通帳の残高と、帳簿の数字が合わない。
売上はそれなりに立っているのに、
月末になるとなぜかお金が足りない。
こういう話、飲食店を経営している方から
本当によく聞きます。
先日も、あるお客さんから
「補助金で厨房機器を入れたいんです」
という相談をいただきました。
使える制度があるなら使いたい。
出せる費用は少しでも抑えたい。
経営者として、これは当然の考え方だと思います。
でも、話を聞いていくうちに気になったのが、
「今、黒字ラインがどこにあるか分かっていますか?」
という問いに、答えが出てこなかったことです。
補助金で設備を入れることは手段です。
でも、その前に押さえておくべき数字がある。
今日はそこを一緒に整理していきましょう。
📋 この記事でわかること
- 固定費と変動費の違いと、飲食店での具体的な仕分け方
- 損益分岐点の計算式と、黒字ラインの読み方
- 補助金で設備投資するときに「先に考えておくべきこと」
- 損益分岐点を下げて、手元に利益を残す構造の作り方
こんな方におすすめ
- ✅ 売上はあるのに手元にお金が残らないと感じている飲食店オーナー
- ✅ 補助金を使って厨房設備や内装を整えようと検討している方
- ✅ 損益分岐点という言葉は知っているが、自店で計算したことがない方
- ✅ 値引きや割引に頼らず、利益が残る体質の店を作りたい方
- ✅ 経営の数字を「なんとなく」ではなく「意図を持って」見ていきたい方

固定費と変動費、まず分けることから始める
損益分岐点を計算する前に、
費用を2種類に分けることが必要です。
固定費とは、売上がゼロでも発生する費用のことです。
家賃、人件費(正社員)、リース料、
保険料、減価償却費などがこれにあたります。
月商が300万でも100万でも、
固定費はほぼ変わらない。
だから怖い費用です。
変動費とは、売上に連動して増減する費用です。
食材費(原価)、消耗品費、
アルバイト人件費(シフト調整できる分)
などがこれにあたります。
売上が上がれば原価も上がる。
売上が下がれば仕入れを抑えられる。
動く費用です。
飲食店では、売上に対して
原価率が30〜35%、
人件費率が30〜35%というのが
一般的な目安とされています。
ただし、これは業態によって大きく違います。
高単価の割烹と、回転重視のラーメン店では
構造がまったく異なるからです。
まず自分の店の数字を
「固定費」と「変動費」に仕分けてみてください。
この作業だけで、
「どこが重くなっているか」が見えてきます。
固定費と変動費を仕分けたはいいものの、「じゃあ自分の店の損益分岐点はいくらなのか」を一人で計算するのは、思ったより手が止まるものです。固定費・人件費率・原価率を入力するだけで必要売上を自動計算できる「必要売上シミュレーター」と、利益を残す構造の作り方をまとめた書籍8冊をまとめて受け取れます。メール登録のみ、1分で受け取れます。
損益分岐点の計算式、数字で黒字ラインを出す
損益分岐点の計算式はシンプルです。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
変動費率とは、売上に対して変動費が占める割合です。
例えば、月の固定費が120万円、
変動費率が40%(原価30%+変動人件費10%など)
という店であれば、
120万円 ÷(1 − 0.4)= 200万円
つまり、月商200万円が黒字ラインです。
これを下回ると赤字、
超えると利益が出始める。
あなたの店の損益分岐点、
今すぐ計算できますか?
「だいたいこのくらい」ではなく、
数字で言えますか?
ここを曖昧にしたまま経営を続けると、
売上が伸びても手元に残らない状態が続きます。
逆に言うと、損益分岐点を把握していれば、
「今月あと○万円売れば利益が出る」
という動き方ができます。
経営を運任せにしない、
最初の一手がここです。
飲食店の売上分析を客数・客単価・来店頻度に分解して数字を読む手順も合わせて確認しておくと、損益分岐点の数字がより活きてきます。
✓ ここまでのポイント
- 費用は「固定費」と「変動費」に分けることが、数字整理の出発点
- 損益分岐点 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)で黒字ラインが計算できる
- この数字を把握することで、売上目標が「意図のある数字」に変わる
補助金で設備を入れる前に「その投資で何の数字が動くか」を設計する、という話をしました。でも、客数・客単価・再来店のどれをどう動かすかの設計図は、一人で考えていると行き詰まりやすいものです。損益分岐点の計算から販促設計まで、実践に使える書籍・ツール8点を無料で受け取れる場所があります。登録はメールアドレスのみ、解除もワンクリックです。
補助金で設備を入れる前に、必ず考えておくこと
さて、ここからが本題です。
補助金を使って厨房設備を入れたい、
内装を刷新したい、という相談は
年々増えています。
使える制度があれば使う。
これは正しい判断です。
ただ、補助金の申請要件や採択の手続きについては、
認定支援機関や中小企業診断士、行政書士、
税理士といった専門家に相談するのが確実です。
私の立場からお伝えしたいのは、
そこではありません。
問いたいのは、
「その設備が入ると、何の数字が動きますか?」
ということです。
客数が増えるのか。
客単価が上がるのか。
再来店の頻度が上がるのか。
この3つのどれかに紐づかない投資は、
回収しきれないまま残ります。
例えば、新しい厨房機器を入れることで
提供スピードが上がる。
回転率が上がる。
客数が月に○○人増える。
この筋が見えていれば、投資は「顧客を創造する支出」になります。
でも、設備が入っても
集客の仕掛けが何も変わらないなら、
ランニングコストだけ増えて終わります。
「お金を掛けずに売上を伸ばす発想は愚策です。でも、掛けたお金が客数・客単価・再来店のどれかを動かすかどうかは、設備の話ではなく販促と仕組みの話です。設備と販促はセットで設計しないといけない。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
補助金を活用する前に、
自店の損益分岐点を把握しておくことが
大前提になります。
黒字ラインが月商200万円なのに、
今の月商が180万円なら、
まず先に売上を引き上げる施策が必要です。
設備投資でその数字を動かせるなら、
補助金は強力な後押しになります。
飲食店の補助金はどれがいいか、種類と用途の違いを整理した選び方の入門も参考にしながら、まず自店にどの制度が合うかを確認してみてください。
損益分岐点を下げる、2つの方向性
黒字ラインを把握したら、次にやることがあります。
その数字を「下げる」ことです。
損益分岐点を下げるには、2方向あります。
❌ よくある間違い:値引きで客数を増やそうとする
- 変動費率が上がり、損益分岐点が逆に上昇することがある
- 値引き客はリピートしにくく、客単価も下がる
- 結果として、忙しいのに儲からない構造が深まる
✅ 正しい方向性①:固定費を見直す
- リース契約の見直し、仕入れ先の統廃合、不要な固定支出の削減
- 固定費が下がれば、損益分岐点も下がる
- 同じ売上でも、手元に残る金額が増える
✅ 正しい方向性②:客単価を上げる
- 変動費率を一定に保ちながら売上を増やせる
- 同じ客数でも利益率が改善する
- 値上げではなく「価値を伝えて選ばれる」設計が鍵
客単価を上げることへの具体的な手順は、
飲食店の客単価を上げる方法、値下げに頼らず単価を引き上げる4つの手順にまとめています。
実際に、ある居酒屋さんの事例があります。
月商350万円だった店が、
チラシとGoogle広告を組み合わせた施策で
6ヶ月後には月商620万円に。
新規客が約2倍になり、
客単価は1,400円アップしました。
このケースで面白いのは、
設備に一切手を付けていないことです。
今ある厨房で、今いるスタッフで、
「どう知ってもらい、どう単価を上げるか」
を先に設計した。
その結果として損益分岐点が大きく改善し、
手元に残る利益が変わりました。
「月商350万円から620万円に増えたのは、設備を変えたからじゃないんです。集客の仕組みと単価設計を変えたから。補助金で設備を入れる前に、この順番を考えてほしいんです。」
ハワードジョイマン(店舗利益最大化コンサルタント)
「チラシとGoogle広告を続けたことで、新規のお客さんが倍近く来てくれるようになりました。客単価も上がって、6ヶ月でこんなに数字が変わるとは思っていなかったです。」
居酒屋オーナー(40代・男性)
数字を見る習慣が、経営を変える
損益分岐点の計算は、一度やれば終わりではありません。
家賃が上がれば固定費が変わります。
仕入れ値が変われば変動費率が変わります。
メニューを変えれば原価率が変わります。
だから毎月、数字を確認する習慣が必要です。
月に一度でいい。
固定費の合計を出して、
変動費率を計算して、
損益分岐点売上高を更新する。
これをやるかやらないかで、
3年後の店の状態は大きく変わります。
人生を10年単位で考える。
商売を10年単位で考える。
そのためには、今の数字を正確に把握することが
スタートラインです。
「そんな時間ない」と思った方、
その感覚はよく分かります。
でも、数字を見ない経営は、
目を閉じて走り続けているようなものです。
補助金を活用したい気持ちは正しい。
設備を整えたい気持ちも正しい。
ただ、その投資が「顧客を創造する支出」になるかどうかを、
損益分岐点という物差しで確認してから動く。
これが、手元に利益を残す経営の作り方です。
数字を武器にして、
意図のある経営を一緒に作っていきましょう。
店舗経営は、ゴールのないマラソンです。
ペース配分を知っていれば、長く走り続けられます。
追伸:
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