「もう少し単価を上げたいんだけど、どう提案したらいいかわからなくて……」
「追加メニューをすすめようとすると、なんか押し売りみたいになりそうで、結局言い出せないんですよね」
こういう声、全国の美容室オーナーさんから本当によく聞きます。技術には自信がある。お客さんにも喜んでもらっている。でも、単価が一向に上がらない。この状況、心当たりありませんか?
じつは、「押し売りになる」という感覚そのものが、提案の設計を間違えているサインです。正しい設計ができていれば、こちらから「いかがですか?」と言わなくても、お客さんの方から「それ、やってみたい」と言ってくれます。今日はその具体的なやり方を、実際の事例と一緒にお伝えしますね。
📋 この記事でわかること
- なぜ「押し売り感」が生まれてしまうのか、その本質的な原因
- お客さんが自然に「やってみたい」と言いだす提案の設計方法
- スタッフ全員で単価を上げるための仕組みの作り方
- 値引きなしで客単価を上げた美容室の実際のケース
こんな方におすすめ
- ✅ 追加メニューを提案しようとすると気が引けてしまう美容室オーナーさん
- ✅ 客単価が横ばいで、売上の伸ばし方がわからない方
- ✅ スタッフが追加提案を苦手としていて、オーナーだけが売上を作っている状態の方
- ✅ 値引きやクーポンに頼らずに単価を上げたい方
- ✅ トリートメントやヘアケア商品の提案率を上げたい方
「押し売り感」はなぜ生まれるのか
まず、押し売りになる理由を整理しましょう。
ほとんどの場合、スタイリストがお客さんのニーズを確認する前に「トリートメントはいかがですか?」と提案してしまっています。お客さんからすると、「自分の髪の悩みをまだ話していないのに、なぜか商品をすすめられた」という状態になるわけです。これは、どれだけ良い商品でも売り込みにしか見えません。
逆に、「先生に診てもらったら、原因がわかって、解決策を教えてもらった」という体験は、押し売りとは正反対ですよね。お客さんが自分で「それ、やりたい」と言いたくなる流れです。
「販促の本質は、こちらが売ることではなく、お客さんが買いたくなる状態を先に作ることです。提案が刺さらないのは、相手のニーズを掘り起こす前に答えを出しているから。順番が逆なんですよ。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・販促アイデアコンサルタント)
つまり、「何を提案するか」より「どんな順番で会話するか」の設計が先です。ここを変えるだけで、お客さんの反応はガラッと変わります。
単価が自然に上がる「カウンセリング→提案」の流れ
あるカラー特化型の美容室のケースをご紹介します。
このサロンでは、来店されたお客さんに対して最初の5分で必ずこの3つを聞くようにしました。
- 「最近、髪で気になっていることはありますか?」
- 「日中どんな場面で髪が気になることが多いですか?」
- 「今日のご要望の他に、気になることがあれば教えてください」
この3つを聞くと、お客さんは自分の悩みを話し始めます。「実はパサつきが気になっていて……」「梅雨になると広がるんですよね……」といった言葉が自然に出てきます。
そこでスタイリストはこう言います。「それ、実は髪の内側の水分量の問題なんですよ。今日のカラーと一緒にやると変わりやすいので、少し見てみましょうか」と。
お客さんは「それはありがとうございます、お願いします」と自分から返事をします。
このサロン、この仕組みを入れてトリートメントの提案率が月に数件から毎日当たり前のように発生するようになりました。スタッフが「売ろう」としている感覚も消えて、「お客さんの問題を解決している」という感覚に変わったと言っていました。
「未来計画表」を使うと、提案が自然な流れになる
もう一つのケースをご紹介します。大人女性向けの高単価サロンを運営しているオーナーさんのお話です。
このサロンは客単価1万円以上を目指していましたが、スタッフがなかなか追加提案をできていませんでした。理由を聞くと「タイミングがわからない」「断られたらどうしようと思ってしまう」という答えが返ってきました。
そこで導入したのが、私がよく紹介している「おしゃれ計画表(未来計画表)」です。
簡単に言うと、施術が終わるタイミングで「次回はどんな状態にしたいですか?」をヒアリングして、半年先の来店ペースと施術メニューをお客さんと一緒に確認するシートです。
これをやると何が起きるかというと、「次回は秋に向けてカラーを変えたいから、トリートメントで今の状態をキープしておきましょうか」という会話が自然に生まれます。スタッフが提案する必要がなく、計画表を一緒に書く流れの中で、お客さんが自分で「じゃあそれもお願いしようかな」と言うんです。
このオーナーさんのサロンでは、この仕組みを入れてから平均客単価が上がり始め、同時に次回予約の取得率も改善しました。「来てくれるかどうか」という不安がなくなって、スタッフの仕事の安心感も変わったと言っていました。
✓ ここまでのポイント
- 押し売りが生まれる原因は「ニーズを聞く前に提案している」こと。順番を変えるだけで反応が変わる。
- 「未来計画表(おしゃれ計画表)」を使うと、スタッフが提案しなくてもお客さんの方から追加を希望するようになる。
- 追加提案の成否は「何を提案するか」ではなく「どんな会話の流れで提案するか」の設計で決まる。
「赤字経営から脱却し、年商を2倍にしました。客単価を上げようとして値引きの逆をやろうとしていたんですが、ジョイマンさんに教わったのは『お客さんが自分で言いたくなる仕組みを作ること』でした。それから全部変わりました」
美容室オーナー(40代・女性)
スタッフ全員で単価を上げる仕組みの作り方
ここまでの話を読んで、「でもそれ、自分だからできることで、スタッフには難しいんじゃ……」と思った方もいるかもしれません。
その感覚、すごくわかります。オーナー自身は自然にできても、スタッフに任せると途端にできなくなる。これはスタッフの問題ではなくて、仕組みの問題です。
具体的には、3つの整備をしてください。
チェックポイント1:カウンセリングの「聞く3つの質問」を統一する
先ほど紹介した「来店時に必ず聞く3つの質問」を、スタッフ全員の共通ルールにしてください。スタッフによって聞いたり聞かなかったりでは機能しません。台本を渡して、最初の1ヶ月は毎回フィードバックするくらいの温度で定着させましょう。
✅ ポイント:質問を渡すだけで終わらず、ロールプレイで練習してから現場に入れること。「なんとなくやってみて」では誰も動けません。
チェックポイント2:「おしゃれ計画表」をスタッフが使えるツールにする
未来計画表は、口頭だけでなく紙またはタブレット上のシートとして渡してください。視覚化されているだけで、お客さんの参加感が変わります。スタッフはシートに沿って会話を進めるだけでいい状態にすること。これが「誰でも同じレベルで提案できる」仕組みの核心です。
✅ ポイント:「スタイリストごとに違う対応」はお客さんから「前回と違う」と見抜かれます。ツールで標準化すれば属人化が解消されます。
チェックポイント3:提案メニューには「ご利益中心のネーミング」をつける
「髪質改善トリートメント」より「乾燥して広がる髪に、しっとりまとまる艶を1日で取り戻すケア」の方が、お客さんは自分ごとに感じます。メニュー表の言葉を「お客さんが得る変化」を中心に書き換えてください。POPも同じです。「このトリートメントは○○な方の、○○という悩みに効きます」という書き方にするだけで、スタッフが何も言わなくてもお客さんが気になって聞いてきます。
✅ ポイント:「成分や原価」を訴求するのは玄人向けです。ターゲットは初心者。一般のお客さんに刺さる言葉は「自分の悩みに当てはまる言葉」です。
新メニューを入れるときは「20%高く」が基本ルール
最後に、新しいメニューを作るときのルールをお伝えします。
私がずっとお伝えしているのが「新商品は既存の商品より20%以上高くする」というルールです。
例えば、今のトリートメントが3,000円なら、新しく追加するプレミアムトリートメントは3,600円以上にする。カラーが8,000円なら新メニューは9,600円以上からスタートする。
これには理由が2つあります。ひとつは、既存メニューが相対的に「手頃に見える」ようになること。もうひとつは、メニュー全体の単価の重心が自然に上がっていくことです。
新メニューを追加するたびに既存より安くしてしまうと、単価は絶対に上がりません。「新しいほど高い」というルールを自分の中に持っておくだけで、設計のミスが防げます。
まとめ:「提案する」のではなく「お客さんが言いたくなる流れを作る」
今日の内容を整理すると、こういうことです。
- 押し売り感の正体は「ニーズを聞く前に提案していること」
- カウンセリングの3つの質問で悩みを引き出してから提案すれば、流れが変わる
- おしゃれ計画表(未来計画表)でスタッフ全員が同じレベルで提案できる仕組みを作る
- メニュー表の言葉を「ご利益中心ネーミング」に変えれば、スタッフが何も言わなくてもお客さんが聞いてくる
- 新メニューは既存メニューより20%高くする。これだけで単価の重心が変わる
値引きで集客して、値引きのないメニューを提案して「押し売りになる」という構造は、根っこから変えないとずっとループします。逆に、今日お伝えした設計ができれば、スタッフが「売ろう」と頑張らなくても単価は自然に上がります。これが私の言う「がんばらない繁盛」の一つの形です。
全国500社を超える飲食店・美容室オーナーが参加している「増益繁盛クラブ」でも、客単価アップに関する事例は毎月出ています。累計1,000店舗以上が実践してきた中で、「提案の設計を変えただけで単価が上がった」という声は本当に多いです。
まずは今日の内容の中から1つだけ、今週の現場に取り入れてみてください。「2週間で3つだけ」やり続けると、1年後には72の打ち手を積み重ねた経営者になっています。
もっと具体的に自分のサロンに当てはめて考えたい方は、以下からご相談ください。お気軽にどうぞ。
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