4.成長戦略構築

間違った成長欲と正しい成長意欲 ─ 店舗経営を長く続けるために必要な視点

1. 成長意欲が「危険」に変わる瞬間

多くの店舗経営者は「もっと成長したい」と願います。

売上アップ、客数増加、新店舗出店…。

しかし、その成長意欲が間違った方向に傾くと、自分やお店を追い詰める原因になってしまいます。

仏教ではこれを「渇愛(かつあい)」と呼びますが、ここでは難しい言葉は避け、“間違った成長欲”と呼びましょう。

2. 間違った成長欲の3つのパターン

(1) 「もっと欲しい」

  • 利益構造を整えないまま売上拡大に走る
  • 値引きやキャンペーンで数字を作る
  • 安定前に多店舗展開し、資金繰りが悪化

(2) 「失いたくない」

  • 利益を圧迫している常連客を手放せない
  • 不採算メニューを残し続ける
  • 過去の成功体験にしがみつく

(3) 「こうでなければならない」

  • 業態やメニューの変更を拒む
  • オーナーが現場に立つべきという思い込み
  • 「値下げしないと客が来ない」という固定観念

これらは一時的には安心感や達成感を与えますが、すぐに新しい欲求が生まれ、永遠に満たされない状態をつくります。

3. 正しい成長意欲とは何か

正しい成長意欲は、欠乏感や不安からくる動きではなく、目的と価値に基づいた持続可能な発展です。

正しい成長意欲の条件

  1. 明確な目的がある
    ─ 数字と理想像が具体的(例:年商○○円・粗利率○○%・週休○日)
  2. 数字で裏付ける
    ─ 感覚ではなく、利益率や資金計画に基づいて判断
  3. 持続可能性を優先
    ─ 心身が長く続けられるペース配分
  4. 顧客価値が軸にある
    ─ 儲けだけでなく、お客様の体験向上が動機

4. 間違った成長と正しい成長の違い

項目間違った成長欲正しい成長意欲
出発点欠乏感・焦りビジョン・目的
ゴール増やすこと自体理想の実現
判断軸感情・勢い数字と価値基準
心の状態常に比較と不安安定と納得感
結果短期的な拡大長期的な繁栄

5. 実例で見る違い

  • 間違った成長
    1号店が黒字化していないのに、勢いで2号店を開店 → 人手不足・資金繰り悪化で閉店
  • 正しい成長
    1号店で3年間粗利率30%維持 → その利益の一部を使い、スタッフ主導の2号店をオープン

6. 正しい成長意欲を保つ4つの習慣

  1. 年1回のビジョン再確認(数字・生活・理想像)
  2. 四半期ごとの利益率チェック
  3. やめるリストの更新(成長を妨げる要因を排除)
  4. 外部の視点を取り入れる(独りよがりの拡大を防ぐ)

まとめ

経営者にとって「成長意欲」は大切な推進力ですが、その根っこが不安や執着であれば、ゴールのないマラソンに走らされるだけです。

正しい成長意欲は、目的の明確化・数字での裏付け・持続可能性・顧客価値という4つの条件を満たすこと。

これがあれば、お店は長く愛され、経営者自身も豊かに働き続けられます。

今日の話があなたの経営者としてのスタンスや店舗経営に役立つと幸いです。

ハワードジョイマン

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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