定客が増えない
✅ 初心者向け訴求(推奨アプローチ)
- 「食べるとどうなるか」「どんないいことがあるか」で伝える
- 専門用語には必ず平易な言い換えを添える
- 初めて来た人が「なんとなくわかる」状態を作る
- 結果:ふらりと入った一見さんが「また来よう」という常連になっていく
玄人向けの訴求は、すでに来店してくれているお客さんには響きます。でも、まだ来たことがない人への訴求としては機能しない。新規集客に使う言葉は、常に「初めて見た人が1秒で意味を理解できるか」という基準で選んでください。
「食べ歩き系の玄人に刺さるメッセージで集めたお客さんは、もっとおいしい店を見つけたら消えていきます。でも初心者に『ここが自分の店だ』と感じてもらったお客さんは、長く通ってくれる。集客の入り口をどこに設定するかで、その後のお店の形が変わるんです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・経営コンサルタント)
初心者に伝わる店は、新規集客だけでなくリピートも変わる
「初心者向けに訴求を変えると、客層が下がるんじゃないか」──こう思うオーナーさんもいますよね。でも実際はまったく逆です。
初心者向けの伝え方に変えると、入ってくる人の数が増えます。人数が増えれば、その中に「この店が好きだ」と感じる人も増えます。そしてリピートしてくれるお客さんが増えれば、やがて「常連さんが常連さんを連れてくる」という口コミの循環が生まれる。
一方、玄人向けの訴求で来た食べ歩き系のお客さんは、値引きクーポンと同じです。「もっとレアな店ができたら」「もっと安い店があったら」消えていく。リピートしない客をいくら集めても、お店の経営は安定しません。
初心者に選ばれる店づくりは、値引きではなく価値で選ばれる経営の入り口でもあるんです。
「ジョイマンさんのアドバイスで店前の看板とメニュー表の言葉を全部書き直しました。『何がうれしいか』で書くようにしたら、常連さんから『前より入りやすくなった』と言われました。新規の方も明らかに増えています」
月商130万円→230万円へ成長した焼き鳥店オーナー
この焼き鳥店のオーナーさんも、最初は「うちの炭火焼きのこだわりをもっと伝えたい」と思っていました。でも伝え方を「炭火焼きの製法」から「炭火でじっくり焼くから、皮がパリッと香ばしく、中はジューシー」という初心者向けの言葉に変えただけで、反応がまったく変わった。料理は何も変えていません。
まとめ:今週中に「初心者テスト」をやってみてください
ここまでの内容を踏まえて、今週中にひとつだけお願いがあります。
自分のお店の前に立って、「初めてここを通った人」のつもりで看板・外観・メニュー表を見てみてください。
- 1秒で「どんな料理の店か」わかりますか?
- 照明は暗くないですか?
- メニューの説明に「専門用語」が入っていませんか?
この3つだけです。全部一気に直す必要はありません。2週間で3つだけ変えていく。それを続けていくだけで、1年後には72の打ち手を積み重ねた経営者になっています。日本で年間72の改善を続けている飲食店オーナーはほとんどいません。だからこそ、それをやった店は必ず頭ひとつ抜けていく。
「値引きではなく価値で選ばれる店」の出発点は、初心者にちゃんと伝わる言葉と入り口を用意することです。料理の腕は十分ある。あとは伝え方だけの問題です。
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