「うちは素材にこだわっているのに、なぜかお客さんが増えない」
「仕入れコストをかけているのに、価格に転嫁できなくて利益が残らない」
「メニュー表に『旬の食材使用』と書いても、スルーされてしまう」
天ぷら屋を営んでいると、こういう悩みがじわじわと積み重なっていきますよね。腕には自信がある。素材への投資も惜しんでいない。なのに売上が横ばいで、手元にお金が残らない。
これ、実は「こだわりの伝え方」の問題なんです。
今回は、静岡市清水区を拠点に20年間・累計1,000店舗以上の飲食店経営を支援してきた経営コンサルタント、ハワードジョイマン(中小企業診断士・経済産業省登録番号402345)が、天ぷら屋の素材へのこだわりを「売上に直結する言葉」に変換する方法を具体的にお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 天ぷら屋を経営していて売上・利益が伸び悩んでいる方
- ✅ 素材や仕込みにこだわっているのに、その価値がお客さんに伝わっていないと感じている方
- ✅ 値引きなしで客単価を上げる方法を知りたい飲食店オーナー
- ✅ メニュー表やPOPの書き方を変えて売上を伸ばしたい方
- ✅ 「美味しいものを作れば売れる」という状況から抜け出したいと感じている方

「素材がいい」だけでは、お客さんの財布は開かない
先日、関東で天ぷら専門店を営む石川さん(仮名・50代)とZOOMでお話しする機会がありました。創業17年、地元の農家と直接契約して仕入れた野菜と、その日の朝に選んだ鮮魚だけを使う。揚げ油は独自にブレンドした米油。仕込みの時間は毎朝3時間。どこに出しても恥ずかしくない店を20年近くやってきた方です。
でも、月商はここ3年ほど横ばい。常連さんは来てくれるけれど、新しいお客さんが増えない。ランチは賑わうけれど、ディナーが埋まらない。こういう状況でした。
石川さんに「メニュー表を見せてください」とお願いしたら、こんな文言が並んでいました。
「旬の野菜の天ぷら盛り合わせ」「本日の鮮魚の天ぷら」「こだわり食材の天ぷらコース」
……これ、正直に言いますね。「こだわり」という言葉が多すぎて、何がどうこだわっているのか、全然伝わらないんです。
「旬の野菜」は、どこの産地の、誰が作った、どんな野菜なのか。「本日の鮮魚」は、何時に仕入れた、どこで揚げた、どう違うのか。「こだわり」という言葉は、書いた側は意味を分かっていても、読んだ側には「どのお店でも書けそうな言葉」にしか見えません。
これがまさに、素材への投資が売上に直結しない原因です。
「ご利益中心のネーミング」とは何か——石川さんとの対話から
石川さんに、こんな質問をしました。
「その地元農家さんのお野菜、どう違うんですか? お客さんが食べたときに、何を感じてほしいですか?」
石川さんはしばらく考えて、こう答えてくれました。
「収穫してから24時間以内に届く野菜だから、甘みが全然違うんですよ。特に春のたけのこは、市場に出回っているものと食べ比べたら、一発でわかる。あの瞬間の驚きを体験してほしくてずっとやってきました」
——これです。この言葉こそが、メニュー表に書くべき内容なんです。
私が20年間、飲食店経営者さんたちに伝え続けてきた「ご利益中心のネーミング」という考え方があります。お客さんが「自分にとって何がいいのか」を瞬時にイメージできる言葉で伝える、ということです。
「旬の野菜の天ぷら」ではなく、「収穫から24時間以内。農家直送・当日仕入れ野菜の天ぷら」。
「本日の鮮魚の天ぷら」ではなく、「朝7時に市場で目利きした一本釣り魚の天ぷら——今日だけの一皿」。
どうでしょう。同じ素材でも、言葉が変わるだけで、受け取り側の印象がまったく違いますよね。これは「嘘をついて大げさに書く」のではなく、「自分がやってきたことをちゃんと言葉にする」だけのことです。
✓ ここまでのポイント
- 「こだわり」「旬」「本日の」という言葉は、読む側には素通りされやすい。具体的な数字・背景・名前で言い換えることが先決。
- 「ご利益中心のネーミング」とは、お客さんが「自分にとって何がいいか」を即座にイメージできる言葉で表現すること。
- 素材の価値を言語化するには、「どう違うか」「食べた瞬間に何を感じてほしいか」から逆算する。
メニュー表・POPを変えたら何が起きたか
石川さんには、具体的に3つだけ変えてもらいました。私がよく言う「2週間で3つだけ実行」の原則です。
① メニュー表のネーミングを「体験できること」ベースに書き直す
先ほどの例のように、「収穫から24時間以内」「朝7時に市場で目利き」という言葉をそのまま使うこと。数字と時間と動作が入ると、お客さんの頭の中に映像が浮かびます。
② 仕込みの手間をPOPに一行書く
「この揚げ油は、毎朝石川が2時間かけて調整しています」。このたった一文を、厨房側から見えるカウンターの壁に貼っただけで、お客さんから「それ、どういうこと?」と声がかかるようになったそうです。会話が生まれ、単価が上がる。
③ 「旬の食材の説明」を口頭でスタッフが言えるようにする
「今日のたけのこは昨日収穫で、農家の○○さんから直送です」という一言を、全スタッフが言える状態にする。これだけでお客さんの期待値が上がり、「じゃあそれを」とオーダーが入りやすくなります。
石川さんのケースでは、この3つを2週間実施したあと、ディナーの客単価が800円ほど上がりました。客数が増えたわけではありません。同じお客さんが「せっかくなら」と一品多く頼むようになったんです。
「ジョイマンさんに言われるまで、自分がやっていることを言葉にしようとしたことがなかったんです。メニュー表を変えただけで、お客さんからの反応が全然違って、正直びっくりしました」
天ぷら専門店オーナー・50代男性
「最初は値段を上げることに抵抗があったんですが、素材の背景をきちんと伝えたら、むしろ『このくらいはするよね』って言ってもらえて。値引きより、伝え方の方がよっぽど大事だと気づきました」
増益繁盛クラブ会員・飲食店オーナー
天ぷら屋が「値上げ」しやすい理由——素材原価の「見せ方」を変える
天ぷらという業態は、実は価格を上げやすい条件がそろっています。
なぜかというと、「揚げる瞬間」がお客さんに見えるからです。目の前で揚げる臨場感、揚げたての音、香り、サクっという食感——これらすべてが「体験」として価値を持ちます。焼き物や煮物と違って、「今この瞬間でなければ食べられない」という希少性が自然にある業態です。
ここで使えるのが「当て玉」という考え方です。
例えば、既存の「おまかせコース6,500円」の隣に「料理長厳選・その日限りの特上コース12,000円」を置く。大半のお客さんは12,000円を頼まなくても、6,500円が「相対的に手が届きやすい価格」に見えます。これだけで、それまで「ちょっと高いな」と思っていたお客さんが「意外とリーズナブルかも」という感覚になります。
さらに、新しいコースを作るときは既存コースより20%以上高く設定するというルールを徹底してください。これを繰り返していくだけで、メニュー全体の価格帯が自然と上がっていきます。値下げは一切しない。新しいものを上に追加していく。これが、忙しさを増やさずに利益を伸ばすための基本設計です。
月商130万円から230万円に伸びた焼き鳥店も、前年比151万円増を達成したパスタ店も、やったことの本質は同じです。「価値を正しく伝える言葉に変える」「価格帯の設計を組み直す」——この2点だけで売上の景色はガラッと変わります。
まとめ:天ぷら屋の売上を伸ばす3つの行動
ここまでお伝えしたことを、今週から使える形で整理します。
1. メニュー表の「こだわり」「旬」を、数字・時間・人名に書き換える
「収穫から24時間以内」「朝7時に目利き」「○○農家から直送」。これだけで読んだお客さんの反応が変わります。
2. 仕込みの手間をPOP1枚で可視化する
「毎朝2時間、揚げ油を調整しています」という一文でいい。手間が見えると、価格への納得感が生まれます。
3. 「当て玉」の高単価コースを1つ作り、既存コースの上に置く
お客さんは選択肢の中間を選ぶ傾向があります。上に1つ置くだけで、既存コースへの注文が増えます。
大切なのは、一気にすべてをやろうとしないこと。2週間で3つだけ実行する。それを繰り返せば、1年間で72の打ち手を積み重ねたことになります。日本の飲食店経営者でこれを続けている人は、ほとんどいません。だからこそ、続けた店が頭一つ抜け出せるんです。
「値引きではなく価値で選ばれる」——天ぷら屋こそ、この原則が一番活きる業態だと私は思っています。素材へのこだわり、仕込みの時間、揚げる瞬間の臨場感。これだけの「伝える材料」を持ちながら、言葉にしないまま終わらせるのはもったいない。あなたのお店が積み上げてきたものを、ちゃんと言葉にしましょう。
もう少し踏み込んだ内容を知りたい方、自分のお店に当てはめて考えてみたい方は、まず無料の教材から手に取ってみてください。天ぷら屋に限らず、飲食店の利益構造を根本から変えるためのノウハウをまとめています。
“頑張らずに利益を増やす”飲食店の教科書(無料)——まずここから読んでみてください。読み終えた瞬間に「明日からこれをやろう」と思えるはずです。
個別に相談したい方は、LINEからお気軽にどうぞ。あなたのお店の状況に合わせてお話しします。LINEからお待ちしております。
コメント