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不思議だけどよくある話

伸びる経営者と伸び悩む経営者。
その分岐点は、売上でも戦略でもなく「敬意」だった。

私はコンサルタントとして、これまで数多くの店舗経営者の方とお話をしてきました。

飲食店、小売店、サービス業——業種はさまざまですが、長くこの仕事を続けていると、ある一つの共通したパターンが見えてきます。

それは、「伸びる経営者」と「伸び悩む経営者」には、売上や戦略ではなく、もっと根本的な部分に決定的な違いがある、ということです。

売上が上がった後に起きること

支援を通じて業績が伸び、目標を達成した経営者の方を見ていると、ある時期から変化が現れます。

目標を達成した喜びのあと、次の目標が見つからない状態になる方が一定数でてきます。

すると、足元を固める仕事から目が離れ、関係のないことに意識が向き始めます。言動が中途半端になったり、行動に一貫性がなくなっていくのです。

▌ 停滞が始まる経営者に見られるサイン

  • 新たな目標が見えず、現状維持に陥る
  • 本業以外の「余計なこと」に目が移りがちになる
  • 理解が浅いまま、分かったつもりになった発言が増える
  • コンサルタントや周囲へのリスペクトが薄れていく
  • 小さな不満や文句が口に出るようになる
  • ここまでの経緯・支えてくれた人への感謝を忘れていく

一つひとつは小さなサインです。でも、長年にわたって先輩経営者たちを見続けてきた私には、これらが蓄積していく様子が、ゆっくりと船が沈んでいくように見えます。

敬意を失った経営者の、その後

言い切ります。

人への敬意を忘れた経営者は、
間違いなく数年後に没落していました。

会社の業績が急落した方。体を壊した方。大切な仲間との関係が壊れた方。形は違えど、その後に「何かが失われていく」という展開を、私は繰り返し目撃してきました。

これは偶然ではないと、今は確信しています。

なぜなら、敬意を忘れた瞬間に、人は「相手の欠点」を探しはじめるからです。

あなたをここまで引き上げてくれたその人、あなたの商売に価値をもたらしてくれたその人の「良さ」ではなく、「欠点」を見るようになる。

でも少し考えてみてください。その人の「良さ」こそが、あなたに売上を伸ばすきっかけを与えてくれたのではなかったですか? その良さに目を向け続けていれば、まだまだ多くのものを受け取れたはずです。

それを手放した瞬間、成長のエンジンも止まります。

なぜそうなるのか——「鏡」の法則

ここで一つ、根本的な問いを立てます。

あなたが誰かに対して「敬意を持てない」と感じるとき、その感情は果たして「相手」への感情でしょうか?

私はそうは思いません。

あなたの感情は、あなた自身の写し鏡です。

あなたが今、誰かに対して抱いている感情——苛立ち、不満、見下し——それは相手に対する評価ではなく、あなたが今の自分自身に対して感じていることが、外の世界に投影されているにすぎない。

相手が変わったのではなく、あなた自身の内側が変わったのです。

世 阿 弥 / 風姿花伝

「花は、観手に咲く」

花そのものが美しいのではない。その花を見ている人の心の中に、美しい花が咲いているのだ。

室町時代の能楽師・世阿弥は、芸の極意をこう語りました。花の美しさは花にあるのではなく、観る人の心に宿る、と。

これは経営においても、人間関係においても、そのまま当てはまります。

コンサルタントが優秀に見えたのは、あなたの心に「学ぼう」「成長しよう」という美しい花が咲いていたからです。スタッフが輝いて見えたのは、あなたの心に「この人の良さを引き出したい」という熱意があったからです。

そしてその花が萎れたとき、世界は急に色褪せて見えます。

では、どうすればいいのか

① 感情を「外」ではなく「内」に向ける

誰かへの苛立ちや不満を感じたとき、まず自分に問いかけてみてください。「今、自分はどんな状態にあるのだろう?」と。その感情はメッセージです。外側の誰かへの不満ではなく、今の自分が何かに対処できていないサインかもしれません。

② 「良さ」に意識を向け直す習慣を持つ

欠点探しは自動的に起きます。意識しなければ、人は楽な方向——批判する方向——に流れます。だからこそ、意識して相手の「良さ」に目を向けることが必要です。今日その人から受け取ったもの、助けてもらったことを、一つ言葉にしてみる。それだけで、鏡は変わり始めます。

③ 「今ここ」の感謝に立ち返る

経緯を忘れることが、最も危険です。今のあなたがあるのは、誰かが関わってくれたからです。ゼロから振り返る必要はありません。ただ、「あのとき助けられた」という事実を、時折思い出す。それだけで、人は謙虚さを取り戻せます。

── ── ──

敬意は、戦略よりも強い。

売上を伸ばすノウハウは、学べます。マーケティングも、オペレーションも、勉強すれば身につきます。でも、人への敬意は——意識しなければ、いつの間にか失われていく。

そしてそれが失われた瞬間、あなたの鏡は曇り始めます。世界があなたに示す花は、少しずつ色を失っていきます。

鏡を磨くのは、外の世界を変えることではありません。あなたの内側を整えることです。

敬意を持ち続けてください。それが、長く、豊かに、お店を続けていける経営者の、最も根本的な土台です。

ハワードジョイマン / Howard Joyman

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ハワードジョイマン

プロフィール

コピーライター/店舗利益最大化コンサルタント
中小企業診断士(経済産業省登録番号 402345)
絵本作家(構想・シナリオ担当)

・有限会社繁盛店研究所 取締役
・株式会社繁盛店研究出版 代表取締役
・株式会社日本中央投資会 代表取締役
・繁盛店グループ総代表

生い立ちと異色の経歴

1975年、静岡県清水市(現:静岡市清水区)生まれ。自営業の家に生まれ、親戚一同も会社経営をしている環境から、幼少期より受付に立ち、商売の基礎を肌で感じながら育つ。

大学入学と同時にお笑い芸人としての活動を開始。活動中には九州松早グループが運営するファミリーマートのCMにも出演する。その後、父の急逝を機に大学卒業後、清水市役所へ奉職。

市役所勤務から独立へ

市役所在職中に中小企業診断士の取得を決意。昼は公務員として働き、夜は受験勉強、週末は現場経験を積むため無給でイタリアンレストランでの修行を重ねるという生活を継続。6年間の猛勉強の末、難関の中小企業診断士資格を取得する。

資格取得を機に7年勤めた市役所を退職。退職後、有限会社繁盛店研究所(旧:有限会社マーケット・クリエーション)を設立し、独立を果たす。

「笑人の繁盛術」による圧倒的な実績

お笑い芸人時代の経験を活かし、小売店・飲食店・美容室・整体院などの集客や販促に、お笑い芸人の思考法や漫才の手法を導入。独自のメソッド「笑人の繁盛術」を用いたコンサルティングにより、クライアントの業績を次々と向上させる。

専門用語を使わない分かりやすい内容のメールマガジンは、読者数1万人を突破。多くの業績アップ報告が寄せられている。また、会員制サポート「増益繁盛クラブ」は、日本全国(北海道〜沖縄)のみならずアメリカからの参加者もおり、その活動はテレビ番組『ガイアの夜明け』でも取り上げられ大きな注目を浴びた。

多角的な活動と信念

現在は、プロのコンサルタントが購読する専門誌『企業診断』(同友館)での連載も手がけ、「コンサルタントのコンサルタント」としても高い評価を得ている。また、自身の経験から確立した株式投資メソッドを伝えるコミュニティ「株研」も運営。

多忙を極める現在も、毎月1回の先祖への墓参りを欠かさない。家族をこよなく愛するマーケッターである。

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