ゴールデンウィークが終わって少し落ち着いてきたこの時期、「連休中はそこそこ入ったのに、売上の割に手元にお金が残らなかった」という声をよく聞きます。焼肉店オーナーさんからも、まったく同じ相談をいただきました。
席は埋まっている。回転もしている。でも月末の通帳を見ると「あれ、これだけ?」という感覚。その正体は、たいていの場合、客単価の設計が甘いことにあります。
今日は実際にいただいた声を軸に、焼肉店で客単価を引き上げるための「コース設計」と「ドリンクのペアリング提案」について、現場ですぐ使える形でお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 焼肉店を経営していて、客単価が伸び悩んでいる方
- ✅ コースメニューを作っているのに、なぜか単価が上がらないと感じている方
- ✅ ドリンクの売上が食事と比べて明らかに少ない方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らずに売上を伸ばしたい方
- ✅ 「忙しいのにお金が残らない」状態から抜け出したい飲食店オーナーさん

「コースを作ったのに、なぜか単価が上がらない」という声から気づいたこと
神奈川県で焼肉店を経営するMさんから、こんな声をいただきました。
「コースメニューを3種類用意していたんですが、ほとんどのお客さんが真ん中か一番安いコースを選ぶんです。高いコースを注文してくれるのは10組に1組くらい。結局、客単価は以前とあまり変わらなくて、どうすればいいかわからなくなっていました」
神奈川県・焼肉店オーナー Mさん(40代・男性)
Mさんのケースは、実は非常によくあるパターンです。コースを3つ並べると、人間は心理的に「真ん中を選ぼう」とする傾向があります。これ自体は悪いことではない。問題は、その「真ん中」が店にとって利益の取れるコースになっていないことです。
さらに聞いてみると、Mさんのコースはどれも「肉だけ」の構成で、ドリンクは別途注文という形でした。つまり、コースを頼んでもらってから、ドリンクをどれだけ追加注文してもらえるかが完全にお客さん任せになっていたんです。
ここに、単価を上げるための大きなヒントが隠れていました。
コース設計の「当て玉」と「ご利益ネーミング」で選ばれ方が変わる
まず、コース設計から見直しました。ポイントは2つです。
①「当て玉」を一番上に置く
Mさんの場合、最上位コースが8,000円でした。これを「見せ球」として使うために、まず12,000円のプレミアムコースを作ってもらいました。内容は黒毛和牛の希少部位を中心に構成し、スタッフが卓上で一部を説明しながら提供するスタイルです。
このコースを入れることで何が起きるか。12,000円が一番上に並ぶと、8,000円が「手が届く贅沢」に見えるんです。心理的な基準点が上がるので、真ん中に選ばれやすいコースが5,500円から8,000円に引き上がる。これだけで客単価は一気に変わります。
新商品・上位コースは既存より20%以上高くする──これは私が繰り返しお伝えしているルールですが、実際に入れてみると効果が目に見えて出ます。
②コースに「ご利益中心のネーミング」をつける
もう一つ変えてもらったのが、コース名です。「スタンダードコース」「プレミアムコース」という名前では、お客さんに違いが伝わらない。そこでMさんには、こんな形で変えてもらいました。
- 「大人の記念日に選ばれる 厳選黒毛和牛コース」
- 「週末の自分へのご褒美 和牛3部位食べ比べコース」
- 「仕事仲間と気軽に楽しむ 焼肉ベストセレクションコース」
誰のための、どんなシーンのコースなのかが名前に入ると、お客さんが「自分はどれに当てはまるか」で選べるようになります。これが「ご利益中心のネーミング」の考え方です。玄人受けする肉の品種名や希少部位の名前だけを並べるのは、食べ歩き好きにしか刺さりません。ターゲットは常に初心者のつもりで、名前を考えてください。
ドリンクのペアリング提案は「売り込み」ではなく「案内」として設計する
コースの設計を整えた次に取り組んでもらったのが、ドリンクのペアリング提案です。
Mさんのお店では、ドリンクの注文はほぼお客さん任せでした。席に案内してメニューを渡して、「ご注文がお決まりになりましたら」と待つ形。結果として、最初にビールや生を頼んだらそのままで終わり、という流れになりがちだったそうです。
そこで導入してもらったのが、コースごとにペアリングドリンクを1〜2種類だけ提案するひと言カードです。テーブルに置くものではなく、コースの注文が入った時点でスタッフが口頭で一言添える形にしました。
「本日の和牛3部位コースには、フルーティーなマッコリか、すっきりした辛口の日本酒がよく合いますよ。お好みはどちらですか?」
このひと言が入るだけで、ドリンクの追加注文率が変わります。なぜかというと、「売り込まれた」ではなく「案内してもらった」という感覚になるからです。選択肢を2つに絞っているのもポイントで、選びやすさとすすめやすさが両立します。
スタッフが「何かドリンクはいかがですか」と聞くだけでは、お客さんは「いや、もういいかな」で終わることが多い。でも「このコースにはこれが合います」という具体的な提案が入ると、話が変わります。
✓ ここまでのポイント
- コースの最上位に「当て玉」を置くと、真ん中の選ばれ方が上がって客単価が上がる
- コース名は「誰のための、どんなシーンか」が伝わる名前に変える
- ドリンク提案は「何かいかがですか」ではなく、コースに合わせた2択の具体提案にする
「2週間で3つだけ」実行したMさんの結果
Mさんには、最初から全部変えるのではなく、まず3つだけ実行してもらいました。
- プレミアムコース(当て玉)の追加とコース名の見直し
- ペアリング提案のひと言スクリプトをスタッフと共有
- メニュー表の上位コースの説明文を、手間と素材を具体的に書いた内容に差し替え
2週間後に確認したところ、上位2コースを選ぶ比率が明らかに上がっていたと教えてくれました。ドリンクの追加注文も増え、1テーブルあたりの売上が以前より1,200〜1,800円ほど上がった感覚があるとのことでした。
これ、すごく地味に聞こえますよね。でも、1テーブルあたり1,500円上がって、1日30テーブル、月25日営業なら、1ヵ月で112万5,000円の売上増です。客数は変えていません。値引きもしていません。
「忙しいのに手元に残らない」の解決策は、客数を増やすことではなく、今来ているお客さんへの提案の質を上げることにあることが多いんです。
「コースの名前を変えるだけで、お客さんが『これにします』と言う時の表情が変わった気がします。値引きせずに単価が上がるって、こういうことなんだなと実感しました」
神奈川県・焼肉店オーナー Mさん(40代・男性)
まとめ:焼肉店の客単価アップは「今いるお客さん」への設計から
新規のお客さんを集めることに意識が向きがちですが、今この瞬間、席に座っているお客さんへの提案の質を上げる方が、売上への即効性は高いです。コース設計とドリンクペアリング提案は、まさにそのための打ち手です。
今日から動けるのは3つだけでいい。
- 一番上のコースに、現行最上位より20%以上高い「当て玉」を置く
- コース名を「誰のための、どんなシーンか」が伝わる言葉に変える
- コースが決まった瞬間に、ペアリングドリンクを2択で提案するひと言をスタッフで共有する
この3つだけです。まず試してみてください。2週間やってみて、どうなったか確認する。それだけで、お店の見え方が変わってきます。
「値引きではなく価値で選ばれる」経営に切り替えていく具体的な手順は、こちらの無料の教科書にまとめてあります。焼肉店に限らず、飲食店経営者さんに幅広く使っていただける内容です。ぜひ手に取ってみてください。
読んでみて「自分のお店に当てはめたらどうなるか聞いてみたい」という方は、LINEからお気軽にメッセージをください。お待ちしています。
コメント