飲食店のメニューブックで売れる商品を作る。セットメニューの表記を1行変えるだけ
実は、飲食店のメニューブックを開いたお客さんのうち、スタッフに何も聞かずに自分で注文を決めているのは全体の約7〜8割と言われています。つまり、そのメニューブックに何が書いてあるか、どう書いてあるかで、売上の大部分が決まっているということです。
にもかかわらず、多くの飲食店のセットメニューの表記を見ると、こんな感じです。
「Aセット 1,500円(メイン+スープ+ライス)」
これの何が問題か、すぐわかりますか? 実は、この書き方では「何が入っているか」は伝わっても、「なぜこのセットを頼むとお得なのか・嬉しいのか」がまったく伝わっていないんです。お客さんは構成要素の羅列を見ても、財布のひもは緩みません。
今回は、セットメニューの表記を変えるだけで注文率が変わった実例をもとに、今週から使えるメニューブックの改善方法をお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ メニューブックを変えずにずっと同じ売上が続いている飲食店オーナー
- ✅ セットメニューを作ったのに、なかなか注文されないと感じている方
- ✅ スタッフの接客力に頼らず、メニュー表で自然に単価を上げたい方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らずに売上を伸ばしたい飲食店経営者
- ✅ メニューブックの書き方を一度も見直したことがない方

「構成要素の羅列」が注文を止めている
静岡県内にある、ある洋食レストランのケースです。月商は約600万円。客単価は1,200円前後で、ランチ帯がメインでした。オーナーさんは「もう少し単価が上がれば」と感じていたものの、何から手をつければいいかわからない状態でした。
メニューブックを見せてもらうと、セットメニューの欄にはこう書いてありました。
「ハンバーグランチセット 1,380円(ハンバーグ・コーンスープ・サラダ・ライス・ドリンク)」
間違いではありません。ただ、これを見たお客さんは「1,380円でこれだけ付くのか」とはあまり思わない。なぜかというと、同じようなセットが他の飲食店にも普通に存在するからです。書かれているのは「構成要素」だけで、「この店のハンバーグだからこそ食べる意味」が何も書かれていない。
そこで私が提案したのは、たった1行の追記でした。
「ハンバーグランチセット 1,380円
自家製デミグラスソースを48時間かけて仕込んだ、当店一番人気のランチです。
(ハンバーグ・コーンスープ・サラダ・ライス・ドリンク)」
この1行を加えただけで、2週間後にはこのセットの注文数が週あたりで約1.4倍に増えた、とオーナーさんから報告がありました。メニュー自体も価格も変わっていません。変えたのは「伝え方」だけです。
「ご利益中心のネーミング」に変えると何が起きるか
なぜ1行追記しただけで注文が増えたのでしょうか。それは、「48時間かけて仕込んだ」という言葉が、料理に対する手間と時間を可視化したからです。
お客さんはメニュー表を読む時、意識的・無意識的に「この値段を払う価値があるか」を判断しています。1,380円という数字を見た瞬間に「高いか安いか」を判断するのですが、そこに「48時間かけた」という情報が添えられると、判断の基準が変わる。「それだけ手間がかかっているなら、1,380円は当然だな」という納得が生まれるんです。
これが私がお伝えしている「ご利益中心のネーミング」の考え方です。商品名や説明文に「この商品を注文するとどんな良いことがあるか」「なぜこの価格に値するのか」をひと言添える。
具体的にはこういう書き方が効きます。
- 「地元漁師から直送。その日の朝に仕入れた鮮魚だけを使った刺身盛り合わせ」
- 「年間3,000人がリピートする、当店の看板メニューです」
- 「お子様連れのお客様に一番ご注文いただくお子様プレート」
- 「料理長が修業時代から続ける、昔ながらの製法で炊き上げた釜めし」
どれも、商品の構成要素を並べるのではなく、「この料理が存在する理由」や「誰のための料理か」を伝えています。これだけでメニューブックは「注文を受ける媒体」から「選ばれる理由を自分で語ってくれる媒体」に変わります。
✓ ここまでのポイント
- 飲食店のセットメニューは「構成要素の羅列」では注文率が上がらない
- 「手間・時間・背景」をひと言添えるだけで、料理の価値がお客さんに伝わる
- 「ご利益中心のネーミング」とは、誰のための料理か・なぜ価値があるかを書くこと
セットメニューで単価を上げる「当て玉」の作り方
もう一つ、セットメニューの構成で単価アップに直結するのが「当て玉(見せ球)」の使い方です。
あるこだわり系居酒屋のケースです。客単価は4,500円前後でしたが、「もう少し上げたい」というご相談でした。お通しとドリンクの質には自信があり、料理も好評。でも、なかなか単価が動かない。
メニューブックを確認すると、コースの最高額は6,000円でした。私が提案したのは、この上に「10,000円のプレミアムコース」を作ることです。内容は既存の料理から選りすぐりに、希少な地酒の飲み比べセットと個室対応をセットにしたもの。
実はこのコース、毎月大量に売れる必要はありません。メニューブックに「10,000円のコースがある」という事実があるだけで、6,000円のコースが「高くない選択肢」に見えてくるんです。これが当て玉の効果です。
結果、6,000円コースの注文率が上がり、客単価は3ヶ月で約800円上昇しました。客数は変わっていません。セットメニューの構成を変えただけです。
このポイントは、新しいコースを作る時に「今あるセットより20%以上高い価格設定にする」ことです。これを店内ルールにしておくと、メニューを刷新するたびに自然と価格帯が上がっていきます。
「月商130万円だったのが、230万円まで成長しました。メニュー表の書き方を変えただけで、こんなに変わるとは思いませんでした。」
月商130万円→230万円に成長した焼き鳥店オーナー
「赤字経営から脱却して年商が2倍になりました。値引きをやめて、価値を伝える方向に切り替えたことが大きかったです。」
赤字経営から年商2倍を達成した美容室オーナー
メニューブックを「販促ツール」として使い切る3つの視点
ここまでお伝えしてきたことを整理すると、メニューブックには3つの役割があります。
①「なぜこの料理を選ぶのか」の理由を書く
スタッフが説明しなくても、メニューブックが代わりに語ってくれる状態を作る。手間・時間・仕入れ先・人気の根拠をひと言添える。
②「当て玉」を置いて既存メニューを相対的に見せる
最高額のコース・セットを既存の最高額より20%以上高く設定する。これだけで既存コースへの心理的なハードルが下がり、注文率が上がる。
③「誰のためのセットか」を明示する
「お一人様にぴったりのランチセット」「記念日を特別にするディナーコース」のように、ターゲットを書くことで、そのお客さんが自分ごととして選びやすくなります。ターゲットを絞ることで、かえって多くの人に刺さります。
注意してほしいのは、これらを一度に全部変えようとしないことです。まず今週、一番人気のセットメニューに「手間・時間・背景を伝えるひと言」を1行だけ加えてみてください。それだけで十分です。2週間でその効果を確認して、次の打ち手に移る。この繰り返しが、1年で72の打ち手を実行する経営者になる近道です。
まとめ:メニューブックはお店の「無言の営業マン」
お客さんの7〜8割は、スタッフに何も言わずにメニューブックだけ見て注文を決めています。その現実を踏まえると、メニューブックは「お店の無言の営業マン」と言えます。
その営業マンが今、「Aセット 1,500円(メイン+スープ+ライス)」とだけ言っているとしたら、どれだけ料理の腕が良くても、価値は伝わっていません。
今日からできることはシンプルです。一番人気のセットメニューに、「なぜこれが美味しいのか」「どれだけ手間がかかっているのか」「誰のためのセットなのか」をひと言書き加える。これだけです。値引きは一切しない。価格は変えない。それだけで、注文の流れが変わります。
累計1,000店舗以上の飲食店・美容室オーナーが実践して成果を出してきた「値引きではなく価値で選ばれる」経営の入り口は、実はメニューブックの1行から始まります。
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