年が明けて1月、2月と続く「閑散期」。飲食店オーナーさんにとって、年末年始の賑わいが嘘のように客足が落ちるこの時期は、毎年頭を抱える季節ですよね。
「とにかく客数を増やさないと」と焦って、ホットペッパーにクーポンを追加したり、SNSで割引投稿をしたり。でも、それをやるたびになんとなく虚しい気持ちになりませんか?
実はその感覚、正しいんです。客数を追いかけることが、利益を遠ざけている原因の一つだからです。
今回は、静岡市清水区を拠点に累計1,000店舗以上の飲食店・美容室オーナーさんを支援してきた中小企業診断士・ハワードジョイマンが、「売上の7つの軸」という考え方と、それを使って実際に売上と利益を伸ばした焼き鳥店の事例を詳しくお伝えします。
📋 この記事でわかること
- なぜ「客数を増やす」だけでは利益が残らないのか
- 売上を「7つの軸」に分解するとどう変わるか
- 月商130万円から230万円になった焼き鳥店が実際にやったこと
- 今週から試せる具体的な打ち手3つ
こんな方におすすめ
- ✅ 忙しいのに手元にお金が残らないと感じている飲食店オーナーさん
- ✅ 「客数を増やす以外の方法」を知りたい方
- ✅ ホットペッパーのクーポンに頼りすぎていると気づいている方
- ✅ 売上は横ばいなのに疲弊感だけが増している方
- ✅ 閑散期のたびに値引きで乗り切ろうとしてしまう方

「売上=客数×客単価」という2変数思考の落とし穴
多くの飲食店オーナーさんが売上を考えるとき、「客数を増やすか、単価を上げるか」の2択で考えています。わかりますよね、この感覚。
でも、この2択で考えている限り、打ち手は永遠に2つしかない。客数を増やすには広告費がかかる。単価を上げると客が逃げそうで怖い。結局「どっちも難しい」となって、現状維持のまま時間だけが過ぎていきます。
私がずっとお伝えしているのは、売上をもっと細かく「7つの軸」に分解しようということです。
その7つとは、
- ①入店率(店の前を通った人のうち何人が入るか)
- ②購入率(入店したお客さんのうち何人が注文するか)
- ③購入点数(1回の来店で何品・何杯注文するか)
- ④客単価(1人あたりの支払い金額)
- ⑤来店回数(1人のお客さんが年間に何回来てくれるか)
- ⑥来店タイミング(繁忙期と閑散期のバランス、時間帯のばらつき)
- ⑦新規客(新たに来てくれるお客さんの数)
この7つそれぞれに改善の余地があって、どれか1つが変わるだけで売上は動きます。しかも①〜⑥は「今すでに来てくれているお客さん」への打ち手なので、広告費ゼロでも今日から動けるんです。
「新規集客は時間とお金がかかります。でも入店率・購入率は、今この瞬間にお店の前を通っているお客さんへの打ち手。ここを変えた瞬間、売上は翌日から動き始めます」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・経済産業省登録番号 402345)
焼き鳥店が月商130万円→230万円になるまでの話
ある地方都市の焼き鳥店オーナーさん(経営歴6年、席数28席、客単価2,800円)のケースを詳しくお話しします。
最初の相談内容はこうでした。「料理には自信がある。常連さんにも喜んでもらえている。でも月商130万円あたりで頭打ちで、閑散期は90万円台に落ちる。値引きクーポンを打てば来るけど、次は来ない」というものでした。
このオーナーさん、何が問題だったと思いますか?
料理の腕じゃないです。立地でもない。「7つの軸」に照らし合わせたとき、ボトルネックは3つありました。
ボトルネック1:入店率が低かった(①)
店の前を通る人は一定数いるのに、外から中が見えにくい構造で、看板も文字だけ。「何のお店かわからないから入りにくい」という状態でした。対策はシンプルで、A型看板に「今夜の一押し:炭火焼き鶏ももタレ 3本580円」と料理の写真を添えて設置。外観照明を周囲より明るくする。これだけです。
ボトルネック2:購入点数が伸びていなかった(③)
メニュー表を見ると、商品名が「焼き鳥盛り合わせ」「鶏もも塩」「つくね」と並んでいるだけ。これでは何が美味しいのか伝わらない。そこでPOPとメニュー表を「ご利益中心ネーミング」に変えました。
例えば「鶏もも塩」→「朝〆の地鶏。炭火で6分かけてじっくり焼き上げる、外カリ中ジュワの一本」。「つくね」→「店主が20年通い続けた養鶏場直送。生姜と軟骨の食感が止まらない特製つくね」。
商品の「手間・時間・こだわり」を具体的な数字と言葉で書くだけで、お客さんは追加注文しやすくなります。「これ気になる」「これも食べてみよう」という自然な流れが生まれるんです。
ボトルネック3:来店回数が伸びていなかった(⑤)
常連さんはいるのに、来店間隔が2ヶ月、3ヶ月とバラバラで、「次いつ来よう」がお客さん任せになっていました。そこで「未来計画表」を導入。会計時にスタッフが「次は来月の誕生日に使えるご優待券をお渡しできます」「月1回のご来店で常連割引が使えます」と声がけして、次回の来店イメージをその場で共有するようにしました。
この3つだけを「2週間で3つ実行する」原則に従って順番に実施した結果、3ヶ月後に月商が150万円台へ。半年で180万円台、1年後には230万円台に届きました。
客数は劇的に増えていません。来てくれているお客さんの「入りやすさ」「頼みやすさ」「また来たいと思う仕掛け」を整えただけで、売上は1.7倍になったんです。
✓ ここまでのポイント
- 売上は「客数×客単価」の2変数ではなく、7つの軸に分解できる
- 入店率・購入点数・来店回数は、今いるお客さんへの打ち手なので即効性がある
- 「2週間で3つだけ」実行する積み重ねが、年間72の打ち手になる
値引きで集めた客と、価値で選ばれた客の違い
ここで少し立ち止まって考えてほしいのですが、値引きクーポンで来たお客さんって、リピートしますか?
正直に言うと、しにくいですよね。なぜなら、そのお客さんが来た理由は「安かったから」だからです。次に来る動機が「また安くなったら」になってしまう。
私がずっとお伝えしている「値引きではなく価値で選ばれる」というのは、まさにここのことです。値引き客と優良客では、長く通ってもらえる生涯価値に7倍以上の差が生まれます。同じ「1人のお客さん」でも、価値に共感して来てくれた人は繰り返し来てくれて、友人を紹介してくれて、多少値上げしても離れない。
焼き鳥店の事例でも、値引きをやめた後の方が「またここに来たい」というリピーターが増えました。クーポン客はいなくなったけれど、残ったお客さんの来店回数が上がって、結果として売上も利益も伸びたんです。
「月商130万円から230万円に上がりました。正直、最初は看板を変えたり、メニュー表を書き直したりするだけで本当に変わるのか半信半疑でした。でもやってみたら、お客さんが『これってどうやって作ってるの』って話しかけてきてくれるようになって。追加注文も自然に増えました」
焼き鳥店オーナー(経営歴6年)
この声に象徴されているように、メニュー表やPOPに「手間と時間と想い」を書くことで、お客さんとの会話が生まれます。会話が生まれると、また来たくなる。「また来たくなる」が積み重なって、売上は自然に伸びていくんです。
今週から試してほしい打ち手3つ
「2週間で3つだけ実行する」。これが私の基本ルールです。あれもこれもやろうとすると全部中途半端になる。だから今週は、この3つだけやってみてください。
チェックポイント1:店の外観・看板を見直す
夜の時間帯に自分のお店の前に立って、外から見てどう見えるか確認してください。中が見えるか、何のお店かすぐわかるか、今日のおすすめが書いてあるか。
✅ ポイント:A型看板に「今夜のおすすめ1品+写真」を入れるだけでも入店率は変わります。照明は周囲の店より明るくすることが目安です。
チェックポイント2:メニュー表の1品だけ「ご利益中心ネーミング」に変える
すべてを変える必要はありません。一番売りたい商品、一番自信のある商品を1品だけ、「誰のための・どんな手間をかけた・どんな食感・味わいの商品か」という書き方に変えてみてください。
✅ ポイント:「○○産・〇時間煮込んだ・手作り」など具体的な数字と言葉を入れることで、同じ商品でも価値の伝わり方がまったく変わります。
チェックポイント3:会計時に「次回来店のきっかけ」を一言添える
「今月末までに使えるお誕生日月の特典があります」「来月は○○フェアを予定しています」。これだけでお客さんの頭の中に「また来る理由」が生まれます。
✅ ポイント:次回来店をお客さん任せにしない。スタッフ全員が同じトークで言えるように、言葉を決めておくのがポイントです。
この3つを2週間実行したら、次の2週間にまた3つ。これを続けていくと、1ヶ月で6つ、1年で72の打ち手を実行した経営者になれます。日本中の飲食店オーナーさんの中で、年間72の販促改善を継続している人はほとんどいません。だから、続けるだけで差がついていくんです。
まとめ:客数を追うのをやめた先に、利益がある
「客数を増やさないといけない」という思い込みを手放してほしいんです。
今来てくれているお客さんの入店率を上げる、購入点数を増やす、来店回数を増やす。この3つだけに集中しても、売上は十分に伸びます。焼き鳥店のオーナーさんが1年で月商を100万円近く伸ばしたのは、広告費を大幅に増やしたわけでも、店を改装したわけでもありません。看板を変えて、メニュー表を書き直して、会計時の一言を変えただけです。
「頑張らない繁盛」というのは、楽をしましょうということじゃなくて、正しい方向に力を使いましょうということです。客数を追いかける労力を、今いるお客さんへの価値提供に向け直す。その瞬間から、利益は伸び始めます。
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「7つの軸のどこに自分の店のボトルネックがあるのか、一人で考えていても答えが出ない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。一緒に整理しましょう。
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