飲食店のメニュー表の作り方。「ご利益中心ネーミング」で売れる1行を作る
実は、飲食店のメニュー表の「名前」を変えるだけで、注文率が2倍以上になるケースが珍しくありません。
これ、信じられますか?
私がこれまで20年間、全国1,000店舗以上の飲食店を見てきた中でわかったことがあって。料理の味や品質に自信があるお店ほど、メニュー表の「言葉」が驚くほどシンプルで、素っ気ないんです。
「特製カルボナーラ 1,480円」
この1行で、お客さんは注文を決めてくれると思っていませんか? 実は、ここに大きな見逃しがあります。
メニュー表は、スタッフが不在でも勝手に売ってくれる「最強の販促ツール」なんです。それなのに、ほとんどのお店がこの武器を眠らせたまま営業しています。今日はその眠っている武器を、今すぐ使える状態にする方法をお話しします。
こんな方におすすめ
- ✅ メニュー表をそのまま長年使っていて、特に見直したことがない飲食店オーナーさん
- ✅ 客単価をもっと上げたいけど、値上げに踏み切れずにいる方
- ✅ スタッフが積極的におすすめを言えない、なんとなくお客さん任せになっている方
- ✅ 「料理の価値がお客さんに伝わっていない」と感じている飲食店経営者さん
- ✅ ホットペッパーや値引きクーポンに頼らず、自力で売上を伸ばしていきたい方

「料理名+価格」だけのメニュー表が抱える本当の問題
あるとんかつ専門店のオーナーさんから相談を受けたことがあります。静岡市内で10年以上続けているお店で、仕入れにこだわって、職人として腕も確かな方でした。
問題は、客単価が上がらないこと。平均客単価が1,200円前後で、どうしても1,500円の壁を超えられない、と。
メニュー表を見せてもらうと、こんな構成でした。
- ロースかつ定食 1,100円
- ヒレかつ定食 1,280円
- 特ロースかつ定食 1,480円
「特」と付いているから良さそう、というのは作る側の感覚であって、お客さんにはよくわからないんです。「特」って何が特なの? どう違うの? という状態のまま、お客さんは一番安い1,100円を頼む。これが現実です。
ターゲットは常に初心者です。玄人相手にしちゃダメですからね。食べ歩きのプロみたいな人は、「特」と書いてあれば何となく察してくれるかもしれない。でも、ほとんどのお客さんは違います。
「この料理を食べると、自分にとってどんないいことがあるのか」——これが伝わらないと、人は安い方を選びます。これは人間の自然な心理です。
「ご利益中心ネーミング」とは何か。具体例で見てみる
では、先ほどのとんかつ専門店のメニューを変えてみましょう。
「特ロースかつ定食 1,480円」を、こう書き換えます。
「厚さ3cmのご褒美ロース。衣のサクサクが30分続く熟成かつ定食 1,480円」
どうですか? 一気に「食べてみたい」と思いませんか?
ポイントは2つです。
ひとつは数字で具体化すること。「厚さ3cm」「30分続く」という数字が入ると、お客さんの頭の中にイメージが浮かぶ。「なんとなくボリュームがある」より「厚さ3cm」のほうが断然伝わります。
もうひとつは食べた後のご利益を書くこと。「衣のサクサクが30分続く」というのは、揚げたての状態が保たれているということですよね。これを食べると、自分はどんな体験ができるのか。そのご利益を一言で書く。これが「ご利益中心ネーミング」の核心です。
別の例も出しましょう。
ある居酒屋さんのメニューに「煮込み 580円」とだけ書かれていました。これを「大将が朝4時から16時間かけて仕込む、常連さんが必ず頼む牛すじ煮込み 580円」と変えた。
結果、その一品の注文率が1.8倍になりました。価格は一切変えていません。変えたのは「言葉」だけです。
手間と時間を具体的な数字で書く(「16時間かけて」「朝4時から仕込む」)。誰が作っているか顔を見せる(「大将が」)。常連客の行動実績を添える(「常連さんが必ず頼む」)。この3つの要素が揃うと、お客さんは安心して注文できます。
✓ ここまでのポイント
- 「料理名+価格」だけのメニュー表は、お客さんに価値が伝わらず安い方を選ばせてしまう
- 「ご利益中心ネーミング」とは、数字・手間・食べた後の体験をひと言で表現すること
- 価格を変えずに言葉だけ変えることで、注文率・客単価は動かせる
実際にメニュー表を作り直した事例。地方都市のパスタ店が前年比151万円増
静岡県内ではありませんが、地方都市でパスタ専門店を営んでいたオーナーさんの話です。
このお店、料理は本当においしくて、来てくれたお客さんの満足度は高い。でも月商が横ばいで、なぜか新規客が定着しない状態が続いていました。
メニュー表を確認すると、こんな感じでした。
- 魚介のトマトソースパスタ 1,350円
- クリームパスタ 1,200円
- シェフのおすすめパスタ 1,500円
「シェフのおすすめ」という言葉、よく見かけますよね。でもこれ、お客さんにとってはあまり意味がないんです。「シェフが好きなものと私が食べたいものは違うかもしれない」と無意識に感じて、スルーされることが多い。
そこで、メニュー表を全面的に書き直しました。
「魚介のトマトソースパスタ」は「三保産の鮮魚を当日仕入れ。旨みが溶け込んだ濃厚トマトソース、女性が週3で通う人気No.1パスタ 1,350円」に。
「シェフのおすすめパスタ」は「今週だけ登場。前回売り切れ続出だった特製パスタ 1,500円」に。
この変更とあわせて、店前看板と卓上POPも同じルールで統一した。すると、客単価が少しずつ上がり始め、最終的に前年比で月商151万円の増加につながったんです。
「三保産の鮮魚」という地域名が入ることで、地元のお客さんには親しみと安心感が生まれる。「当日仕入れ」で新鮮さが伝わる。「女性が週3で通う」という実績が、新規客の不安を取り除く。これが積み重なった結果です。
「ジョイマンさんに言われてメニュー表の言葉を全部見直しました。最初は半信半疑でしたが、注文の傾向が変わり始めてびっくりしました。お客さんが自分から『これって何ですか?』と聞いてくれるようになったんです。」
地方都市のパスタ店オーナー(前年比151万円の売上増を達成)
今日から使える「ご利益中心ネーミング」の作り方3ステップ
では実際に、どうやって書き換えればいいか。3つのステップで整理します。
ステップ1:「この料理、何がすごいの?」を10個書き出す
食材の産地・仕入れ先、仕込みにかかる時間、使っている調理技術、食べた後の感想(お客さんの声)——まずこれを箇条書きで10個出してください。「当たり前すぎて書くまでもない」と思っているものが、実はお客さんにとっての価値だったりします。
ステップ2:数字を探して入れる
「長時間煮込んだ」→「12時間煮込んだ」。「新鮮な魚介」→「毎朝6時に港から直送」。「ボリュームたっぷり」→「国産牛200g使用」。抽象的な言葉を、必ず数字に変換してください。
ステップ3:「食べるとどうなる?」を一言足す
料理の説明で終わらず、食べた後のご利益を加える。「一口で体が温まる」「次の日、肌の調子がいい気がする」「仕事終わりの疲れが飛ぶ味」——感情や体験の言葉が入ると、一気に注文しやすくなります。
この3ステップで書いたメニュー名を、まず1品だけ変えてみてください。全部一度に変えようとしなくていいです。2週間で3品変えられれば、十分です。
「月商130万円だった頃は、とにかく値引きクーポンで集客していました。でもジョイマンさんの方法でメニュー表とPOPを変えてから、クーポンなしのお客さんが増えて、気がつけば月商230万円になっていました。値引きしないで売上が上がるって、最初は信じられませんでした。」
月商130万円→230万円へ成長した焼き鳥店オーナー
まとめ:メニュー表は「最も安い販促ツール」であり「最も放置されているもの」
広告費をかけなくても、スタッフを増やさなくても、メニュー表の言葉を変えるだけで客単価は動きます。
料理名を「ご利益中心ネーミング」に変える。手間と時間を数字で書く。食べた後の体験を一言足す。この3つだけです。
「値引きではなく価値で選ばれる」経営——これはメニュー表の1行から始まります。特別なスキルも大きな予算も必要ない。今夜、自分のお店のメニュー表を1枚取り出して、1品だけ書き直してみてください。
私が全国500社を超える飲食店・美容室オーナーさんと関わってきた中で確信しているのは、「伝え方」を変えた店は必ず変わる、ということです。味や技術は十分にある。あとは言葉だけです。
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