10月の朝。
静岡から新幹線に乗ると、
富士山がくっきり見えた。
空気が澄んでいるせいか、
いつもより輪郭がはっきりしている。
その景色を見ながら、
ふと思ったんです。
経営の「輪郭」も、
数字で見るとこれだけ変わるんだよな、と。
霧の中を走っている状態と、
地図を持って走っている状態では、
疲れ方がまるで違う。
美容室の損益分岐点というのは、
まさに「地図」の話です。
と言うことで、今日は
セット面数と稼働率から
最低売上を割り出す手順を、
ステップごとに整理していきます。
📋 この記事でわかること
- 損益分岐点の基本的な考え方と、美容室に合った計算の組み立て方
- セット面数・稼働率・客単価を使った最低売上の出し方(ステップ別)
- 数字を把握することが、採用で困らないサロンづくりにどうつながるか
こんな方におすすめ
- ✅ 毎月の売上は出ているが、手元にお金が残らないと感じている方
- ✅ セット面が何面あれば黒字になるのか、感覚でしか把握していない方
- ✅ 稼働率が上がれば儲かるはずなのに、なぜか利益が出ないと悩んでいる方
- ✅ スタッフを増やしたいが、採用できる余裕があるかどうか分からない方
- ✅ 値引きに頼らず、客単価の見直しから経営を立て直したい方

損益分岐点とは何か、美容室に引きつけて考える
損益分岐点というと、
難しそうに聞こえます。
でも中身はシンプルで、
「赤字にならないために最低限
必要な売上はいくらか」
という数字のことです。
美容室の場合、
固定費は毎月必ず出ていきます。
家賃・人件費・光熱費・
シャンプー台のリース料・
雑費など。
これらを売上でカバーできているか、
それだけが黒字か赤字かの分かれ目です。
あなたのお店は、
今月の固定費を把握していますか?
毎月の売上が「感覚的に足りている」と
思っている段階では、
まだ霧の中を走っている状態です。
数字で把握することで、
はじめて「どこをどう動かせばいいか」
が見えてきます。
セット面数と稼働率から損益分岐点を出してみようと思ったとき、「自分の店の固定費が正確に把握できているか自信がない」という方は少なくありません。無料登録でもらえる「必要売上シミュレーター」を使うと、固定費・人件費率・原価率を入力するだけで利益を残すために必要な売上が自動で計算できます。メール登録のみ、1分で受け取れます。
STEP別、損益分岐点の出し方
損益分岐点計算 STEP 1
月の固定費を全部書き出す
まず固定費を洗い出します。
変動費(材料費など売上に連動する費用)と
分けて考えることが最初のポイントです。
例えば、
セット面4面のサロンで月の固定費が
家賃12万円・人件費30万円・
リース・光熱費などで8万円だとすると、
固定費の合計は50万円です。
この数字が、
毎月ゼロにしなければならない
「床の重さ」です。
⚠️ よくある失敗:人件費に自分の生活費(役員報酬)を
入れていないケースが多い。
自分への報酬も固定費として計上しないと、
実態より甘い数字になります。
損益分岐点計算 STEP 2
変動費率を計算する
変動費とは、売上が上がるほど
連動して増える費用のことです。
美容室であれば、
カラー剤・パーマ液・トリートメント剤など
施術に使う材料費が中心です。
例えば、月商100万円のうち
材料費が15万円なら、
変動費率は15%です。
損益分岐点の計算式はこうなります。
損益分岐点売上 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
先ほどの例で当てはめると、
固定費50万円 ÷ (1 − 0.15)
= 約58.8万円。
つまり月商約59万円を超えれば
ようやく黒字になる、という構造です。
⚠️ よくある失敗:カード決済手数料や
予約サイトの掲載料を変動費に入れ忘れるケース。
見落としが積み重なると、
実際の損益分岐点が数万円ずれます。
損益分岐点計算 STEP 3
セット面数と稼働率から「今の売上」を逆算する
ここが今日のポイントです。
美容室の売上は、
次の式で分解できます。
月の売上 = 客単価 × 1日の客数 × 営業日数
そして1日の客数は、
セット面数と稼働率で決まります。
例えば、
セット面4面・営業時間10時間・
1施術あたりの平均時間が1時間なら、
理論上は1日40人(4面×10時間)が上限です。
でも実際の稼働率は60〜70%ということが多く、
その場合は1日24〜28人ほど。
客単価8,000円・稼働率65%で計算すると、
1日26人×8,000円=20.8万円。
月22営業日なら、月商は約457万円です。
この数字と、
STEP 2で出した損益分岐点を
比べてみてください。
差がある。
その差が、あなたの今の「余裕」または
「赤字の深さ」です。
⚠️ よくある失敗:セット面のうち1面が
「物置」になっているケース。
面数はあるのに実働していないと、
計算上の稼働率が出ても意味がない。
「実際に使える面数」で計算してください。
✓ ここまでのポイント
- 損益分岐点 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)。自分の役員報酬も必ず含める。
- セット面数×稼働率×客単価×営業日数で「今の売上の天井」が見える。
- 損益分岐点と現状売上の差が、経営の余裕または課題の大きさを示している。
客単価を引き上げながら稼働を3割削減した方の話を読んで、「自分の店でも客単価の設計を変えられるのか」と思った方もいるはずです。増益繁盛クラブでは、値引きに頼らない客単価の適正化と再来店の仕組みを、伴走しながら実践に落とし込んでいます。申込フォームへの入力のみで始められます。
稼働率を上げるより、客単価を見直すほうが早い
稼働率が65%なら、
「あと35%上げればいい」と考えますよね。
でも、これも逆です。
稼働率を100%に近づけることは、
体力の限界への挑戦です。
予約を埋め続けるには
相応の集客コストと労力がかかる。
必ず大変。
だから先に見直すべきは、
客単価のほうです。
例えば、
稼働率65%のまま客単価を
8,000円から10,000円に引き上げたとします。
先ほどの月商457万円が
571万円に変わります。
同じ体力で、
約114万円の売上増です。
美容室のメニュー単価の引き上げ方と実際の手順については、
別の記事で詳しくまとめています。
よければ合わせて読んでみてください。
値下げは損益分岐点を
「上」に引き上げてしまう。
客単価を上げることは、
損益分岐点を「下」に引き下げる効果があります。
あなたは今、
何かを値引きして集客しようとしていますか?
あなたは今、
値引きなしで選ばれる理由を
整えることに時間を使っていますか?
「客単価を11,000円から14,000円に引き上げた後、
自分の稼働を3割削減できました。
体力の限界への不安から解放されたのが、
一番大きな変化でした。」高単価サロン(40代・女性)
この方が変えたのは、
集客量ではなく客単価と仕組みです。
稼働を3割削減しながら
利益を増やせた背景には、
「どのメニューで何円をいただくか」という
設計の見直しがありました。
値上げをお客さんに納得してもらえる伝え方は、
言い方と順番を変えるだけで
反応がかなり変わります。
こちらも参考にしてみてください。
「損益分岐点を把握した日から、
経営の話し方が変わります。
『なんとなく黒字』から
『必要な売上を意図的に達成する』に変わる。
その感覚の変化が、
採用も含めたすべての土台になるんです。」ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
損益分岐点を把握すると、採用の判断ができるようになる
ここまで読んでくださった方に、
もう一つ大切なことを話します。
求人を出しても応募が来ない、
来てもすぐ辞めてしまう。
そういう悩みを持つ
美容室オーナーの方は、本当に多いです。
でも採用の問題を
採用だけで解こうとすると、
必ず行き詰まります。
なぜかというと、
「採用できても払える給与があるか」
「育てる時間とお金があるか」
という前提が整っていないと、
採用は持続しないからです。
損益分岐点を把握し、
客単価を適正に設計し、
利益が残る構造をつくる。
その土台があってはじめて、
「もう1人雇えるかどうか」という
具体的な判断ができます。
数字が見えていないまま採用を増やすのは、
地図なしで山に入るようなものです。
そして繁盛していて、
社長が誇りを持って経営している店には、
自然と「ここで働きたい」という人が
集まってきます。
お客さんに選ばれる店をつくることと、
スタッフに選ばれる職場をつくることは、
同じ根っこから育ちます。
人件費・固定費・利益の関係については、
月次データを3つの指標に分けて打ち手を見つける方法でも
整理しています。
数字の読み方に慣れてきたら、
ぜひ合わせて活用してみてください。
まとめ、今日から動ける3つのこと
損益分岐点の計算は、
難しくありません。
ただ、やっていない人が多い。
「そんな時間ない」と思った方、
この計算は1時間あれば終わります。
「そんなお金ない」と思った方、
かかるお金はゼロです。
今日から動ける3つのことを整理します。
1つ目、固定費を書き出す。
役員報酬も含めて全部。
2つ目、変動費率を出す。
今月の材料費 ÷ 今月の売上で出ます。
3つ目、損益分岐点と今の月商を並べる。
差がいくらあるか、数字で確認する。
この3ステップをやるだけで、
「今月どこを動かすべきか」が
見えてきます。
数字を知ることは、
怖いことではありません。
知らないまま走り続けるほうが、
はるかに怖い。
地図を持って、
一緒に動いていきましょう。
店舗経営は、
ゴールのないマラソンです。
地図を持って走り続けましょう。
損益分岐点を把握し、採用できる土台をつくるという道筋はわかった。でも「一人でこれを続けられるか」というところで止まってしまう、それが実態だと思います。増益繁盛クラブには、同じ景色を見ている全国の仲間と、月2回のグループコンサルで具体的な一手を一緒に考える場があります。申込フォームに必要事項を入力するだけで始められます。